JPH0252574B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、鋳造金型、鍛造金型等の予熱に利用
する金型加熱装置に関する。

（従来技術） 鋳造金型や鍛造金型等は、一般に使用に先立つ
て予熱が行われ、例えば鋳造金型においては、塗
型前に低温予熱（約250℃）が、また鋳込み前に
本予熱（約400℃）が行われる。

従来、かゝる予熱を行うには、多数のノズルを
設けたパイプバーナーを用い、大気中において金
型の被加熱面（型彫面）に直接火焔を吹き付ける
ようにしていた。

しかしながら、上記直火方式による場合、複雑
形状の被加熱面を一様に加熱することが困難で、
局部加熱や加熱不足等の加熱ムラを生じることが
往々にしてあり、また大気中での加熱であるた
め、加熱効率が悪くて予熱に長時間を要し、エネ
ルギー損失も大きいという問題があつた。さら
に、パイプバーナーは、金型の被加熱面形状に略
倣つて比較的大型に形成されるため、点火に苦労
して不安全作業とならざるを得ず、また周辺への
放熱、騒音発生等により周辺の作業環境が悪化す
るという問題も内在していた。

（発明の目的） 本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされ
たもので、被加熱面の温度分布の均一化と加熱効
率の向上とを実現し、さらに取扱いの容易性と安
全性を高めた金型加熱装置を提供することを目的
とする。

（発明の構成） そして、この目的は、少なくとも金型の型彫面
に対応する開口面積を有し、前記型彫面を対向さ
せた上、下金型間に介装され、該上、下金型と協
働して燃焼室を画成する本体を備え、該本体の一
側部に単一バーナーを取付ると共に、該単一バー
ナーに臨んで前記本体に燃焼筒を内装し、さらに
前記本体に排気手段を付設して、火焔を前記燃焼
室内にほゞ一様に拡散させるようにした金型加熱
装置によつて達成される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。

第１図と第２図において、１は枠体状の本体
で、該本体１の内面には、例えばセラミツクフア
イバーから成る断熱ライニング２が張設されてい
る。本体１には、また四隅に支柱３，３…が付設
されると共に、一側部に穿設した孔に口金４が付
設されている。そして、前記口金には自動点火装
置５を内蔵する単一バーナー６が取付られるもの
となり、該単一バーナー６には図示を略したホー
スを介して燃焼ガスが給送され、点火装置５で点
火された火焔が本体１内に噴射されるようにな
る。

また、本体１内には、前記単一バーナー６に臨
んで燃焼筒７が配設されている。燃焼筒７は、ス
テンレス鋼等の耐熱材料から成るもので、上下を
開放した異形の外郭８と、該外郭８内に上下一対
に配設された複数の整流板９ａ，９ｂ，９ｃと、
該外郭８の側壁に穿設された複数の孔１０ａ，１
０ｂ，１０ｃと、該孔１０ａ，１０ｂ，１０ｃの
下流に位置して前記外郭８の側壁内・外部に突設
された案内板１１ａ，１１ｂを備えている。これ
により、単一バーナー６から本体１内に噴射され
た火焔は、整流板９ａ，９ｂ，９ｃや案内板１１
ａ，１１ｂによつて適宜整流されて、外郭８の上
下方向並びに側方へほゞ一様に噴射されるように
なる。

さらに、本体１には複数の排気筒１２ａ，１２
ｂが付設されている。この排気筒１２ａ，１２ｂ
は、その適宜個所に外部操作可能なダンパー１３
を具備しており、該ダンパー１３の操作により排
気量を調整できるようになつている。

なお、１４は前記燃焼筒７を本体１に固定する
ための支持部材である。また本体１には図示を略
した給気孔が設けられる他、通常は燃焼ガスが確
実に点火したかどうかを検知するための火焔検知
器が付設される。

しかして、本加熱装置２０は、上金型１５と下
金型１６の外形寸法に倣つてその大きさが設定さ
れており、したがつて、本体１を下金型１６上に
載置し、さらに支柱３を利用して該本体１上に上
金型１５を載置すると、それらの内部には燃焼室
１７が画成されることとなる。

