JPH025317Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、電気式膨脹弁を用いて冷凍サイクル
を構成する冷凍サイクル装置に係り、特に圧縮機
の起動時における電気式膨脹弁の制御構造の改良
に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

近時、冷凍サイクル装置にあつては、多様な信
号媒体にて冷凍サイクル制御を行うことができる
ものとして、電動式膨脹弁を用いて冷凍サイクル
を構成するものが開発された。

これは、凝縮器と蒸発器との間に電気式膨脹弁
を配してなるものであり、上記電気式膨脹弁の制
御は、蒸発器出口側あるいは圧縮機吸込側の冷媒
温度と、蒸発器入口側あるいはこの中間部との温
度差にもとづき制御部を介して行う、いわゆるス
ーパーヒート量による制御が採用されている。

ところで、冷凍サイクル運転開始時など圧縮機
の起動時においては、蒸発器で冷媒が充分に熱交
換せず、冷凍能力の損失があり、スーパーヒート
量が大となる。時間の経過とともに所定の冷凍能
力が発揮されるが、それまでの冷凍能力の損失は
できるだけ短時間にすることが望ましい。

従来、この要望を満足するものとして特開昭56
−44565号公報が提案された。これは、圧縮機起
動時に上記温度から変換した電気信号の差が所定
の値に達するまでは上記膨脹弁の弁開度を所定の
開度に保つ電気信号を出力することを特徴とす
る。このことにより、ある程度の冷凍能力損失を
防止できる。

しかしながら、冷凍サイクルの最適弁開度は、
冷媒圧力（高圧側、低圧側）等によつて決り、圧
縮機の起動時はこの圧力が過渡的に変化している
ので、膨脹弁の弁開度を一定にしておくと、かな
りの冷凍サイクル的ロスを生じる。

最適な制御を行うならば、高圧・低圧の冷媒温
度等をも検知して、それらの関数として膨脹弁の
開度を制御する必要がある。すると制御部の回路
が複雑となり、コスト高を招いてしまう。

〔考案の目的〕

本考案は上記事情に着目してなされたものであ
り、その目的とするところは、圧縮機の起動時に
膨脹弁を最適制御し、起動特性の向上と冷凍能力
の損失を最少限に押え得る冷凍サイクル装置を提
供しようとするものである。

〔考案の概要〕

本考案は、圧縮機の起動時、電気信号によつて
弁開度が調節可能な膨脹弁の開度を所定開度に設
定するとともに、蒸発器入口側あるいはこの中間
部に設けられた第１の温度センサと、蒸発器出口
側あるいは圧縮機吸込側に設けられた第２の温度
センサとの電気信号の差が所定値に達するまでの
間、膨脹弁の弁開度を所定時間毎に徐々に絞るよ
う制御する起動制御回路を備えた制御部を設けた
ものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面にもとづいて説
明する。第１図は本装置を概略的に示し、１は圧
縮機、２は凝縮器、３は電気式膨脹弁（以下、単
に膨脹弁と称す。）、４は蒸発器であり、これらは
冷媒管Ｐを介して冷凍サイクルを構成するように
連通される。上記蒸発器４の入口側冷媒管Ｐには
第１の温度センサ５が、かつ出口側には第２の温
度センサ６がそれぞれ取着される。これら第１，
第２の温度センサ５，６は冷媒管Ｐを介して冷媒
温度を検知し、電気信号に変換して出力するよう
になつている。またこれら第１，第２の温度セン
サ５，６は制御部７を構成する差温度検知回路７
ａの入力側に電気的に接続される。この制御部７
は、上記差温度検知回路７ａと、起動制御回路７
ｂおよび駆動制御回路７ｃとからなる。上記膨脹
弁３は駆動制御回路７ｃの出力側に電気的に接続
される。そして、駆動制御回路７ｃは起動時に、
起動制御回路７ｂによつて制御され、第１，第２
の温度センサ５，６のセンサ信号の差が所定値に
なつたら上記差温度検知回路７ａによつて制御さ
れるようになつている。

