JPH0243363B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は弾性表面波（以下SAWと略す）フイ
ルタに関する。

一般に、SAWフイルタは使用する圧電体基板
の誘電率が大きい場合インターデイジタルトラン
スジユーサ（以下IDTと略す）のインピーダンス
が小さくなり、したがつて、回路に組込んだ場合
の前後段回路の関係で高インピーダンスのSAW
フイルタが要求されるときには、このような誘電
率の大きい基板は適さない。このため高誘電率基
板を用いる場合従来では、IDTを構成するインタ
ーデイジタル電極をSAW伝播方向に２分割し、
かつ分割された電極部分を電気的に直列接続する
ようにしていた。

また、テレビジヨン受像機のVIF段において
SAWフイルタを用いる場合、そのSAWフイルタ
のグループデイレー特性（以下GDTと略す）は
通常非直線であることが要求される。しかし、こ
の要求に沿つてSAWフイルタのGDTを非直線に
構成すると、インターデイジタル電極のパターン
が中心からみて左右非対称になる。このような非
対称パターンのインターデイジタル電極を上述し
たように中心で２分割あるいは最大交さ幅で２分
割すると、分割された電極部分によるトランスジ
ユーサの容量すなわちインピーダンスがアンバラ
ンスとなり、周波数特性に悪影響を与える。

さらにまた、音声トラツプをもつテレビジヨン
受像機のVIF特性のような、或る周波数に対し非
対称な周波数特性を実現するにあたつて、その周
波数特性の対称成分と非対称成分とを別個に励振
するようインターデイジタル電極を交さ幅重み付
けを施した場合、電極パターンの中心であるいは
最大交さ幅で単純に２分割すると第３図に示すよ
うな現象が生ずることがある。同図はインターデ
イジタル電極パターンの要部のみを示し、同図ａ
は分割前のパターンを、同図ｂは矢印の位置で２
分割したパターンを示す。同図ａにおいて、１，
２はくし歯電極を示し、電極１，２間に電気的信
号が加えられる。そして、Ａ，Ｃで示した領域が
非対称成分を、Ｂ，Ｄで示した領域が対称成分を
励振するよう構成されている。同図ｂにおいて、
３，４，５はそれぞれくし歯電極で、そのうち共
通電極５が他の電極３，４に相互に差し込まれて
いる。ところが、電極指６は、電極指８，９間の
接続と同様に、電極４に接続された電極指７に接
続されるべきであるが、電極指１０により妨げら
れ接続ができない。しかも振源C′の大きさは、電
極指６が振源B′に合わせて決定されるので、分
割前の振源Ｃよりも小さくなつている。また、電
極指６を図において破線で示すように電極指７に
接続することは可能であるが、この場合には破線
で示した電極指６の部分と電極指９間に新たな振
源が生じ、かつ電極指６，９間の電圧が通常の電
極指間の電圧の２倍になるため、その振源は特性
上無視することができない。ここで、電極３，４
間の電圧が電極３，５間および電極４，５間の電
圧に比べて２倍になるので、振源B′を形成する
電極指６，８の長さは同図ａのものに比較してほ
ぼ半分に構成されている。このように、周波数特
性の対称成分および非対称成分を別個に励振する
ようにした場合には電極の２分割がより一層困難
になり、SAWフイルタの前後段回路との関係で
高インピーダンスのSAWフイルタを要求される
場合高誘電率の圧電基板はほとんど用いられなか
つた。

そこで本発明は、GDTの補正された非対称な
パターンであつても、非対称な周波数特性を実現
するため、対称成分および非対称成分を別個に励
振するようにした場合であつても、周波数特性に
悪影響を与えずにきわめて容易に複数に分割し得
るインターデイジタル電極を備えたSAWフイル
タを提供することを目的とする。

