JPH0254244B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トラツクの荷台に枠組みされたフレ
ームに防水シート等の覆を被せて成る幌の側部及
び後部の双方又はいずれか一方を開閉するための
トラツクの幌開閉機構に関する。

〔従来的背景〕

トラツクには、その荷台に積載する貨物を雨や
直射日光から保護するために上記の如き幌が一般
に装備されている。

ところで、このような従来一般の幌は、トラツ
クの荷台に枠組みされたアーチ状のフレームの上
から覆を被せて構成され、貨物の積み降ろし作業
に際しては手作業で荷台の後部側を閉塞する覆を
その下端側からロール状に巻き上げることによつ
て幌を開放することとしている。

然し、この方式によると、貨物の積み降ろし作
業に際して幌を手作業で開閉することとしている
から、その開閉作業だけでも多大な労力と時間を
要し、特に大型トラツクにあつては覆を巻き上げ
る作業を行うことすら非常に困難であつた。

また、フレーム全体が前記の如くアーチ状に形
成されているから、荷台の側部側から貨物の積み
降ろしを行うことができず、したがつて例えばフ
オークリフト等による積み降ろし作業ができない
から、専ら人力に頼るしかなく、積み降ろし作業
自体も非常に重労動で且つ時間を要するものとな
つていた。

〔従来技術とその問題点〕

このような事情に鑑み、従来技術として前記の
ようなアーチ状のフレームをトラツクの運転席方
向に折り畳んで移動させることによつて幌を全面
開放する自動開閉装置が提案されている（特開昭
57−182537号公報参照）。

然しながら、この方式によるとトラツクの荷台
の側部にフレームを案内摺動させるレール及びレ
ール取付柱等が横設されるために、荷台の側方ア
オリを開けてもこれらレール及びレール取付柱が
邪魔になつて貨物の積み降ろしに支障を来すと同
時に、幌の天部までも開放されるために雨天にお
ける積み降ろし作業では積載された貨物が雨濡れ
するという重大な欠点を有し、且つ伸縮するフレ
ームに貨物が挟まつて該フレームが破損しやすい
という欠点も有していた。

また、他の従来技術として、実開昭58−104723
号公報に記載されたように、トラツクの荷台に枠
組みされた固定フレームに、荷台の側部を覆う形
状のパイプ部材から成る側面枠を回動可能に取り
付け、該側面枠を上方に持ち上げて幌を開放する
ように成された幌開閉装置が提案されている。

然し、この方式によると、フオークリフト等に
よる貨物の積み降ろし作業も可能となり又雨天に
おける貨物の雨濡れの心配は解消されるものの、
荷台の側部を覆う大きさに形成された側面枠がそ
のまま幌の外側上方に向かつて回動せられて開閉
される構造になつているから、側面枠の上端から
下端に達する長さ分の非常に広い幌開閉スペース
を必要とし、家屋の密集する狭い路地等における
積み降ろし作業においては該側面枠の下端が障害
物に当たつて幌を解放することができないという
重大な欠陥を有していた。したがつて、この方式
を採用し得るのは、側面枠を手動によつて充分開
閉し得る程度の小型トラツクの幌に限定され、側
面枠が手動によつては開閉困難な程に大きい大型
貨物トラツクの幌には到底採用し得なかつた。

〔発明の目的〕

そこで本発明は、幌の天部を残してその側部及
び後部の双方又はいずれか一方を自動的に開閉す
ることができ、したがつてフオークリフト等を使
用して貨物の積み降ろし作業を容易に且つ迅速に
行うことができ、而も該作業を雨天で行う場合で
も積載された貨物を濡らすことがないことは勿論
のこと、幌開閉スペースを従来同型の幌に比較し
て大幅に低減させて、狭い路地等における大型貨
物トラツクの幌開閉を可能にするトラツクの幌開
閉機構を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

上記目的を達成するために、本発明は、トラツ
クの荷台に枠組みされたフレームに覆を被せて成
る幌の側部及び後部の双方又はいずれか一方に、
パイプ部材等で成形された枠体がその上端を前記
フレームに対して回動可能に取付支持され、該枠
体をその上に被せられた前記覆と共に持ち上げて
前記幌を開放するように成されたトラツクの幌開
閉機構において、前記枠体が折り畳み可能に連設
された上枠、中枠及び下枠と、両端が前記上枠及
び下枠に夫々回動可能に連結されて前記中枠と平
行リンクを形成する連結ロツドとから構成され、
前記上枠が上下に回動せられるように成されてい
ることを特徴とする。

