JPH0239797Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は壁面形成用パネルに係り、詳しくは、
無機系スペーサーを介して複数の金属コルゲート
成型板を互いに直交積層せしめ、強度、特に防
音、防熱性を向上せしめて各種建屋の内外壁形成
用としてより好適ならしめた長尺積層パネルに関
する。

（従来の技術） 従来、工場、倉庫、店舗等の各種建屋の内外周
に張設して壁面を形成せしめる建材としては一般
に、木質系、石質系、樹脂系、金属系等各種材料
の成型になる各種形状の建材があり、夫々の各持
性に応じて内部の隔壁或いは外壁の形成用として
広く一般に使用され新製品の開発も相次いでい
る。

これら壁面形成用建材のうち金属系材料の成型
になるものとしては古くからのブリキ、トタン板
があり、また近年の代表的なものとしては塗装鋼
板、着色亜鉛鉄板、被覆鋼板等の各種波板状又は
平板状の各種表面処理鋼板が挙げられるが、これ
らは何れも比較的低価格であり、軽量にして加工
容易、かつ耐火、耐候性も具えており、特に上記
波形断面の波形畝を設けた折板構造、サイデイン
グ、スパンドレル等の所謂、金属コルゲート成型
板（通称波板）は外壁用として相応の強度及び各
耐性を有し、美麗かつ堅牢な表面処理とも相俟つ
て工場、倉庫、或いはプレフアブ住宅等の外周に
張設して好評であり、広く使用されている。

更に最近では上記表面処理鋼板を表裏２層、そ
の間に補強枠、断熱材等を配して表裏一体となし
たパネルも種々開発されているが、これらパネル
は夫々単体で充分に壁面としての強度を具備し、
かつ或る程度の防熱、防音等の機能も併有してい
ることから、現在では工場、倉庫はもとより店
舗、住宅に至るまでその内外壁にも適用され広く
一般に普及しつつある。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、叙上の如き従来の金属コルゲート成
型板にあつては、単に一枚の薄い金属板に各種波
形の波形畝を一定方向に設け、該畝構成により板
厚方向での強度を補強したのみのものであるか
ら、それをそのまま建屋外周に張設して外壁を形
成せしめた場合、台風等大きく作用する外力下に
あつてはシート自体の強度が不足し、シートの変
形、破損は避けられず、また単体で用いた場合、
内外の熱及び騒音をそのまま伝導するという問題
がある。

また、最近開発されたパネルの場合、表裏の平
板又は金属コルゲート成型板が、その間に嵌装さ
れた金属製の補強枠に夫々直接接着せしめられパ
ネルとして形成されたものであり、強度面では著
しく向上するものの、パネル内空間に如何に防
熱、防音材を充填したところで熱及び騒音は上記
補強枠を介して直接表裏の平板又は金属コルゲー
ト成型板に伝播されることから、所期の防熱、防
音効果を達し得ないという構造上での問題があ
る。

本考案はかかる実状に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは上記問題を解決し、従来
のパネルにおける金属製の補強枠を廃し、無機系
スペーサーを介して複数の金属コルゲート成型板
を互いに直交させ積層形成せしめることにより、
内外壁形成用としての強度ならびに充分な防熱、
防音性等を具有せしめた長尺積層パネルを提供す
ることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するための手段として本考案
に係る長尺積層パネルは、無機系スペーサーを介
して複数の金属コルゲート成型板を波形畝方向の
縦、横、縦、横の順序に順次直交させて耐火、軽
量、断熱、吸音、遮音、換気性を具有せしめた構
成が採り入れられている。

（作 用） しかして、上記の構成によれば本考案は無機系
スペーサーを介して複数の金属コルゲート成型板
を波形畝方向の縦、横、縦、横の順序に各々に順
次、直交させてなるパネルであるから、各層の金
属コルゲート成型形は互いに直接接触することな
く、各層間には何れも無機系スペーサーが存在し
ており、パネルの一面に直接熱及び騒音を受けた
としてもすべて無機系スペーサーにより遮断、吸
収されてパネルの他面にはそのままの温度、音量
で達することはない。

