JPH0251832B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はシート状の長尺フイルムを巻きかえす
ワインデイング方法及び装置に関する。さらに詳
しくはある一定の張力以上で堅く巻かれたコイル
状フイルムを、その相隣るフイルムの表裏の間隔
がないか、あつてもごくわずかである状態から、
相隣るフイルムの表裏の間隔を数μ以上あけた状
態にゆるくソフトに巻きかえす方法及び装置に関
する。

シート状の長尺フイルムはロール状に巻かれた
状態で保持されるのが普通である。このような形
状にフイルムを巻くためにはフイルムの長手方向
に張力をかけて巻きとることが必要である。この
場合、巻きとられたロール状のフイルムの中心方
向に応力が発生し、フイルムを相互に圧しつける
ことになりフイルム相互の横方向のすべりを押え
るため、ロール状フイルムの形状が崩れることを
防止している。しかしながら、ある特別の場合と
してコイル状に巻かれたロール状のフイルムを、
フイルムの表裏が相互に接触しないような状態で
保持したい場合がある。このような場合の一例と
してフイルム上に無機物または／および有機物の
薄膜を形成したのちこれらの積層体を熱処理する
ような場合がある。このときロール状のフイルム
を熱処理するためにフイルムの表面と裏面が接触
したまま高温雰囲気下に保持した場合、フイルム
上に積層された薄膜上を高温の雰囲気が移動せ
ず、また供給されないため所期の熱処理効果たと
えば重合，硬化その他の化学反応が十分進行せ
ず、たとえ進行したとしても時間がかゝつたり、
巾方向・長さ方向でむらができるなどの欠陥があ
つた。さらにときにはフイルムの表裏が接着する
ブロツキング現象をひき起したりした。

これらの問題はフイルムとフイルムの間をあけ
てフイルムの表裏が互いに接触しないようにロー
ル状に巻くことができれば解決できるが、現在ま
でにこのような形状にフイルムを巻きとる方法及
び装置は知られていない。

本発明はフイルムの表裏が互いに接触しないよ
うに長尺のシート状のフイルムを連続的にロール
状に巻きとるには、所望の間隙を与えるべくフイ
ルムにガイドを設けて巻けば良いことに基づいて
達成されたものである。

即ち、本発明は １ ロール状に巻かれた厚さ50〜180μmの長尺フ
イルムを巻きほぐして、別の軸に隣り合うフイル
ムに間〓を設けて巻き取る方法であつて、巻き出
し側からフイルムを連続的に巻き出しながら、略
水平に設けられた回転支持体の方向に移送し、巻
き取りフイルムの半径が増加する方向に連続的に
移動するフイルムガイドを介して鉛直な中心軸の
周りにコイル状に巻かれたフイルムの隣り合うも
のの間〓が平均的に25μm以上であるように巻き
取ることを特徴とするソフトワインデイング法で
あり、また ２ ロールフイルム支持機能、該ロールフイルム
支持機能から巻きほぐされたフイルムを所定の方
向に送付するフイルム送付機能、該フイルム送付
機能から送付されたフイルムをガイドするフイル
ムガイドおよび該フイルムガイドによりガイドさ
れながら鉛直な中心軸の周りに巻かれるフイルム
を支持するフイルム支持機能を具備し、該フイル
ム支持機能はフイルムを上方に支持するところの
ほぼ水平な面を有する回転支持体を有し、前記フ
イルムガイドは、前記中心軸に近い側における該
フイルムガイドとフイルムとの接触限界点がフイ
ルム巻き量に対応しながら前記中心軸から遠ざか
る方向に相対的移動することを特徴とするソフト
ワイデイング装置である。

本発明装置においてロールフイルム支持機能
は、ロールの芯孔に挿入するような棒上突起を有
するもの、或いは逆にロール芯棒を挿入すること
ができる孔を有するもの等により達成することが
可能である。

またフイルム送付機能は、従来から種々用いら
れているものが利用できるが、例えばサクシヨン
ベルトやサクシヨンロールを用いるもの、或いは
ニツプロール等を用いたりして達成することがで
きる。