〔発明の作用〕

本発明においては、折り畳み可能に連設された
上枠、中枠及び下枠と、両端が前記上枠及び下枠
に夫々回動可能に連結されて前記中枠と平行リン
クを形成する連結ロツドとから枠体が構成されて
いるから、該枠体全体が平行クランク機構に構成
され、したがつて前記上枠を上方に回動させる
と、該上枠に連設された中枠が垂直状態のまま上
方に持ち上げられ、またこれに伴つて該中枠に連
設された下枠の上部が連結ロツドによつて下方に
押し下げられて該下枠が中枠との連結部を支点と
して外方に折り畳まれながら上方に持ち上げら
れ、枠体全体がその上に被せられた覆と共に三つ
折された状態で持ち上げられて幌が開放される。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示す具体的な実施例に基
づいて説明する。

第１図は本発明による幌開閉機構を適用したト
ラツクの側面図、第２図はその荷台を後方から見
た図である。

図中、１はトラツクの荷台であつて、その床板
２の四方を囲繞するように鳥居３、側方アオリ
４，４及び後方アオリ５が夫々配設されると共
に、後部角隅部に一対のアオリ掛止用支柱６，６
が立設されている。

７は前記荷台１上に例えばＣチヤンネル鋼を枠
組みして成るフレームであつて、鳥居３の上部両
端に立設された支柱８，８と、アオリ掛止用支柱
６，６の上端に嵌合せられて立設された支柱９，
９と、各支柱８，９の上端から水平に突設された
突起１０，１０…に嵌合せられて支柱８及び８間
と支柱９及び９間に夫々水平に架設された横杆１
１及び１２と、支柱８及び９間に夫々水平に架設
された横杆１３，１３とから構成され、該横杆１
３及び１３の間には所要間隔でパイプ材から成る
天部支持部材１４，１４…が並設されている。

１５は側方アオリ４の上端と横杆１３との間に
形成される開口部を覆うように配設された枠体で
あつて、横杆１３に対して上下に回動可能に取付
支持された上枠１５Ｕと中枠１５Ｍ及び下枠１５
Ｄとが三つ折に折り畳み可能に上下三段に連設さ
れると共に、その両側部に両端が上枠１５Ｕと下
枠１５Ｄに回動可能に連結された連結ロツド１
６，１６が配設されて構成されている。

上枠１５Ｕ、中枠１５Ｍ及び下枠１５Ｄは、
夫々パイプ等の棒状部材や板状部材等によつて方
形に成形されると共に、例えばブシユパイプ１７
等によつて互いに回動可能に連結され、上枠１５
Ｕ及び下枠１５Ｄ間に連結される連結ロツド１
６，１６の長さが中枠１５Ｍの高さと略同一の長
さに選定されて、該連結ロツド１６，１６と中枠
１５Ｍとが平行リンクを形成するように成され、
したがつてこれら上枠１５Ｕ、中枠１５Ｍ、下枠
１５Ｄ及び連結ロツド１６とによつて平行クラン
ク機構が構成されている。

なお、上枠１５Ｕ及び中枠１５Ｍの高さは略同
一に選定され、下枠１５Ｄの高さは上枠１５Ｕ及
び中枠１５Ｍの高さと同一又はそれ以下に選定さ
れている。

そして、上記の如く構成されたフレーム７及び
枠体１５の上から防水シート等の覆１８を被せて
幌Ｈが形成されている。

幌Ｈは、その閉成状態において枠体１５の下枠
１５Ｄの下端部が側方アオリ４の上端部に対峙す
るように成されると共に、下枠１５Ｄの下端に沿
つて配設された係止板１９が側方アオリ４の上部
側面に外方から当接するように成されている。

側方アオリ４と当接する係止板１９の内側面に
は、ウレタンシート、ゴムシート等の緩衝材シー
ト２０が貼設されている。

また、上枠１５Ｕの両端部には、幌Ｈの閉成時
において連結ロツド１６，１６の上端を押さえて
固定する押え金具２１，２１が固設されている。

次に、２２は上枠１５Ｕを所要角度回動させて
覆１８が被せられた枠体１５を開閉するための開
閉駆動装置であつて、横杆１１の左右に夫々固設
されて運転席内等に配設された切換スイツチ（図
示せず）の操作により正逆切換回転せられる電動
モータ２３と、該電動モータ２３の回転軸２４に
固設された回動腕部材２５と、該回動腕部材２５
の先端と上枠１５Ｕの左端との間を連結する円弧
状の連結節２６とから構成され、その全体が鳥居
３の前面側及び後面側の上部に夫々貼設されたス
テンレス鋼板２７及びベニヤ板２８によつて隠蔽
された空間内に収納されている。

２９は鳥居３の上端に回動可能に取り付けられ
た圧縮ガス封入シリンダであつて、そのピストン
ロツド３０の先端が前記回動腕部材２５の先端に
連結されて、該ピストンロツド３０を伸長させる
方向即ち上枠１５Ｕを外側上方へ回動させる方向
へ付勢して枠体１５の重量を相殺することにより
枠体１６を開閉する際の衝撃を和らげ且つ電動モ
ータ２３の負担を軽減している。

