JPH0249141Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は主として前輪駆動のトラクタ等に適用
される車高可変式前輪駆動装置に関するものであ
る。

〔従来技術〕

従来トラクタ等で水田や畠などで作業する場
合、後輪にホイール径の大きいものが使用されて
いる関係でその車軸の固定ケース部分が地上から
比較的高く、その作業上に問題はない。しかし、
前輪駆動の場合はその前輪駆動装置用の固定ケー
スが比較的低い位置にあるために作物をいためた
り、押倒したりするため、充分に車高の高いトラ
クタを使用する必要があつた。しかしながら、ト
ラクタは例えばグリーンハウス内等の車高を問題
とするところで作業することもあるが、この場合
にはその車高の低いものを使用する必要がある。

前記のごとく、その作業用途に応じて車高の異
なるトラクタをそれぞれ用意するのは非常に不経
済なため、従来からトラクタの車高の変更を可能
にする構造について種々検討されている。

車高の調節できる前輪駆動装置の従来例とし
て、デフ出力軸の軸心に対して高さ方向に偏心さ
れた位置に中間伝動軸を有する中間伝動ケースを
着脱固定自在に取付けた装置が実開昭58−111626
で提案されているが、この装置の場合は中間伝動
ケースを位置変えのために取り外したり、タイヤ
を外す作業が必要であり取扱に問題がある。

また、ギヤケースの上下の位置を変えるとキン
グピンのオフセツトが変化し、操向性が悪化した
り、トレツド幅が変つて作業性が悪化する欠点が
あつた。

〔考案の目的〕

本考案は前記従来の問題点を解消するためにな
されたものであり、キングピンケースやタイヤを
取外すことなく容易に車高を可変とする前輪駆動
装置を提供することを目的としたものである。

〔考案の構成〕

上記の目的を達成するため、本考案の車高可変
式前輪駆動装置は、前輪駆動装置のアクスルケー
スとキングピンケースとの間にギヤケースを設
け、前記ギヤケースには駆動軸の軸芯から偏芯し
てキングピンシヤフト側に動力を伝達する伝導シ
ヤフトが設けられ、前記ギヤケースは上下に反転
して取付可能に形成され、更に前記ギヤケースと
キングピンケースとが取付ボルトで共締めされる
ように構成されている車高可変式前輪駆動装置で
ある。

本考案は、アクスルケースとキングピンケース
の間にギヤケースを上下に反転可能に設け、前記
アクスルケース内の駆動軸の動力を前記伝導軸の
軸芯に対して偏芯した位置にある伝導シヤフト
（中間シヤフト）に伝達し、この伝導シヤフトを
介してキングピンシヤフトを駆動し、更にこのキ
ングピンシヤフトによりタイヤを支持するホイル
シヤフトを駆動するように構成した点と、ギヤケ
ースとキングピンケースとを取付ボルトで共締め
可能な構造とした点に特徴があるのである。

このように構成することによつてアクスルケー
スとキングピンケースは元の状態を維持したまま
でギヤケースを上下に反転させることができ、そ
れに伴つて駆動軸と伝導シヤフトの間の偏芯した
距離の二倍の距離で車高を変更することができる
のである。また、この車高の変更に際して取付ボ
ルトの締付けは一方向からなされるためにその作
業は極めて簡単となる。

従つて、ギヤケースはアクスルケースの軸芯に
対して直交した面内においてギヤ列を保持したま
ま反転するように構成することが必要である。

〔実施例〕

以下図面を参照して本考案の一実施例を説明す
る。

第１図は前輪駆動装置の車高を高くした状態を
示す要部断面図であるが、アクスルケース２とキ
ングピンケース３との間には、第２図に示すよう
なギヤケース１が設けられている。

このギヤケース１には、アクスルケース２内の
駆動軸１１から軸芯を変え、かつキングピンケー
ス３内に支持されているキングピンシヤフト１６
側に動力を伝達するように駆動ギヤ１２と中間ギ
ヤ１３等のギヤ列を有する伝動シヤフト１９、即
ち中間シヤフトが内蔵されており、この伝動シヤ
フト１９のキングピンケース３内の端部には、ベ
ベルギヤ１４が設けられ、これに噛合するベベル
ギヤ１５を介してキングピンシヤフト１６に動力
を伝達し、更にベベルギヤ１７及び１８を介し
て、フアイナルケース４内のホイルシヤフト５を
第３図に示すタイヤ７と共に回転させるようにな
つている。

