JP3254892B2 - トラップ回路 - Google Patents

トラップ回路

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JP3254892B2
JP3254892B2 JP06742794A JP6742794A JP3254892B2 JP 3254892 B2 JP3254892 B2 JP 3254892B2 JP 06742794 A JP06742794 A JP 06742794A JP 6742794 A JP6742794 A JP 6742794A JP 3254892 B2 JP3254892 B2 JP 3254892B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SHタイプの表面波を
利用した圧電共振子を用いて構成されたトラップ回路に
関し、特に、複数のトラップ周波数を有するトラップ回
路に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機やビデオテープレコ
ーダーの映像中間周波段では、隣接チャンネルとのビー
ト障害を防止するために、図1に示すトラップ特性を有
するトラップ回路が使用されている。この回路では、隣
接チャンネル映像信号周波数f ap(アメリカのNTSC
方式では39.75MHz)及び隣接チャンネル音声信
号周波数fas(アメリカのNTSC方式では47.25
MHz)において信号を十分に減衰させることが必要で
ある。
【0003】上記のようなトラップ特性を実現するため
に、従来、隣接チャンネル映像信号周波数fapにおいて
減衰点を有するトラップと、隣接チャンネル音声信号周
波数fasに減衰点を有するトラップとの2個のトラップ
が用いられており、それぞれのトラップは、LC共振回
路や圧電共振子等により構成されている。
【0004】また、このような用途に用いられる圧電共
振子として、BGS波のようなSHタイプの表面波を利
用した圧電共振子が注目されている。図2は、BGS波
を利用した端面反射型の表面波共振子を示す。
【0005】端面反射型表面波共振子1は、平面形状が
四角形の圧電基板2を用いて構成されている。圧電基板
2は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミック
スやLiNbO3 圧電単結晶、LiTaO3 圧電単結晶
などの圧電材料により構成されており、圧電セラミック
スの場合には図示の矢印P方向に分極処理されている。
圧電基板2の上面2aには、一対のくし歯電極3,4が
形成されており、それによってインターデジタルトラン
スデューサが構成されている。くし歯電極3,4は、そ
れぞれ、複数本の電極指3a〜3c及び4a〜4cを有
する。
【0006】端面反射型表面波共振子1では、くし歯電
極3,4から交流電圧を印加することにより、BGS波
が励起され,該BGS波は図示の矢印X方向に伝播され
る。このBGS波は圧電基板2の端面で反射される。
【0007】そして、この端面反射型表面波共振子1で
は、インターデジタルトランスデューサで決定される周
波数スペクトルと端面間の寸法で決定される周波数を一
致させることにより、有効な共振特性を得る。
【0008】上記端面反射型表面波共振子1の減衰量−
周波数スペクトル特性及びインピーダンス−周波数特性
を図3(a)及び(b)に示す。図3(a)及び(b)
から明らかなように、端面反射型表面波共振子1におい
ても、従来のLC共振回路や他の形式の圧電共振子と同
様に、単一の共振特性を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来、
例えば図1に示したトラップ特性を実現するには、2個
の共振回路や圧電共振子等を用意し、接続しなければな
らなかった。また、上記のようにして2個の共振回路や
圧電共振子等を接続したとしても、各トラップ周波数に
おいて十分な減衰量を実現することが困難であった。
【0010】他方、レイリー波を利用した弾性表面波共
振子においては、単一の共振子において2個の共振特性
を有するものが示されている(例えば、国際電気技報N
o.16、第1頁〜第7頁,1992)。すなわち、レ
イリー波を利用した表面波共振子フィルタにおいて、0
次縦モード(基本モード)と2次縦モードとを利用した
二重モード共振子が知られており、ここでは、2個の共
振特性が得られる。しかしながら、上記二重モード共振
子では、2個の共振特性を得るためには、2つ以上のイ
ンターデジタルトランスデューサと反射器が必要であっ
