JPH0249821B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は溶解用容器内で溶解した溶融金属を鋳
型に流し込んで鋳造を行う鋳造方法およびその装
置に関するものである。 〔従来の技術〕 鋳造装置例えば竪形ダイカストマシンの射出装
置は、半割円筒状に形成されて金型キヤビテイの
下方に嵌着され金型とともに開閉する固定スリー
ブと、型締された固定スリーブの下端に着脱自在
に接合される射出スリーブと、この射出スリーブ
に上下動自在に嵌合されて油圧で上下動する射出
プランジヤを有し射出スリーブとともに一体とな
つて直立、傾動ないしは直立のまゝ水平移動する
射出シリンダとを備えている。このような射出装
置において、固定スリーブから離脱して射出シリ
ンダとともに傾動等を行つた射出スリーブへは、
溶解炉内の溶湯が自動給湯装置または手動のとり
べによつて供給され、注湯を終わつた射出スリー
ブは、射出シリンダとともに移動して固定スリー
ブに接合されたのち、油圧で射出プランジヤを上
昇させることにより、射出スリーブ内の溶湯が固
定スリーブを経て金型のキヤビテイ内へ射出され
る。 また、ダイカストのみでなく、鋳型へ溶湯を流
し込む通常の鋳造方法においても、溶解炉内にビ
レツトを入れてこれを溶解保持し、この溶湯を鋳
型内へ注入している。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしながら、このような従来の鋳造方法にお
いては、大量のビレツトを溶解炉内で大気に曝し
て溶解保持するために、溶解時に発生するガスや
溶湯表面にできる酸化物を巻き込んだり、環境か
らの不純物が混入したりするという問題があつ
た。また、自動給湯装置による注湯量のばらつき
や注湯時におけるガスの巻込み等が発生し易く、
鋳造品の品質を低下させる原因となつていた。さ
らに大きな溶解炉と自動給湯装置ならびに特殊な
定量射出装置が必要となつて設備費や炉の保全費
が嵩むばかりでなく、装置の占有スペースが増す
という問題があつた。 〔問題点を解決するための手段〕 このような問題点を解決するために本発明で
は、被溶融物の溶融温度よりも低温に保たれ上部
が開口してる射出スリーブ内に、一回の鋳込量に
相当するビレツトを入れ、このビレツトを中心軸
線の上方から与えられた熱源によりそれ自身の内
部から溶融させた後、この溶融を鋳型内に射出す
る鋳造方法を採り、またその装置として、上記射
出スリーブとプランジヤーを、金型に対向する射
出位置とビレツト溶解位置との間で移動可能に設
けるとともに、前記ビレツト溶解位置にある射出
スリーブの中心軸線上方に、スリーブ内のビレツ
トをその内部上側より順次溶解する熱源を設け
た。 〔作用〕 射出スリーブ内に一回の鋳込量に相当するビレ
ツトを入れ、このビレツトを中心軸線の上方から
の熱源によりそれ自身の内部から溶融させ、この
溶湯を鋳型内に射出する。 〔実施例〕 第１図は本発明に係る鋳造方法を説明するため
に示す本発明に係る鋳造装置を適用した竪型ダイ
カストマシンの縦断面図である。図において、ダ
イカストマシン１は４隅をタイロツド２で連結さ
れた上下一対の固定盤（上部の固定盤は図示せ
ず）を備えており、タイロツド２には、可動盤４
が４隅を嵌合させて上下動自在に支持されてい
る。固定盤３と可動盤４とには固定金型５と可動
金型６とが装着されており、両金型５，６には、
キヤビテイ７が分割面８を境にして形成されてい
る。可動盤４には、上部固定盤に固定された型締
シリンダのピストンロツド９が固定されており、
油圧によつてピストンロツドを進退させることに
より金型５，６の型締、型開が行われるように構
成されている。１０は円筒状に形成されて固定盤
