JPH0247233Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダの内周壁にピストンによつ
て開閉する排気口と少なくとも一対の排気口とを
形成したシニユーレ式２サイクルエンジンに関す
る。

〔従来の技術〕

シニユーレ式２サイクルエンジンの一対の掃気
通路は、実公昭56−54339号公報及び実公昭57−
32262号公報に示される如く、従来は排気方向に
対して両者対称形状であり、その掃気口の掃気吹
出し角度も同一のものであつた。

そしてこのエンジンにおいては、掃気口開口時
に噴出した掃気流が残留ガスを押上上げつつ合流
し、シリンダヘツド方向に吹上げられ該シリンダ
ヘツド部で反転し、しかる後、排気口方向へ向
い、残留ガスを排気流として押出し、掃気はシリ
ンダ内に充填される。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、掃気流が合流する際に衝突損失が避
けられず、給気比が大きく掃気流速が速い場合に
は、多少の損失があつてもシリンダヘツドまで吹
上がるが、比較的小型のエンジン等にみられるよ
うに、吸気系の抵抗が大きく給気比が小さいエン
ジンや部分負荷時（給気比が小さい）の特性が重
視されるタイプのエンジンでは、掃気吹出し時の
エネルギーが小さく、衝突損失が無視できず、正
常なループ状の流れが発生しない。また、衝突損
失を避けるべく、吹上げ角度を大きくとると、シ
リンダ内の掃気口付近の残留ガスの払拭が完全で
はなく、掃気流と残留ガスの拡散が促進されてし
まうため、吹上げ角度を大きくすることにも問題
がある。

そこで本考案は最も流速の速い掃気口開口直後
の掃気流の直後の衝突を避け、特に給気比が小さ
いエンジンや部分負荷時（給気比が小さい）の特
性が重視されるタイプのエンジンにおいても、正
常なループ状の流れを保障し、シリンダ内の掃気
口付近の残留ガスの払拭をより完全にした掃気通
路を備えたシニユーレ式２サイクルエンジンを提
供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、シリンダの
内周壁にピストンによつて開閉される排気口とそ
の両側部に位置する少なくとも一対の掃気口とを
形成し、前記少なくとも一対の掃気口の掃気吹出
し角度を上向きに形成してなるシニユーレ式２サ
イクルエンジンにおいて、前記一対の掃気口の掃
気吹出し角度を互いに異ならしめるとともに、掃
気吹出し角度を小さくした方の掃気通路外側のシ
リンダ中心からの距離を、掃気吹出し角度を大き
くした方の掃気通路外側のシリンダ中心からの距
離より長くなるように設定したことを特徴とする
ものである。

〔作用〕

したがつて、一対の掃気口から送られた掃気流
は直接の衝突が避けられ、残留ガスを押し上げつ
つ合流してシリンダ壁に沿つて上昇し、シリンダ
ヘツド部で偏向されて正常なループ状の流れを形
成し、しかる後、排気口方向へ向い、残留ガスを
排気流として押出し、掃気をシリンダ内に充填す
る。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

図はシニユーレ式２サイクルエンジンを示すも
ので、シリンダ１はシリンダボデイ１ａとシリン
ダヘツド１ｂとから構成され、シリンダヘツド１
ｂに形成された燃焼室２は、いわゆるウエツジ形
となつており、その奥部に点火栓３が配置されて
いる。そして、シリンダボデイ１ａにはクランク
ケース４が嵌合固定され、そのクランクケース４
内のクランク室５にはクランク軸６が収納され、
このクランク軸６のウエブ６ａに連結されたコネ
クテイングロツド７が、シリンダ１に昇降自在に
嵌合されたピストン８に連結されている。

前記シリンダ１の内周壁１ｃには排気通路１０
の排気口１０ａおよび掃気通路１１，１２，１３
の掃気口１１ａ，１２ａ，１３ａがそれぞれ開口
されている。そして、前記掃気口１１ａ，１２
ａ，１３ａはその掃気吹出し角度を上向きに形成
しており、掃気口１１ａ，１２ａ排気口１０より
やや下方で、かつその両側部に位置し、また、前
記掃気口１３ａはシリンダ１ｄを挟んで排気口１
０ａと反対側に位置している。なお、吸気通路９
の吸気口９ａ近傍にはリード弁１４が設けられて
いる。

そして、排気口１０ａの両側部に位置する前記
一対の掃気口１１ａ，１２ａは、その掃気吹出し
角度を互いに異ならしめている。

即ち、掃気口１１ａの上向きの掃気吹出し角度
をθ₁、掃気口１２ａの上向きの掃気吹出し角度θ₂
とすれば、θ₁＞θ₂又はθ₁＜θ₂となるように設定さ
れている。このようにすれば、吹出された掃気の
直接の衝突が少なく損失が減るため、正常なルー
プ状の流れが得られる。なお、この場合、一方は
水平であつてもよい。

