JPH0237693Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ビデオテープカセツトを包装するた
めに用いるケースのブランク板に関する。

テレビジヨンの録画用のビデオテープカセツト
は、保護、表示、装飾などのためにケースに収容
包装される。このカセツト包装用のケースは、通
常、厚紙、プラスチツクシートなど比較的厚手の
シート材料を折込み用凹刻線を形成しながら所定
形状に打抜き、ブランク板とし、これをケースを
形成するように折込み、その側パネルを重合部で
接着して製品とされる。そして、カセツトはこの
ケースに挿入包装されて、流通使用されている。

上記のようなケース内への包装工程によれば、
成形ケースは、ブランク板の状態に比し大容積と
なり、保管、運搬に不利であるばかりでなく、カ
セツトをケースに挿入収容する作業工程を要し、
往々にしてカセツトに適合しないケースの場合
は、意外に作業時間を要するなどの問題点があつ
た。

ところで通常、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレンなど熱可塑性プラスチツクシー
ト、あるいはこれらのプラスチツクの層を表面に
有する紙その他の芯シートを含む積層材料等を用
いてケースの成形を行なう場合は、ケースの側パ
ネルの重合部を加熱下で加圧するかあるいは加圧
下で超音波、高周波を与えるかの手段によつて接
着が行われているが、この場合にはケース内部に
受板を挿入することが必要となり、カセツトを収
容した状態でケースの成形を行うことはできな
い。したがつて、ケース成形工程の成形能力は、
受板の挿脱操作にともないせいぜい30個／分程度
の低能率のものであつた。

そこで、カセツトを収容した状態でケースの成
形を高能率で行うため、ケース成形時に、重合す
べき側パネルの対向面間にホツトエアを噴射し
て、瞬間的に側パネルの対向面の表面層のみを加
熱して融着性とし、直ちに圧着する手段が提案さ
れたが、従来のケースでは後で詳述する構造のた
めにこのホツトエアがケース内部に侵入してしま
い、収容カセツトの熱変形、変質などの問題を起
すため、この提案は実現不可能なものであつた。

よつて、本考案は、ホツトエアの噴射によつて
側パネル対向面の加熱を行なつても、噴射された
ホツトエアが、包装工程でケース内部に侵入しな
いような形状を有するビデオテープカセツトの包
装ケース用ブランク板を提供しようとするもので
ある。

本考案によれば、通常の形態のケースを構成す
るように、ブランク板は、背パネルと、第１主パ
ネルと、第２主パネルと、第１主パネルの両端の
第１側パネルと、第２主パネルの両端の第２側パ
ネルと、背パネルの短辺に折込み用凹刻線を介し
て連接されたほぼ直角三角形状の側フラツプとか
らなり、各側フラツプは、それに隣接する第１側
パネルから先端部へ到るにつれて離れるように傾
斜する斜辺を有し、一方、第１側パネルの側フラ
ツプに隣接する端縁は外端へ到るにつれ側フラツ
プから離れるように前記斜辺部に対し直角または
それより微小量小さい角度で斜めに切除され、側
フラツプの前記斜辺と第１側パネルの前記端縁の
うちの少なくとも一方から、斜辺または端縁の長
手方向の一部にわたつてそれより薄い厚さの突片
が設けられ、これらの突片は、ケース組立て時に
それと重合する第１側パネルまたは側フラツプに
面する表面が、該突片と一体をなす側フラツプま
たは第１側パネルの表面より凹入し、各側フラツ
プとそれに隣接する第２側パネルの境界線に沿つ
て、各側フラツプの側片にその基端寄りの一部を
残して切除部が設けられ、これにより隣接する側
フラツプと第２側パネルの間に、背パネルの短辺
の前記折込み用凹刻線に達しない隙間が形成さ
れ、側フラツプの前記側辺の基端寄りの一部の切
除部がない部分と隣接する第２側パネルとの境界
線に切込み線が形成され、側パネルおよび側フラ
ツプの折込みによるケース組立て時に、前記突片
において第１側パネルおよび側フラツプが部分的
に重合し、突片のない部分では斜辺と端縁が突合
わされるように構成される。

