JPH0249259B2 - Ketsushokagarasutosonoseizohoho - Google Patents
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- JPH0249259B2 JPH0249259B2 JP20284784A JP20284784A JPH0249259B2 JP H0249259 B2 JPH0249259 B2 JP H0249259B2 JP 20284784 A JP20284784 A JP 20284784A JP 20284784 A JP20284784 A JP 20284784A JP H0249259 B2 JPH0249259 B2 JP H0249259B2
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Landscapes
- Glass Melting And Manufacturing (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Description
〔発明の技術分野〕
本発明は結晶化ガラスとその製造方法に関し、
より詳細には極めて高い靱性を有する結晶化ガラ
スとその製造方法に関する。 〔従来技術〕 従来、ガラスは原料を高温に加熱して一旦溶融
体とし、これを冷却して製造されていたので、強
固な共有結合によつて構成される均質な三次元網
目構造を有している。 従つて常温では流動的あるいは塑性的な変化を
起さず、ガラスに力を加えていくと、弾性限界内
で破壊してしまう。 そして、かかるガラスの脆性破壊はガラスの脆
さを意味し、ガラスの一大特徴ではあるが、機械
的性質の観点からすれば大きな欠点でもある。 それ故、ガラスは、その透明性や電気的絶縁性
などの性質を活かして窓ガラス、光学レンズや電
気部品等の分野で使用されているが、一方、前記
のように強度が小さく、脆性破壊を起し、更に破
壊強度に再現性が乏しいので、応力がかかる機械
部品として使用されることはなかつた。 そこで、ガラスの強度を向上させたり、脆さを
改善するために、ガラスの結晶化、表面改質、水
和、あるいは複合化等いくつかの方法が提案され
ている。 まず、ガラスの結晶化は、一旦製造したガラス
を加熱処理して機械的強度の高い結晶を析出させ
る方法である。 例えば、ガラスの溶融時に結晶核となるような
金属あるいは金属酸化物を添加してガラスを製造
し、このガラスを熱処理して結晶化させる。 かかる操作でガラス中に石英やスポジユウメン
結晶を析出させると、元のガラスよりもより高強
度な結晶化ガラスが得られる。 また、ガラスの表面改質としては、例えばガラ
スの表面に圧縮応力を付与する方法があり、ガラ
スの強度を増加させることができる。 以上の方法は、ガラスの強度増加方法として有
効であり、広く採用されている。 しかしながら、これらの方法によつて、ガラス
の強度は増加するものの、破壊の様式はガラスの
それと同じであり、ガラスの脆さを改善するには
至つていない。 そこで、ガラスの脆さを改善するために、ガラ
スをオートクレーブで処理して水和ガラスを製造
する方法が提案されている。 この方法は、オートクレーブを用いてガラス内
に水を入れ、ガラスの共有結合をイオン結合に、
あるいは三次元網目構造から二次元鎖状構造に変
えてガラスにいくらかの塑性変化要素を付与せん
とするものである。 この方法で製造されたガラスは、塑性変形が僅
かに認められるものの、ガラスの強度そのものが
著しく低下し、かつガラスの耐久性も失われ、根
本的な解決法とはならない。 また、金属粉との複合化によつて、ガラスの脆
さをある程度、改善する方法もあるが、金属とガ
ラスの融和性が悪く、複合化の際に割れたりする
ので、期待するほど靱性を向上させることができ
ない。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、上記従来の欠点を改善し、高
い靱性を有する結晶化ガラスとその製造方法を提
供することにある。 〔発明の構成〕 上記目的を達成する本発明の結晶化ガラスは、
少なくともZrO2とSiO2とからなり、前記ZrO2が
47〜89重量%であると共に、正方晶ZrO2を含む
