JPH024115B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はメモリ機能を有する薄膜EL（Ｅlectro
Ｌuminescence）素子に関するものである。

従来、高性能化を図つた薄膜EL素子としては、
第１図に示すように、ガラス基板１上に順次、透
明電極２，第１絶縁層３，発光層４，第２絶縁層
５および背面電極６を積層した構造となし、前記
発光層４にMn，Tbなどの不純物をドープした
ZnS発光層を用いて透明電極２と背面電極６間に
印加する交流電圧によつて駆動することにより、
長寿命でかつ高輝度の発光を得ているものがあ
る。なお、図中、１０は駆動用交流電源である。

このような発光層４を第１および第２絶縁層
３，５ではさんだ三層構造の薄膜EL素子におい
ては、発光層４に過剰のMnなどの不純物をドー
プすると、印加電圧に対する輝度の発光特性にヒ
ステリシスをもつたメモリ効果が現われることが
知られている。しかしながら、このようなメモリ
特性を有する薄膜EL素子では、過剰のMnなどの
不純物をドープしているために低輝度であり、ま
たメモリ幅が狭く、特性の再現性を欠けるため実
用化にいたつていない実情である。また、絶縁層
にイオン注入することによつても同様の効果が認
められているが、イオン照射による輝度の低下や
メモリ幅が狭いなどの問題がある。

本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、そ
の目的は高輝度でかつ安定したメモリ機能をもつ
た新規な薄膜EL素子を提供することにある。

このような目的を達成するために、本発明は、
一対の電極間に発光層を絶縁層ではさんだ三層構
造を有する薄膜EL素子において、前記発光層と
絶縁層との界面の少なくとも一方に、前記発光層
および絶縁層より誘電率が小さくかつ0.003〜
0.02μｍの薄厚を有する中間絶縁層を介在したこ
とを特徴とするものである。

すなわち、本発明者は、発光層を絶縁層ではさ
んだ三層構造の薄膜EL素子において、発光層と
絶縁層との界面の一方に中間絶縁層を介在したと
ころその薄厚の厚さ、誘電率によつてメモリ特性
が変わることを見出し、中間絶縁層の厚さが
0.003〜0.02μｍの範囲でかつ誘電率が発光層およ
び絶縁層より小さいときに高輝度でかつ安定した
メモリ特性を得ることができたものである。

以下、本発明の実施例を図に基いて説明する。

第２図は本発明に係る薄膜EL素子の一実施例
を示す基本構造図であり、同図において第１図と
同一または相当部分は同一符号を付している。こ
こで、透明電極２を施したガラス基板１上に、ス
パツタ法などによつてSi₃N₄，Y₂O₃あるいは
Al₂O₃などからなる第１絶縁層３を0.2μｍ〜0.3μ
ｍの厚さに形成する。

次いで、第１絶縁層３上に蒸着法などでSiO₂
あるいはSiOなどからなる中間絶縁層７ａを0.003
〜0.02μｍの厚さに被着形成するとともに、その
中間絶縁層７ａ上に発光層としてのZnS：Mn発
光層４を0.5μｍ程度に形成し、さらに、前記発光
層４上に蒸着法などで上記中間絶縁層７ａと同様
に0.003〜0.02μｍ程度の薄厚を有する中間絶縁層
７ｂを形成する。このとき、前記発光層４にドー
プするMn濃度は最も高濃度となる0.5wt％程度
であればよい。

その後、前記発光層４の活性化のために550〜
650℃の雰囲気中にて１時間程度の熱処理を施す。
そして中間絶縁層７ｂ上に第１絶縁層３と同様に
Si₃N₄，Y₂O₃あるいはAl₂O₃からなる第２絶縁層
５を形成し、しかる後Alなどの背面電極６を蒸
着法などによつて被着形成することにより、第２
図に示すす如く発光層４と各絶縁層３，５との界
面にそれぞれ中間絶縁層７ａ，７ｂを介在した構
造の薄膜EL素子を作製することができる。

