JPH0257511B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はプラスチツク基体上に多孔質構造の浸
透層を設け、該浸透層中に熱現像ジアゾ型記録層
を設けて成る記録体に関する。

近年記録、印字、マーキング等に関して以下に
述べる産業分野が非常に多くなつてきている。記
録体の対象として単に紙への印刷ではなくて、長
期間苛酷な使用条件に耐えなければならない例と
して、例えば各種有価証券、カード、証明書、自
動改札用定期券、ラベル、ネームプレート、表示
板、標識等への記録、表示、または各種の商品の
表面への直接記号などをマーキングすることなど
の分野がある。この種の記録に対する要求特性と
しては、まず記録画像が耐摩耗性、耐候性、耐水
性、改ざん防止性に優れていることが必要であ
り、また一方では記録システムの要請であり、つ
まりコンピユーター等に記憶された情報を出力し
やすく、かつ機構も簡単な記録方式により記録出
来るシステムであることである。

この様な目的の記録方式としては電子写真方式
や、静電記録方式が従来より使用されているが、
一般に装置が複雑でかつ大型のものとなり、価格
的にも高価となる欠点があり、また粉体もしくは
液体現像剤などの消耗品が必要であり、それに伴
う保守管理が繁雑であるという欠点もある。した
がつて前記の記録対象例の様に多種多様の用途に
適用出来る記録システムとしては転写型感熱記録
方式や発色型感熱記録方式が最適である。これ等
は印字音が静か、ランニングコスト（用紙代）が
安い、現像・定着が不要、装置の小型化に向く、
中間調を表現できるという共通の利点があるが、
前者は使用済みのインク・フイルムという不要物
が残りその処理が煩らわしい。後者は未印字部分
が熱によつて発色してしまつたり、溶剤で発色・
変色してしまうという欠点をもつており、どちら
も一長一短がある。

その為、ドライイメージングシステムである熱
現像ジアゾ型記録材料が感熱記録材料として注目
され実用化に向けて開発がすすめられている。

熱現像ジアゾ型記録体を上記記載の記録媒体と
して、かつ発色感熱記録方式として用いた場合に
要求される特性は最低次の諸特性を満足していな
ければならない。すなわち、記録媒体として要求
される特性である耐摩耗性、耐候性、耐水性およ
び改ざん防止性に優れていること、および、発色
感熱記録方式として要求される特性である剛度、
引張り強度、寸法安定性等の基質の優れているこ
と、機械に適合した発色感度を有すること、サー
マルヘツドへのカス付着が少ないこと、ステイツ
キングがないこと、保存安定性があること等につ
いて優れていなければならない。

改ざん防止性、発色感度、耐水性、保存安定性
等は、記録材料の本質的な構成に起因する要素で
ある。そのような熱現像ジアゾ型記録系は公知で
ある、例えば、特公昭43−10248号公報、特公昭
49−3926号公報に記載されているジアゾニウム複
塩化合物、カツプリング剤、酸安定剤、水不溶性
熱顕色剤および高分子結着剤から成る記録系およ
び米国特許第2217189号明細書、英国特許第
544702号公報、独国特許第734302号公報等にはジ
アゾニウムスルフオン酸塩化合物、カツプリング
剤および高分子結着剤から成る記録系等が記載さ
れている。

上記記載の記録材料を用いて剛度、引張り強
度、寸法安定性の良好なプラスチツク基体上に記
録層を設けて成る記録体は改ざん防止性、発色感
度、保存安定性には優れているが耐摩耗性、サー
マルヘツドへのカス付着、ステツキング等に満足
した性能が得られない。それを改善する為、記録
層上に熱硬化性のオーバコート層を設けると機械
に適合した発色感度が得られず要求される記録体
を得ることができない。本発明者等は、このよう
な現状にかんがみ、発色型感熱記録方式に適用で
き、かつ記録媒体として要求される諸特性を満足
する熱現像ジアゾ型記録体を発明すべく鋭意研究
した結果、プラスチツク基体上に無機または有機
顔料の微粒子と該微粒子を均一に分散、結着する
樹脂およびこの樹脂を溶解する有機溶媒から成る
塗液を塗工し、多孔質構造を有する溶液浸透層を
形成し、該浸透層に熱現像ジアゾ型記録剤を適当
な溶媒もしくは分散せしめた溶液を塗布、浸透さ
せ乾燥し、該浸透層に記録層を形成して成る記録
体は前述した諸特性を満足する結果を得たので本
発明を達成させた。

