JPH0826168A - ダンパー内蔵型フロントフォーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイルダンパーの全長を短かくして重量の軽
減と、コストダウンを図れ、フロントフォーク全体の全
長仕様が変わってもオイルダンパーの長さを変化させる
ことなくそのまま使用できる。 【構成】 ダンパーシリンダ１２の基端にコネクタ４を
結合し、このコネクタ４をインナーチューブ２の下部に
結合させたこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車等の車両に
おいて車体側と車輪側との間に介装して路面からの振動
等の衝撃を吸収緩和するフロントフォークに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のフロントフォークとしては、例
えば、実公昭４９−１１６２号公報及び実開昭４９−５
４２４３号公報に開示されたものが開発されている。

【０００３】実公昭４９−１１６２号公報に開示された
フロントフォークは、懸架用スプリングを内部に配設し
た一本のフロントフォークと内部にオイルダンパーを内
蔵した他の一本のフロントフォークの二本を１組とした
ものである。

【０００４】又、実開昭４９−５４２４３号公報に開示
されたフロントフォークは、アウターチューブとインナ
ーチューブとの内部にオイルダンパーを内蔵したもので
ある。

【０００５】そして、上記各公報に開示されているオイ
ルダンパー内蔵型フロントフォークは、アウターチュー
ブ内にインナーチューブを摺動自在に挿入し、各アウタ
ーチューブとインナーチューブとの内部にオイルダンパ
ーを挿入し、オイルダンパーはダンパーシリンダとこの
ダンパーシリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入
したピストンロッドとで構成されている。

【０００６】この場合、ダンパーシリンダの上端はイン
ナーチューブの上端に結合され、ピストンロッドの基端
はアウターチューブの内部下端に結合されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のフロントフォークには次のような問題点がある。

【０００８】ダンパーシリンダの上端がインナーチュ
ーブの上端に結合され、ピストンロッドの基端がアウタ
ーチューブの下端に結合されているから、オイルダンパ
ーの全長はフロントフォークが最大ストロークまで伸長
した長さを必要とする。

【０００９】この為、オイルダンパーが長くなり、重量
が重く、材料費が嵩み、フロントフォーク全体の重量、
コストにおいて不利となっている。

【００１０】フロントフォーク自体の全長仕様が変わ
るとその都度オイルダンパーの全長も変えなければなら
なくなり、不経済となる。

【００１１】そこで、本発明の目的は、オイルダンパー
の全長を短かくして重量の軽減と、コストダウンを図
れ、フロントフォーク全体の全長仕様が変わってもオイ
ルダンパーの長さを変化させることなくそのまま使用で
きるダンパー内蔵型フロントフォークを提供することで
ある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の構成は、アウターチューブ内にインナーチ
ューブが摺動自在に挿入され、アウターチューブとイン
ナーチューブとの内部にオイルダンパーが挿入され、オ
イルダンパーはダンパーシリンダとダンパーシリンダ内
にピストンを介して移動自在に挿入されたピストンロッ
ドとからなるダンパー内蔵型フロントフォークにおい
て、ダンパーシリンダはインナーチューブの下部に結合
され、アウターチューブの基端にピストンロッドの基端
を結合させたことを特徴とする。

【００１３】アウターチューブ内にインナーチューブが
摺動自在に挿入され、アウターチューブとインナーチュ
ーブとの内部にオイルダンパーが挿入され、オイルダン
パーはダンパーシリンダとダンパーシリンダ内にピスト
ンを介して移動自在に挿入されたピストンロッドとから
なるダンパー内蔵型フロントフォークにおいて、ダンパ
ーシリンダは当該ダンパーシリンダの基端に結合したコ
ネクタを介してインナーチューブの下部に結合され、ア
ウターチューブの基端に取付ボルトを起立させ、この取
付ボルトにピストンロッドの基端をロッドホルダーとナ
ットとを介して結合させるのが好ましい。

