JPH0237443Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、線材あるいは棒材の熱間圧延に用
いられる圧延ロールの改良に関する。

一般に、この種の圧延ロールは、第１図に示す
ように、周面に孔型構成用のカリバー１ａをもつ
超硬合金製リング１と、この超硬合金製リング１
をシヤフト２に固定するための締付けナツト３
と、図示しない軸受への水、スケール等の侵入を
防ぐラビリンスリング４とが、前記シヤフト２の
軸心方向に図に示す順序でシヤフト２の外周に取
り付けられた構成である。図示の場合、超硬合金
製リング１が２ケあるので、それらリング１の位
置出しおよび保護のためにスペーサリング５が用
いられているが、超硬合金製リング１が１ケの場
合にはスペーサリング５は省略されることもあ
る。また、締付けナツト３，３の一方について
は、それに代えてシヤフト２と一体の外向きフラ
ンジが用いられることもある。

ところで、前記締付けナツト３の部分とその隣
りに位置するラビリンスリング４の部分とは全く
一体に設けられる場合もあるが、部品の製作上か
らすると両者をそれぞれ別個に製作し、後で一体
化する図示のようなものが有利である。そのよう
な別体としたものとしては、たとえば締付けナツ
ト３およびラビリンスリング４をそれぞれねじ結
合および焼ばめ（あるいは圧入）によつてシヤフ
ト２に取り付け、そのラビリンスリング４の端面
に軸受内輪６の端面を突き当てて焼ばめしたもの
が知られている。

しかし、そのような従来の圧延ロールにあつて
は、超硬合金製リング１の取り付け、取り外し上
難点を生じることがある。すなわち、線材、棒材
等の熱間圧延において、少種多量の生産では超硬
合金製リング１を一度シヤフト２にセツトすれば
何らかトラブルがない限りシヤフト２から超硬合
金製リング１を抜き取ることは不要である。しか
し多種少量生産の場合には、圧延製品に応じてそ
れぞれ異なる圧延ロールを用いることが必要とな
る。ところが、前記従来の圧延ロールでは、超硬
合金製リング１をシヤフト２から容易には取り外
すことができないため、各圧延製品に応じた多量
の圧延ロールを用意せざるを得ず、保管スペース
および圧延ロールの費用上問題が避けたかつたの
である。

この考案は以上の点を考慮してなされたもの
で、超硬合金製リング１の取り付けおよび取り外
しを容易に行なうことができるようにした圧延ロ
ールを提供するものである。

以下、添付の第２図を参照しながら、この考案
による圧延ロールについて詳細に説明する。

この考案の圧延ロールでも、超硬合金製リング
１の固定には従来と同じく締付けナツト３０を用
いるが、シヤフト２の外周には、締付けナツト３
０のねじ３０ａよりも小径な取付部７が設けられ
ている。この取付部７の長さｎは締付けナツト３
０のねじ結合長さｌよりも小さく設定されてい
る。なお、取付部７は、シヤフト２と一体的に構
成しておくか、シヤフト２と別体のリング状のも
のを焼ばめ、ねじ止め、接着あるいは溶着等によ
つてシヤフト２に設けても良い。そして、取付部
７の外周にはラビリンスリング４０が嵌装されて
いる。ラビリンスリング４０は、焼ばめあるいは
ねじ結合によつて締付けナツト３０に固定されて
いる。さらに、シヤフト２には、軸受内輪６がそ
の端面を取付部７の端面に突き合わせるようにし
て嵌装されている。この軸受内輪６の外径は取付
部７の外径よりも小さく設定されている。したが
つて、締付けナツト３０をシヤフト２から取り外
すことによつて必然的にラビリンスリング４０の
はめ合いをも外すことができるので、それらの取
り外しを容易に行なうことができる。