３に嵌着された固定スリーブであつて、フランジ
部を固定金型５に係入させており、その内孔はキ
ヤビテイ７に連通されている。 一方、固定盤３の下方に位置して固定盤側に固
定されたフレーム１１上には、モータ１２と軸受
１３とが並列して固定されており、軸受１３に
は、両端部にスリーブ台１４がガイド１５を介し
て昇降自在に支持された回転台１６が回動自在に
支持されている。そして、モータ１２のモータ軸
に軸着されたピニオン１７と、回転台１６に固定
されたギア１８とが噛合つており、モータ１２を
回転させることにより、回転台１６が180゜ずつ交
互に正逆方向に回動して両側のスリーブ台１４
が、交互に固定スリーブ１０の真下位置を占める
ように構成されている。さらに固定スリーブ１０
の真下位置には、これと同心状の射出シリンダ１
９が固定盤３側のフレーム２０に支持されて配設
されており、その油圧で進退するピストンロツド
の作用端には、コ字状に形成されたカツプリング
２１が固定されている。２２は円筒状に形成され
て両側の各スリーブ台１４の中心孔にそれぞれ嵌
着された一対の射出スリーブであつて、固定スリ
ーブ１０とほゞ同径の内孔を有しており、この内
孔には、射出プランジヤー２３の頭部であるプラ
ンジヤー２３の頭部であるプランジヤチツプ２４
が摺動自在に嵌合されている。射出プランジヤー
２３下端の鍔部２３ａは、プランジヤー２３が下
降限まで下降した状態で射出スリーブ２２が射出
シリンダ１９と同心位置へ周回してきたときに、
カツプリング２１と係合するように構成されてい
る。また、固定盤３の下面には、シフトシリンダ
２５が装着されていてそのピストンロツド２６の
作用端にはシフタ２７が固定されており、鍔部２
３ａがカツプリング２１と係合したときにシフタ
２７の溝前記スリーブ台１４とが係合してピスト
ンロツド２６の進退により射出スリーブ２２が昇
降するように構成されている。射出スリーブ２２
は図示の位置が下降限位置であつて、この状態か
ら上昇することにより固定スリーブ１０と内孔を
連通されて接合される。 このような射出スリーブ２２には、これが固定
スリーブ１０の真下位置から180゜周回した外部位
置にあるときに、例えば第２図ａ，ｂに概略正面
図と概略平面図とをそれぞれ示すようなビレツト
供給装置の一例として示すやつとこ状に形成され
た開閉自在なビレツト挾み２８ａにより１回の鋳
込量に相当する大きさのビレツト２８が供給され
る。ビレツト２８が供給される射出スリーブ２２
の真上位置には、ビレツト２８を内部から加熱し
て溶融させる装置の一例として示す電源に接続さ
れた電子銃２９が配設しており、電子ビーム３０
を発生させてビレツト２８を比較的短時間で溶解
するように構成されている。なお、本実施例にお
いては電子ビーム３０の走査径路と射出スリーブ
２２の溶湯注入開口部とが、真空チヤンバ３１に
よつて気密に覆われており、例えば1000Torrの
真空度下において電子ビーム３０の走査が行われ
るように構成されている。また、電子銃２９の位
置は、偏向レンズ等を用いれば必ずしも射出スリ
ーブ２２の真上位置でなくともよく、偏向範囲内
で自由に選定できる。 さらに射出スリーブ２２の外周には、上下一対
のインダクシヨンヒータまたは電気抵抗のヒータ
３２，３３が装着されており、このうち上部のヒ
ータ３２はビレツト２８が加熱溶融されたのち、
その溶融状態で保持するように高温に設定されて
いるが、下部のヒータ３３およびプランジヤチツ
プ２４は、ビレツト２８の溶融温度よりも低温に
設定されている。すなわち射出開始位置にある被
射出物の下端部外面に接する部分の部材の温度で
あるプランジヤチツプ２４の上面とビレツト２８
の下面とが接する部分の外周部にある射出スリー