た。また、上記二重モード共振子では、その共振特性が
反射器の反射係数−周波数特性で決定されるが、反射係
数の大きい周波数領域が狭いために、2個の共振点の差
が約1MHzと非常に小さく、図1に示したようなトラ
ップフィルタを該二重モード共振子のみで構成すること
はできなかった。
【0011】本発明の目的は、SHタイプの表面波を利
用した圧電共振子を用いて構成されたトラップ回路であ
り、複数のトラップ周波数において十分大きな減衰量を
実現することを可能とするトラップ回路を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】圧電基板と、前記圧電基
板上に形成されたインターデジタルトランスデューサ
2個の共振特性を有するように構成された第1の共振部
と第2の共振部とを有し、前記第1の共振部を構成する
インターデジタルトランスデューサの片側と前記第2の
共振部を構成するインターデジタルトランスデューサの
片側とが共通電極によって互いに接続され前記第1の
共振部と前記第2の共振部とが入出力端間とアース電位
との間で電気的に並列に接続されている、SHタイプの
表面波を利用した圧電共振子を備えることを特徴とす
る、トラップ回路である。
【0013】すなわち、請求項1に記載の発明は、SH
タイプの表面波を利用した圧電共振子において、2個の
共振部を構成するように2組のIDTを形成し、該2個
の共振部が入出力端間とアース電位との間で並列に接続
したことを特徴とする。従って、本発明のトラップ回路
では、2個のトラップ周波数を実現するための素子とし
ては、単一の圧電共振子のみを用意すればよく、該単一
の圧電共振子とインダクタンス素子とにより2個のトラ
ップ周波数を有するトラップ回路が構成される。
【0014】好ましくは、請求項2に記載のように、前
記2個の共振部の間に接続されたインダクタンス素子が
さらに備えられる。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【作用】本願発明者らは、いまだ公知ではない特願平6
−34415において、SHタイプの表面波を利用した
圧電共振子であって、少なくとも2つの共振特性を有す
るようにIDTが構成されている圧電共振子を提案して
いる。この構造を、図4〜図6を参照して説明する。
【0019】圧電共振子11は、平面形状が矩形の圧電
基板12を用いて構成されている。圧電基板12は、例
えばチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスのような
適宜の圧電材料により構成されている。圧電基板12
は、図示の矢印P方向すなわち主面と平行であり、かつ
電極指の延びる方向と平行な方向に分極処理されてい
る。
【0020】圧電基板12の上面には、くし歯電極1
3,14からなるインターデジタルトランスデューサ
(以下、IDTと略す。)15が形成されている。くし
歯電極13,14は、それぞれ、複数本の電極指13
a,13b,13c,13d及び14a〜14iを有す
る。すなわち、IDT15は、互いに間挿し合う複数本
の電極指のうち、幾本かの電極指が間引かれて、間引き
電極の形態で構成されている。
【0021】より詳しくは、電極指14c〜14g間に
おいて、他方側のくし歯電極13側の電極指が間引かれ
ている。この場合、電極指間領域のうち、両側の電極指
が異なる電位に接続される電極指である領域、すなわち
両側の電極指から電圧が印加されてBGS波が励振され
る領域を「1」、電極指が間引かれているため、両側の
電極指が同電位である、すなわちBGS波が励振されな
い電極指間領域を「0」と表現することにする。圧電共
振子11では、電極指14aから電極指14iまでの1
2個の領域は、順に、1,1,1,1,0,0,0,
0,1,1,1,1で表される。
【0022】なお、上記くし歯電極13,14において
は、電極指間の各領域の幅は、励振されるBGS波の波
長λとしたときに、λ/4とされており、かつ電極指1
4a,14iを除く残りの電極指の幅もλ/4とされて
いる。また、最も外側に位置する電極指14a,14i
の幅はλ/8とされており、電極指14a,14iは圧
電基板12の端面12a,12bと上面との端縁に沿う
ように配置されている。
【0023】上記のようなくし歯電極13,14は、例
えば、圧電基板12よりも幅方向がより大きな圧電基板
を用意し、λ/4ピッチで幅λ/4の電極指を多数形成
した後、上記くし歯電極13,14が得られるように圧
電基板をダイシングすることにより、すなわち電極指1