【００１４】コネクタが有底筒状に形成されると共に底
部にピストンロッドを挿通する孔とコネクタで区画され
た二つの室を連通する通孔とを形成し、ロッドホルダー
と截頭円錐状の円筒体で構成し、前記ナットと前記底部
とでオイルダンパーのストロークを規制し、且つ圧縮時
にコネクタをロッドホルダーに嵌合してオイルロックを
効かせるのが好ましい。

【００１５】ナットの軸方向長さ、又はコネクタを構成
する底部の肉厚を調整することによりオイルダンパーの
ストロークを調整するのが好ましい。

【００１６】

【作用】ダンパーシリンダがインナーチューブの下部に
結合されているから、ダンパーシリンダの上端はインナ
ーチューブに結合させる必要がなく、減衰力を発生させ
るのに十分な長さに加工でき、オイルダンパーの全長を
短かくできる。

【００１７】又、オイルダンパーは、インナーチューブ
に結合されているから、インナーチューブの伸縮ストロ
ークに連動して伸縮し、減衰力を発生させる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図にもとづいて説明
するが、各実施例のフロントフォークは、二本一組とし
て自動二輪車の車輪の両側にそれぞれ配設してもよく、
又は、二本一組のフロントフォークのうち、一本を本発
明の各実施例のものを使用し、他方を懸架スプリング内
蔵型のものを使用してもよい。

【００１９】図１は、本発明の一実施例に係るフロント
フォークを示す。

【００２０】アウターチューブ１内にインナーチューブ
２がベアリング８，９とシール７を介して摺動自在に挿
入され、アウターチューブ１は取付孔１１を介して車輪
に結合され、インナーチューブ２はブラケットを介して
車輪側に結合される。

【００２１】アウターチューブ１とインナーチューブ２
との内部には軸方向に沿ってオイルダンパー５が内蔵さ
れている。

【００２２】オイルダンパー５は、ダンパーシリンダ１
２とダンパーシリンダ１２内にピストンを介して移動自
在に挿入したピストンロッド１３とで構成され、ピスト
ンは減衰力発生機構を備え、ピストンロッド１３はベア
リング１６とシール部材１７とを貫通している。

【００２３】ダンパーシリンダ１２の下端たる基端にコ
ネクタ４が結合され、コネクタ４はインナーチューブ２
の下端内周に結合され、これによりダンパーシリンダ１
２がコネクタ４を介してインナーチューブ２に結合さ
れ、インナーチューブ２の伸縮ストロークに連動して伸
縮する。

【００２４】ダンパーシリンダ１２とコネクタ４は圧
入、かしめ、ねじ結合、溶接等で行なわれ、同じくイン
ナーチューブ２とコネクタ４は圧入、かしめ、ねじ結
合、溶接等で結合される。コネクタ４はアウターチュー
ブ１とインナーチューブ２内に二つの室Ａ，Ｂを区画し
ている。

【００２５】室Ａ，Ｂは、気体室でもよく、又は図示の
ようにオイルｃを封入してもよい。

【００２６】コネクタ４は、肉厚な部材で結合してもよ
いが、図示のように断面コ字状の有底筒体で成形される
のが好ましい。

【００２７】即ち、コネクタ４は、上壁たる底部４ａと
底部４ａから延びる筒部４ｂとで構成し、底部４ａには
ピストンロッド１３を挿通する孔と室Ａ，Ｂを連通する
通孔１０とが形成されている。

【００２８】ダンパーシリンダ１２に対するコネクタ４
の取付位置は、図示のものが好ましいが、コネクタ４
は、ダンパーシリンダ１２の上方、中間の外周に取り付
けても使用可能である。

【００２９】又、コネクタ４は、インナーチューブ２の
下端に結合するのが好ましいが、中間、下部の任意の位
置に結合してもよい。

【００３０】アウターチューブ１の下端中央には取付ボ
ルト１４がワッシャ１５を介して挿入され、この取付ボ
ルト１４のねじ部に円筒状のロッドホルダー６がねじ結
合され、ロッドホルダー６の上方にピストンロッド１３
の基端がねじ結合され、且つナット３で締め付けられて
いる。