上記電気式膨脹弁３は、たとえば第２図に示す
構成である。すなわち、弁本体１０に流入口体１
１と流出口体１２とが接続されている。弁本体１
０内には、上記流入、流出口体１１，１２と連通
する弁ポート部１３が設けられているとともにこ
の弁ポート部１３を開閉する弁棒１４がベローズ
１５に突設される。さらにベローズ１５は、弁本
体１０の頭部に設けられたステツピングモータ１
６の出力軸１７と連結され、弁棒１４により弁ポ
ート部１３の開口面積を調節できるようになつて
いる。なお１８は弁棒１４を進退動作させるため
のねじ部である。

しかして、圧縮機１に通電してこれを起動し冷
凍サイクル運転を行うが、起動時は、制御部７を
構成する起動制御回路７ｂによつて駆動制御回路
７ｃが制御され、電気式膨脹弁３の開度が所定開
度に設定される。同時に第１，第２の温度センサ
５，６からの電気信号を差温度検知回路７ａが受
け、この電気信号の差が所定値に達する迄の間電
気式膨脹弁３は第４図に示すように所定時間毎に
段階的に弁開度が絞られるよう制御される。この
パターン信号は代表的な冷凍サイクル圧力条件の
最適条件から設定されるので、たとえ所定時間ｔ
に至る間に負荷の変動があつても最適条件に近い
制御となる。したがつて蒸発器４の出口側と入口
側との温度を検知する第２の温度センサ６と第１
の温度センサ５とがそれぞれ制御部７へ送る電気
信号に差によるスーパーヒート量が同図に示すよ
うに所定時間ｔに至る迄の間に設定値に到達す
る。同様に、冷凍能力の立上りが同図に示すよう
に速く、ロスが大幅に減少する。所定時間ｔの経
過後は、冷凍サイクルが安定するので電気式膨脹
弁３の弁開度が一定し、スーパーヒート量および
冷凍能力が安定する。

これに対して従来のように、圧縮機の起動時に
各温度センサの電気信号の差が所定値に達するま
で電気式膨脹弁の弁開度を所定の開度に保つ電気
信号を出力する場合は、第３図に示すようにな
る。すなわち、スーパーヒート量が設定値に到達
する迄の時間t_aが長く、またその間に至る迄に冷
凍能力の損失が大である。

なお上記実施例においては、第１の温度センサ
５を蒸発器４の入口側に設けたが、この中間部で
もよく、また第２の温度センサ６を蒸発器４の出
口側に設けたが、圧縮機１の吸込側に設けてもよ
い。

〔考案の効果〕

本考案は以上説明したように、圧縮機の起動時
に膨脹弁の開度を所定開度に設定するとともに第
１，第２の温度センサからの電気信号の差が所定
値に達するまでの間膨脹弁の弁開度を所定時間毎
に徐々に絞るよう制御する起動制御回路を制御部
に備えたから、ごく簡単な構成でコストに悪影響
を与えることなく、圧縮機の起動特性の向上化を
図り、冷凍能力の損失を最少限に押えサイクル効
率の向上を得るなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す冷凍サイクル
装置の構成図、第２図は電気式膨脹弁の縦断面
図、第３図は従来例の各種特性図、第４図は一実
施例の各種特性図である。 ３…（電気式）膨脹弁、４…蒸発器、５…第１
の温度センサ、６…第２の温度センサ、７…制御
部、７ｂ…起動制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電気信号によつてその弁開度が調節可能な膨脹
   弁と、蒸発器入口あるいはこの中間部に設けられ
   冷媒温度を電気信号に変換する第１の温度センサ
   と、蒸発器出口側あるいは圧縮機吸込側に設けら
   れ冷媒温度を電気信号に変換する第２の温度セン
   サと、上記第１の温度センサと第２の温度センサ
   の電気信号の差に応じて上記膨脹弁に対して電気
   信号を出力する制御部を備えた冷凍サイクル装置
   において、上記制御部に圧縮機の起動時、上記膨
   脹弁の開度を所定開度に設定すると共に、上記両
   センサからの電気信号の差が所定値に達するまで
   の間、上記膨脹弁の弁開度を所定時間毎徐々に絞
   るよう制御する起動制御回路を備えたことを特徴
   とする冷凍サイクル装置。