JPH0258447B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明はOHC・Ｖ型多気筒エンジンの潤滑油
路構造に関し、特にOHC・Ｖ型多気筒エンジン
の動弁機構を潤滑するための潤滑油路構造に関す
る。

＜従来の技術＞ 近年、エンジンの高出力化を目的として、３バ
ルブ或いは４バルブエンジンに代表されるように
各シリンダ毎に吸気弁及びまたは排気弁を複数設
けることが行なわれている。また、オーバヘツド
カムシヤフトが一般的になつてきており、シリン
ダヘツド上部の動弁機構が複雑化し、潤滑を必要
とする接触面が増大する傾向にある。更に、タペ
ツトクリアランスを解消するためにオイルタペツ
トを用いる場合もあり、全体として動弁機構に供
給されるべき潤滑油の油量が増大する傾向にあ
る。動弁機構を潤滑するための潤滑油は、一般に
潤滑油ポンプの吐出側からクランク軸の軸受部を
経てシリンダ壁内に設けられた潤滑油路及びシリ
ンダブロツクとシリンダヘツドとの合せ面を経由
して動弁機構に向けて供給されるが、近年エンジ
ンを軽量化するためにシリンダブロツクの肉厚が
小さくされるため、シリンダ壁内の潤滑油路の断
面積を十分大きくとることが困難となつてきた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ このような従来技術の欠点に鑑み、本発明の主
な目的はシリンダブロツクの肉厚を過大にするこ
となく、シリンダヘツド上部の動弁機構に至る潤
滑油路の断面積を十分大きく確保し得るような
OHC・Ｖ型多気筒エンジンの潤滑油路構造を提
供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ このような目的は、本発明によれば、軸線方向
について幾分オフセツトされた２つのシリンダバ
ンクを備えると共に、潤滑油ポンプの吐出側に連
結されかつクランク軸の下方に位置するオイルギ
ヤラリとクランク軸の各軸受外周部とを連通する
第一の潤滑油供給路と、前記クランク軸の軸受外
周部から、シリンダブロツクの内部及び該シリン
ダブロツクとシリンダヘツドとの合せ面を経て、
シリンダヘツド上部の動弁機構に至る第二の潤滑
油供給路とを有するOHC・Ｖ型多気筒エンジン
の潤滑油路構造であつて、前記第二の潤滑油供給
路を、各軸線方向端にて突出する側のシリンダバ
ンク端の各バンクの内側部分の対角位置にそれぞ
れ設けてなることを特徴とするOHC・Ｖ型多気
筒エンジンの潤滑油路構造を提供することにより
達成される。

＜作用＞ OHC・Ｖ型多気筒エンジンに於ては、左右バ
ンクのシリンダ位置が、軸線方向に沿つてオフセ
ツトしていることから、各軸線方向端にて突出す
る側のシリンダバンク端は、比較的容易にスペー
スを確保することができ、またシリンダブロツク
の両バンク間部分を避けた位置にシリンダヘツド
への潤滑油供給路を形成し得るので、シリンダブ
ロツクの強度に影響を及ぼさずに済む。加えて、
シリンダヘツド内に満遍なく潤滑油を行きわたら
せるためには、シリンダヘツド内への潤滑油の吐
出口は、なるべく高い位置に配置することが好ま
しいが、各バンクの内側部分に供給路を設けれ
ば、最短の通路長にてこのような位置に吐出口を
配置することができる。しかも第二の潤滑油供給
路をクランク軸の両端部近傍に設ければ、クラン
ク軸の各ジヤーナル部に供給される潤滑油の油圧
が偏つたりせずに済む。

＜実施例＞ 以下、本発明の好適実施例を添付の図面につい
て詳しく説明する。

第１図はＶ型６気筒エンジンのシリンダブロツ
クの平面図である。このシリンダブロツク１は、
左右バンクＡ，Ｂにそれぞれ３本ずつ計６本のシ
リンダを有するもので、シリンダブロツク壁とシ
リンダスリーブ２との間にウオータジヤケツト３
が郭成され、ウオータジヤケツト３の内側に位置
するシリンダスリーブ２内に鋳込まれたライナ４
によりシリンダが形成されている。

次に、シリンダブロツク１の上面５、即ち図示
されないシリンダヘツドとの合せ面５に形成され
た種々の孔或いは通路について説明する。

ウオータジヤケツト３の周囲であつて、特に各
シリンダの中間位置及び各バンクの前後端に略等
間隔をおいて各１対、計８本のボルト孔６が設け
られており、これらボルト孔６はシリンダヘツド
を螺着するシリンダヘツドボルトを螺合するため
のものである。また、シリンダよりも外側方のボ
ルト孔６の近傍には、動弁機構に於て使用された
潤滑油をクランクケース下側のオイルサンプに戻
すための戻し油路７が穿設されている。また、シ
リンダヘツドよりもエンジン中央部寄りであつて
しかも軸線方向中央に位置する２本のボルト孔６
の近傍には、動弁機構室とクランクケース室との
間にてブローバイガスを流通させるためのブロー
バイガス通路８が形成されている。