ブ２２の温度、および、またはプランジヤチツプ
２４の温度を、被射出物の溶融温度よりも低く保
ち得るようにしておく。こうすることにより、外
部位置において電子ビーム３０でビレツト２８を
内部から溶融させ、電子銃２９を上昇させたの
ち、射出スリーブ２２を固定スリーブ１０の真下
位置へ移動させてヒータ３２，３３による加熱を
続けると、ビレツト２８は溶融して溶湯３４とな
つているが、このときヒータ３３とプランジヤチ
ツプ２４とが低温であることにより、電子ビーム
３０による内部からの溶融と相まつて射出スリー
ブ２２の内壁下部とプランジヤチツプ２４の上端
面に接する箇所には、例えば0.1〜１mm厚の有底
円筒状の凝固層３５が形成される。この凝固層３
５の生成によつて射出スリーブ２２とプランジヤ
チツプとの間の狭いすき間へ溶湯３４が入り込む
ことがない。 以上のように構成されたダイカストマシンによ
る鋳造方法を説明する。外部位置にある射出スリ
ーブ２２の内部へ、１回の鋳込量に相当する大き
さのビレツト２８を、例えばビレツト挾み２８ａ
で供給してヒータ３２，３３で外部から加熱する
とともに、真空チヤンバ３１内を例えば
1000Torrの真空度にし、溶融状態に合わせて自
動的に出力を変更できる電子ビーム３０を電子銃
２９によつて発生させ、ビレツト２８を素早く溶
解して射出スリーブ２２内に保持する。この場合
ビレツト２８は内部から溶融され、下部外周と底
部とを薄く残して溶解する。ないしは、ビレツト
２８の下部外周と底部もいつたん溶解されるが、
その瞬間に電子ビーム３０の作用を停止すれば、
外周が溶融温度より低温であることにより、溶湯
３４の下部外周と底部には薄い凝固層３５が形成
される。そこでヒータ３２，３３による加熱を続
けたまゝ電子ビーム３０の走査を停止したのち、
モータ１２を正回転させると、回転台１６が180゜
回転し射出スリーブ２２が固定スリーブ１０の真
下位置にきて射出プランジヤー２３の鍔部２３ａ
がカツプリング２１と係合するので、シフトシリ
ンダ１９のピストンロツド２６を油圧で上昇させ
ると、シフタ２７と係合するスリーブ台１４がガ
イド１５に沿つて上昇し、射出スリーブ２２が固
定スリーブ１０に圧着、接合される。このときに
はビレツト２８は内部から溶融されて溶湯３４と
なつているが、ビレツト２８を内部から溶融した
こととヒータ３３およびプランジヤチツプ２４を
低温に設定したことにより、射出スリーブ２２の
内壁下部とプランジヤチツプ２４の上端面とに接
する箇所には凝固層３５状のものが形成される。
一般に射出スリーブ２２の内周径とプランジヤチ
ツプ２４の外周径との間には片側0.05mm程度の差
があるが、凝固層３５が形成されていることによ
り、溶湯３４がこのすき間から洩れることがな
い。そこで射出シリンダ１９のピストンロツドを
前進させると、カツプリング２１と係合するプラ
ンジヤー２３が上昇し、溶湯３４はプランジヤ２
４で押上げられてキヤビテイ７内へ射出される。
キヤビテイ７内の溶湯３４が固化するのを待つて
可動金型６を開き、製品を取出す。また射出プラ
ンジヤー２３と射出スリーブ２２とは図示の位置
へ下降させておく。 このように一方の射出スリーブ２２内の溶湯３
４を射出している間、他方の射出スリーブが外側
で停止しているので、この射出スリーブ２２に次
のビレツト２８を供給して電子ビーム３０による
内部からの溶湯とヒータ３２，３３による加熱を
行つておくと、一方の射出スリーブ２２からの射
出が終わつたときに他方の射出スリーブ２２内に
溶湯３４が準備されているので、回転台１６を逆
方向へ180゜回動させて直ちに次の射出を開始する
ことができる。 ここで射出スリーブ２２内での電子ビーム３０