4a,14iについては、上記ダイシングによりλ/4
の幅の電極指を半分の幅に切断することにより、形成す
ることができる。このようにして、上記IDT15と、
端面12a,12bを有する圧電共振子11を得ること
ができる。
【0024】圧電共振子11では、図2に示した従来の
SHタイプの表面波を利用した端面反射型表面波共振子
1と同様に、くし歯電極13,14から交流電圧を印加
することにより、電極指の延びる方向と直交する方向に
伝播するBGS波が励起され、該BGS波は端面12
a,12b間で反射される。
【0025】従って、圧電共振子11は、BGS波を利
用した端面反射型の表面波共振子である。圧電共振子1
1のインピーダンス−周波数特性を、図6に示す。
【0026】図6から明らかなように、圧電共振子11
では、2個の共振点Fr1 及びFr 2 が現れる。すなわ
ち、2つの共振特性が得られる。これは、IDT15
が、上記のように1,1,1,1,0,0,0,0,
1,1,1,1で間引きされた間引き電極により構成さ
れているためである。すなわち、上記のような形態の間
引き電極でIDT15が構成されているため、IDTで
決定される周波数スペクトルのメインローブを2個設計
できたことにより、2個の共振特性が得られる。
【0027】この場合、2個の共振点Fr1 及びFr2
間の周波数差は、約8MHzである。すなわち、前述し
たレイリー波を利用した二重モード共振子フィルタの場
合に比べて、大きな周波数差の2つの共振特性が得られ
る。これは、IDTで決定される周波数スペクトルのメ
インローブを2個設計できたためと考えられる。従って
圧電基板12の材料、寸法及びIDT15における間引
き電極の態様や電極指の寸法等を調整することにより、
比較的大きな適宜の周波数差を有する2つの共振点11
を有する圧電共振子を提供することができる。
【0028】よって、圧電共振子11は、例えば図1に
示したテレビジョン受像機やビデオテープレコーダーの
中間映像周波段におけるトラップフィルタとして好適に
用いることができる。すなわち、圧電共振子11は、単
一の素子で、2つのトラップ周波数を有するトラップ素
子として用いることができる。
【0029】上記のように、圧電共振子11は、単一の
素子でありながら、2つのトラップ周波数を有する。従
って、圧電共振子11を用いることにより、トラップ回
路の構成を簡略化することができる。しかしながら、圧
電共振子11では、例えばテレビジョン受像機の上記ト
ラップフィルタとして用いた場合、隣接チャンネル映像
周波数fap及び隣接チャンネル音声周波数fasの両トラ
ップ周波数における減衰量がそれぞれ13dB及び15
dB程度であり、なお十分でないという問題があった。
【0030】本発明は、上記のような特願平6−344
15に開示されている圧電共振子を用い、さらに2つの
トラップ周波数における減衰量を拡大すべく検討した結
果、見出されたものであり、上記のように請求項1に記
載の発明では、共振部間が並列に接続されることによ
減衰量の拡大が図られている。また、上記のように
請求項2に記載の発明では、2個の共振部の間接続す
ることにより減衰量の拡大が図られるとともに、2つ
のトラップ周波数内の高域側、すなわち映像キャリア周
波数での減衰量が大きくなることを防止する。
【0031】上記のように、2個の共振部、あるいは2
個の圧電共振子を並列に接続することにより減衰量が拡
大される理由は、2個の共振部、あるいは2個の圧電共
振子を並列に接続することにより共振点でのインピーダ
ンスが半分になることによる。また、インダクタンス素
子を2個の共振部の間にまたは2個の共振部の設けられ
ている部分の前段の少なくとも一方に、あるいは2個の
圧電共振子の間に、または2個の圧電共振子が設けられ
ている部分の前段の少なくとも一方に接続することによ
り減衰量が拡大され、2つのトラップ周波数内の高域
側、すなわち映像キャリア周波数での減衰量が大きくな
ることが防止される理由は、2個の共振部、あるいは2
個の圧電共振子の容量成分とインダクタンス素子とで形
成させた共振特性のピークが、映像キャリア周波数近傍
に存在することによる。
【0032】
【発明の効果】従って、請求項1に記載の発明では、2
個の共振部が並列に接続されているため、2個のトラッ
プ周波数における減衰量を十分大きくすることができ
る。しかも、請求項1に記載の発明では、単一の圧電共
振子において上記2個の共振部が構成されているため、
複数のトラップ周波数を有するトラップ回路を構成する
に際し、2個の共振子や共振回路を必要としない。よっ
て、トラップ回路の構成の簡略化も果たし得る。