いずれにしろ、この考案による圧延ロールにあ
つては、シヤフトの外周に、外径が超硬合金製リ
ングの内径よりも小径な取付部を設け、この取付
部にラビリンスリングを嵌装するとともにこのラ
ビリンスリングを前記締付けナツトに固定し、し
かも、前記軸受内輪の外径を取付部の外径よりも
小さく設定するとともに、シヤフトに対する締付
けナツトのねじ結合長さを、前記取付部の長さよ
りも大きく設定しものであるから、超硬合金製リ
ング１を取り外す際には、軸受内輪６およびラビ
リンスリング４，４０を加熱することなく、単に
締付けナツト３０を回すことによつてそれが可能
である。したがつて、従来の圧延ロールのように
加熱、酸化等の問題は全く生ぜずに、超硬合金製
リング１の交換を容易にかつ短時間で行なうこと
ができるようになる。それにより、超硬合金製リ
ング１のみを多種保有すればよく、多量の圧延ロ
ールと大きな保管スペースも必要なくロール費用
も最小限ですむという利点が得られる。

さらに、締付けナツト３０の外径をラビリンス
リング４０のそれよりも大きく設定しているの
で、圧延時に上下のロールの間隔が小さくなるよ
うな場合、あるいは、再研削によつて締付けナツ
ト３０及び超硬合金製リング１の径が小さくなつ
た場合でも上下のラビリンスリング４０が干渉す
るようなことがない。そして、締付けナツト３０
の端面に筒状外周面を持つ凸部を設けるとともに
ラビリンスリング４０の端面に筒状内周面を持つ
凹部を形成し、これらの筒状周面を介してラビリ
ンスリング４０を前記締付けナツト３０に固定し
ているから、締付けナツト３０及びラビリンスリ
ング４０に微細な加工を行わずに、これらを強固
に一体化することができ、作業の簡略化とこれら
部材の強度の保持が図れる。しかも、ラビリンス
リング４０の取付部７の外径すなわちラビリンス
リング４０の内径が超硬合金製リング１の内径よ
りも小さく設定されているから、上記のような条
件にもかかわらずラビリンスリング４０の厚さが
確保され、水やスケールの侵入を防ぐためのラビ
リンス構造を形成するための加工しろを充分に取
ることができる。再研削によつて締付けナツト３
０および超硬合金製リング１の径が小さくなつた
としても、ラビリンスリング４０が損なわれるよ
うなことはない。

また、実施例では軸受内輪６があるものについ
て説明したが、軸受の種類によつては軸受内輪６
が不要なものもある。したがつて、軸受内輪６は
必須のものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの種圧延ロールの従来例を示す半断
面図、第２図はこの考案の一実施例を示す同様の
図である。 １……超硬合金製リング、２……シヤフト、６
……軸受内輪、７……取付部、３０……締付けナ
ツト、４０……ラビリンスリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 周面にカリバーをもつ超硬合金製リングと、こ
   の超硬合金製リングをシヤフトに固定するための
   締付けナツトと、軸受への水、スケール等の侵入
   を防ぐラビリンスリングと、前記軸受と嵌合する
   軸受内輪とが、前記シヤフトの軸心方向に超硬合
   金製リング、締付けナツト、ラビリンスリング、
   軸受内輪の順序でシヤフトの外周に取り付けられ
   ている圧延ロールにおいて、 前記ラビリンスリングの外径を締付けナツトの
   外径よりも小さく設定し、 前記シヤフトの外周に、外径が超硬合金製リン
   グの内径よりも小径な取付部を設けてこの取付部
   にラビリンスリングを嵌装し、 締付けナツトの端面に筒状外周面を持つ凸部を
   設けるとともにラビリンスリングの端面に筒状内
   周面を持つ凹部を形成し、これらの筒状周面を介
   してラビリンスリングを前記締付けナツトに固定
   し、 しかも前記軸受内輪の外径を取付部の外径より
   も小さく設定するとともに、シヤフトに対する締
   付けナツトのねじ結合長さを、前記取付部の長さ
   よりも大きく設定したことを特徴とする圧延ロー
   ル。