ことを特徴とするものである。 また、本発明の結晶化ガラスの製造方法は、少
なくともZrとSiのアルコキシドを加水分解し、ゲ
ル化して固化体を製造し、この固化体を加熱しガ
ラス化してZrO2とSiO2とからなるガラスを製造
し、このガラスを更に900〜1300℃に加熱して正
方晶のZrO2結晶を析出させることを特徴とする
ものである。 本発明の結晶化ガラスを製造するための原料と
しては、少なくともZrアルコキシドとSiアルコキ
シドが用いられ、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4、Si
(OCH3)4、Si(OC2H5)4などを挙げることができ
る。 これらのアルコキシドは一般に金属アルコキシ
ドと呼ばれているものである。 本発明においては、かかるZrおよびSiアルコキ
シドにCa、Mg、Yなどの金属アルコキシドを添
加することもできる。 ZrおよびSiアルコキシドにおけるZrアルコキ
シドの量は、本発明の結晶化ガラスにおける
ZrO2の量が47〜89重量%になるような範囲で選
択される。 ZrO2が89重量%を越えると、均質なガラスが
得られず、加水分解時にZrアルコキシドが急速
に加水分解され、試料全体が微粉末化してしまつ
て透明なガラスが得られない。 また、47重量%に満たないと、靱性が向上しな
い。 本発明の結晶化ガラスを製造するにあたつて
は、まずSiアルコキシドを部分的に加水分解した
後にZrアルコキシドおよび他の金属アルコキシ
ドを加えて均一な金属アルコキシドの複合化合物
を製造する。 この複合化合物を更に加水分解して、ガラス構
造を形成すると共に、ゲル化させて固化体を製造
する。 加水分解およびゲル化は、通常では前記金属ア
ルコキシドの複合化合物に水を加え、撹拌するこ
とによつて行われる。 加水分解反応の進行につれて、ゲル化が起り、
水やアルコールが揮発して多孔性固化体が得られ
る。 この固化体を加熱していくと、細孔が消滅し、
孔のないガラスになる。 このガラス化のための加熱温度は、一般に800
〜1000℃である。 本発明においては、次いでこのガラスを結晶化
させるために加熱し、正方晶のZrO2結晶を析出
させると、ガラス中に正方晶のZrO2結晶を含む
結晶化ガラスが得られる。 正方晶ZrO2結晶が析出し始める温度は、ガラ
ス中のZrO2含有量に依存するが、通常は850〜
1100℃である。 そしてガラスの靱性を向上させるためには、粒
子径のできるだけ大きい正方晶ZrO2を、できる
だけ多く析出させることが望ましく、本発明にお
いては正方晶ZrO2を析出させるためのガラスの
熱処理温度は、900〜1300℃の範囲である。 加熱温度が900℃よりも低いと、析出する結晶
量が少なくなり、本発明の目的とする靱性の高い
結晶性ガラスを得ることができない。 また、加熱温度が1300℃を越えると、単斜晶
ZrO2が析出するので、靱性が高められることが
なく、またしばしば、ひびが入つて目的とする結
晶化ガラスにならなくなる。 一方、熱処理時間は、熱処理温度に依存し、高
温ほど短い時間で良い。 以上のような操作の結果、微細な正方晶の
ZrO2が析出した結晶化ガラスになり、靱性の高
い結晶化ガラスが得られる。 〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明の結晶化ガラスは
ZrO2を47〜89重量%含有し、少なくともZrおよ
びSiアルコキシドを加水分解してゲル化、ガラス
化し、得られたガラスを900〜1300℃で熱処理し
て製造することができる。 得られたガラスは、熱処理によつて析出した正
方晶ZrO2を含有するので、靱性が大きく、既存
ガラスの最大の欠点である脆さがないので、応力
がかかる機械部品の材料として使用することがで
きる。 また本発明のガラスは、溶液を原料とするため
に、従来のガラス製造のように、原料を高温に加
熱して一旦、溶融体とする必要がなく、ゲルを加
熱するだけで良いので、ガラス製造時における省
エネルギー化をはかることもできる。 以下、本発明の実施例を述べる。 〔実施例〕 実施例 1 Si(OC2H5)491mlを、0.15M/の塩酸水溶液
8mlとC2H5OH17mlとの混合溶液に、撹拌しなが