次に、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本考案のビデオテープカセツト包装ケ
ース用ブランク板の一例を示すもので、このブラ
ンク板は、発泡ポリプロピレン圧縮板の厚さ0.5
〜１mmのシートを型抜き成形したものである。同
図において、１は収容すべきビデオテープカセツ
トの最も大きい表面の形状に適合した寸法の第１
主パネルであり、この主パネル１の一辺には、カ
セツトの厚さに適合した幅の細長い背パネル３を
介して第２主パネル２が連なつている。第２主パ
ネル２は第１主パネル１と実質的に同大である
が、その長辺方向の寸法はシート２枚の厚さ分だ
け第１主パネル１より大きくされている。第１主
パネル１の短辺のそれぞれには第１側パネル４，
５が連なつている。これらの側パネルの幅はカセ
ツトケースの厚さに適合する寸法になつている。
また、側パネル４，５の第２主パネル２側の端縁
９，１９は斜めに切除されている。一方、第２主
パネル２の短辺のそれぞれにも、第１側パネルと
同様な第２側パネル１４，１５が連設されてい
る。

背パネル３の短辺に隣接して側フラツプ１１，
１２が設けられる。これらの側フラツプ１１，１
２はほぼ三角形状をなし、その底辺が背パネル３
に連なり、その斜辺６，１６の長手方向の一部に
は、第２図の断面図に示すように、側フラツプ１
１，１２の厚さＴよりかなり薄い厚さｔをもつ突
片６ａ，１６ａが形成されている。突片６ａ，１
６ａはそれと一体をなす側フラツプ１１，１２の
表面より図示のように凹入している。この凹入部
は、後述のように、ケース組立て時に突片６ａ，
１６ａに重合する第１側パネル４，５が来る側に
形成される。この斜辺６，１６は、三角形の頂点
（先端）へ向かつて漸次第１側パネル４，５から
離れるように傾斜しており、したがつて第１側パ
ネル４，５の端縁９，１９と斜辺６，１６との間
にはＶ字形の切込みが存在することになる。な
お、切込みの角度θは90度またはそれより僅かに
小さい。一方、側フラツプ１１，１２と第２側パ
ネル１４，１５との間に比較的幅の広い隙間が形
成されるように側フラツプ１１，１２の側辺に切
除部７，１７が設けられている。これら切除部
７，１７は、側フラツプ１１，１２とそれに隣接
する第２側パネル１４，１５の境界線に沿つて、
側フラツプ１１，１２の側辺に、図示のようにそ
の基端寄りの一部を残して形成される。

以上に述べた第１主パネル１、背パネル３、第
２主パネル２の境界には折込み用凹刻線２２，２
３が、第１主パネル１と第１側パネル４，５との
間には折込み用凹刻線２０，２１が、第２主パネ
ル２と第２側パネル１４，１５との間にも同様な
折込み用凹刻線２４，２５が、さらに背パネル３
と側フラツプ１１，１２との間には折込み用凹刻
線２６，２７がそれぞれ設けられている。また、
側フラツプ１１，１２と第２側パネル１４，１５
との間には切込み線２８，２９が形成されてい
る。前述のように切除部７，１７が側フラツプ１
１，１２の側辺の基端寄りの一部を残して形成さ
れていることにより、切除部により構成される隙
間は、背パネル３の短辺の折込み用凹刻線２６，
２７に達することがなく、側フラツプ１１，１２
の側辺の切除されない部分は、第２側パネル１
４，１５に対して前記切込み線２８，２９により
分離されることになる。なお、３０，３１は主パ
ネル１，２の外側縁に設けた切欠部で、ケース内
に収めたカセツトを取り出し易くするものであ
る。なお、中味のカセツトの判別を可能にする透
明シートによる窓３４を主パネルに形成してもよ
い。