【0033】さらに、請求項2に記載の発明では、2個
の共振部間インダクタンス素子が接続されるため、2
個のトラップ周波数における減衰量をさらに大きく大き
くすることができるとともに、2つのトラップ周波数内
の高域側、すなわち映像キャリア周波数での減衰量が大
きくなることを防止できる。
【0034】
【0035】
【0036】
【実施例の説明】以下、図面を参照しつつ実施例を説明
する。図7は、本発明の第1の実施例にかかるトラップ
回路を構成するのに用いられる圧電共振子を示す平面図
である。圧電共振子21は、矩形の圧電基板22を用い
て構成されている。圧電基板22は、例えば、チタン酸
ジルコン酸鉛系圧電セラミックスや、LiNbO3 圧電
単結晶もしくはLiTaO3 圧電単結晶等の圧電材料に
より構成されており、圧電セラミックスの場合には、図
示の矢印P方向に分極処理されている。すなわち、主面
と平行な方向であって、後述する表面波伝搬方向と直交
する方向に分極処理されている。
【0037】圧電基板22の上面には、2組のIDT2
3,24が構成されている。IDT23は、一対のくし
歯電極を有し、各くし歯電極は、それぞれ、複数本の電
極指23a,23bを有する。同様に、IDT24も一
対のくし歯電極を有し、各くし歯電極が、それぞれ、複
数本の電極指24a,24bを有する。
【0038】IDT23の一方のくし歯電極は、複数本
の電極指23aと、複数本の電極指23aを共通接続す
る共通電極25とを有する。共通電極25は、圧電基板
22の一方端縁に沿って形成されている。また、IDT
23の他方のくし歯電極は、複数本の電極指23bと、
共通電極26とを有する。
【0039】同様に、IDT24側においては、一方の
くし歯電極が、複数本の電極指24aと共通電極26と
を有する。この共通電極26は、IDT23側の上記他
方のくし歯電極と供用されている。IDT24の他方の
くし歯電極は、複数本の電極指24bと、共通電極27
とを有する。共通電極27は、圧電基板22の他方端縁
に沿うように形成されている。
【0040】共通電極25〜27は、それぞれ、端子電
極としても機能するものであり、それぞれ端子a,b、
cに接続されている。なお、上記IDT23,24を形
成することにより構成された第1,第2の共振部は、そ
れぞれ、前述したSHタイプの表面波の端面反射型圧電
共振子11と同様に構成されている。すなわち、複数本
の電極指23a,23b,24a,24bは、圧電基板
21の端面21a,21bと圧電基板21の上面との端
縁に沿う電極指を除いては、λ/4(ただし、λは表面
波の波長)の幅に、かつλ/4ピッチで形成されてお
り、上記端縁に沿う電極指のみがλ/8の幅に形成され
ている。
【0041】また、IDT23,24により構成されて
いる第1,第2の共振部は、それぞれ、図4に示した圧
電共振子11と同様に、2個の共振特性を有するように
構成されている。言い換えれば、圧電共振子21は、図
4に示した圧電共振子11を、上記共通電極26を形成
して、2個接続した構成に相当する。
【0042】また、各IDT23,24においては、上
記のようにそれぞれが2個の共振特性を有するようにI
DT23,24が重み付けされている。この重み付けに
ついては、図4に示した圧電共振子11と同様に、ダミ
ーの電極指を適宜配置し、前述した「1」及び「0」の
表現で示すように各電極指間領域を重み付けすることに
より行われ、それによって第1,第2の共振部が、それ
ぞれ2個の共振特性を有する。
【0043】上記圧電共振子21において、端子a及び
端子cを入出力端に接続し、端子bをアース電位に接続
し、テレビジョン受像機のトラップ回路を構成した。こ
の回路構成を図8に示す。図8において、28,29で
示す共振子は、それぞれ、前述した第1,第2の共振部
により構成されている。
【0044】上記圧電共振子21の前段には、抵抗31
が入力端INとの間に接続されており、入力端INと抵
抗31との間に、抵抗32がアース電位との間に接続さ
れている。他方、圧電共振子21の後段には、出力端O
UTとの間に抵抗33が接続されており、抵抗33と出
力端OUTとの間の接続点とアース電位との間に抵抗3
4が接続されている。
【0045】上記トラップ回路の減衰量−周波数特性を
図9に示す。上記のように、端子aと端子cを入出力端
の間に接続し、端子bをアース電位に接続したトラップ
回路では、図9から明らかなように、2つの周波数位置
においてトラップが構成され、トラップ周波数fap及び
asの何れにおいても、それぞれ、15dB及び17d