フイルムガイドは、簡単な棒でも達成できる
し、ロール状のものでもよい。更には、前記フイ
ルム送付機能でフイルムガイドを兼用することも
可能である。このフイルムガイドは後述するフイ
ルム支持機能を有する回転支持体上に間隙を設け
てフイルムを巻かせるために、フイルムの巻き量
に応じて、回転支持体に対して相対的移動を行な
えることが必要である。この相対的移動は回転支
持体の中心軸に近い側におけるフイルムガイドと
フイルムとの接触面端部、すなわち本発明にいう
接触限界点自体を移動させてもよいし、或いは当
該接触限界点は固定しておいてフイルム支持機能
側を移動させることによつても良い。要は、両者
が相対的に移動できればよいのである。

フイルム支持機能は、前述の如くフイルムを支
持するところのほぼ水平な面を有する回転支持体
を有しているのであるが、最も簡便には、回転円
板を用いることにより達成できる。

本願発明方法は上記説明した如き装置を用いて
達成されるが、より具体的には、フイルム送付速
度Ｖ（cm／min）、例えば回転円板の中心軸に近い
側におけるフイルムガイドとフイルムとの接触限
界点の移動速度（半径方向成分）υ（cm／min）
及び、例えば回転円板の回転中心から上記接触限
界点までの距離Ｒ（cm）との間に、次式のごとき
関係が満たされる必要がある。

Ｖ≧2πRω， ω≦υ／Ｄ 但しＤ＝（ｔ＋ｄ）×10^-4（cm） ω：フイルム支持台の回転速度（rpm） ｔ：フイルムの厚さ（μm） dl：フイルム間隙（μm） しかして通常はＤ，Ｖを一定にして、ωとυを
コントロールするのが容易である。

かかる条件下で本発明方法を行うことにより、
平均的に隣り合うフイルムの間隙を25μm以上に
設定することができる。

本発明で“平均的”とは、フイルムがすべての
領域に亘つて全く接触せず、完全に離れているこ
とは必ずしも必要でないことを意味している。実
質的に面積的及び操作的に無視しえる程度の微少
な接触は差しつかえないことを示しているのであ
る。

以下、図面を参照しながら本発明について更に
詳述する。

第１図は本発明によるソフトワインダー装置の
一例であり、第２図は本ワインダー装置の動作を
示す図である。ロールフイルム支持機能を有する
巻出軸１によつて鉛直に保持されたロール状のフ
イルムはターンロール２の方向に巻き出される。
３はサクシヨンベルトであり、フイルムをその表
面にあけられた細孔から吸引、保持し別のターン
ロール５の方向に移送する。ターンロール５まで
移送されたフイルムはこの位置でサクシヨンベル
ト３から離れるが、サクシヨンベルト３はサクシ
ヨンボツクス４のうしろを通つてターンロール２
の方向に戻る。サクシヨンボツクス４はサクシヨ
ンベルト３に接し、サクシヨンベルト３に接する
側の表面には巾１mmの溝が３cmの間隔できざまれ
ている。サクシヨンボツクス４は吸引装置とつな
がつており、この溝を通して外部の空気を吸引す
る。サクシヨンベルト３には巾２cmの間隔で基板
目に直径２mmの孔があけられている。サクシヨン
ベルト３はサクシヨンボツクス４上をすべりなが
ら移動するが、サクシヨンベルトの細孔とサクシ
ヨンボツクスの溝の位置が一致したときサクシヨ
ンベルト３に接したフイルムはサクシヨンベルト
３にこの孔を通して吸引される。サクシヨンベル
ト３の移動はターンロール２および／またはター
ンロール５を駆動することによつて行われる。タ
ーンロール５を通過したフイルムは、表面にフイ
ルム吸引のために細孔のあいた中空のサクシヨン
ロール６の方向に移動する。サクシヨンロール６
はサクシヨンベルト３によつて保持，移送された
フイルムを引き出し、かつ巻取フイルムのフイル
ム間隔を決めるフイルムガイドを兼ねる。サクシ
ヨンロール６は時間的に後述する巻取軸７から遠
ざかる方向、すなわち巻取りフイルムの半径が増
加する方向に連続的に移動する。この移動速度は
巻取フイルムの表裏が必要とする間隔を保つよう
に電気的に制御する。

