JPH0249277Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はタワークレーン等のジブクレーンにお
いて起伏させない固定式のストラツトまたは補ジ
ブを定位置に保持するためのバツクストツプ装置
に関するものである。

（従来技術） タワークレーン等のジブクレーンには、第３図
に示す補ジブ可動（起伏）式と、第４図に示す補
ジブ固定（非起伏）式の２通りがある。両図にお
いて、Ａはベースマシン、Ｂは主ジブ、C₁は該
主ジブＢの頂部に起伏可能に設けられた可動補ジ
ブ、C₂は主ジブＢの前部に起伏不能に設けられ
た固定補ジブで、補ジブ可動式の場合は、補ジブ
C₁の起伏にしたがつて起伏回動しながら同補ジ
ブC₁を支持する可動フロントストラツトD₁と、
起伏不能な固定リヤストラツトD₂とが主ジブ頂
部に設けられ、かつこの固定リヤストラツトD₂
を定位置に保持するためのストラツトバツクスト
ラツプＥが、該ストラツトD₂と主ジブ頂部の背
面との間に架設される。一方、補ジブ固定式の場
合は、主ジブ頂部に単一の固定ストラツトD₃が
設けられ、かつこのストラツトD₃を定位置に保
持するためのストラツトバツクストツプＦが該ス
トラツトD₃と主ジブＢとの間に、また固定補ジ
ブC₂を定位置に保持するための補ジブバツクス
トツプＧが補ジブC₂とストラツトD₃との間にそ
れぞれ設けられる。従来、これらバツクストツプ
Ｅ，Ｆ，Ｇにおいて、つぎのような問題点があつ
た。

すなわち、クレーン組立時において、固定スト
ラツトD₂，D₃および固定補ジブC₂はいずれも組
立の都合上、水平に倒伏された主ジブＢに対して
ある角度範囲で起伏動作するため、バツクストツ
プＥ，Ｆ，Ｇは、このストラツトD₂，D₃および
補ジブC₂の角度変化に合わせて長さ可変とする
必要がある。また、補ジブ可動式の場合は、加え
て主ジブ長さに応じてストラツトバツクストツプ
Ｅの長さを変更する必要もある。そこで従来、バ
ツクストツプＥ，Ｆ，Ｇを、小径パイプと大径パ
イプをテレスコープ状に嵌合させてなる伸縮自在
な２重構造としている。そして、ストラツトD₂，
D₃またはジブC₂の組立状態でこのバツクストツ
プＥ，Ｆ，Ｇを所定の長さ状態に保持する手段と
して、小径パイプに半割リング状のスペーサを嵌
装させるか、小径パイプに予めコイルスプリング
を装着しておくようにしている。

しかし、上記スペーサ方式は、スペーサの取付
けが面倒でクレーン組立作業の能率が悪い上に、
バツクストツプ長さが主ジブ長さによつて変化す
る補ジブ可動式クレーンの場合、数種類のスペー
サを使い分けなければならない等の欠点があつ
た。また、コイルバネ方式の場合は、クレーン作
業時にスプリング反力を作用させるためには、組
立時にその反力以上の力でセツトしなければなら
ないため、上記スペーサ方式以上に組立作業が面
倒となる。

（考案の目的） そこで本考案は、上記従来バツクストツプの場
合のような組立上の面倒な操作が不要で、組立作
業を容易化することができるジブクレーンの固定
ストラツトまたは固定補ジブ用バツクストツプ装
置を提供せんとするものである。

（考案の構成） 本考案の特徴とするところは、主ジブの頂部に
可動補ジブまたは固定補ジブと、該補ジブを支持
する固定ストラツトとを備えたジブクレーンにお
いて、上記固定ストラツトと主ジブとの間、また
は上記固定補ジブと固定ストラツトとの間に取付
けられたバツクストツプシリンダと、該シリンダ
に作用する軸方向荷重による同シリンダの内圧変
化に応じて油を自動的に吸排させる油吸排回路と
から成り、この油吸排回路は、バツクストツプシ
リンダの近傍部に設置された油タンクと、該油タ
ンクとバツクストツプシリンダの伸び側室および
縮み側室とを接続する伸び側および縮み側管路
と、シリンダ伸び側室の最高圧力を設定するリリ
ーフ弁と、油タンクからシリンダ伸び側室に向か
う油の流れを許容しその逆の流れは阻止するチエ
ツク弁と、必要に応じ該チエツク弁をバイパスし
てシリンダ伸び側室の油を油タンクに逃がすため
のコツクとを具備してなるジブクレーンの固定ス
トラツトまたは固定補ジブ用バツクストツプ装
置、に存する。

（実施例） 以下の実施例では、適用対象として、第３図に
示す補ジブ可動式のジブクレーンにおける固定ス
トラツトD₂用のバツクストツプ装置を例に取つ
ている。

第１図において、１はバツクストツプ本体とし
てのバツクストツプシリンダ（以下、単にシリン
ダと記す）で、従来のバツクストツプ同様、スト
ラツトD₂と主ジブＢの頂部背面との間に取付け
ている。なお、図では該シリンダ１のヘツド側を
主ジブＢに、ロツド側をストラツトD₂に取付け
ているが、これとは逆に、ヘツド側をストラツト
D₂に、ロツド側を主ジブＢに取付けてもよい。