以上が本発明による幌開閉機構の一例構成であ
り、次にその作用について第３図を伴つて説明す
る。

幌Ｈの閉成時においては、枠体１５を構成する
上枠１５Ｕ、中枠１５Ｍ及び下枠１５Ｄが、第３
図実線図示の如く垂直に連接された状態にあり、
連結ロツド１６，１６の上端部が上枠１５Ｕの両
端に固設された押え金具２１，２１によつて押さ
えられて、下枠１５Ｄの下端に配設された係止板
１９が側方アオリ４の上部側面に外方から押し当
てられている。したがつて、枠体１５に被せられ
た覆１８の下端部を係止板１９に保持させておけ
ば、従来のように覆の下端にゴムバンドの挿通孔
を穿設して該ゴムバンドを側方アオリ４のフツク
に引つ掛けて固定するなどの必要がない。

そして、幌Ｈを開放して貨物の積み降ろし作業
を行う場合には、運転席等に配設された切換スイ
ツチをオンして開閉駆動装置２２の電動モータ２
３を作動させ、該電動モータ２３を正回転させて
その回転軸２４に固着された回動腕部材２５を外
方に所要角度回動させる。

これにより、回動腕部材２５の先端に連結され
た上枠１５Ｕが横杆１３を支点として幌Ｈの外側
上方に回動せられ、これに伴つて第３図鎖線図示
の如く中枠１５Ｍが垂直状態を維持したままで上
方に持ち上げられると同時に、該中枠１５Ｍの下
端に回動可能に連設された下枠１５Ｄがその上部
を連結ロツド１６により下方に押し下げられて、
該下枠１５Ｄが中枠１５Ｍとの連結部を支点とし
て常に上枠１５Ｕと平行状態を維持しながら幌Ｈ
の外側上方に折り畳まれるように回動せられる。

そして、上枠１５Ｕが略180゜上方に回動せられ
て上枠１５Ｕ及び下枠１５Ｄが共に垂直状態にな
つて接近した時に開閉駆動装置２２の作動を停止
させる。これにより、枠体１５がその上に被せら
れた覆１８と共に三つ折の状態に折り畳まれて横
杆１３の上方に持ち上げられ、幌Ｈの側部全面が
完全に開放される。

その後、アオリ掛金具（図示せず）を掛け外し
て側方アオリ４を開けて荷台１の側部も開放す
る。

これにより、幌Ｈの側部側からフオークリフト
等を使用した貨物の積み降ろし作業を行うことが
でき、而も積荷の雨濡れも防止される。

また、幌Ｈの開閉に際しては、従来同型の幌に
比較して、幌Ｈの側方にの開閉スペースが中枠Ｍ
の高さに相当する長さ分だけ少なくて済み、また
幌Ｈの上方の開閉スペースが上枠１５Ｕの高さに
相当する長さ分で足りることとなり、したがつて
大型トラツクであつても狭い路地や倉庫、車庫内
等における貨物の積み降ろし作業が充分可能とな
る。

次に、貨物の積み降ろし作業が完了して幌Ｈを
閉成する場合には、まず側方アオリ４，４を立て
てこれをアオリ掛金具に掛止させた後、前記切換
スイツチを切換操作して開閉駆動装置２２の電動
モータ２３を逆回転させて回動腕部材２５を前記
と逆に回動させ、上枠１５Ｕを下方に向けて回動
させる。

これにより、枠体１５が圧縮ガス封入シリンダ
２９の緩衝作用を受けながら徐々に下降せられ、
上枠１５Ｕ、中枠１５Ｍ及び下枠１５Ｄが再び第
３図実線図示の如く垂直状態になるように連接せ
られて、下枠１５Ｄの下端に固設された係止板１
９が側方アオリ４の上部側面に当接された時に、
開閉駆動装置２２の電動モータ２３の作動を停止
させる。

以上のように、実施例によれば、折り畳み可能
に連設された上枠１５Ｕ、中枠１５Ｍ及び下枠１
５Ｄと、両端が前記上枠１５Ｕ及び下枠１５Ｄに
夫々回動可能に連結されて中枠１５Ｍと平行リン
クを形成する連結ロツド１６とから枠体１５が構
成されているから、これら上枠１５Ｕ、中枠１５
Ｍ、下枠１５Ｄ及び連結ロツド１６とによつて平
行クランク機構が構成され、したがつて横杆１３
に回動可能に取付支持された上枠１５Ｕを開閉駆
動装置２２によつて幌Ｈの外側上方に回動させる
と、該上枠１５Ｕに連設された中枠１５Ｍが垂直
状態を維持したまま上方に持ち上げられ、またこ
れに伴つて該中枠１５Ｍに連設された下枠１５Ｄ
の上部が連結ロツド１６により下方に押し下げら
れて該下枠１５Ｄが中枠１５Ｍとの連結部を支点
として外方に折り畳まれながら上枠１５Ｕと略平
行状態を保ちながら上方に持ち上げられ、枠体１
５全体がその上に被せられた覆１８と共に三つ折
された状態で持ち上げられて幌Ｈが開放される。