上記の構成のブランク板は、例えばつぎのよう
な自動折込み工程により、ビデオテープカセツト
の包装に用いられる。

まず、第３図に示すように、第１側パネル４，
５、第２側パネル１４，１５および側フラツプ１
１，１２を予め立てたブランク板を、第６図に示
す走行コンベヤベルトＶ上に、第２主パネル２を
進行方向に向けて載せて移送しつつ、第３図に示
すように第１主パネル１上にカセツトＣを載置
し、次いで第２主パネル２および背パネル３をカ
セツトＣの背を利用して折曲げる。これにより、
第４図の状態が得られ、この状態では、第５図に
拡大して示すように、側フラツプ１１，１２の斜
辺１６，６が、前述の角度θがほぼ90度に定めら
れていることにより第１側パネル５，４の端縁部
１９，９に密に突合せられ、突片１６ａ，６ａが
第１側パネル５，４の端縁部近傍の外面（または
内面）に重なる。

以上の工程はすべて走行するコンベアベルトＶ
上で行なわれる。そして、第６図の状態におい
て、コンベアベルトＶ上のカセツトＣを収容した
ケースは、上面から適当な部材で矢印Ｐの方向に
押圧され、この時点で両主パネルの側パネル５，
１５ならびに他の側パネル４，１４の間に形成さ
れた楔状空間Ｗの全長にわたつてコンベアベルト
Ｖの両側に配置した扁平ノズルＨから約300〜500
℃のホツトエアが例えば約0.5秒間噴射され、両
側パネル５，１５ならびに４，１４の対向表面が
加熱され、それらの表面層が溶融状態とされ、直
ちに、適当な押圧部材で、傾斜状態にある側パネ
ル１４，１５がそれぞれ対向する側パネル４，５
の面に圧着せしめられて融着固定が行なわれ、カ
セツトのケース内への包装が完了する。

前記ホツトエア噴射時において、第１側パネル
４，５の端縁９，１９、ならびに側フラツプ１
１，１２の斜辺６，１６は前述のように90゜の角
度をなしていることにより密に突合せられ、突合
せ部以外では突片１６ａ，６ａが第１側パネル
４，５に重なり合つているので、ホツトエアが、
ケース内に収容したカセツト面に侵入することは
なく、ホツトエア噴射によるパネルシートの温度
上昇は、その表面層のみに限られるので、ホツト
エアによるカセツトの損傷は完全に防止される。

ケース組立て状態で端縁９，１９と斜辺６，１
６が互いに突合せられ、さらに突片１６ａ，６ａ
のある部分で重合がなされ、しかもその重合は突
片１６ａ，６ａの凹入部の側で行つて重合部が薄
くなるようにすることによつて、ホツトエアの侵
入が防止されしかもケースの外観は一層美しくな
る。突合せ部分は、側パネルおよび側フラツプの
基端寄りにおいて凹刻線２２からある範囲内に設
けられるものであり、これによりケース組立て後
におけるケース背面に最も近い部分に重なり部が
存在して外観を乱すことがなくなる。

上記の場合において、ホツトエアの温度、噴射
圧、噴射量は、ブランク板材料の種類、形状、な
どにより適宜変更することは勿論であり、この手
段によれば100個／分以上のカセツトの自動的な
ケース内への包装を行うことができる。