なお、前記フアイナルケース４等の可動ケース
はキングピンシヤフト１６を軸としてナツクルア
ーム６により操向されるようになつている。

本考案においては、前記のように駆動軸１１を
内蔵するアクスルケース２を軸としてギヤケース
１を反転させて固定し、それに伴なつて伝導シヤ
フト１９を上下させるように構成した点に特徴が
ある。

具体的には、第１図のように駆動軸１１の下側
に伝動シヤフト１９を位置させるようにギヤケー
ス１を固定することによつて車高を高くした状
態、あるいは第４図の如くギヤケース１を反転す
ることによつて車高を低くした状態にに移動（回
転）させて、取付ボルト８，９，１０（第３図）
で固定するようにしている。

ところで、ギヤケース１は第２図に示す如く駆
動軸１１側の穴１ａと、中間シヤフトである伝導
シヤフト１９側の穴１ｂが偏芯した位置に設けら
れている。

従つて、第１図の如く車高状態でアクスルケー
ス２に対してキングピンケース３が取付けてあつ
たものを、第４図の車低状態に簡単に変更するこ
とができるのである。

この場合、ギヤケース１はアクスルケース２と
キングピンケース３はそのままで、ギヤケース１
を回転させて固定するだけであるので、キングピ
ンケース３等を取外すことなく容易に組替えでき
る。

このため、アクスルケース２のセンターに対し
て、ホイルシヤフト５のセンター位置は第１図の
Ｌ（車高状態）または第４図のｌ（車低状態）に二
段に変更することが可能である。

即ち、Ｌはハイクリアランス式の状態で、ｌは
ローボデイ式の状態であり、これらの状態を各取
付ボルト８，９，１０で固定することになり、こ
のように一台の機械を両方の状態にすることは農
作業を複合化に伴つて、汎用性のあるトラクタに
する必須条件であるが、本考案ではそれに充分対
応しうると共に、その切替が極めて簡単である。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案にかかる前輪駆
動装置では、前輪駆動装置のアクスルケースとキ
ングピンケースとの間にギヤケースを設け、前記
ギヤケースには駆動軸の軸芯から偏芯してキング
ピンシヤフト側に動力を伝達する伝導シヤフトが
設けられ、前記ギヤケースは上下に反転して取付
可能に形成され、更に前記ギヤケースとキングピ
ンケースとが取付ボルトで共締めされるように構
成されているので、次の効果を奏することができ
る。

(a) 車高可変式前輪駆動装アクスルケースとキン
グピンケースとの間で中間シヤフトを支持する
ギヤケースの上下位置を変更するので、キング
ピンオフセツトが変らないため、操向性を悪化
することがない。

(b) 前記車高の変化に伴なつてトレツド幅が変化
しないため、作業性への影響がないという利点
がある。

(c) 取付ボルトでギヤケースとキングピンケース
とを共締めする構造としたので、アクスルケー
スとキングピンケースの取付ボルトの取付方向
を同一方向にすることができ、作業性が良くな
ると共に、組付ボルト数を減らすことができる
という利点がある。

(d) 更に、本考案ではギヤケース組替のために取
外したり、そして固定するボルトがタイヤホイ
ル内にかくれることがないので、容易に取外し
及び取付け作業を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における前輪駆動装
置の車高を高くした状態を示す要部を断面して示
す正面図である。第２−Ａ図は中間シヤフトを内
蔵するギヤケースの正面図、第２−Ｂ図は第２−
Ａ図のＡ矢視方向の側面図、第２−Ｃ図は第２−
Ａ図のＢ矢視方向の側面図である。第３図は第１
図のギヤケース組付け状態を示す正面図、第４図
は第１図の装置の車高を低くした状態の要部を断
面して示す正面図である。 １……ギヤケース（中間シヤフトケース）、２
……アクスルケース、３……キングピンケース、
８，９，１０……ボルト、１１……駆動軸、１２
……駆動ギヤ、１３……中間ギヤ、１４，１５…
…ベベルギヤ、１６……キングピンシヤフト、１
７，１８……ベベルギヤ、１９……伝動シヤフ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪駆動装置のアクスルケースとキングピンケ
   ースとの間にギヤケースを設け、前記ギヤケース
   には駆動軸の軸芯から偏芯してキングピンシヤフ
   ト側に動力を伝達する伝導シヤフトが設けられ、
   前記ギヤケースは上下に反転して取付可能に形成
   され、更に前記ギヤケースとキングピンケースと
   が取付ボルトで共締めされるように構成されてい
   る車高可変式前輪駆動装置。