第２図にこのシリンダ１に対する油吸排回路を
示している。同図において、２は油タンクで、該
タンク２は第１図に示すようにシリンダ近傍部た
る主ジブ頂部に設置している。３は油タンク２と
シリンダ１の伸び側室１１とを接続する伸び側管
路、４は同タンク２とシリンダ縮み側室１２とを
接続する縮み側管路で、伸び側管路３に、シリン
ダ伸び側室１１の最高圧力（リリーフ圧）を設定
するリリーフ弁５を設けている。また、伸び側お
よび縮み側両管路３，４間にチエツク弁６を設
け、シリンダ伸び側室１１の圧力がリリーフ圧以
下の状態下で、タンク２から該伸び側室１１に向
かう油の流れのみを許容し、その逆の、伸び側室
１１からタンク２への油の流れは阻止するように
構成している。７は油逃がし用のコツクで、チエ
ツク弁６と並列に設け、ストラツトD₂の組立時
に該コツク７を開いて、シリンダ１内の油を自由
に、油タンク２に逃がしうるようにしている。

上記構成において、ストラツト組立時にはコツ
ク７を開いてシリンダ１内の油圧を解除した状態
とする。こうすれば、ストラツトD₂と、第３図
に示すストラツトガイラインＨの接続等のために
ストラツトD₂を起伏操作する場合に、シリンダ
１を無抵抗で自由に伸縮させることができる。

組立終了後、コツク７を閉じ、主ジブＢを起立
させ、かつ第３図に示す補ジブ巻上用ワイヤロー
プを巻いて補ジブC₁を所望の角度にセツトす
ると、補ジブ重量により可動ストラツトD₁を介
して固定ストラツトD₂に第１図矢印方向の引つ
張り力が作用する。この引つ張り力により、シリ
ンダ１が伸長されて、伸び側室１１が負圧となる
ため、油タンク２内の油が管路４、チエツク弁
６、管路３を介して該伸び側室１１に吸入され
る。この油の自吸作用は、ストラツトガイライン
Ｈの伸びの範囲内でシリンダ１が伸長される間行
なわれ、ストラツトガイラインＨが所定の張力状
態となつて、シリンダ伸び側室１１の圧力がリリ
ーフ圧に達すると、該伸び側室１１の油が一部タ
ンク２に戻される。このリリーフ作用により、シ
リンダ１およびその吸排回路、それにストラツト
ガイラインＨの過負荷が防止される。

こうして、バツクストツプ本体たるシリンダ１
が、本来の固定ストラツトD₂のバツクストツプ
機能をはたすに必要な長さ状態に自動的にセツト
され、この状態でシリンダ伸び側室１１内の油圧
によつてストラツトD₂が支持される。

なお、組立時におけるストラツトD₂の角度調
整は、通常、別クレーンによつて行なわれるが、
本装置の活用法として、第２図点線で示すよう
に、油タンク２とシリンダ伸び側室１１との間
に、ハンドポンプ８１とコツク８２を備えたハン
ドポンプ回路８を設け、組立時に該ハンドポンプ
回路８によつてストラツト角度を調整することが
できる。

ところで、本考案を第４図に示す補ジブ固定式
のジブクレーンにおける固定ストラツト用バツク
ストツプ装置に適用する場合には、バツクストツ
プシリンダ１は上記同様、ストラツトD₃と主ジ
ブ頂部との間（第４図のバツクストツプＦの位
置）に設ければよいし、固定補ジブ用として適用
する場合には同シリンダ１を固定補ジブC₂とス
トラツトD₃との間（第４図のバツクストツプＧ
の位置）に設ければよい。また、油タンク２は、
通常、上記のように主ジブ頂部に設置するが、ス
トラツトD₂またはD₃、もしくは固定補ジブC₂に
設置することも可能である。

（考案の効果） 以上述べたように本考案によるときは、バツク
ストツプシリンダが自動的に所定長さ状態にセツ
トされ、保持されるため、従来のバツクストツプ
のようなスペーサの取付けやコイルバネに抗して
のセツトといつた面倒な操作が一切不要となり、
組立作業を格段に容易化することができる。ま
た、油圧シリンダを使用しながらも、自動吸排構
成をとつているため、油圧ポンプおよび該ポンプ
からバツクストツプシリンダまでのブーム全長に
亘る配管が不要となり、装置が簡単、小形そして
低コストですむ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す側面図、第２図
は同バツクストツプシリンダの油吸排回路の構成
図、第３図イは補ジブ可動式のジブクレーンの一
般的構成を示す側面図、ロは同クレーンの組立段
階を示す部分側面図、第４図は補ジブ固定式のジ
ブクレーンの一般的構成を示す側面図である。 Ｂ……主ジブ、C₁……可動補ジブ、C₂……固
定補ジブ、D₂，D₃……固定ストラツト、１……
バツクストツプシリンダ、１１……同シリンダの
伸び側室、１２……同縮み側室、２……油タン
ク、３……シリンダ伸び側管路、４……同縮み側
管路、５……リリーフ弁、６……チエツク弁、７
……コツク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主ジブの頂部に可動補ジブまたは固定補ジブ
   と、該補ジブを支持する固定ストラツトとを備え
   たジブクレーンにおいて、上記固定ストラツトと
   主ジブとの間、または上記固定補ジブと固定スト
   ラツトとの間に取付けられたバツクストツプシリ
   ンダと、該シリンダに作用する軸方向荷重による
   同シリンダの内圧変化に応じて油を自動的に吸排
   させる油吸排回路とから成り、この油吸排回路
   は、バツクストツプシリンダの近傍部に設置され
   た油タンクと、該油タンクとバツクストツプシリ
   ンダの伸び側室および縮み側室とを接続する伸び
   側および縮み側管路と、シリンダ伸び側室の最高
   圧力を設定するリリーフ弁と、油タンクからシリ
   ンダ伸び側室に向かう油の流れを許容しその逆の
   流れは阻止するチエツク弁と、必要に応じ該チエ
   ツク弁をバイパスしてシリンダ伸び側室の油を油
   タンクに逃がすためのコツクとを具備してなるこ
   とを特徴とするジブクレーンの固定ストラツトま
   たは固定補ジブ用バツクストツプ装置。