このとき、該パネルは、その各層の金属コルゲ
ート成型板が互いにその波形畝方向を縦、横の順
に直交して固定されてなることから、各層間に嵌
装された無機系スペーサーとも相俟つて各層の成
型板は、大きな外力に対抗する耐圧縮、耐曲げ、
耐ねじれ力を互いに補完し助長し合うことにな
り、前述の課題は解決されるに至る。

（実施例） 以下、添付図面に示した実施例に基づいて本考
案を更に詳細に説明する。

第１図は本考案に係る長尺積層パネルの斜視概
略図であり、第２図は第１図のＡ−Ａ線部分の一
部破断斜視概略図で、第３図ａ〜ｅは第１図、第
２図のパネルｐ形成に必要とする各成型部材の形
状を示す斜視概略図である。

各図において本考案に係る長尺積層パネルｐは
同じ広幅畝５本の折板状波形を有する金属コルゲ
ート成型板１，２を表裏の外層とし、その長さ方
向の両側面には側部額縁材としての断面凹状の無
機系スペーサーS₁，S₁が、又両端面には端部額縁
材としての無機系スペーサーS₂，S₂が夫々嵌挿固
着されてパネルｐの外形が形成されている。

そして、パネルｐ内部には第３図ｅに示す如き
細畝多数の折板状波形を有する金属コルゲート成
型板３が、その波形畝方向を上記パネルｐ外層の
成型板１，２の各波形畝方向に対し第２図に示す
如く直角に交叉し、その両面に中間材としての板
状の無機系スペーサーS₃，S₃を夫々有して上記外
層の成型板１，２の間に挟着されたサンドウイツ
チ状となつており、更に上記中間材としての無機
系スペーサーS₃，S₃と外層の成型板１，２との間
の波形空間内には軽量不燃性の多孔質充填材４が
が充填されている。

上記パネルｐを積層形成する金属コルゲート成
型板１，２，３の材質としてはステンレス鋼等は
好適ではあるものの、価格的な面を考慮すれば表
面処理を施した普通鋼板（JIS−SS41）の波形畝
成形になるものが一般的である。

また、上記実施例、図面におけるパネルｐの金
属コルゲート成型板１，２，３の波形は折板状の
広幅、細畝の組み合わせであるが、敢えて上記波
形、組み合わせに限定されるものではなく、他の
種々な波形及びそれらの組み合わせによつても可
能であり、その積層数としては３層が好適であり
かつ10層程度までが好ましい。

そして、金属コルゲート成型板１，２と中間材
としての無機系スペーサーS₃，S₃との間に形成さ
れている波形空間内には発泡セメント、パーライ
トセメント等の軽量不燃性の多孔質充填材４が充
填されており、これらはパネルｐ自体の強度を補
強するのみならず、その防熱、防音、通気性をも
助長し得て好適であるが、その充填態様について
は、前記実施例に限定されるものではなく、例え
ばパネルｐ内の外面側の波形空間内のみ充填し、
他の内面側には充填せず、双方の使い別け効果を
得ることも可能であり、パネルｐ内の全空間内に
充填することも好ましい。

更に、パネルｐ内部の各金属コルゲート成型板
１，２，３間に夫々配される中間材としての無機
系スペーサーS₃，S₃は上記実施例にあつてはいず
れも板状のものであるが、その形状、寸法等につ
いては何ら限定されるものではなく、パネルｐ内
の他の空間内に別途充填される前記多孔質充填材
４との併用時における相乗効果をも想定せる効率
的な形状例えば、各種棒形状等も考えられ、ま
た、上記板状のものと棒形状のものとの適宜、組
み合わせ配設等も考えられる。

更にまた、パネルｐの大きさ等については表裏
の外層成型板１，２の波形の畝方向の長さを延長
成型することにより長尺化できるが、この際、中
間層成型板３の波形畝の形状、寸法、ピツチ及び
板厚等を変化させることにより、圧縮、曲げ、ね
じれ等に対する各強度を損なうことなくパネルｐ
の大型化がはかれる。