本発明による熱現像ジアゾ型記録体の記録層を
形成する記録材料は、一つにはジアゾニウム複塩
化合物、カツプリング剤、酸安定剤、酸化防止
剤、水不溶性顕色剤および必要に応じて高分子結
着剤から成りたつており、該記録体に用いる熱顕
色剤は多塩基性脂肪族酸またはトロクロロ酢酸と
一般式 （但し、R₁はC₁₂〜C₁₈のアルキル基、R₂はC₁₂
〜C₁₈のアルキル基，メチル基又は水素原子、R₃
はメチル基又は水素原子） で表わされる高級脂肪族アミンとの塩で、かつ該
塩は水不溶性の塩であり、又は脂肪族ジカルボン
酸とアミノ―１，３，５―トリアジンとの反応か
ら得られた水不溶性の塩である。

さらに、本発明で用いられる熱現像ジアゾ型記
録体の記録層を形成する記録材料は、ジアゾニウ
ムスルフオン酸塩化合物、カツプリング剤、酸化
防止剤および必要に応じて高分子結着剤から成り
立つている。

本発明による熱現像ジアゾ型記録体の記録層を
プラスチツク基体上に形成させる方法は、プラス
チツク基体上に無機又は有機顔料の微粒子を均一
に分散結着する樹脂およびこの樹脂を溶解する有
機溶媒から成る塗液を塗工し、多孔質構造の溶液
浸透層を設けて成る該支持体の浸透層上に上記記
載の記録材料を含む塗液を塗工、浸透させること
によつて達成される。

本発明において剛度、引張り強度、寸法安定性
の良好なプラスチツク基体上に多孔質構造を有す
る溶液浸透層を形成する方法は詳しくは、塗膜強
度（サーマルヘツドへのカス付着、ステイキング
に関連）、基体との接着性、耐摩耗性および溶液
浸透性（記録特性に関連）に対して顕著な効果を
示す為には、無機の微粒子と樹脂の組成比および
微粒子の材料種、粒径、形状が大きな要因になつ
ている。最適な溶液浸透層を形成させる為には、
無機又は有機顔料の微粒子と樹脂の組成比は重量
比で１／３〜１／４の範囲であり該微粒子の粒径
および粒度分布は、粒径0.5〜5μの範囲で粒度分
布はできるだけ使い方が良い。これらの基本構成
によつて得られた浸透層の塗膜の厚さは10〜30μ
程度が適当である。

本発明による熱現像ジアゾ型記録体が記録媒体
として要求される諸特性及び発色感熱記録方式に
要求される特性をそれぞれ満足でき得た要因は、
保存安定性および発色感度に優れた記録層を有し
ていること、多孔質構造の溶液浸透層を設けるこ
とによつて多孔構造を有する浸透層内に記録画像
が形成されるため、耐性の優れた記録媒体を提供
することができ、したがつて、消しゴム等による
消字が不可能である等のためである。

本発明である熱現像ジアゾ型記録体の記録方法
は、熱源としてサーマルプリンターが用いられ、
定着（再加熱により印字部分以外が発色しない処
理）に使用する光エネルギーを発生する光源とし
ては水銀灯、タングステン灯、キセノンフラツシ
ユ、レーザ等が用いられる。又熱現像ジアゾ型記
録剤としてジアゾニウムスルフエート化合物を用
いる場合は感度を増すために光活性化する光源が
必要である。そのような光源としては400mm以上
の光を有するキセノンフラツシユ、タングステン
灯、水銀灯、アーク灯、ハロゲン灯が望ましい。
これ等の熱源および光源を用いて現像および定着
をおこなうことができる。

以下本発明に使用する材料についてそれぞれ詳
述する。本発明に使用する剛度、引張り強度、寸
法安定性の良好なプラスチツク、例えば、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル等の基体上に設ける多孔
質構造の溶液浸透層の材料は、例えば酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、炭酸鉛、酸化ケイ素、硫酸
バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、クレー等であ
る。一方、それを結着する高分子結着剤として
は、例えばポリエステル系、フエニル系、アルキ
ツド系、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン
系、変性セルロース系の樹脂およびそれらの混合
系樹脂、又、耐摩耗性をさらに増すために、ポリ
オール系を有するポリエステル系樹脂又はポリウ
レタン系樹脂と架橋剤としてイソシアネート基を
含む化合物からなる熱硬化性樹脂等も用いられ
る。