すなわちターンロール２，５，サクシヨンベル
ト３，サクシヨンボツクス４，サクシヨンロール
６はフイルム送付機能を形成する。

回転支持体８は、回転支持体８と同時に回転す
る巻取軸（中心軸）７と共にフイルム支持機能を
形成する回転速度ωはフイルムの移動速度υに同
期しており巻取軸７の中心とサクシヨンロール６
とフイルムの巻取軸７に近い側における接触限界
点までの距離Ｒの間にはRω＝υの関係がある。

このようにしてサクシヨンロール６から送り出
されたフイルム速度と送り出される位置での回転
支持体８の速度が一致しているためフイルムには
長さ方向の張力がかゝらず自然な状態で順次巻取
軸７の方向に送り出される。さらにフイルムが送
り出されるにつれてフイルムの送り出し位置、即
ちサクシヨンロール６の位置は徐々に半径が増加
する方向に移動するためこの速度を制御すること
によりコイル状に巻かれたフイルムの間隔も任意
に制御できる。回転支持体８上に軸を鉛直方向に
してフイルム間隔をあけたままコイル状にソフト
に巻きとられたフイルムは回転支持体８の上にこ
の形状を保持したまま本ソフトワインダー装置か
らとりはずされ熱処理することができる。

本装置のフイルムの移動方向を逆にすればソフ
トに巻きとられたフイルムをフイルム間隔がない
か、あつてもごくわずかであるような状態に張力
をかけて巻きとれることは自明である。

巻出軸１はフイルムが巻き出されるにつれてフ
イルムを支持するボビンと共に回転するが、この
軸は自由な状態であつても、適当にブレーキがか
かつた状態であつてもどちらでもよい。またフイ
ルムの送り速度と同期して巻出軸１が回転するよ
うに駆動してもよい。

サクシヨンベルト３の材質は輪状にできれば何
であつてもさしつかえなく、たとえば布，プラス
チツクフイルム，ゴム，金属薄板などがある。こ
のベルト３はフイルムと接触するため、フイルム
表面の傷の発生を防止するため、その表面はでき
るだけ滑かな方が好ましい。本実施例ではロー引
きした麻布のベルトを使用した。ベルト３にあけ
られた細孔の形状密度は任意であり、サクシヨン
ボツクス４の溝を通してフイルムを吸引・保持で
きればよい。サクシヨンボツクス４の溝とサクシ
ヨンベルト３の細孔が一致しないときはフイルム
は吸引されないが、吸引の間隔が１秒以内程度で
あれば実用上さしつかえない。又サクシヨンボツ
クス４の溝およびサクシヨンベルト３の細孔の形
状密度を適当に配置することにより全体として連
続吸引も可能である。本実施例では２mmの孔を巾
20mmの間隔で碁板目状にあけた。この場合吸引は
間欠的に行われるがフイルムの送り速度を上げれ
ばほとんど連続的といつてもさしつかえない。

サクシヨンベルト３はターンロール２または１
および５によつて駆動される。ターンロール２，
５の回転によりサクシヨンベルト３はサクシヨン
ボツクス４に接して移動し、ターンロール２，５
を通つて移動し無限に回転する。したがつてター
ンロール２，５とサクシヨンベルト３は互に滑ら
ない材質を選ぶ必要があるが、通常はサクシヨン
ベルト３の張力を強くしておけば十分である。タ
ーンロール２または／および５の平行度がよくな
い場合にはサクシヨンベルト３の回転とともにサ
クシヨンベルト３が上方または下方にずれてくる
がこれらを防止するための機構をつけることもで
きる。