ら室温で徐徐に滴下した。 全てのSi(OC2H5)4を加えた後、更に約1時間
撹拌を続け、次いでZr(OC3H7)4278mlを徐徐に
加え、更に室温で10時間撹拌した。 この溶液を、ポリスチレン、テトラフルオルエ
チレン等の容器に移して放置すると、更に加水分
解が進行すると共に、余分の水分やアルコールが
揮発して固化体が得られた。 この固化体を850℃に加熱してガラスとし、更
に炉内で引続き1100℃で10時間加熱して結晶化ガ
ラスを製造した。 得られた結晶化ガラスの組成は、ZrO275重量
%、SiO225重量%であつた。 また、この結晶化ガラスの析出結晶は、正方晶
ZrO2のみであつた。 この結晶化ガラスについて、靱性値をマイクロ
インデンテーシヨン(microindentation)法によ
り評価した。即ち、ビツカース硬度計を用いて試
料表面にヒツカース圧痕と、その圧痕の4方向に
ひびを入れ、それぞれの長さを測定して次式から
靱性値(K、MN/M3/2)を求めた。 K=0.055H√(l/a)-1/2 ここで、H、aおよびlは、それぞれ硬度、圧
痕の長さの半分、圧痕から伸びたひびの長さを表
す。 測定の結果、この結晶化ガラスの靱性値は4.9
であつた。 比較例 1 実施例1の組成において、結晶化のための熱処
理をしていないガラス、即ちゲル固化体を、850
℃で加熱しただけのガラスについて、その靱性値
を測定したところ、1.5であつた。 比較例 2 従来の、原料を溶融して製造したガラスや、結
晶核によつてガラスを結晶化させたいくつかのガ
ラスについて、それぞれ靱性値Kを測定した。結
果を下記表1に示す。 表 1 従来のガラスの種類 K (1) パイレツクスガラス 1.31 (2) 石英ガラス 1.20 (3) ホウ珪酸塩ガラス 1.43 (4) 結晶化ガラス 1.50 (5) 結晶化ガラス 1.80 上記表1の中、(4)および(5)の結晶化ガラスの析
出結晶は、それぞれβ−石英とスポジウメンであ
つた。 この表1および比較例1と上記実施例1の靱性
値の比較から、本発明の結晶化ガラスは、従来の
ガラスに比較して、靱性が極めて優れていること
が明白である。 実施例 2〜5 ZrO2−SiO2系の結晶化ガラスを実施例1と同
様にして製造した。 得られた結晶化ガラスについて、その組成、熱
処理温度および靱性測定結果を下記表2に示す。
より詳細には極めて高い靱性を有する結晶化ガラ
スとその製造方法に関する。 〔従来技術〕 従来、ガラスは原料を高温に加熱して一旦溶融
体とし、これを冷却して製造されていたので、強
固な共有結合によつて構成される均質な三次元網
目構造を有している。 従つて常温では流動的あるいは塑性的な変化を
起さず、ガラスに力を加えていくと、弾性限界内
で破壊してしまう。 そして、かかるガラスの脆性破壊はガラスの脆
さを意味し、ガラスの一大特徴ではあるが、機械
的性質の観点からすれば大きな欠点でもある。 それ故、ガラスは、その透明性や電気的絶縁性
などの性質を活かして窓ガラス、光学レンズや電
気部品等の分野で使用されているが、一方、前記
のように強度が小さく、脆性破壊を起し、更に破
壊強度に再現性が乏しいので、応力がかかる機械
部品として使用されることはなかつた。 そこで、ガラスの強度を向上させたり、脆さを
改善するために、ガラスの結晶化、表面改質、水
和、あるいは複合化等いくつかの方法が提案され
ている。 まず、ガラスの結晶化は、一旦製造したガラス
を加熱処理して機械的強度の高い結晶を析出させ
る方法である。 例えば、ガラスの溶融時に結晶核となるような
金属あるいは金属酸化物を添加してガラスを製造
し、このガラスを熱処理して結晶化させる。 かかる操作でガラス中に石英やスポジユウメン
結晶を析出させると、元のガラスよりもより高強
度な結晶化ガラスが得られる。 また、ガラスの表面改質としては、例えばガラ
スの表面に圧縮応力を付与する方法があり、ガラ
スの強度を増加させることができる。 以上の方法は、ガラスの強度増加方法として有
効であり、広く採用されている。 しかしながら、これらの方法によつて、ガラス
の強度は増加するものの、破壊の様式はガラスの
それと同じであり、ガラスの脆さを改善するには
至つていない。 そこで、ガラスの脆さを改善するために、ガラ
スをオートクレーブで処理して水和ガラスを製造
