JPH0241660B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動二輪車のフロントフオーク用とし
て好適な緩衝装置に関するものである。

自動二輪車のフロントフオークに採用されてい
るテレスコピツク型の緩衝装置は、外側と内側の
チユーブを軸方向に相対移動可能に嵌挿し摺動さ
せ、路面の凹凸による衝撃を緩和している。

ところで、ヘツドパイプに対して左右揺動自在
に取付けられた外側チユーブに、前輪を支持する
内側チユーブを嵌挿してなる倒立型の緩衝装置に
おいては、前輪の受ける衝撃力は、先ず内側チユ
ーブを上昇させて、次に外側チユーブ上端のプラ
グ下端部と内側チユーブ内のシリンダ上端部との
間に介挿された主スプリングに伝達される。

この主スプリングは、フロントフオークのスト
ロークが大きい方が路面からの衝撃力が緩和され
るのと、衝撃吸収能力を高めるためにできるだけ
長くし、かつ内側チユーブの内径近く迄主スプリ
ングの外径を大きくしている。

従つて、内側チユーブがその内部に設けられた
シリンダの上端により、主スプリングを圧縮しつ
つ上昇するときは、主スプリングが座屈により横
方向に撓み、内側チユーブの上端内周側と衝突
し、フロントフオークの滑らかな作動が損なわれ
ると共に、双方が損傷するという問題が生じる。

本発明はかかる問題を解決するためになされた
ものであり、ヘツドパイプに対して左右揺動自在
に取付けられた外側チユーブに、前輪を支持する
内側チユーブを、軸方向に相対移動可能に嵌挿し
た自動二輪車の前輪緩衝装置において、前記内側
チユーブのシリンダ部に嵌挿したピストンを取付
けたピストン桿上端を、外側チユーブ上部に設け
たプラグに固定し、前記ピストン桿に沿つて設け
られる主スプリングを前記内側チユーブ内に嵌挿
し、この内側チユーブの上端の少なくとも内周側
に斜面を設けたことを特徴とする。

以下、本発明を図に示す実施例により説明す
る。

第１図は本発明による緩衝装置を装備した自動
二輪車のフロント側要部を示したものである。

この第１図において、１はフロントフオークで
あり、互いに軸方向に相対移動可能に嵌挿した外
側チユーブ２と内側チユーブ３とから構成され、
後述するように内部において緩衝装置を構成して
いる。外側チユーブ２はヘツドパイプ４に対し左
右に揺動可能に支持されている。５は前輪であ
り、内側チユーブ３に支持されている。

第２〜第４図は、緩衝装置が内設された上記フ
ロントフオーク１の要部を示すものである。

この図において、外側チユーブ２の上端内側に
はプラグ６が気密性を保つように螺合し、さらに
このプラグ６の内側に調節ボルト７が気密性を保
つて螺合している。この調節ボルト７の上端内側
には六角孔７ａが設けられ、この六角孔７ａにレ
ンチ等を差込んで調節ボルト７を回動させると、
調節ボルト７はプラグ６に対し螺進を行い、上下
方向の位置を調節できるようにしてある。調節ボ
ルト７はサークリツプ８により外れ止めされる。
調節ボルト７のさらに内側にはキヤツプ９が気密
に嵌着し、このキヤツプ９に設けた空気バルブ１
０を介して、外側チユーブ２と内側チユーブ３内
の空気室１１に一定量の空気を封入することがで
きる。

一方、内側チユーブ３のシリンダ部に嵌挿した
ピストン（図示せず）はピストン桿１２の下端に
固定され、ピストン桿１２の上端部は上記プラグ
６の下端部まで延長している。このピストン桿１
２の上端部は、第４図に示すように非円形断面に
形成されてプラグ６の下端部に回動不能に嵌合
し、ナツト１３により固定されている。ピストン
桿１２の上端にはレンチ差込み用の六角穴１４が
穿設されている。

プラグ６の下端部には、ピストン桿１２を囲む
ように４個の貫通孔１５が設けられ、各貫通孔１
５にピン１６がそれぞれ摺動自在に嵌合してい
る。

この４本のピン１６の上下端に、それぞれ上部
受板１７、下部受板１８が固定され、下部受板１
８には主スプリング２０の上端が当接している。

従つて、調節ボルト７を回動することにより、
上部受板１７、ピン１６、下部受板１８が一体と
なつてプラグ６に対し上下に動くのでメインスプ
リングのイニシヤル荷重を車輌の搭載荷重に応じ
て調節することができる。

下部受板１８はピン１６によりプラグ６に保持
され、かつ下方に延長した筒状部１８ａを有し、
主スプリング２０の長手方向に沿うガイドとして
作用するようにしている。この筒状部１８ａは必
要により、図の鎖線で示すように、さらに下方へ
長く延長するようにしてもよい。

