JPH0236757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は１つの操作レバーによつてシートの
スライド、リクライニング、リフトなどの複数の
調整がなされる自動車のシート装置に関するもの
である。

（従来技術） 自動車のシート装置において、運転者の体格や
好みに応じてシートを車体の前後方向にスライド
させたり、シートバツクを前後に傾動させるため
に、シートのスライド調整操作機構と、リクライ
ニング調整操作機構とを備えたものが、たとえば
実開昭57−109936号公報に開示されている。

しかしながら、この種従来のシート装置では、
各調整操作機構をロツク・アンロツクさせるため
の操作レバーが、各調整操作機構毎に独立して設
けられ、それぞれがシートの異なる位置に取り付
けられている。

したがつて、調整操作の種類に対応する操作レ
バーを遂一選択して使用しなければならないの
で、操作が煩らわしく、操作性に劣る。しかも複
数の操作レバーを取り付けるために、予分な取り
付けスペースが必要になり、スペースの有効利用
が妨げられるなどの問題を有している。

そこで、操作レバーを１つにまとめることで、
操作性の向上と、スペースの有効利用化を図るこ
とが考えられるけれども、１つの操作レバーによ
つて複数の調整操作機構のロツク・アンロツクを
可能にすると、特に、操作レバーを上下方向に回
動させて、リフト調整操作機構を作動させ、シー
トを上下に移動させる場合、操作レバーが上下方
向にのみ適正に回動されず、右もしくは左方向、
つまり車体幅方向に同時に回動されて、他の調整
操作機構、すなわちスライド調整操作機構もしく
はリクライニング調整操作機構がアンロツクされ
る誤動作が生じる問題がある。

（考案の目的） この考案は上記従来の問題を解決するためにな
されたもので、１つの操作レバーによつて、複数
の調整操作機構の作動を兼用させて部品点数を低
減し、操作性の向上とスペースの有効利用化を図
るとともに、操作レバーを上下方向に回動させて
も同時に車体幅方向に回動されず、誤動作が生じ
ないようにした自動車のシート装置を提供するこ
とを目的とする。

（考案の構成） 上記目的を達成するため、この考案はシートク
ツシヨンとシートバツクとからなり、少なくとも
２種の調整操作機構が設けられたシートにおい
て、該調整操作機構をロツク・アンロツク操作さ
せる兼用操作レバーを有し、この兼用操作レバー
が車体幅方向の回動軸と車体上下方向の回動軸を
介して車体の幅方向および上下方向に回動自在に
シートに取り付けられており、兼用操作レバーの
上下方向の操作時に該兼用操作レバーの幅方向の
回動を阻止するロツク部材と、該ロツク部材をロ
ツク・アンロツク操作させるロツクレバーとが設
けられ、兼用操作レバーを上下方向に操作した場
合に、同時に兼用操作レバーが車体幅方向に回動
されないようになされている。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図において、１はシートで、このシート１
はシートクツシヨン２とシートバツク３とからな
り、シートバツク３はヒンジ部材４を介して前後
に傾動可能にシートクツシヨン２に取り付けら
れ、該シートクツシヨン２は車体部材５を介して
車体フロア６に取り付けられている。

上記車体部材５は、たとえば車体フロア６の面
上に固定された車体前後方向にのびるレール５ａ
と、このレール５ａを案内に前後にスライド可能
なスライダ５ｂと、該スライダ５ｂの前後に立設
されたブラケツト５ｃとから構成されている。

７は兼用操作レバーで、公知の３種の調整操作
機構、すなわち、シート１を車体前後方向にスラ
イドさせるスライド調整操作機構と、シートバツ
ク３の傾斜角度を可変するリクライニング調整操
作機構（ともに図示せず）とをロツク・アンロツ
クさせるとともに、シート１を昇降させてシート
クツシヨン２の着座面の高さを可変するリフト調
整操作機構、つまり、リフタ（図示せず）を作動
させるためのものであり、シートクツシヨン２の
側面に取り付けられている。

兼用操作レバー７は、第２図および第３図に示
すように、車体幅方向の回動軸８と車体上下方向
の回動軸９を介して車体の幅方向および上下方向
に回動自在にシートクツシヨン２のシートフレー
ム１０に取り付けられている。

すなわち、車体上下方向の回動軸９は、第２図
に示すように、シートフレーム１０を貫通して固
定されている支軸１１に回動自在に支持されて、
シートフレーム１０の外側に設けられ、その外端
部には、第３図で明らかなように、上下に対向す
る支持片１２ａ，１２ｂを有したブラケツト１２
が設けられ、このブラケツト１２の支持片１２
ａ，１２ｂを貫通して筒部材１３が取り付けられ
ている。