本発明に用いられるジアゾニウム化合物は各種
公知のものを使用することができる。例えば、パ
ラフエニレンジアミンＮ―Ｎ―置換化合物（４―
ジアゾ―Ｎ―Ｎ―ジエチルアニリンetc）、アミノ
ハイドロキノンエーテル系（４―ジアゾ―２―５
―ジブトオキシ―Ｎ―Ｎ―ジエチルアニリン、４
―ジアゾ―２―クロロ―５メトキシ―Ｎ―ベンゾ
イルアニリンetc）、アミノジフエニル、アミノジ
フエニルアミン及び類似化合物（４―ジアゾ―２
―５―4′―トリエトキシジフエニルアミン、
etc）、ヘテロサイクリツクアミンの誘導体（４―
ジアゾ―２―５―ジプトキシ―Ｎ―フエニルモル
フオリンetc）等である。以上述べたジアゾ化合
物は、硫酸塩または、塩酸塩として比較的安定な
ジアゾニウム塩として用いるか更に塩化亜鉛及び
三フツ化ホウ素等による複塩として、又は各ジア
ゾ化合物のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理して
得られるジアゾニウムスルフオン酸塩として用い
られる。

本発明に用いられる水不溶性の熱顕色剤は、例
えばドデシルアンモニウムトリクロロアセテー
ト、ヘキサデシルアンモニウムトリクロロアセテ
ート、オクタデシルアンモニウムトリクロロアセ
テート、ジオクチルアンモニウムトリクロロアセ
テート、Ｎ―メチル―Ｎ―ドデシルアンモニウム
トリクロロアセテート、Ｎ，Ｎ―ジメチル―Ｎ―
オクタデシルアンモニウムトリクロロアセテー
ト、ジ（オクタデシルアンモニウム）オキザレー
ト、ジ（オクタデシルアンモニウム）タータレー
ト、ジ（オクタデシルアンモニウム）ジグリコレ
ート、ジ（オクタデシルアンモニウム）マレイエ
ート、メラミンセバケート等である。

本発明に用いられるカプラーは通常乾式ジアゾ
に使用されているものであればいずれをも使用す
ることができる。例えば、レゾルミン、フロログ
ルシン、２，３―ジヒドロキシナフタレン―６―
スルホン酸ナトリウム、２―ヒドロキシナフタレ
ン―３，６―ジスルホン酸ナトリウム、１―（３
―アミノベンズアミド）―４―ナフトール、１―
（３―アミノベンズアミド）―７―ナフトール、
２，３―ジヒドロキシナフタレン、２，３―ジヒ
ドロキシ―６―スルフアニルナフタレン、１―カ
ルボキシ―２，３―ジヒドロキシナフタレン、
１，４―ジクロル―２，３―ジヒドロキシナフタ
レン、２，６―ジヒドロキシベンゾイツクアシ
ド、アセトアセトアニリド、２―ヒドロキシナフ
トエ酸。

本発明に用いられる酸安定剤は各種公知の不揮
発性の酸を用いることができる。例えば、クエン
酸、グルコン酸、酒石酸、蓚酸、スルフアミン
酸、硼酸、リン酸等である。また酸化防止剤とし
てチオ尿素等を用いることができる。

本発明に用いられる高分子結着剤は、記録材料
と支持体との接着性、塗布均一性、あるいは耐水
性等の改着のために用いられるものであり、用途
に応じて高分子結着剤を添加しなくても何等本発
明である記録体の特性をそこなうことはない。高
分子結着剤としては、ポリビニルアルコール、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル―アラビアゴム、ポリ酢酸ビニルエマルジヨ
ン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ
スチレン、ニトロセルロース、セルロースアセテ
ートブチレート重合体等をあげることができる。