本発明は、表面波の中心周波数における波長を
λとした時に、λ／４のピツチで配置され、２本
ずつ対にして交互に対毎に異なる電位に結合され
ている複数本の主電極指と、上記対をなす主電極
指の一方の電極指の延長線上に該一方の主電極指
とは異なる電位に接続された補助電極指とを備
え、上記対をなす主電極指に隣接している他の対
の主電極指との間で所望周波数特性の対称成分
が、上記対をなす主電極指の他方の主電極指と上
記補助電極指との間で非対称成分が、それぞれ別
個に励振されるように交さ幅重み付けが施されて
おり、弾性表面波伝搬方向に沿つて複数に分割さ
れ、かつ電気的に直列接続されており、上記交差
幅重み付けにより形成される包絡線がメインロー
ブとサイドローブとを有する非対称パターンで構
成されたインターデイジタル電極を備える弾性表
面波フイルタにおいて、下記の構成を備えること
を特徴とする。

すなわち、上記インターデイジタル電極の分割
される部分が、対称成分に対応する重み付け包絡
線のメインローブ領域内であつて、隣接する非対
称成分の交さ幅の２倍以上の大きさの交さ幅を有
する対称成分の交さ幅位置に設けられており、該
分割部分では、隣接し合う第１，第２の対の主電
極指のうち、λ／４ピツチで隣接する異なる電位
に接続される主電極指が互いにほぼ同一長さで対
向されており、この同一長さで対向された主電極
指と、同一長さで対向された主電極指と対をなす
他方の主電極指とが、それぞれ互いに対向する領
域内で接続されており、上記隣接し合い、かつ異
なる電位に接続された主電極指間で対称成分が励
振されると共に、上記対をなす主電極指のうち上
記他方の主電極指と、該他方の主電極指に隣接す
る補助電極指との間で非対称成分が励振されるよ
うに構成したことを特徴とする。

第１図において、１１はPZTなどの圧電体基
板上に蒸着、スパツタリング、フオトエツチング
技術などを用いて形成されたインターデイジタル
電極である。この電極１１と圧電体基板とが協働
してIDTが構成される。また、図示はしていない
が、圧電体基板上には電極１１と適当距離隔てて
音響的に結合された他方のIDTが設けられてい
る。例示している電極１１のパターンは、テレビ
ジヨン受像機のVIF特性のような音声トラツプを
有する或る周波数に対し、非対称な周波数特性お
よび非直線GDTを有するSAWフイルタを実現す
るためのものである。この電極１１は周波数特性
の対称成分と非対称成分とを別個に励振するよう
構成され、かつ３分割されている。

第１図を参照して、一点鎖線Ｘは対称成分を励
振するための主電極指の先端を結ぶ重み付け包絡
線を示し、この一点鎖線Ｘで囲まれた領域で対称
成分が励振される。また、破線Ｙは非対称成分を
励振するための主および補助電極指の先端を結ぶ
重み付け包絡線を示し、この破線で囲まれた領域
で非対称成分が励振される。そして電極１１の対
称成分に対応する重み付け包絡線Ｘのメインロー
ブ領域Ｚに２個の分割部分Ｅ，Ｆが設けられてい
る。これらの分割部分Ｅ，Ｆのうち分割部分Ｅは
最大交さ幅Ｇの位置に、また分割部分Ｆは比較的
大きな交さ幅をもつ交さ幅Ｈの位置に設けられて
いる。しかもこれらの分割部分Ｅ，Ｆは、交さ幅
Ｇ，Ｈがそれぞれ隣接する非対称成分の交さ幅の
２倍以上になるような位置に選ばれている。さら
にまた分割部分Ｅ，Ｆの位置は、分割された部分
電極１１ａ，１１ｂ，１１ｃの容量が実質的に等
しくなるようにも選ばれている。