したがつて、中枠１５Ｍの相当する長さ分だけ
幌Ｈの側方の開閉スペースが低減されると同時
に、幌Ｈの上方の開閉スペースが上枠１５Ｕの高
さに相当する長さ分で足りるという効果がある。

また、幌Ｈを閉成する際には、下枠１５Ｄが中
枠１５Ｍとの連結部を支点として外方から内方に
向かつて回動しながら降下せられるから、該下枠
１５Ｄの下端に側方アオリ４の上部側面に当接す
る係止板１９を配設して、枠体１５をその上に被
せられる覆１８と共に側方アオリ４に当接した状
態で係止させることができ、したがつて覆１８の
下端部を係止板１９に保持させれば、従来のよう
に覆の下端をゴムバンド等によつて側方アオリの
フツクに掛止させる面倒な作業を不要とすること
ができるという利点がある。

また、このように係止板１９を配設すれば、本
発明を荷台が一般のトラツクよりも低く且つ側方
アオリを有しない低床フラツトデツキに形成され
たトラツクの幌に適用した場合に、該係止板１９
を直接荷台の側面に当接させて幌を閉成させるこ
とができるという利点がある。

更に、実施例の如く、鳥居３とアオリ掛止用支
柱６，６を有する標準仕様のトラツクの荷台１に
対して、フレーム７がその支柱８，８及び９，９
を夫々前記鳥居３の左右上端及びアオリ掛止用支
柱６，６上端に嵌合して載置固定されるように構
成すれば、フレーム７全体を非常に簡易な構造に
して軽量化することができると共に、既存のトラ
ツクに面倒な改造を施すことなく本発明による幌
開閉機構を極めて容易に装備させることができ、
装備費用も従来品よりも著しく低減することがで
きる。

なお、実施例においては、電動モータ２３を駆
動源とする開閉駆動装置２２によつて上枠１５Ｕ
を回動させる場合について説明したが、これに限
らず油圧シリンダ等の駆動源を使用して上枠１５
Ｕを回動させる場合であつても良い。

また上記実施例では、幌Ｈの側部を開放するよ
うにした場合について説明したが、本発明はこれ
に限らず、側部及び後部の双方を開放する場合
や、後部のみを開放する場合であつてもよい。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、幌の天部
を残してその側部等を自動的に開閉することがで
きるから、フオークリフト等を使用して貨物の積
み降ろし作業を容易に且つ迅速に行うことがで
き、而も積荷の雨濡れを防止することができるこ
とは勿論のこと、幌の開閉スペースが従来同型の
幌よりも大幅に低減されて狭い路地や倉庫、車庫
内等における大型貨物トラツクの積荷の積み降ろ
し作業も可能にするという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による幌開閉機構を適用したト
ラツクの側面図、第２図はその荷台を後方から見
た図、第３図は幌の開閉状態を示す説明図であ
る。 符号の説明、１……荷台、３……鳥居、４……
側方アオリ、５……後方アオリ、６……アオリ掛
止用支柱、７……フレーム、８……支柱、９……
支柱、１３……横杆、１５……枠体、１５Ｕ……
上枠、１５Ｍ……中枠、１５Ｄ……下枠、１６…
…連結ロツド、１８……覆、２２……開閉駆動装
置、２３……電動モータ、Ｈ……幌。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トラツクの荷台に枠組みされたフレームに覆
   を被せて成る幌の側部及び後部の双方又はいずれ
   か一方に、パイプ部材等で成形された枠体がその
   上端を前記フレームに対して回動可能に取付支持
   され、該枠体をその上に被せられた前記覆と共に
   持ち上げて前記幌を開放するように成されたトラ
   ツクの幌開閉機構において、前記枠体が折り畳み
   可能に連設された上枠、中枠及び下枠と、両端が
   前記上枠及び下枠に夫々回動可能に連結されて前
   記中枠と平行リンクを形成する連結ロツドとから
   構成され、前記上枠が上下に回動せられるように
   成されていることを特徴とするトラツクの幌開閉
   機構。 ２ 前記上枠及び中枠の高さが略同一に選定され
   ると共に、下枠の高さが前記上枠及び中枠の高さ
   と同一又はそれ以下に選定されている前記特許請
   求の範囲第１項記載のトラツクの幌開閉機構。