【００３１】これによりピストンロッド１３の基端がロ
ッドホルダー６とナット３と取付ボルト１４とを介して
アウターチューブ１１に結合されている。

【００３２】最圧縮時にコネクタ４の底部４ａの下面が
ナット３の上端に当接して、あるいはコネクタ４の筒部
４ｂの下端がアウターチューブ１の基端上に当接して圧
縮ストロークを規制している。

【００３３】圧縮ストロークの調整は、ナット３の軸方
向の長さを調整したり、又は、コネクタ４の底部４ａの
肉厚あるいは筒部４ｂの長さを調整することにより達成
できる。

【００３４】この為、ストローク仕様に応じてオイルダ
ンパー５をその都度交換する必要はなく、長さの異なる
ナット３を交換したり又は底部４ａの肉厚あるいは筒部
４ｂの長さの異なるコネクタ４を交換するだけで対応で
きる。

【００３５】上記のフロントフォークは、同じものを二
本自動二輪車の車輪両側に配置してもよいが、一方のフ
ロントフォークを上記実施例のものを使用し、他方のフ
ロントフォークを後述する図３のスプリング内蔵型のフ
ロントフォークを使用してもよい。

【００３６】伸縮作動時にインナーチューブ２が上下方
向にスライドし、この時コネクタ４を介してダンパーシ
リンダ１２が伸縮し、オイルダンパー５で減衰力を発生
させる。

【００３７】ナット３は、金属、合成樹脂で成形される
が、衝撃を吸収するため、ゴム等の弾性な材料で成形し
てもよい。

【００３８】図２は、本発明の他の実施例に係り、これ
はロッドホルダー６を油孔桿として兼用させたものであ
る。

【００３９】その他の構成、作用、効果は、図１の実施
例と同じであり、同一の部材は同一の符号を付すことで
詳細は省略する。

【００４０】ロッドホルダー６は、図示のように、外周
にストレート部６ａと上部にテーパ面６ｂとを形成した
截頭円錐状の円筒体で構成されている。

【００４１】コネクタ４は、筒部４ｂの肉厚を若干太く
し、最圧縮時近傍でコネクタ４がロッドホルダー６の外
周に嵌合し、徐々にオイルロックが効くようになってい
る。

【００４２】図３は、本発明の参考例に係り、これは、
図１、又は、図２のフロントフォークと組み合わされて
使用されるスプリング内蔵型フロントフォークである。

【００４３】このフロントフォークは、アウターチュー
ブ３１と、アウターチューブ３１内にベアリング３８，
３９とシール３７とを介して摺動自在に挿入したインナ
ーチューブ３２と、インナーチューブ３２内に移動自在
に挿入したロッド３３と、ロッド３３の上端スプリング
シート３３ａとインナーチューブ３２の上端との間に介
装した懸架スプリング４１とで構成されている。

【００４４】ロッド３３の基端は、上記フロントフォー
クの実施例と同じくロッドホルダー６とナット３とボル
ト１４とを介してアウターチューブ３１の下端に結合さ
れている。

【００４５】ロッド３３の上端にはフランジ状のスプリ
ングシート３３ａが一体に設けられ、このスプリングシ
ート３３ａは、懸架スプリング４１の下端を担持し、最
伸長時にはインナーチューブ３２の下端、又は、下方内
周に設けたリング状のストッパ４０に当接して伸長スト
ロークが規制されるようになっている。

【００４６】インナーチューブ３２とアウターチューブ
３１との内部にはそれぞれ気体又は気体とオイルを封入
した室Ｂ，Ａが設けられている。

【００４７】伸縮時に路面から入力された振動等の衝撃
は懸架スプリング４１で吸収される。

【００４８】ロッドホルダー６とストッパ４０とは図２
の実施例に示すような構造にしてオイルロックを効かせ
るようにしてもよい。

【００４９】

【発明の効果】本発明によれば、次の効果がある。

【００５０】請求項第１、２の発明によれば、ダンパ
ーシリンダの上端をインナーチューブの上端に結合する
必要がなく、この為ダンパーシリンダが短かく成形で
き、オイルダンパーの全長が短かくなり、重量の軽減化
が図れ、材料が節約されてコストダウンを図れる。