Bと減衰量が得られた。しかしながら、2つのトラップ
周波数内の高域側、すなわち映像キャリア周波数での減
衰量が大きくなっていた。
【0046】次に、図7に破線で示すように、上記圧電
共振子21の端子aと端子cとの間にインダクタンス素
子35を接続し、端子bをアース電位に接続することに
より、図10に示すトラップ回路を構成した。このトラ
ップ回路は、本発明の一実施例のトラップ回路を構成す
る。
【0047】図10に示すトラップ回路では、圧電共振
子21の端子aと端子cとの間にインダクタンス素子3
5が接続されている。圧電共振子21の前段及び後段
は、インダクタンス素子の接続の有無を除いては、図9
に示したトラップ回路と同様であるため、同一部分につ
いては、同一の参照番号を付することとする。
【0048】上記のようにして構成されたトラップ回路
の減衰量−周波数特性を図11に示す。図11におい
て、fap及びfasにおける減衰量は、それぞれ、22d
B及び27.5dBである。従って、図9と比較すれば
明らかなように、圧電共振子21の端子a,端子c間に
インダクタンス35を接続することにより、隣接チャン
ネル映像周波数fap及び隣接チャンネル音声周波数fas
において、それぞれ、減衰量を9dB及び12.5dB
拡大し得ることがわかる。また、図9と図11との比較
から明らかなように、映像キャリア周波数での減衰量が
小さくなり、映像キャリア周波数での減衰量が大きくな
ることが防止されている。
【0049】さらに、図12に示すように、端子aと端
子cとの間にインダクタンス素子35を接続し、さらに
圧電共振子21の前段にインダクタンス素子30を接続
し、トラップ回路を構成した。図12に示したトラップ
回路の減衰量−周波数特性を図13に示す。図13から
明らかなように、この構成では、隣接チャンネル映像周
波数fap及び隣接チャンネル音声周波数fasにおける減
衰量は、それぞれ、26dB及び33dBとなり、図1
0に示したトラップ回路に比べ、さらに各トラップ周波
数における減衰量を拡大し得ることがわかる。
【0050】なお、図8,図10及び図12に示した各
トラップ回路の隣接チャンネル映像周波数fap及び隣接
チャンネル音声周波数fasにおける減衰量を下記の表1
にまとめて示す。
【0051】また、上述した実施例においては、圧電共
振子28,29間にインダクタンス素子35を接続した
トラップ回路、あるいは圧電共振子28,29間にイン
ダクタンス素子35を接続しかつ圧電共振子の前段にイ
ンダクタンス素子30を接続したトラップ回路を示した
が、圧電共振子の前段にインダクタンス素子30を接続
したトラップ回路でも、図8に示したトラップ回路と比
較して、減衰量の拡大が図られているとともに、2つの
トラップ周波数内の高域側、すなわち映像キャリア周波
数での減衰量が大きくなることを防止することができ
る。すなわち、隣接チャンネル映像周波数fap及び隣接
チャンネル音声周波数fasにおいて、それぞれ21dB
及び24dBと拡大し得ることを確かめている。
【0052】
【表1】
【0053】図8,図10及び図12に示した実施例に
おいては、単一の圧電共振子21において、2個の共振
部間にインダクタンス素子を接続し、さらに必要に応じ
て圧電共振子の前段にインダクタンス素子30を接続し
ていたが、圧電共振子21に代えて、2つの圧電共振子
を用いることも可能である。
【0054】すなわち、図4に示した2個の共振特性を
有するSHタイプの表面波を利用した圧電共振子11を
2個用意し、図8,図10及び図12に示したトラップ
回路における第1,第2の圧電共振部28,29を各圧
電共振子11で構成してもよい。すなわち、2個の共振
特性を有するSHタイプの表面波を利用した圧電共振子
11を2個用意し、その間にインダクタンス素子35を
接続し、さらに必要に応じてその前段にもインダクタン
ス素子30を接続することにより、またはその前段のみ
にインダクタンス素子30を接続することにより上記実
施例と同様に2個のトラップ周波数における減衰量を効
果的に改善し得る。
【0055】回路構造の簡略化のためには、上述した圧
電共振子21を用いれば、共振部品として単一の素子を
用いることができるため好ましい。しかしながら、上記
のように、2個のSHタイプの表面波を利用した圧電共
振子11を用いた場合であっても、前述した実施例と同
様にトラップ周波数における減衰量を効果的に高め得
る。従って、従来のLC共振回路を用いたトラップ回路
に比べ、より大きな減衰量を実現し得るトラップ回路を
提供することができる。
【0056】なお、図4に示した圧電共振子11では、