する方法が提案されている。 この方法は、オートクレーブを用いてガラス内
に水を入れ、ガラスの共有結合をイオン結合に、
あるいは三次元網目構造から二次元鎖状構造に変
えてガラスにいくらかの塑性変化要素を付与せん
とするものである。 この方法で製造されたガラスは、塑性変形が僅
かに認められるものの、ガラスの強度そのものが
著しく低下し、かつガラスの耐久性も失われ、根
本的な解決法とはならない。 また、金属粉との複合化によつて、ガラスの脆
さをある程度、改善する方法もあるが、金属とガ
ラスの融和性が悪く、複合化の際に割れたりする
ので、期待するほど靱性を向上させることができ
ない。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、上記従来の欠点を改善し、高
い靱性を有する結晶化ガラスとその製造方法を提
供することにある。 〔発明の構成〕 上記目的を達成する本発明の結晶化ガラスは、
少なくともZrO2とSiO2とからなり、前記ZrO2が
47〜89重量%であると共に、正方晶ZrO2を含む
ことを特徴とするものである。 また、本発明の結晶化ガラスの製造方法は、少
なくともZrとSiのアルコキシドを加水分解し、ゲ
ル化して固化体を製造し、この固化体を加熱しガ
ラス化してZrO2とSiO2とからなるガラスを製造
し、このガラスを更に900〜1300℃に加熱して正
方晶のZrO2結晶を析出させることを特徴とする
ものである。 本発明の結晶化ガラスを製造するための原料と
しては、少なくともZrアルコキシドとSiアルコキ
シドが用いられ、Zr(OC3H7)4、Zr(OC4H9)4、Si
(OCH3)4、Si(OC2H5)4などを挙げることができ
る。 これらのアルコキシドは一般に金属アルコキシ
ドと呼ばれているものである。 本発明においては、かかるZrおよびSiアルコキ
シドにCa、Mg、Yなどの金属アルコキシドを添
加することもできる。 ZrおよびSiアルコキシドにおけるZrアルコキ
シドの量は、本発明の結晶化ガラスにおける
ZrO2の量が47〜89重量%になるような範囲で選
択される。 ZrO2が89重量%を越えると、均質なガラスが
得られず、加水分解時にZrアルコキシドが急速
に加水分解され、試料全体が微粉末化してしまつ
て透明なガラスが得られない。 また、47重量%に満たないと、靱性が向上しな
い。 本発明の結晶化ガラスを製造するにあたつて
は、まずSiアルコキシドを部分的に加水分解した
後にZrアルコキシドおよび他の金属アルコキシ
ドを加えて均一な金属アルコキシドの複合化合物
を製造する。 この複合化合物を更に加水分解して、ガラス構
造を形成すると共に、ゲル化させて固化体を製造
する。 加水分解およびゲル化は、通常では前記金属ア
ルコキシドの複合化合物に水を加え、撹拌するこ
とによつて行われる。 加水分解反応の進行につれて、ゲル化が起り、
水やアルコールが揮発して多孔性固化体が得られ
る。 この固化体を加熱していくと、細孔が消滅し、
孔のないガラスになる。 このガラス化のための加熱温度は、一般に800
〜1000℃である。 本発明においては、次いでこのガラスを結晶化
させるために加熱し、正方晶のZrO2結晶を析出
させると、ガラス中に正方晶のZrO2結晶を含む
結晶化ガラスが得られる。 正方晶ZrO2結晶が析出し始める温度は、ガラ
ス中のZrO2含有量に依存するが、通常は850〜
1100℃である。 そしてガラスの靱性を向上させるためには、粒
子径のできるだけ大きい正方晶ZrO2を、できる
だけ多く析出させることが望ましく、本発明にお
いては正方晶ZrO2を析出させるためのガラスの
熱処理温度は、900〜1300℃の範囲である。 加熱温度が900℃よりも低いと、析出する結晶
量が少なくなり、本発明の目的とする靱性の高い
結晶性ガラスを得ることができない。 また、加熱温度が1300℃を越えると、単斜晶
ZrO2が析出するので、靱性が高められることが
なく、またしばしば、ひびが入つて目的とする結
晶化ガラスにならなくなる。 一方、熱処理時間は、熱処理温度に依存し、高
温ほど短い時間で良い。 以上のような操作の結果、微細な正方晶の
ZrO2が析出した結晶化ガラスになり、靱性の高