筒部材１３には、上記車体幅方向の回動軸８が
回動自在に挿通され、該車体幅方向の回動軸８の
上下両端部が、兼用操作レバー７の基端部内側に
設けられている断面コ字形のブラケツト１４の上
辺部１４ａと下辺部１４ｂに固定されている。

１５はロツクレバー、１６はロツク部材を示
し、ロツクレバー１５は兼用操作レバー７の中空
部７ｂに収容されて、その基部がピン１５ａを介
して兼用操作レバー７のレバーフレーム７ｃに回
動自在に支持され、後端下部に内側へ延出した延
出部１５ｂが形成されている。

ロツク部材１６は支軸１６ａによつて回動自在
に支持され、該支軸１６ａの上下両端部が、断面
コ字形のブラケツト１４の上辺部１４ａと下辺部
１４ｂに固定されている。そして、上記ロツクレ
バー１５の延出部１５ｂとロツク部材１６とが、
リンク部材１５Ａを介して互いに連結され、常時
は、ロツクレバー１５の先端に形成した操作頭部
１５ｃが、第３図のように、兼用操作レバー７か
ら下方に突出し、かつ、第２図のように、ロツク
部材１６の自由端部に形成したロツク片１６ｂ
が、断面コ字形ブラケツト１４の上辺部１４ａに
形成した切欠部１４a₁から離間している。

一方、第２図に示すように断面コ字形ブラケツ
ト１４の内端後部にインナケーブル１７の先端が
係止され、このインナケーブル１７はアウタチユ
ーブ１８に挿入されてシートフレーム１０に沿つ
て後方にのび、図示されない公知のリクライニン
グ調整操作機構に連結されている。また、断面コ
字形ブラケツト１４の内端前部にインナケーブル
１９の先端が係止され、このインナケーブル１９
はアウタチユーブ２０に挿入されてシートフレー
ム１０に沿つて前方にのび、かつ、第３図に示す
ように後方に湾曲されて、図示されない公知のス
ライド調整操作機構に連結されている。さらに車
体上下方向の回動軸９のブラケツト１２にリンク
部材２１の先端がピン２２を介して回動自在に取
り付けられ、このリンク部材２１はシートフレー
ム１０に沿つて後方にのび、図示されない公知の
リフト調整操作機構、つまりシートリフタに連結
されている。

上記構成において、通常、第２図および第３図
に示す位置に兼用操作レバー７が保持されてい
る。この場合、上述のリクライニング調整操作機
構とスライド調整操作機構がロツクされ、リフト
調整操作機構が中立位置にあつてシートクツシヨ
ン２の座面が通常の高さに保持されている。

今、兼用操作レバー７を車体幅方向の回動軸８
を支点に、第２図の反時計方向、つまり兼用操作
レバー７の先端７ａがシートフレーム１０から離
れる方向に回動させると、インナケーブル１７が
前方（図面左方向）へ引張られ、リクライニング
調整操作機構がアンロツクされて、第１図のシー
トバツク３が前後に傾動可能になつてリクライニ
ング調整がなされる。そして、シートバツク３の
リクライニング調整がなされたのちに、兼用操作
レバー７を復帰させることにより、リクライニン
グ調整操作機構がロツクされシートバツク３が所
望の傾斜状態に保持される。

一方、兼用操作レバー７を車体幅方向の回動軸
８を支点に、第２図の時計方向、つまり兼用操作
レバー７の先端部７ａがシートフレーム１０に近
接する方向に回動させると、インナケーブル１９
が後方（図面右方向）へ引張られ、スライド調整
操作機構がアンロツクされてシート１が車体部材
５のレール５ａを案内に前後に移動可能になつ
て、スライド調整がなされ、この調整後に兼用操
作レバー７を復帰させることで、スライド調整操
作機構がロツクされ、シート１が所望の位置に保
持される。