第３図は上記実施例によつて得られた薄膜EL
素子の発光特性を示し、周波数にして5KHzの矩
形波電圧によつて駆動したときのもので、輝度が
高くかつヒステリシスのメモリ効果をもつ発光特
性が得られた。なお、第３図において横軸は印加
電圧Ｖを、縦軸は発光輝度Ｂをそれぞれとつてあ
る。

このようなメモリ現象の機構についてはまだ解
明されていないが、本発明に係る薄膜EL素子の
メモリ現象の概要は次のように推察することがで
きる。すなわち、中間絶縁層７ａ，７ｂと第１，
第２絶縁層３，５との界面にはトラツプ単位が形
成されており、その界面の電界が高電界になる
と、トラツプ準位からトラツプされていた電子が
各中間絶縁層７ａ，７ｂを介してトンネリングま
たはプールフレンケル効果によつて発光層４に注
入され、伝導電子の増加により高輝度を呈すると
思われる。この状態で印加電圧が下がつても伝導
電子は交流電圧によつて発光層４中を往復しなが
ら発光中心を励起し、発光は維持される。さらに
印加電圧が下がると、伝導電子の速度が低下し元
のトラツプ準位にトラツプされる確率が高くなつ
て発光は止まる。再び印加電圧を上げていくと、
トラツプ準位から電子が注入される高電圧まで非
発光状態が維持れるものと推察される。

したがつて、メモリ特性は各中間絶縁層７ａ，
７ｂの厚さ、誘電率によつて変わることが確認さ
れた。この実験結果によると、中間絶縁層７ａ，
７ｂの厚さが薄過ぎるとメモリ幅が狭くなり、逆
に厚過ぎると印加電圧が高くなるので、0.003〜
0.02μｍの範囲で良好な結果が得られた。なお、
このときの中間絶縁層７ａ，７ｂの誘電率は小さ
い方が電界がかかりやすくなり、発光層４
（ZnS：Mnのとき８〜９）および第１および第２
絶縁層３，５（Al₂O₃では８，Si₃N₄では７，
Y₂O₃では15など）より誘電率の小さいSiOある
いはSiO₂（誘電率は約４）を中間絶縁層に用いる
方が好ましいことがわかつた。

なお、上記実施例では中間絶縁層を、発光層と
絶縁層との各界面にそれぞれ介在した場合につい
て示したが、その界面のいずれか一方に中間絶縁
層を介在しても同様の効果が得られるものであ
る。

以上説明したように本発明によれば、通常メモ
リ効果を有しない発光層を絶縁層ではさんだ三層
構造の高輝度薄膜EL素子において、前記発光層
と絶縁層との界面の少なくとも一方に中間絶縁層
を介在することにより、そのEL素子の輝度を下
げることなく、しかも中間絶縁層の膜厚制御によ
つて安定なメモリ機能を有する新規な薄膜EL素
子を得ることができる。また、本発明によると、
従来と同様の薄膜形成用蒸着装置を利用し得るの
で、製造上、有利となるなどの利点を奏すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の薄膜EL素子の一例を示す要部
断面図、第２図は本発明に係る薄膜EL素子の一
実施例を示す要部断面図、第３図は第２図の実施
例により得られた薄膜EL素子の発光特性図であ
る。 １……ガラス基板、２……透明電極、３……第
１絶縁層、４……発光層、５……第２絶縁層、６
……背面電極、７ａ，７ｂ……中間絶縁層、１０
……交流電源。

【特許請求の範囲】

１ 一つの共通な電源に対して、互いに並列に複
数の照明灯を接続するものにおいて、前記電源と
直列であつて、前記各照明灯に共通な回路に、こ
の回路を一時的に開路することによつて、前記各
照明灯の個々の各回路に対し、共通な節電督促信
号を流布し、伝達するための共通スイツチを挿入
し、前記各照明灯の個々の回路に、前記節電督促
信号に応動してこの回路を開路する応動形スイツ
チを、直列に挿入し、また、前記各応動形スイツ
チに、それを任意選択的に閉路するための、前記
節電督促信号に対するキヤンセルスイツチを接続
したことを特徴とする節電督促形消灯装置。