かゝる構成により、いま、第３図にも示すよう
に、被加熱面１５′，１６′を対向させた上、下金
型１５，１６間に本加熱装置２０を介装し、単一
バーナー６に燃焼ガスを給送して点火装置５で点
火すると、火焔は、先ず燃焼筒７内に入つて、該
燃焼筒７を加熱し、続いて、整流板９ａ，９ｂ，
９ｃや案内板１１ａ，１１ｂに案内されて燃焼筒
７の全域から燃焼室１７内に一様に拡散して上、
下金型１５，１６の被加熱面１５′，１６′を加熱
し、その后廃ガスとなつて排気筒１２ａ，１２ｂ
から外界へと排出される。この間、点火状態が火
焔検知器で検知されると共に、一様な火焔状態を
得るように、ダンパー１３の操作により、燃焼室
１７内の圧力が調整されるものとなる。

第４図は、本加熱装置２０による金型の昇温特
性を、従来のパイプバーナー方式による結果と比
較して示したものである。第４図において、横軸
は加熱開始からの経過時間を、縦軸は金型の表面
温度を表わしており、これより、本加熱装置２０
による場合、曲線Ａで示すように、本予熱温度
380℃まで到達する時間が平均して１時間（Ｈ）
で、その時のバラツキが約＋40℃，−30℃である
のに対し、従来のパイプバーナー方式による場
合、曲線Ｂで示すように、本予熱温度380℃まで
到達する時間が平均1.6時間で、その時のバラツ
キが約＋70℃，−80℃となつており、本加熱装置
２０の加熱効率の大きいこと並びに均一加熱性に
優れていることが確認できる。これは、金型１
５，１６の被加熱面１５′，１６′に対して火焔輻
射伝熱と強制対流伝熱とが並行的に進行し、かつ
燃焼筒７の存在により火焔が燃焼室１７内に一様
に拡散した結果によるものである。

なお、本加熱装置２０は、例えば第５図に示す
ように、鋳造機３０にセツトされた上金型１５と
下金型１６とに対して、その保温に利用すること
も可能で、この場合には、鋳造機３０に別途支持
装置３１を付設し、この支持装置３０に本加熱装
置２０を支持せしめるようにする。

また、例えば第６図に示すように、本体１にガ
イド３２を取付けて、本加熱装置２０を上、下金
型１５，１６間に介装する際の位置決め並びに一
体化の用に供することができる。

さらに、上記実施例では、単一バーナー６を一
本設けたが、これに限定されず、金型の大きさに
よつては二本以上設けても良い。

（発明の効果） 以上、詳細に説明したように、本発明にかゝる
金型加熱装置は、断熱ライニングを張設した本体
に、単一バーナーを取付けると共に、該単一バー
ナーに臨んで燃焼筒を内装し、前記本体を上、下
金型間に介装させることにより、該金型と協働し
て燃焼室を画成するようにしたもので、これによ
り、火焔が前記燃焼室内にほゞ一様に拡散するよ
うになつて被加熱面の温度分布の均一化に大きく
寄与することが可能になり、また、火焔輻射伝熱
と強制対流伝熱との共存により加熱効率が向上し
て省エネルギーが達成されるという大きな効果が
得られるようになつた。

また、本加熱装置は構造簡単で取扱いが容易で
あり、さらには点火の容易さや外部への断熱、断
火焔効果により安全性が高いものとなるばかり
か、周りの環境が良好となり、全体として、予熱
作業の改善に大なる効果を奏するものとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかゝる金型加熱装置の構造を
示す平面図、第２図は同様の側断面図、第３図は
本加熱装置の使用態様を示す斜視図、第４図は本
加熱装置による金型の昇温特性を、従来のパイプ
バーナー方式による結果と比較して示す相関図、
第５図は本加熱装置の他の使用態様を示す模式
図、第６図は本発明の他の実施例である金型加熱
装置の要部構造を示す斜視図である。 １……本体、２……断熱ライニング、６……単
一バーナー、７……燃焼筒、１２ａ，１２ｂ……
排気筒、１３……ダンパー、１５……上金型、１
６……下金型、１５′，１６′……被加熱面、１７
……燃焼室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 少なくとも金型の型彫面に対応する開口面積
   を有し、前記型彫面を対向させた上、下金型間に
   介装され、該上、下金型と協働して燃焼室を画成
   する、内面に断熱材を張設して成る枠体状の本体
   と、該本体の一側部に取付られた単一バーナー
   と、該単一バーナーに臨んで前記本体に内装さ
   れ、火炎を前記焼燃室内にほゞ一様に拡散させる
   燃焼筒と、前記本体に付設された排気手段とを備
   えたことを特徴とする金型加熱装置。