主スプリング２０は、ピストン桿１２に沿つて
内側チユーブ３内に嵌挿され、上端は前記のよう
に下部受板１８を介してプラグ６の下部に当接さ
せ衝撃力を受けている。

主スプリング２０の下端は内側チユーブ３内の
シリンダ上端（図示せず）に当接しているので、
内側チユーブ３の上昇に伴い、主スプリング２０
は圧縮され路面からの衝撃力を弾性エネルギーと
して貯える。

また、この実施例では、主スプリング２０は上
下二つに分離して設けられ、その二つの主スプリ
ング２０，２０の間にサポート２１が介在してい
る。サポート２１はピストン桿１２に摺動自在に
嵌合し、大径部２２は内側チユーブ３の内径より
も僅かに小さくなるように形成し、また小径部２
３は主スプリング２０の長手方向内周に沿わせて
いる。

従つて、前記下部受板１８の筒状部１８ａと共
に緩衝器内の主スプリング２０の位置を正しく保
持するガイドの役目をするから、主スプリングが
圧縮されて横方に撓む作用を減小させる。

しかし、筒状部１８ａやサポート２１のガイド
部材と主スプリング２０との間には製作誤差を考
え隙間を設けているので、前記のように筒状部１
８ａを長くしても、横方向の撓みを全くなくする
ことはできない。

従つて、内側チユーブ３の上端の少なくとも内
周側に斜面２４を設け、内側チユーブ３が上昇す
るとき主スプリング２０と接触しても、この斜面
２４の斜めの面で接触するようにして衝突により
発生する大きな力を分解し小さくして、双方が損
傷するのを防ぐと共に、フロントフオークの作動
が滑らかになるようにしている。

なお、サポート２１はエンジン振動によりピス
トン桿１２が共振を起すのを防ぐ作用もする。

また、フロントフオークの圧縮工程の途中で、
前記筒状部１８ａがサポート２１に当接するよう
に寸法を決めれば、その時点から上方スプリング
２０は撓まず、以後下方スプリング２０のみが撓
むことにより、スプリング特性を２段にすること
ができる。

ピストン桿１２の下端にはピストンが取付けら
れ、内側チユーブ３内の油を充満したシリンダ部
に嵌挿され、ピストンのシリンダ部に対する相対
的上下運動に伴い減衰力を発生してフロントフオ
ークの上下振動を低減する。

以上説明したように本発明は、ヘツドパイプに
対して左右揺動自在に取付けられた外側チユーブ
に、前輪を支持する内側チユーブを、軸方向に相
対移動可能に嵌挿した自動二輪車の前輪緩衝装置
において、前記内側チユーブのシリンダ部に嵌挿
したピストンを取付けたピストン桿上端を、外側
チユーブ上部に設けたプラグに固定し、前記ピス
トン桿に沿つて設けられる主スプリングを前記内
側チユーブ内に嵌挿し、この内側チユーブの上端
の少なくとも内周側に斜面を設けたことを特徴と
する。

従つて、前輪が路面の凹凸により衝撃力を受
け、次いで、内側チユーブが外側チユーブ内部を
上昇するとき、内側チユーブ内に嵌挿された主ス
プリングに圧縮による横方向の撓みが発生し内側
チユーブと接触しても、内側チユーブ上端の少な
くとも内周側に設けた斜面で接触するようにした
ので、衝突により発生する大きな力が分解されて
小さくなり、内側チユーブと主スプリングの双方
が損傷するのを防ぐことができる。同時にフロン
トフオークの作動が滑らかになるから乗心地を良
くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の緩衝装置を設けた自動二輪車
のフロント側要部を示す側面図、第２図は同緩衝
装置の要部の縦断面図、第３図は第２図の矢視
図、第４図は第２図の―矢視による断面図で
ある。 ２……外側チユーブ、３……内側チユーブ、４
……ヘツドパイプ、５……前輪、６……プラグ、
１２……ピストン桿、１８……下部受板、１８ａ
……筒状部、２０……主スプリング、２１……サ
ポート、２４……斜面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ヘツドパイプに対して左右揺動自在に取付け
   られた外側チユーブに、前輪を支持する内側チユ
   ーブを、軸方向に相対移動可能に嵌挿した自動二
   輪車の前輪緩衝装置において、前記内側チユーブ
   のシリンダ部に嵌挿したピストンを取付けたピス
   トン桿上端を、外側チユーブ上部に設けたプラグ
   に固定し、前記ピストン桿に沿つて設けられる主
   スプリングを前記内側チユーブ内に嵌挿し、この
   内側チユーブの上端の少なくとも内周側に斜面を
   設けたことを特徴とする自動二輪車の前輪緩衝装
   置。