い結晶化ガラスが得られる。 〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明の結晶化ガラスは
ZrO2を47〜89重量%含有し、少なくともZrおよ
びSiアルコキシドを加水分解してゲル化、ガラス
化し、得られたガラスを900〜1300℃で熱処理し
て製造することができる。 得られたガラスは、熱処理によつて析出した正
方晶ZrO2を含有するので、靱性が大きく、既存
ガラスの最大の欠点である脆さがないので、応力
がかかる機械部品の材料として使用することがで
きる。 また本発明のガラスは、溶液を原料とするため
に、従来のガラス製造のように、原料を高温に加
熱して一旦、溶融体とする必要がなく、ゲルを加
熱するだけで良いので、ガラス製造時における省
エネルギー化をはかることもできる。 以下、本発明の実施例を述べる。 〔実施例〕 実施例 1 Si(OC2H5)491mlを、0.15M/の塩酸水溶液
8mlとC2H5OH17mlとの混合溶液に、撹拌しなが
ら室温で徐徐に滴下した。 全てのSi(OC2H5)4を加えた後、更に約1時間
撹拌を続け、次いでZr(OC3H7)4278mlを徐徐に
加え、更に室温で10時間撹拌した。 この溶液を、ポリスチレン、テトラフルオルエ
チレン等の容器に移して放置すると、更に加水分
解が進行すると共に、余分の水分やアルコールが
揮発して固化体が得られた。 この固化体を850℃に加熱してガラスとし、更
に炉内で引続き1100℃で10時間加熱して結晶化ガ
ラスを製造した。 得られた結晶化ガラスの組成は、ZrO275重量
%、SiO225重量%であつた。 また、この結晶化ガラスの析出結晶は、正方晶
ZrO2のみであつた。 この結晶化ガラスについて、靱性値をマイクロ
インデンテーシヨン(microindentation)法によ
り評価した。即ち、ビツカース硬度計を用いて試
料表面にヒツカース圧痕と、その圧痕の4方向に
ひびを入れ、それぞれの長さを測定して次式から
靱性値(K、MN/M3/2)を求めた。 K=0.055H√(l/a)-1/2 ここで、H、aおよびlは、それぞれ硬度、圧
痕の長さの半分、圧痕から伸びたひびの長さを表
す。 測定の結果、この結晶化ガラスの靱性値は4.9
であつた。 比較例 1 実施例1の組成において、結晶化のための熱処
理をしていないガラス、即ちゲル固化体を、850
℃で加熱しただけのガラスについて、その靱性値
を測定したところ、1.5であつた。 比較例 2 従来の、原料を溶融して製造したガラスや、結
晶核によつてガラスを結晶化させたいくつかのガ
ラスについて、それぞれ靱性値Kを測定した。結
果を下記表1に示す。 表 1 従来のガラスの種類 K (1) パイレツクスガラス 1.31 (2) 石英ガラス 1.20 (3) ホウ珪酸塩ガラス 1.43 (4) 結晶化ガラス 1.50 (5) 結晶化ガラス 1.80 上記表1の中、(4)および(5)の結晶化ガラスの析
出結晶は、それぞれβ−石英とスポジウメンであ
つた。 この表1および比較例1と上記実施例1の靱性
値の比較から、本発明の結晶化ガラスは、従来の
ガラスに比較して、靱性が極めて優れていること
が明白である。 実施例 2〜5 ZrO2−SiO2系の結晶化ガラスを実施例1と同
様にして製造した。 得られた結晶化ガラスについて、その組成、熱
処理温度および靱性測定結果を下記表2に示す。
【表】
この表2から、本発明の結晶化ガラスはいづれ
も、靱性が非常に高いことが明らかである。 実施例 6 ZrO2とSiO2との二成分以外に、CaOを含む結
晶化ガラスを製造した。 製造方法は実施例1と同様であり、Zr
(OC3H7)4を加えた後に、更に引続きCa
(OC2H5)2を加え、得られた固形体を1100℃に加
熱して結晶ガラスを製造した。 得られた結晶化ガラスの組成は、ZrO274重量
%、CaO1重量%、およびSiO225重量%であつ
た。 この結晶化ガラスの靱性値は5.0で極めて高い
値であつた。
も、靱性が非常に高いことが明らかである。 実施例 6 ZrO2とSiO2との二成分以外に、CaOを含む結
晶化ガラスを製造した。 製造方法は実施例1と同様であり、Zr
(OC3H7)4を加えた後に、更に引続きCa
(OC2H5)2を加え、得られた固形体を1100℃に加