更に、シリンダよりもエンジン中央側であつて
しかもエンジンの軸線方向に沿う一方の端部に位
置するボルト孔６の近傍には、動弁機構に向けて
潤滑油を供給するための潤滑油路９が形成されて
いる。第１図に良く示されているように、潤滑油
路９は、軸線方向に沿つてオフセツトした左右バ
ンクＡ，Ｂのそれぞれ軸線方向に突出した側の軸
線方向端部に設けられ、即ち両バンクの内側の対
角位置にそれぞれ１本ずつ設けられている。

第２図及び第４図に示すように、シリンダブロ
ツク１の下側には、軸受キヤツプ１０が、締付ボ
ルト１１，１２により螺着され、シリンダブロツ
ク１と軸受キヤツプ１０との間に郭成される軸受
孔２１に、クランク軸１３が軸受メタル１４を介
して回転自在に軸支されている。軸受キヤツプ１
０の下面には、締付ボルト１５により、ブリツジ
部材１６が螺着されている。ブリツジ部材１６内
には、該ブリツジ部材を軸線方向に向けて貫通す
るオイルギヤラリ１７が形成されており、該オイ
ルギヤラリの一方の端部がプラグ１８により閉じ
られていると共に、該オイルギヤラリの他端が図
示されない潤滑油ポンプの吐出側通路に接続され
ている。

更にオイルギヤラリ１７から分岐する分岐油路
１９が、各軸受キヤツプ１０に設けられた潤滑油
路２０を経て、軸受孔２１の内周面に周方向に沿
つて凹設された溝２２に連通している。本実施例
の場合、分岐油路１９と、軸受キヤツプ１０の油
路２０とが、ブリツジ部材１６を正しく装着する
ための中空の位置決めピン２３により互いに接続
されて第一の潤滑油供給路を構成している。溝２
２に供給された潤滑油は、軸受メタル１４に穿設
された孔を通過し、クランク軸１３と軸受メタル
１４との間を潤滑する。

第４図に於ける左側の端部に位置する軸受孔２
１の溝２２は、シリンダブロツク内を上方向に延
財する潤滑油路２４に連通しており、該潤滑油路
２４の上端は、前記した潤滑油路９に接続してい
る。これら潤滑油路９，２４により、第二の潤滑
油供給路を構成している。

第３図はバンクＢの側の潤滑油路９を示すもの
で、バンクＡの側に設けられた潤滑油路９とは、
エンジンの中心線に対して点対称の関係にある点
を除いて異なるところがないため、対応する部分
には同一の符号を付してその詳しい説明を省略す
る。

従つて、本実施例によれば、図示されない潤滑
油ポンプによりオイルギヤラリ１７に圧送された
潤滑油は、第一の潤滑油供給路としてのブリツジ
部材１６の分岐油路１９及び軸受キヤツプ１０の
潤滑油路２０を経て各軸受孔２１の溝２２に供給
され、クランク軸１３と軸受メタル１４との間を
潤滑する。またこの潤滑油の一部は、シリンダブ
ロツク１内の第二の潤滑油供給路としての潤滑油
路２４及び９を経てシリンダヘツド上部の動弁機
構に供給される。しかして、動弁機構に至るこの
潤滑油路２４及び９が、各バンクＡ，Ｂについて
それぞれ軸線方向に突出する側に於けるバンク内
側の対角位置に設けられているため、シリンダ壁
内のスペースを有効に活用し、シリンダ壁の肉厚
を増大させることなく所用の通路断面積を確保す
ることができ、しかも両バンクの動弁機構を均等
に潤滑することが可能となる。

＜発明の効果＞ このように、動弁機構に至る潤滑油路を好適に
配設することにより、動弁機構に十分な潤滑油を
供給することができ、しかもエンジンの軽量化が
可能となるため、エンジンの性能を向上する上で
多大の効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に基づく潤滑油路構造を備え
るＶ型６気筒エンジンのシリンダブロツクを示す
平面図である。第２図は、第１図の−線につ
いて見た断面図である。第３図は、第１図の−
線について見た断面図である。第４図は、第２
図の−線について見た断面図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダスリ
ーブ、３……ウオータジヤケツト、４……ライ
ナ、５……面、６……ボルト孔、７……ブローバ
イガス通路、８……戻し油路、９……潤滑油路、
１０……軸受キヤツプ、１１，１２……締付ボル
ト、１３……クランク軸、１４，１４ａ……軸受
メタル、１５……締付ボルト、１６……ブリツジ
部材、１７……オイルギヤラリ、１８……プラ
グ、１９……分岐油路、２０……潤滑油路、２
１，２１ａ……軸受孔、２２，２２ａ……溝、２
３……位置決めピン、２４……潤滑油路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軸線方向について幾分オフセツトされた２つ
   のシリンダバンクを備えると共に、潤滑油ポンプ
   の吐出側に連結されかつクランク軸の下方に位置
   するオイルギヤラリとクランク軸の各軸受外周部
   とを連通する第一の潤滑油供給路と、前記クラン
   ク軸の軸受外周部から、シリンダブロツクの内部
   及び該シリンダブロツクとシリンダヘツドとの合
   せ面を経て、シリンダヘツド上部の動弁機構に至
   る第二の潤滑油供給路とを有するOHC・Ｖ型多
   気筒エンジンの潤滑油路構造であつて、 前記第二の潤滑油供給路を、各軸線方向端にて
   突出する側のシリンダバンク端の各バンクの内側
   部分の対角位置にそれぞれ設けてなることを特徴
   とするOHC・Ｖ型多気筒エンジンの潤滑油路構
   造。