によるビレツト２８の溶解実験結果を下記の表に
基づいて説明する。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば、上部が開口してる射出スリーブ内に一回の
鋳込量に相当するビレツトを入れ、このビレツト
を中心軸線の上方から与えられた熱源によりそれ
自身の内部から溶融させた後、この溶湯を鋳型内
に射出する鋳造方法を採り、またその装置とし
て、上記射出スリーブとプランジヤチツプを、金
型に対向する射出位置とビレツト溶解位置との間
で移動可能に設けるとともに、前記ビレツト溶解
位置にある射出スリーブの中心軸線上方に、スリ
ーブ内のビレツトをその内部上側より順次溶解す
る熱源を設けた。したがつて、金属の溶解保持炉
や自動給湯装置などを除くことができ、これらに
よる溶湯中への酸化物やガス等の巻込みがなくな
るとともに、ビレツトの溶融によりこのような不
純物の巻込まれない溶湯を瞬時に造ることができ
るので、高品質の鋳造製品、特にダイカスト製品
を効率よく生産することができる。また溶解炉や
自動給湯装置を必要とせず、設備費が大幅に節減
されるばかりでなく、ビレツトの容積を一定にす
ることが容易であることによつて毎回定量の溶湯
を射出することができ、鋳込製品の品質が向上か
つ安定するとともに、生産性が向上しエネルギ効
率も高くなる。さらに重要なことは、被溶融物の
溶融温度よりも低温に保たれた射出スリーブ内に
入れたビレツトを、上方から与えられた熱源によ
りそれ自身の内部から溶融させるものであるか
ら、射出スリーブの内孔下部に凝固層が形成され
るので、溶湯の漏れやプランジヤチツプのかじり
がなくなるばかりか、プランジヤチツプ・射出ス
リーブ間からのエアの混入もなくなり高品質の製
品が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本発明に係る鋳造方法を
説明するために示す本発明に係る鋳造装置を示
し、第１図はこれを適用した竪型ダイカストマシ
ンの縦断面図、第２図ａ，ｂはそれぞれビレツト
供給装置の一例を示す概略正面図と概略平面図、
第３図は電子ビームの焦点距離等の説明図、第４
図および第５図はそれぞれ本発明に係る鋳造方法
を説明するために示す本発明に係る鋳造装置を適
用した竪型ダイカストマシンの他の実施例の縦断
面図第６図は第５図に示す実施例における射出ス
リーブの斜視図である。 １……ダイカストマシン、５……固定金型、６
……可動金型、１９……射出シリンダ、２３……
プランジヤー、２８……ビレツト、２８ａ……ビ
レツト挾み、２９……電子銃、３０……電子ビー
ム、３１……真空チヤンバ、３４……溶湯、４１
……電子ビーム溶解装置、４２……溶解治具、４
３……ヒータ、４４……予熱装置、４５……予熱
容器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被溶融物の溶融温度よりも低温に保たれ上部
   が開口してる射出スリーブ２２内に、一回の鋳込
   量に相当するビレツト２８を入れ、このビレツト
   を中心軸線の上方から与えられた熱源２９，４２
   によりそれ自身の内部から溶融させた後、この溶
   湯３４を鋳型内に射出することを特徴とする鋳造
   方法。 ２ 被溶融物の溶融温度よりも低温に保たれ上部
   が開口してる竪型の射出スリーブ２２とプランジ
   ヤー２３を、金型５に対向する射出位置とビレツ
   ト溶解位置との間で移動可能に設けるとともに、
   前記ビレツト溶解位置にある射出スリーブ２２の
   中心軸線上方に、射出スリーブ内のビレツト２８
   をその内部上側より順次溶解する熱源２９，４２
   を設けたことを特徴とする鋳造装置。