そして、これらパネルｐを構成する第３図ａ及
びｅの金属コルゲート成型板１，２，３と、第３
図ｂ，ｃ及びｄの側部、端部額縁材及び中間材と
しての各一対の無機系スペーサーS₁，S₂，S₃の各
成型部材は樹脂系等の耐熱性接着剤により互いに
強固に接着固定されて第１図に示す如きパネルｐ
が形成されているが、該パネルｐ形成について
は、熱及び音を伝導せず、かつ充分な強度を有す
る材料よりなるボルト、ナツト等を用いて上記各
成型部材を固着形成することもできる。

更に、上記各無機系スペーサーS₁，S₂，S₃に好
適な材料としては、セメント系、石質系、セラミ
ツク系、硝子系のものが挙げられるが、他に防
熱、防音機能を兼ね備え、かつ軽量にして充分な
強度を有し、成型加工も容易で安価な材料がある
ならば、尚更に好適である。

（考案の効果） 本考案は以上の如き無機系スペーサーを介して
複数の金属コルゲート成型板を波形畝方向の縦、
横、縦、横の順序に各々に順次直交させてなる耐
火、軽量、断熱、吸音、遮音、換気性を有する長
尺積層パネルであるから、個々の金属コルゲート
成型板が夫々軽量の金属薄板であるとは云え、そ
れら各層成型板の波形畝の直交構成と、各層間及
び全周縁に介在する無機系スペーサーと、更には
内部空間内に充填される多孔質充填材との、三味
一体の各強度補完構成となつていることにより、
これを外壁として張設した場合、台風等の大きな
外力下においても充分に耐え得て何等の損傷も生
ずることはない。

しかも各層の金属コルゲート成型板は、夫々互
いには直接接触することなく、かつ、それらを連
通する金属製補強枠も全く有しないことから、各
層成型板間での熱及び騒音の直接伝播は不可能と
なり、外壁形成用パネルｐとして充分な防熱性と
防音性を併有せしめることができる。

更に、金属薄板の成型になるコルゲート成型板
の積層形成であるから、内部に配し充填される無
機スペーサーや多孔質充填材を含めてもパネル全
体としては石質系パネルｐ等に比し遥かに軽量で
あり、かつ上記多孔質充填材自体の通気性及び内
部の残存空間とも相俟つてパネルｐ自体に換気性
も備え、寒冷時等におけるパネルｐ表面の結露等
の懸念もなく、更には美麗な表面処理鋼板を外層
に用いたものは単に工場、倉庫等の内外壁面形成
にとどまらず、店舗、住宅、ビル等あらゆる建屋
の内外壁面形成用として極めて好適な長尺積層パ
ネルｐである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る長尺積層パネルｐの斜視
概略図、第２図は第１図のＡ−Ａ線部分の一部破
断斜視概略図、第３図ａ〜ｅは第１図、第２図の
パネルｐ形成に必要とする各成型部材の形状を示
す斜視概略図である。 ｐ……長尺積層パネルｐ、S₁……側部額縁材と
しての無機系スペーサー、S₂……端部額縁材とし
ての無機系スペーサー、S₃……中間材としての無
機系スペーサー、１，２……外層の金属コルゲー
ト成型板、３……中間層の金属コルゲート成型
板、４……多孔質充填材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 無機系スペーサーを介して複数の金属コルゲ
   ート成型板を波形畝方向の縦・横・縦・横の順
   序に各々に順次直交させてなる耐火・軽量・断
   熱・吸音・遮音・換気性を有する長尺積層パネ
   ル。 ２ 無機系スペーサーがセメント系、石質系、セ
   ラミツク系、硝子系材料よりなり、金属コルゲ
   ート成型板同士の中間材及び周囲額縁材として
   使用する実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   長尺積層パネル。 ３ 金属コルゲート成型板と無機系スペーサーと
   の間に形成される空間の一部又は全部に軽量不
   燃性の多孔質充填材を充填する実用新案登録請
   求の範囲第１項又は第２項記載の長尺積層パネ
   ル。