第２図ｂは電極１１の分割部分Ｅ付近のパター
ンを抽出して示し、同図ａは分割前のパターンを
示すものである。

第１図および第２図を参照して、主電極指は、
λ／４のピツチで配置され、主として２本ずつ対
にして交互に異なる電位で結合されている。ここ
でλは中心周波数における表面波の波長である。
隣接する対の主電極指間（例えば１２および１３
と１４および１５との間）で対称成分（例えば
Ｂ，B′）が励振される。対の主電極指１２，１
３の一方の指１３の延長線上にその主電極指とは
異なる電位の補助電極指１６が設けられ、この補
助電極指１６と上記対の他方の電極指１２との間
で非対称成分Ａ，A′が励振される。また、この
インターデイジタル電極１１には主，補助電極指
以外に、ダミー電極（例えば１７）が設けられて
いる。

第２図ｂから明らかなように、振源B′を形成
する電極指１３，１４はそれぞれ何ら支障なく電
極指１２，１５に同じ導電膜で接続できる。

このように、隣接する非対称成分の交さ幅の２
倍以上の交さ幅をもつ対称成分の交さ幅の位置に
分割部分Ｅ，Ｆが設けられているので、非対称成
分の振源C′を無理なく構成できる。また、対称成
分に対応する重み付け包絡線のメインローブ領域
に２以上の分割部分Ｅ，Ｆが設けられているの
で、分割電極の容量を実質的に等しく構成でき、
この結果分割による周波数特性の悪化を防ぐこと
ができる。したがつて、本実施例によれば高誘電
率の基板を用いても、きわめて容易に高インピー
ダンスのSAWフイルタを得ることができる。

本発明は、以上説明したように、GDT補正さ
れた非対称の電極パターンを有するSAWフイル
タであつて、非対称周波特性を得るためのパター
ンを有するSAWフイルタに対し、周波数特性に
悪影響を与えずに、きわめて容易にインターデイ
ジタル電極を複数に分割できるという、実用上、
非常に大きな効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明SAWフイルタの一実施例の概
略を示すパターン図、第２図ａおよびｂはそれぞ
れ本実施例を説明するための分割前および後のパ
ターン図、第３図ａおよびｂはそれぞれ従来の
SAWフイルタを説明するための分割前および後
のパターン図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面波の中心周波数に対応する波長をλとし
   たときに、λ／４のピツチで配置されており、２
   本ずつ対をなすように交互に対毎に異なる電位に
   結合されている複数本の主電極指と、 対をなす主電極指の一方の電極指の延長線上
   に、該一方の主電極指とは異なる電位に接続され
   た補助電極指とを有し、 上記対をなす主電極指と隣合う対をなす主電極
   指との間で所望周波数特性の対称成分が、上記対
   をなす主電極指の上記一方の電極指とは異なる他
   方の主電極指と上記補助電極指との間で非対称成
   分が、それぞれ、別個に励振されるように交さ幅
   重み付けが施されており、 弾性表面波伝搬方向に沿つて複数に分割されて
   おり、かつ電気的に直列接続されており、 さらに、交さ幅重み付けにより形成される包絡
   線がメインローブとサイドローブとを有する非対
   称パターンで構成されたインターデイジタル電極
   を備える弾性表面波フイルタにおいて、 上記インターデイジタル電極の分割部分が、対
   称成分に対応する重み付け包絡線のメインローブ
   領域内であつて、隣接する非対称成分の交さ幅の
   ２倍以上の大きさの交さ幅を有する対称成分の交
   さ幅位置に設けられており、 上記分割部分では、隣合う第１の対及び第２の
   対の主電極指１２，１３及び１４，１５のうち
   λ／４ピツチで隣合つている互いに異なる電位に
   接続された主電極指１３，１４が互いにほぼ同一
   長さで対向されており、該同一長さで対向された
   主電極指１３，１４と、同一長さで対向された各
   主電極指１３，１４と対をなす他方の主電極指１
   ２，１５とが、それぞれ、互いに対向し合つてい
   る領域内で接続されており、 上記隣合う異なる電位に接続された主電極指１
   ３，１４間で対称成分が励振されると共に、第１
   の対をなす主電極指１２，１３のうち上記他方の
   主電極指１２と、該他方の主電極指１２に隣接す
   る補助電極指１６との間で非対称成分が励振され
   るようにしたことを特徴とする弾性表面波フイル
   タ。