JP2558160Y2 - フロントフォーク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は自動二輪車等の車体と車
軸間に介装されて路面からの振動を減衰する緩衝器とフ
ォークを兼ねたフロントフォークに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のフロントフォークとして、例え
ば実開昭６３−５０７９５号公報に開示されたものが開
発されている。

【０００３】このフロントフォークはアウターチューブ
内にインナーチューブを摺動自在に挿入し、 これらチ
ューブ内部にダンパーシリンダを介装し、当該ダンパー
シリンダにピストンを介してピストンロッドを移動自在
に挿入したダンパーを内蔵すると共に、ダンパーの一端
をアウターチューブに他端をインナーチューブに連結し
てなるダンパー内蔵型フロントフォークに於て、前記ピ
ストンロッドを連結するチューブの端部内周にキャップ
外周が螺合され、当該キャップの内周はピストンロッド
の上部外周に螺合されるとともに、ロックナットで締め
付けられ、前記ロックナットにピストンロッド外周に嵌
合する長いインロー部を設けたことを特徴とするもので
ある。

【０００４】上記のフロントフォークの場合、ピストン
ロッドに車体側チューブたるアウターチューブ側のキャ
ップを結合する場合、先ずピストンロッドの上部ねじ部
にロックナットをねじ込み、次にロックナットより上方
に突き出ているピストンロッドの上端部にキャップをね
じ込み、最後にキャップとロックナットを締め上げ、ロ
ックナットで弛みを防止させている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】上記のフロントフォー
クでは、その伸縮作動によってピストンロッドに繰り返
し曲げ応力が負荷されるとロックナットのインロー部内
周に対応するピストンロッドの外周の接触面に浸食、い
わゆるフレッティング現象が生じピストンロッドの強度
を低下させる場合がある。

【０００６】この為、ピストンロッドの径を太くした
り、フレッティング現象に耐える材料でピストンロッド
を成形しているが、この場合には重量が増加し、材料費
が嵩むという不具合がある。

【０００７】そこで本考案の目的は、ピストンロッドの
耐久性を向上させ、ピストンロッドを細くして重量の軽
量化を図り、且つ安価な材料でも成形できるようにした
フロントフォークを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の構成は車体側チューブ内に車輪側チューブ
を摺動自在に挿入し、これらチューブ内部にダンパーシ
リンダを介装し、当該ダンパーシリンダにピストンを介
してピストンロッドが移動自在に挿入し、車体側チュー
ブの端部内周にキャップ外周が螺合され、当該キャップ
の内周はピストンロッドの上部外周に螺合されるととも
に、ロックナットで締め付けられ、前記ロックナットに
ピストンロッド外周に嵌合する長いインロー部を設けた
フロントフォークにおいて、前記ロックナットのインロ
ー部内周とピストンロッド外周との間にピストンロッド
より柔かい材質からなるフレッティング防止材を介在さ
せたことを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】インロー部とピストンロッドとの間にフレッテ
ィング防止材を介装しているため、伸縮作動時にピスト
ンロッドに繰り返し曲げ応力が負荷されてもピストンロ
ッドの外周には浸食等が生じない。

【００１０】

【実施例】以下本考案の実施の一例を図にもとづいて説
明する。

【００１１】車輪側チューブたるアウターチューブ１内
にベアリングを介して車体側チューブたるインナーチュ
ーブ３が摺動自在に挿入され、アウターチューブ１の下
端中央から上方にダンパーシリンダが起立し、ダンパー
シリンダ内にはピストンを介してピストンロッド６が移
動自在に挿入され、ピストンロッド６の上端はインナー
チューブ３の上部と結合してダンパー内蔵型のフロント
フォークを構成している。

【００１２】インナーチューブ３の上端内側には中空部
４３を設けたキャップ４４がねじとシールを介して上下
移動自在に螺合され、このキャップ４４の内周も中空ピ
ストンロッド６の上部外周にねじ部４５を介して螺合さ
れ、これによりピストンロッド６とインナーチューブ３
はキャップ４４を介して連動している。