熱して結晶ガラスを製造した。 得られた結晶化ガラスの組成は、ZrO274重量
%、CaO1重量%、およびSiO225重量%であつ
た。 この結晶化ガラスの靱性値は5.0で極めて高い
値であつた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 少なくともZrO2とSiO2とからなり、前記
ZrO2が47〜89重量%であると共に、正方晶ZrO2
を含むことを特徴とする結晶化ガラス。 2 少なくともZrとSiのアルコキシドを加水分解
し、ゲル化して固化体を製造し、この固化体を加
熱しガラス化してZrO2とSiO2とからなるガラス
を製造し、このガラスを更に900〜1300℃に加熱
して正方晶のZrO2結晶を析出させることを特徴
とする結晶化ガラスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20284784A JPH0249259B2 (ja) | 1984-09-26 | 1984-09-26 | Ketsushokagarasutosonoseizohoho |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20284784A JPH0249259B2 (ja) | 1984-09-26 | 1984-09-26 | Ketsushokagarasutosonoseizohoho |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6183648A JPS6183648A (ja) | 1986-04-28 |
JPH0249259B2 true JPH0249259B2 (ja) | 1990-10-29 |
Family
ID=16464175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20284784A Expired - Lifetime JPH0249259B2 (ja) | 1984-09-26 | 1984-09-26 | Ketsushokagarasutosonoseizohoho |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0249259B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04354545A (ja) * | 1991-05-29 | 1992-12-08 | Hajime Tomokage | 循環式小型クリーンルーム |
US6245700B1 (en) * | 1999-07-27 | 2001-06-12 | 3M Innovative Properties Company | Transparent microspheres |
JP4566149B2 (ja) | 2006-03-27 | 2010-10-20 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 独立ガラスフィルムの製造方法 |
JP5230906B2 (ja) * | 2006-03-27 | 2013-07-10 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | ガラスセラミック独立フィルム及びその製造方法 |
BR112019009694B1 (pt) * | 2016-11-16 | 2023-11-21 | Aduro Material Ab | Método de fabricação de cerâmica vítrea nanocristalina translúcida, material de cerâmica vítrea translúcido e seu uso |
-
1984
- 1984-09-26 JP JP20284784A patent/JPH0249259B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6183648A (ja) | 1986-04-28 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |