JPH0233859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は切削廃油、切削研摩廃液、洗浄用有機
溶剤、放電加工用放電液等の各種液体の濾過に用
いられる反転式の濾過装置に関するものである。

（従来の技術） 切削廃油類の濾過装置としては円筒状の濾過エ
レメントの表面に濾過助剤によるプリコート層を
形成してこのプリコートを通して濾過を行い、プ
リコート層の濾過能力が低下したときにはこの濾
過エレメントからケーキ状のスラツジを除去する
ようにしたものが知られている。（例えば、実開
昭58−195618号公報）ところが上記のような従来
の濾過装置はケーキ状のスラツジの除去を容易化
するために濾過エレメントの濾過面が垂直とされ
ており、原液供給用のポンプを停止して濾圧がゼ
ロとなるとプリコート層が直ちに脱落する欠点が
あるので例えば多数の濾過装置を並列に結合して
必要処理量に応じてそれらの濾過装置の一部を停
止させるような使用法を採ることができない問題
があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記のような従来の問題点を解決し、
原液供給用のポンプを停止した場合にもプリコー
ト層が落下することはなく、しかも濾過能力が低
下したときにはケーキ状のスラツジを容易に除去
することができる濾過装置を目的として完成され
たものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上下に反転できる濾過タンクの濾過時
に上側となる端部に排出管付きの漏斗部を形成す
るとともに、濾過タンクの内部には濾過面を水平
面あるいは傾斜面とした濾過エレメントを設け、
濾過タンクの濾過時に上側となる端部をプリコー
トラインを備えた原液供給管に、また、濾過時に
下側となる端部を濾液排出管にそれぞれ接続し、
かつこれらの原液供給管と濾液排出管の先端部分
を屈曲させて濾過タンクの回転中心となる中空軸
としたことを特徴とするものである。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１は両側に突出した中空軸２，２を中心
として上下方向に反転できる濾過タンクであり、
その濾過時に上側となる端部には排出管４付きの
漏斗部５が形成されている。濾過タンク１の内部
には濾過面６を円錘状の傾斜面とした金網製の濾
過エレメント７が設けられ濾過タンク１の内部を
２分している。本実施例では濾過エレメント７は
円錐形であるが、濾過面６が水平面あるいは傾斜
面となるものであれば円錐台形、角錐形、平板状
等の任意の形状のものとすることができ、また、
表面積を拡大するために横断面を星形のものとす
る等の種々の変形を加えることもできる。濾過タ
ンク１の濾過時に上側となる端部は傾斜管８を介
してプリコートラインを備えた原液供給管９に接
続されており、反対側の濾過時に下側となる端部
は管１０を介して濾液排出管１１に接続されてい
る。図示したように、傾斜管８の先端部分と管１
０の先端部分は屈曲されてそれぞれ濾過タンク１
の回転中心となる中空軸２，３となつており、こ
れらと原液供給管９及び濾液排出管１１との間は
回転ジヨイント１２，１３によつて回転自在に接
続されているので、濾過タンク１は原液供給管９
及び濾液排出管１１との連通を維持したままで反
転させることができる。なお、１４は排出管４に
設けられたバルブ、１５は濾過面６上に形成され
たプリコート層、１６，１７は濾過タンク１と中
空軸２，３との間を結ぶ補強用のリブである。

（作用） このように構成されたものは、図示のように濾
過タンク１を排出管４が上向きとなるようにセツ
トしたうえ、珪藻土のようなプリコート剤を含ん
だ油を原液供給管９から傾斜管８を介して濾過タ
ンク１へ供給するとともに濾過タンク１の下側の
端部から濾液排出管１１を通じて油を排出すれ
ば、プリコート剤は濾過タンク１の内部に設けら
れた濾過エレメント７の表面に次第に積層して図
示のよにプリコート層１５を形成し、その後切削
廃油や切削研摩廃液のような被濾過液を原液供給
管９から供給すれば、含有されている切粉その他
の不純物はプリコート層１５により捕捉されて濾
過され、浄化された濾過液のみが濾液排出管１１
から取出されることは従来のものと同様である。
しかし、本考案においては濾過エレメント７の濾
過面６が水平面あるいは傾斜面とされているの
で、従来のように濾過面が垂直なものと異なり原
液供給用のポンプを停止して濾圧をゼロとしても
不純物がプリコート層１５と一体となつたケーキ
状のスラツジは落下することがない。また、この
ようにして濾過を継続してプリコート層の濾過能
力が低下したときには、ポンプを停止したうえで
濾過タンク１を図面に想像線で示すように原液供
給管９と濾液排出管１１との先端部分を屈曲させ
た中空軸２，３を回転中心として上下反転させれ
ば、ケーキ状のスラツジは濾過エレメント７の濾
過面６から濾過タンク１の端部へ落下し、漏斗部
４により集められて排出管４から容易に外部へ排
出される。

このように本考案では原液供給管９と濾液排出
管１１との先端部分を屈曲させて濾過タンク１の
回転中心となる中空軸２，３としてあるので、濾
過タンク１を両側から安定に支持しつつ上下を反
転させることが可能である。

（本考案の効果） 本考案は以上の説明から明らかなように、濾過
エレメントの濾過面を水平面あるいは傾斜面とし
たので濾圧ゼロとなつた場合にもケーキ状のスラ
ツジが落下する虞れがなく、しかも、濾過タンク
全体を反転できるようにしたので必要時にはケー
キ状のスラツジを容易に濾過面から除去すること
ができるものである。また原液供給管と濾液排出
管とを濾過タンクの回転中心となる中空軸とした
ので、濾過タンクを安定に支持しつつ円滑に回転
させることができる。

よつて、本考案の濾過装置は並列に結合して必
要に応じてその一部を停止させて運転することも
できるものであり、従来の問題を解消したものと
してその実用的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す中央縦断面図であ
る。 １：濾過タンク、２，３：中空軸、４：排出
管、５：漏斗部、６：濾過面、７：濾過エレメン
ト、９：原液供給管、１１：濾液排出管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下に反転できる濾過タンク１の濾過時に上側
   となる端部に排出管４付きの漏斗部５を形成する
   とともに、濾過タンク１の内部には濾過面６を水
   平面あるいは傾斜面とした濾過エレメント７を設
   け、濾過タンク１の濾過時に上側となる端部をプ
   リコートラインを備えた原液供給管９に、また、
   濾過時に下側となる端部を濾液排出管１１にそれ
   ぞれ接続し、かつこれらの原液供給管９と濾液排
   出管１１との先端部分を屈曲させて濾過タンク１
   の回転中心となる中空軸２，３としたことを特徴
   とする反転式濾過装置。