ところで、側フラツプ１１，１２の折込みが機
械によつてなされるに際し、各側パネルや背パネ
ルの折込みによつて部分的に形成されたケースに
僅かなゆがみが生じることは避けられない。この
ようなゆがみが存在する場合、それに関連して折
込まれた側フラツプ１１，１２に切除部７，１７
がないと仮定すると、側フラツプが例えば第７図
に鎖線で誇張して示すように側パネル５の上面よ
りはみ出ることがある。この現象は、ブランク板
の僅かな寸法の狂い等の他の原因によつても生じ
る。このように側フラツプがはみ出すと、第２主
パネル２の折込み時や第２側パネル１４，１５の
折込み時に、そのはみ出し部との干渉が起り、そ
の干渉部分近くでの折曲げ不良が生じ、完成品の
ケースに撓みや凹凸が生じる。ところが、図示の
実施例におけるように側フラツプ１１，１２に切
除部７，１７を形成しておくと、第７図に実線で
示すように側フラツプ１１，１２の一部が上方へ
はみ出ることが避けられるので、初期の折込みの
僅かな狂いや寸法の僅かな誤差があつても、前述
のような干渉が生じることはなく、不良ケースが
生じることが避けられる。ところが、切除部７，
１７は、干渉防止には役立つても、それが側フラ
ツプ側辺の全長にわたつていたとすると、それに
より形成される隙間のためにホツトエアの噴射時
にホツトエアをケース内部へ入れ易い傾向があ
り、また、切除部のためにケースの隅角部できれ
いな直角状折曲げ部を形成する規準縁部がなくな
つてしまうため規定の状態への折曲げが正確に行
ないにくくなる傾向がある。ところが、図示のよ
うに前記切込み線２８，２９の位置で切除部７，
１７が存在しないように構成することによつて、
ケースの隅角部には隙間かがなくなり、ホツトエ
アの侵入傾向はそれだけ低くなり、また切込線２
８，２９に沿う側フラツプ１１，１２の縁部の存
在によりそれが基準縁部となつて、隅角部の規定
状態への折曲げを正確に行なうことができるよう
になる。

以上に述べた実施例においては、側フラツプ１
１，１２の斜辺１６，６に薄い厚さの突片１６
ａ，６ａが形成されている。この突片は、ブラン
ク板に加熱挾圧力を与えることによつて形成され
る薄肉部である。この薄肉部の存在によつて、側
フラツプと第１側パネルの重合部分が厚くなり過
ぎることが避けられるのであるが、この薄肉部
は、第８図に示すように、斜辺１６，６の代りに
第１側パネル４，５の端縁９，１９の側に１９ａ
で示すように設けることもできるし、また第９図
に示すように斜辺６，１６と端縁９，１９の両方
に１６ａおよび１９ａで示すように設けることも
できる。後者の場合には、両薄肉部の厚さの和が
側フラツプおよび第１側パネルの厚さに等しくな
るようにする。いずれにしても、側フラツプ１
１，１２の側辺には切除部７，１７が形成され
る。

第１０図ないし第１２図は薄肉部の形成につい
ての種々の態様を示す。薄肉部を設ける場合に
は、重合せ用の突片の範囲に薄肉部を設ける必要
はなく、例えば第１側パネル５，４の場合には、
第１０図に示すように突片の範囲を越えて第１側
パネル本体にまで入り込む薄肉部１９ｂとしても
よいし、第１２図に示すように突片の長さ範囲よ
りさらに内側へ延びる第１側パネルの基部まで延
びる薄肉部１９ｃとしてもよい。一方、第１１図
に示すように、第１側パネル５，４に突片がない
場合にも薄肉部１９ｄを設けることができる。い
ずれにしても、薄肉部の形状に制限はない。

また、側フラツプ１２，１１についても同様
で、突片がある場合には第１１図に示すように突
片の範囲を超えて薄肉部１６ｂを設け、さらに第
１２図に示すように側フラツプ１２全体を薄肉部
１６ｃとしてもよい。さらにまた、突片がない場
合にも第１０図に示すように薄肉部１６ｄを形成
することができる。側フラツプの場合についても
薄肉部の形状に制限はない。