サクシヨンロール６はサクシヨンベルト３より
送り出されてきたフイルムをロール半径の位置に
案内する働きをする。フイルムは理想的には移動
方向，その逆方向のいずれにも張力がかからない
状態が望ましい。したがつてサクシヨンロール６
の周速度はフイルムの速度と一致させておくこと
が必要である。実施例のサクシヨンロール６は中
空であり、サクシヨンロール６の上方からサクシ
ヨンロール６上にあけられた細孔を通してフイル
ムを吸引する。吸引力が強すぎるとフイルムがサ
クシヨンロール６に巻きつき、巻取軸７の方向に
フイルムを送り出さなくなる。従つて吸引力はフ
イルムがサクシヨンロール６にどうにか吸引され
る最低でよい。

送り出されたフイルムは巻取軸７の回りにコイ
ル状に連続的に巻きとられるが、巻取軸７にはボ
ビンを設置しておくことが望ましい。ボビンは巻
き始めのフイルムの位置を決めるとともにコイル
状に巻かれたフイルムが倒れることを防止する役
割も果す。

サクシヨンロール６の位置及び回転支持体８の
回転速度はフイルムの送り速度，フイルム巻き始
めの位置（フイルムの内径），フイルムの厚さ，
フイルムの間隔，巻き取つたフイルムの長さなど
を、たとえば、マイクロコンピユーターなどで演
算し、本装置の制御回路に連結して決める。サク
シヨンロール６より送り出されたフイルムは巻取
軸７と同時に回転する回転支持体８上に置かれ
る。回転支持体８は平面であつてもよく、またフ
イルムの間隔に対応して、レコード盤のように溝
が堀つてあればなお好ましい。

ロール状に巻きとられたフイルムは本ソフトワ
インダー装置より回転支持体８の上に乗つた状態
で回転支持体８と共にはずされ熱処理等の処理加
工がなされる。逆に本ソフトワインダー装置を逆
転させることによりソフトに巻かれたフイルムを
通常の状態にかたく巻くことができる。但しこの
場合は巻出軸１が巻取側になるわけであるが、こ
の軸はフイルムと同速度で駆動する必要がある。

本発明者はかかる機能を有するソフトワインダ
ー装置を製作し500mm巾×50〜180μm厚×500m長
さのポリエステルフイルムに適用して所期の目的
を達成した。

【図面の簡単な説明】

第１図はソフトワインダー装置の概略図であ
る。１は巻出軸、２，５はターンロール、３はサ
クシヨンベルト、４はサクシヨンボツクス、６は
サクシヨンロール（フイルムガイド）、７は巻取
軸、８は回転支持体である。 第２図は実際にフイルムを用いて実施する態様
を示す。９はフイルムであり、図中矢印はフイル
ムの送行方向である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ロール状に巻かれた厚さ50〜180μmの長尺フ
   イルムを巻きほぐして、別の軸に隣り合うフイル
   ムに間〓を設けて巻き取る方法であつて、巻き出
   し側からフイルムを連続的に巻き出しながら、略
   水平に設けられた回転支持体の方向に移送し、巻
   き取りフイルムの半径が増加する方向に連続的に
   移動するフイルムガイドを介して鉛直な中心軸の
   周りにコイル状に巻かれたフイルムの隣り合うも
   のの間〓が平均的に25μm以上であるように巻き
   取ることを特徴とするソフトワインデイング法。 ２ ロールフイルム支持機能、該ロールフイルム
   支持機能から巻きほぐされたフイルムを所定の方
   向に送付するフイルム送付機能、該フイルム送付
   機能から送付されたフイルムをガイドするフイル
   ムガイドおよび該フイルムガイドによりガイドさ
   れながら鉛直な中心軸の周りに巻かれるフイルム
   を支持するフイルム支持機能を具備し、該フイル
   ム支持機能はフイルムを上方に支持するところの
   ほぼ水平な面を有する回転支持体を有し、前記フ
   イルムガイドは、前記中心軸に近い側における該
   フイルムガイドとフイルムとの接触限界点がフイ
   ルム巻き量に対応しながら前記中心軸から遠ざか
   る方向に相対的移動することを特徴とするソフト
   ワイデイング装置。