【００１３】キャップ４４の外周外部には中空な支持材
４６と筒体４７とからなる保持部材４８を介してスプリ
ングシート１３が担持されている。

【００１４】又キャップ４４の移動量に応じて気体室８
と中空部４３の容積が変化し、気体室８のばね荷重も調
整される。

【００１５】キャップ４４の内周下部にロックナット４
９が設けられ、このロックナット４９の内周はねじ部４
５を介してピストンロッド６に螺合され、ロックナット
４９を介してキャップ４４が締め付けられる。

【００１６】ロックナット４９は大径部５０と段部５１
とインロー部５２とからなり、大径部５０の内周ねじが
ねじ部４５と螺合し、インロー部５２の内周はピストン
ロッド６の外周上部とフレッティング防止材Ａを介して
当接している。

【００１７】即ち、インロー部５２内周とピストンロッ
ド６の外周との間に樹脂等からなるコーティングとして
のフレッティング防止材Ａが介在している。

【００１８】このコーティングは図１，図２に示すよう
に介在してもよく、又は図３の実施例に示すように樹
脂、金属等からなるフレッティング防止材としてのブッ
シュＢを介在させてもよい。

【００１９】フレッティング防止材Ａ，Ｂはピストンロ
ッド６の材質よりも柔かい材料で成形され、ピストンロ
ッド６外周の浸食等を防止するものである。

【００２０】インロー部５２がピストンロッド６にフレ
ッティング防止材Ａ，Ｂを介して当接しているから、フ
ロントフォークの伸縮作動時にねじ部４５やピストンロ
ッド６自体に曲げ応力が繰り返し発生しても、フレッテ
ィング現象による強度低下が防止され、疲労寿命を向上
できる。

【００２１】又、ロックナット４９に段部５１を設けた
のは、組立時にこの段部に水平方向から治具を差し込ん
で引掛けておき、懸架スプリング１４の荷重に影響され
ることなく、スパナ等でロックナット４９を回動できる
ようにしたものである。

【００２２】キャップ４４とピストンロッド６の上部内
側には操作ロッド３６を上下方向に駆動するスライド部
材５３，５４が挿入され、上方のスライド部材５３はア
ジャスタ５５と異形結合しながら上下方向に移動でき、
アジャスタ５５はディテント機構５６で位置決めされ
る。

【００２３】スライド部材５３の内側には封入バルブ５
７が挿入され、この封入バルブ５７を介して気体室８に
気体が封入される。上記のフロントフォークは正立型フ
ロントフォークであるが、倒立型フロントフォークに使
用できる。

【００２４】

【考案の効果】本考案によれば、次の効果がある。

【００２５】ロックナットのインロー部とこのインロ
ー部に対応するピストンロッドとの間にフレッティング
防止材を介在させているから、ピストンロッドに繰り返
し曲げ応力が負荷されても浸食されず、強度低下を防止
し、寿命を向上させることができる。

【００２６】ピストンロッドにはフレッティング現象
が生じないから細くて、軽くて、柔かい材料でも成形可
能となり、フロントフォーク自体の重量低減を図れ、併
せて材料費のコストダウンが図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るフロントフォークの一
部縦断正面図である。

【図２】インロー部における図１の拡大断面図である。

【図３】インロー部における他の実施例の拡大断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 車輪側チューブ ３ 車体側チューブ ６ ピストンロッド ４４ キャップ ４９ ロックナット ５２ インロー部 Ａ フレッティング防止材 Ｂ フレッティング防止材たるブッシュ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体側チューブ内に車輪側チューブを摺
   動自在に挿入し、これらチューブ内部にダンパーシリン
   ダを介装し、当該ダンパーシリンダにピストンを介して
   ピストンロッドが移動自在に挿入し、車体側チューブの
   端部内周にキャップ外周が螺合され、当該キャップの内
   周はピストンロッドの上部外周に螺合されるとともに、
   ロックナットで締め付けられ、前記ロックナットにピス
   トンロッド外周に嵌合する長いインロー部を設けたフロ
   ントフォークにおいて、前記ロックナットのインロー部
   内周とピストンロッド外周との間にピストンロッドより
   柔かい材質からなるフレッティング防止材を介在させた
   ことを特徴とするフロントフォーク。