【００５１】請求項１、２の発明によれば、フロント
フォーク全長の仕様が変わり、その都度インナーチュー
ブやアウターチューブの長さを変えてもその長さに応じ
てダンパーシリンダの長さを変えることなく同一タイプ
のオイルダンパーを内蔵させるのみでよいから、オイル
ダンパーの共通化が図れ、生産管理面におけるコストダ
ウンを達成できる。

【００５２】請求項３の発明によれば、ロッドホルダ
ーが油孔桿として機能し、最圧縮時近傍でオイルロック
を効かせることができる。

【００５３】請求項４の発明によれば、オイルダンパ
ーのストローク仕様が変る場合に、ナットの長さを調整
したり、底部の肉厚の異なるコネクタを交換するだけで
対応でき、オイルダンパー全体を交換する場合に比べて
大巾にコストダウンを図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るフロントフォークの縦
断正面図である。

【図２】本発明の他の実施例に係るフロントフォークの
縦断正面図である。

【図３】本発明の参考例に係るフロントフォークの縦断
正面図である。

【符号の説明】

１ アウターチューブ ２ インナーチューブ ３ ナット ４ コネクタ ４ａ 底部 ５ オイルダンパー ６ ロッドホルダー １０ 通孔 １２ ダンパーシリンダ １３ ピストンロッド １４ 取付ボルト Ａ，Ｂ 室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 敏博 東京都港区浜松町二丁目４番１号 世界貿 易センタービル カヤバ工業株式会社内 (72)発明者 石井 康史 東京都港区浜松町二丁目４番１号 世界貿 易センタービル カヤバ工業株式会社内 (72)発明者 城 忠 東京都港区浜松町二丁目４番１号 世界貿 易センタービル カヤバ工業株式会社内 (72)発明者 西田 信一 東京都港区浜松町二丁目４番１号 世界貿 易センタービル カヤバ工業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アウターチューブ内にインナーチューブ
   が摺動自在に挿入され、アウターチューブとインナーチ
   ューブとの内部にオイルダンパーが挿入され、オイルダ
   ンパーはダンパーシリンダとダンパーシリンダ内にピス
   トンを介して移動自在に挿入されたピストンロッドとか
   らなるダンパー内蔵型フロントフォークにおいて、ダン
   パーシリンダはインナーチューブの下部に結合され、ア
   ウターチューブの基端にピストンロッドの基端を結合さ
   せたことを特徴とするダンパー内蔵型フロントフォー
   ク。
2. 【請求項２】 アウターチューブ内にインナーチューブ
   が摺動自在に挿入され、アウターチューブとインナーチ
   ューブとの内部にオイルダンパーが挿入され、オイルダ
   ンパーはダンパーシリンダとダンパーシリンダ内にピス
   トンを介して移動自在に挿入されたピストンロッドとか
   らなるダンパー内蔵型フロントフォークにおいて、ダン
   パーシリンダは当該ダンパーシリンダの基端、上方外周
   又は中間外周に結合したコネクタを介してインナーチュ
   ーブの下部又は中間に結合され、アウターチューブの基
   端に取付ボルトを起立させ、この取付ボルトにピストン
   ロッドの基端をロッドホルダーとナットとを介して結合
   させたことを特徴とするダンパー内蔵型フロントフォー
   ク。
3. 【請求項３】 コネクタが有底筒状に形成されると共に
   底部にピストンロッドを挿通する孔とコネクタで区画さ
   れた二つの室を連通する通孔とを形成し、ロッドホルダ
   ーを截頭円錐状の円筒体で構成し、前記ナットと前記底
   部とでオイルダンパーのストロークを規制し、且つ圧縮
   時にコネクタをロッドホルダーに嵌合してオイルロック
   を効かせることを特徴とする請求項２記載のダンパー内
   蔵型フロントフォーク。
4. 【請求項４】 ナットの軸方向長さ、又はコネクタを構
   成する底部の肉厚を調整することによりオイルダンパー
   のストロークを調整することを特徴とする請求項３記載
   のダンパー内蔵型フロントフォーク。