IDTの重み付けが、ダミー電極指を前述したように配
置することにより行われ、それによって2個の共振特性
が実現されていた。しかしながら、SHタイプの表面波
を利用した圧電共振子のIDTを2個の共振特性を有す
るように重み付けする方法については、ダミー電極指を
用いたものに限らない。例えば、図14に示すように、
圧電共振子41において、くし歯電極43,44からな
るIDT45を、交差幅重み付けにより重み付けしても
よい。ここでは、圧電基板42が矢印P方向に分極処理
されており、端面42a,42b間でSHタイプを利用
した共振子、例えばBGS波が反射される圧電共振子が
構成されている。
【0057】IDT45では、くし歯電極43,44の
複数本の電極指の長さが適宜異ならされており、それに
よって隣接する電極指と表面波伝搬方向において重なり
あっている部分(交差部分)の幅(交差幅)が表面波伝
搬方向に沿って変化されている。このように、交差幅重
み付けが施されたIDTを用いた圧電共振子41におい
ても、図4に示した圧電共振子11と同様に、2つの共
振点が現れることが確かめられている。そして、この2
つの共振点の差は、図4に示した圧電共振子11の場合
と同様に約8MHz程度と大きくなることが確かめられ
ている。従って、本発明においては、圧電共振子41を
用いてトラップ回路を構成することもできる。また、圧
電共振子41において、圧電共振子21と同様に、圧電
基板上に複数の共振部が構成されるようにIDT45を
2組形成し、図10に示した実施例と同様に構成するこ
とも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】テレビジョン受像機の映像中間周波数段に用い
られるトラップ回路の減衰量−周波数特性を示す図。
【図2】SHタイプを利用した端面反射型表面波共振子
を示す斜視図。
【図3】(a)及び(b)は、図2に示した表面波共振
子の減衰量−周波数スペクトラム及びインピーダンス−
周波数特性を示す各図である。
【図4】2個の共振特性を有する端面反射型圧電共振子
を示す平面図。
【図5】図4に示した圧電共振子の斜視図。
【図6】図4及び図5に示した圧電共振子のインピーダ
ンス−周波数特性を示す図。
【図7】本発明の一実施例に用いられる圧電共振子を説
明するための平面図。
【図8】図7に示した圧電共振子を用いて構成されるト
ラップ回路の一例を示す回路図。
【図9】図8に示したトラップ回路の減衰量−周波数特
性を示す図。
【図10】本発明の一実施例にかかるトラップ回路を説
明するための回路図。
【図11】図10に示したトラップ回路の減衰量−周波
数特性を示す図。
【図12】本発明の他の実施例にかかるトラップ回路を
説明するための回路図。
【図13】図12に示したトラップ回路の減衰量−周波
数特性を示す図。
【図14】本発明に用いられる圧電共振子の他の例を説
明するための平面図。
【符号の説明】
21…圧電共振子 22…圧電基板 23,24…IDT 28,29…第1,第2の共振部 30,35…インダクタンス素子 41…圧電共振子 42…圧電基板 45…IDT
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−284713(JP,A) 特開 昭57−62616(JP,A) 特開 昭56−47116(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/25 H03H 9/145

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板と、前記圧電基板上に形成され
    たインターデジタルトランスデューサが2個の共振特性
    を有するように構成された第1の共振部と第2の共振部
    とを有し、前記第1の共振部を構成するインターデジタ
    ルトランスデューサの片側と前記第2の共振部を構成す
    るインターデジタルトランスデューサの片側とが共通電
    極によって互いに接続され前記第1の共振部と前記第
    2の共振部とが入出力端間とアース電位との間で電気的
    に並列に接続されている、SHタイプの表面波を利用し
    た圧電共振子を備える、トラップ回路。
  2. 【請求項2】 前記第1の共振部と前記第2の共振部と
    の間に接続されたインダクタンス素子をさらに備えるこ
    とを特徴とする、請求項1記載のトラップ回路。
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