以下、本発明の実施例を示す。なお各実施例中
「部」は「重量部」を意味する。

〔実施例 １〕 ポリエステルフイルム（厚さ200μ）上に粉末
シリカ２部、ポリウレタン樹脂４部、メチルエチ
ルケトン８部、トルエン２部からなる混合液を分
散器にて均一分散した塗液を＃36番線のワイヤー
バーにて塗布し、乾燥して多孔質構造のシリカ層
を形成した。その層の上にジ（オクタデシルアン
モニウム）オキザレート５ｇを水／エタノール
（９：１）混合溶媒100mlに分散した分散液を＃24
ワイヤーバーにて塗布、乾燥した。さらにその層
上にポリビニルブチラール５部、２，３―ジヒド
ロキシナフタレン２部、Ｐ―Ｎ，Ｎ―ジエチルア
ミノベンゼン、ジアゾニウムクロライド三フツ化
ホウ素複塩１部、酒石酸１部、チオ尿素１部およ
びエタノール100部から成る混合溶液を24番線の
ワイヤーバーにて塗布し、低温で乾燥して記録体
を作成した。この記録体を東芝(株)製サーマルプリ
ンターで印字条件は印加電圧15V、パルス巾２ｍ
secにて印字後キセノンフラシユーで全面露光に
したら鮮明な濃度の濃い青色の画像が得られた。
さらに未印字部分に熱をかけても青色の画像が形
成されず定着を施こされた結果を得た。また、サ
ーマルプリンターで印字後露光を施こさず、40
℃、相対湿度20％および40℃、相対湿度90％の所
に24時間放置後、キセノンフラツユで全面照射し
て、画像の変色、退色およびカブリ具合をみた
ら、上記条件下では画像の変色、退色、およびカ
ブリはみられなかつた。

以上のように発色感度および保存安定性の優れ
た記録体を提供することができた。さらに発色感
熱記録方式に要求される特性であるサーマルヘツ
ドへのカス付着、ステイキングについてはこの記
録体を300枚連続して印字してもそれらの現象は
みられず、良好の結果を得た。また、印字された
画像は50回砂けしゴムでこすつたが消字すること
はなかつた。

〔実施例 ２〕 白色ポリ塩化ビニル製シート（厚さ700μ）上
に炭酸カルシウム粉末８部、ポリエステル樹脂１
部、ニトロセルロース0.2部、メチルエチルケト
ン15部、トルエン15部から成る混合液をボールミ
ルにて一昼夜混練した塗液をロールコーター機に
て塗布し、乾燥して溶液浸透層を形成した。該浸
透層上に４―モルフオリノ−２，５−ジエトキシ
ベンゼンジアゾニウムスルフエート１部、２，６
―ジヒドロキシナフタリンベンゾイツクアシド２
部、チオ尿素１部、ポリビニルブチラール２部、
エタノール100部からなる塗液をロールコーター
液にて塗布、低温で乾燥して記録体を作成した。
この記録体をまず、キセノンフラツシユ（露光エ
ネルギー350J）にて、光活性化し、次に東芝(株)製
サーマルプリンター、（印字条件、印加電圧14V、
パルス巾３ｍＳ）にて印字後、キセノンフラツシ
ユ（露光エネルギー900J）で全面露光したら淡い
色をバツクに鮮明な青色画像が形成された。又、
サーマルプリンターで印字後キセノンフラシユー
にて全面露光を施こさず40℃相対湿度20％および
40℃相対湿度90％の所に24時間放置後キセノンフ
ラツシユで全面照射して、画像の変色、退色およ
びカブリ具合をみたら上記条件下では画像の変
色、退色およびカブリはみられなかつた。以上の
ように発色感度および保存安定性の優れた記録体
を提供することができた。さらに、発色感熱記録
方式に要求される特性でなるサーマルヘツドへの
カス付着、ステイツキングについてはこの記録体
を300枚連続して印字してもそれらの現象はみら
れず、良好の結果を得た。また、印字された画像
は50回秒消しゴムでこすつたが消字することはな
かつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツク基体上に無機の微粒子とそれを
   均一に分散結着せしめる樹脂よりなる多孔構造を
   有する溶液浸透層を形成し、該浸透層に熱現像ジ
   アゾ型記録剤を溶媒に溶解もしくは分散せしめた
   溶液を塗布、浸透させ乾燥し、該浸透層に記録層
   を形成して成る記録体。 ２ 熱現像ジアゾ型記録剤としてジアゾニウム複
   塩化合物、カツプリング剤、酸安定剤、酸化防止
   剤、水不溶性熱顕色剤および必要に応じて高分子
   結着剤を用いる特許請求範囲第１項記載の記録
   体。 ３ 熱現像ジアゾ型記録剤としてジアゾニウムス
   ルフオン酸塩化合物、カツプリング剤、酸化防止
   剤および必要に応じて高分子結着剤を用いる特許
   請求の範囲第１項記載の記録体。