他方、第３図におけるロツクレバー１５の操作
頭部１５ｃを押し上げ、ピン１５ａを支点にロツ
クレバー１５を時計方向に回動させると、リンク
部材１５Ａが前方に引張られ、第４図および第５
図に示すように、ロツク部材１６のロツク片１６
ｂが断面コ字形のブラケツト１４の上辺部１４ａ
に形成されている切欠部１４a₁に嵌入する。これ
によつて、兼用操作レバー７が車体幅方向の回動
軸８を支点に車体幅方向に回転されないロツク状
態が得られ、この状態を得たのちに、兼用操作レ
バー７を支軸１１を支点に第４図の時計方向へ回
動すると、第２図および第３図のリンク部材２１
が後方（図面右方向）に押し動かされ、リフト調
整操作機構が作動して第１図のシートクツシヨン
２が上昇し、兼用操作レバー７の引き上げを停止
することで、シートクツシヨン２の座面が通常の
位置より高位置に保持される。

また、兼用操作レバー７を第４図の反時計方向
へ回動すると、第２図および第３図のリンク部材
２１が前方（図面左方向）に引つ張られ、リフト
調整操作機構が作動して第１図のシートクツシヨ
ン２が下降し、兼用操作レバー７の押し下げを停
止することで、シートクツシヨン２の座面が通常
の位置より低位置に保持される。

このように、リフト調整操作機構を作動させて
シートクツシヨン２の座面の高さを調整する場合
に、ロツクレバー１５の操作頭部１５Ｃを押し上
げて、第４図および第５図に示すように、ロツク
部材１６のロツク片１６ｂが断面コ字形のブラケ
ツト１４の上辺部１４ａに形成されている切欠部
１４a₁に嵌入したロツク状態を得ることで、兼用
操作レバー７の幅方向の回動が阻止され、上下方
向にのみ適正に回動されるから、リクライニング
調整操作機構やスライド調整操作機構が同時にア
ンロツクされないので、誤動作が生じない。

兼用操作レバー７が、第４図の位置から支軸１
１を支点に時計方向もしくは反時計方向に回動さ
れて、シートクツシヨン２の座面が高位置もしく
は低位置に保持されている上述の状態において、
ロツクレバー１５の操作頭部１５ｃに対する押し
上げ力を解除することで、図示されないスプリン
グのばね力によつて、ロツクレバー１５が復帰
し、リンク部材１５Ａを介してロツク部材１６が
復帰され、ロツク片１６ｂが、第１図および第２
図に示すように、断面コ字形のブラケツト１４の
上辺部１４ａに形成されている切欠部１４a₁から
外れるため、兼用操作レバー７の車体幅方向への
回動、すなわち、リクライニング調整操作機構や
スライド調整操作機構のロツク・アンロツク操作
が可能になる。

なお、兼用操作レバー７が第４図の位置から時
計方向に回動されてシートクツシヨン２の座面が
通常の位置より高位置に保持されている上述の状
態から、兼用操作レバー７を反時計方向に回動さ
せてシートクツシヨン２の座面を下降させる場
合、もしくは兼用操作レバー７が第４図の位置か
ら反時計方向に回動されて、シートクツシヨン２
の座面が通常の位置より低位置に保持されている
上述の状態から、兼用操作レバー７を時計方向に
回動させてシートクツシヨン２の座面を上昇させ
る場合にも、ロツクレバー１５の操作頭部１５ｃ
を押し上げることで、兼用操作レバー７の幅方向
の回動が阻止され、上下方向にのみ適正に回動さ
れる。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、１つ
の兼用操作レバーによつて複数の調整操作機構の
作動を兼用させて部品点数を低減し、操作性の向
上とスペースの有効利用化を図れるとともに、兼
用操作レバーを上下方向に回動させても、同時に
車体幅方向に回動されず、誤動作が生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用したシートの一例を示
す側面図、第２図は要部の拡大平面図、第３図は
同側面図、第４図はロツク部材がロツクされた状
態を示す平面図、第５図は同側面図である。 １……シート、２……シートクツシヨン、３…
…シートバツク、７……兼用操作レバー、８……
車体幅方向の回動軸、９……車体上下方向の回動
軸、１５……ロツクレバー、１６……ロツク部
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンとシートバツクとから構成さ
   れ少なくとも２種の調整操作機構が設けられたシ
   ートにおいて、該シートの少なくとも２種の調整
   操作機構に連結され該調整操作機構をロツク・ア
   ンロツク操作させる兼用操作レバーを有し、この
   兼用操作レバーが車体幅方向の回動軸と車体上下
   方向の回動軸を介して車体の幅方向および上下方
   向に回動自在にシートに取り付けられており、兼
   用操作レバーの上下方向の操作時に該兼用操作レ
   バーの幅方向の回動を阻止するロツク部材と、該
   ロツク部材をロツク・アンロツク操作させるロツ
   クレバーとが設けられていることを特徴とする自
   動車のシート装置。