このように薄肉部の形成の仕方には種々の変形
例があり、それらを第１側パネルと側フラツプに
ついて組合せるときわめて多数の態様が得られ
る。

以上に実施例について述べたように、本考案に
よれば、ホツトエア噴射による接合時に内部のカ
セツトへのホツトエアの影響を防いで包装を安全
確実に行なうことを可能にし、しかも展開時に90
度をなす側フラツプ斜辺および第１側パネル端縁
による突合せ部と、側フラツプ側辺の切除部と、
該側辺基部寄りの非切除部とによりケースの仕上
がりを乱れのない美しいものとし、しかも突片に
よる厚さの増大を伴なわない重ね合せと、側フラ
ツプ側辺の基部寄りの非切除部とによつてホツト
エアを確実に阻止するケースを与えるブランク板
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の包装ケース用ブランク板の展
開図、第２図は第１図の−線断面図、第３図
はブランク板上へケースを載置した包装初期の段
階における状態を示す斜視図、第４図は包装がさ
らに進んだ段階を示す斜視図、第５図は第４図の
要部の一部切除拡大斜視図、第６図は第４図の状
態におけるホツトエア吹付け状態を示す図、第７
図は側フラツプ折込み時の問題の説明図、第８
図、第９図、第１０図、第１１図および第１２図
は本考案のブランク板のそれぞれ異なる変形例を
示す展開部分図である。 １……第１主パネル、２……第２主パネル、３
……背パネル、４，５……第１側パネル、１４，
１５……第２側パネル、１１，１２……側フラツ
プ、７，１７……切除部、６，１６……斜辺、
９，１９……端縁、６ａ，１６ａ，１９ａ……突
片、１６ｂ，１６ｃ，１６ｄ，１９ｂ，１９ｃ，
１９ｄ……圧偏薄層部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 細長い背パネル３と、その一方の長辺に折込み
   用凹刻線２２を介して連設された第１主パネル１
   と、背パネルの他方の長辺に折込み用凹刻線２３
   を介して連設された第２主パネル２と、背パネル
   ３の長手方向に直交する方向にある第１主パネル
   １の両側縁に折込み用凹刻線２０，２１を介して
   連設された１対の第１側パネル４，５と、背パネ
   ル３の長手方向に直交する方向にある第２主パネ
   ル２の両側縁に折込み用凹刻線２４，２５を介し
   て連設された一対の第２側パネル１４，１５と、
   背パネル３の両方の短辺に折込み用凹刻線２６，
   ２７を介して連設されたほぼ直角三角形状の側フ
   ラツプ１１，１２とからなり、各側フラツプは、
   それに隣接する第１側パネルから先端部へ到るに
   つれて離れるように傾斜する斜辺６，１６を有
   し、一方、第１側パネルの側フラツプに隣接する
   端縁９，１９は、前記斜辺６，１６に対しほぼ直
   角をなすように斜めに切除され、側フラツプの前
   記斜辺６，１６と第１側パネルの前記端縁９，１
   ９のうちの少なくとも一方から、斜辺または端縁
   の長手方向の一部にわたつて段部を介して一段低
   くした突片６ａ，１６ａが設けられ、これらの突
   片は、ケース組立て時に第１側パネル４，５また
   は側フラツプ１１，１２の表面に段部側で重合
   し、各側フラツプ１１，１２とそれに隣接する第
   ２側パネル１４，１５の境界線に沿つて、各側フ
   ラツプ１１，１２の側辺にその基端寄りの一部を
   残して切除部７，１７が設けられ、これにより、
   隣接する側フラツプと第２側パネル１４，１５の
   間に、背パネル３の短辺の前記折込み用凹刻線２
   ６，２７に達しない隙間が形成され、側フラツプ
   １１，１２の前記側辺の基端寄りの一部の切除部
   がない部分と隣接する第２側パネル１４，１５と
   の境界線に切込み線２８，２９が形成され、側パ
   ネルおよび側フラツプの折込みによるケース組立
   て時に、前記突片６ａ，１６ａにおいて第１側パ
   ネル４，５および側フラツプが部分的に重合し、
   突片のない部分では斜辺と端縁が突合わされるよ
   うに構成されているビデオテープカセツトの包装
   用ケースのブランク板。