そして、このとき例えば第１図に示す如くθ₁＞
θ₂とした場合には、θ₁−θ₂≧4゜とすることが好ま
しい。

また、掃気吹出し角度を互いに異ならしめるの
みに留まらず、掃気吹出し角度を小さくした方の
側の掃気路外側のシリンダ１中心からの距離を吹
出し角度を大きくした方の側の掃気通路外側のシ
リンダ１中心からの距離より長くなるように設定
する。これにより、掃気吹出し角度を大きくした
方の掃気通路１１の管路長が、掃気吹出し角度を
小さくした方の掃気通路１２の管路長より短くな
り、管路抵抗が小さくなつて、掃気口１１ａから
の掃気流の方向性が強くなり、燃焼室２の上部に
向かい、掃気口開口直後の流速の速い掃気流の直
接の衝突損失を極力避けることができ、正常なル
ープ状の流れを形成することを助長する。

即ち、シリンダ１中心からの掃気通路１１，１
２外側までの距離をそれぞれ₁，₂とすれば、
θ₁＞θ₂のとき₁＜₂とし、θ₁＜θ₂のとき₁＞
_２となるようにする。

そして、このとき、例えば第１図に示す如く
_１＜₂とした場合には、₂−₁≧３mmとするこ
とが好ましい。

尚、本実施例において、好適な掃気口１１ａ，
１２ａの掃気吹出し角度θ₁，θ₂およびシリンダ１
中心からの掃気通路１１，１２外側までの距離
_１，₂を示すと、θ₁＝18゜，θ₂＝13゜，₁＝32.0mm
，
₂＝35.5mmである。

本実施例は以上のように構成したので、掃気口
１１ａから吹出た掃気流と掃気口１２ａから吹出
た掃気流との直接の衝突が避けられ、残留ガスを
押し上げつつ合流してシリンダ壁に沿つて上昇
し、シリンダヘツド部で偏向されて正常なループ
状の流れを形成し、しかる後、排気口方向へ向
い、残留ガスを排気流として押出し、掃気をシリ
ンダ内に充填することができる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、シニユーレ式２サイク
ルエンジンにおいて、排気口の両側部に設けた一
対の掃気口の掃気吹出し角度を互いに異ならしめ
たので、掃気口開口直後の流速の速い掃気流の直
接の衝突損失を極力避けることができ、シリンダ
ヘツド部で偏向された正常なループ状の流れを形
成することができる。しかも、掃気吹出し角度を
小さくした方の掃気通路外側のシリンダ中心から
の距離を、掃気吹出し角度を大きくした方の掃気
通路外側のシリンダ中心からの距離より長くなる
ように設定したので、掃気吹出し角度を大きくし
た方の掃気通路の管路長が、掃気吹出し角度を小
さくした方の掃気通路の管路長より短くなり、管
路抵抗が小さくなつて、掃気吹出し角度を大きく
した方の掃気通路の掃気流の方向性が強くなり、
燃焼室の上部に向かい、掃気口開口直後の流速の
速い掃気流の直接の衝突損失をより一層避けるこ
とができるとともにシリンダヘツド部で偏向され
た正常なループ状の流れを形成することを助長す
る。したがつて従来の掃気吹出し角度が同一の掃
気口をもつシニユーレ式２サククルエンジンの如
く、シリンダ内の掃気口付近に燃焼ガスが残留す
ることがなく、出力低下を防止できる。特に、給
気比の小さいエンジンや部分負荷時（給気比が小
さい）の特性が重視されるタイプのエンジンにお
いても、互いの掃気流が干渉することなく掃気で
きるので、吸排気効率がよくなり出力低下の防止
及び燃焼損失の低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
一部断面正面図、第２図は一部断面側面図であ
る。 １……シリンダ、１ａ……シリンダボデイ、１
ｂ……シリンダヘツド、１ｃ……シリンダの内周
壁、１ｄ……シリンダ室、２……燃焼室、３……
点火栓、４……クランクケース、５……クランク
室、６……クランク軸、６ａ……ウエブ、７……
コネクシヨンロツド、８……ピストン、９……吸
気通路、９ａ……吸気口、１０……排気通路、１
０ａ……排気口、１１，１２，１３……掃気通
路、１１ａ，１２ａ，１３ａ……掃気口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダの内周壁にピストンによつて開閉され
   る排気口とその両側部に位置する少なくとも一対
   の掃気口とを形成し、前記少なくとも一対の掃気
   口の掃気吹出し角度を上向きに形成してなるシニ
   ユーレ式２サイクルエンジンにおいて、前記一対
   の掃気口の掃気吹出し角度を互いに異ならしめる
   とともに、掃気吹出し角度を小さくした方の掃気
   通路外側のシリンダ中心からの距離を、掃気吹出
   し角度を大きくした方の掃気通路外側のシリンダ
   中心からの距離より長くなるように設定したこと
   を特徴とするシニユーレ式２サイクルエンジン。