JP2845924B2 - フィルターエレメント - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えば金属材料の放電加工機における加工油
液のフィルターエレメントに関するものである。

〔従来の技術〕

従来、例えば金属材料を放電加工する際には加工油液
が使用され、加工中には加工油液が循環して供給され、
加工チップを含んだ汚濁液はドレーン口より汚濁液タン
クに導かれて加工チップの一部を沈澱させ、次にフィル
ター回路用ポンプにより吸い上げてフィルター装置に送
り、フィルター装置により濾過された清浄液を清浄液槽
に貯溜しながら絶えず原液タンクに供給している。

上記した従来のフィルター装置は、一般に第７図およ
び第８図に示したごとく、汚濁液の流入口（１）および
濾過清浄液の流出口（２）を有する濾過室（３）と該濾
過室（３）内に装着されたフィルターエレメント（４）
とからなり、該フィルターエレメント（４）はキャップ
（５）およびスプリング（６）によって濾過室（３）内
に弾圧固定されている。このフィルターエレメント
（４）は、外周に蛇腹状に折曲されて筒状に形成された
フィルターシート（７）を備え、内部には多数の細孔
（８）（８）を備えたケージパイプ（９）を有し、上記
フィルターシート（７）の上下端にはドーナツ状の端板
（10）（11）が固着されていて、汚濁液は該フィルター
エレメント（４）の外側から内側に向かって流入し、蛇
腹状のフィルターシート（７）によって濾過されてケー
ジパイプ（９）を通り、流出口（２）から清浄液槽（図
示せず）に送られるようになっている。

上記したフィルターエレメント（４）のフィルターシ
ート（７）は、湿式不織布、即ち主としてセルロース系
繊維からなる厚紙状のシート材料を蛇腹状に折曲して所
望外径の筒状となし、上記したごとく上下に端板（10）
（11）を接着して保形されている。しかしながらかかる
湿式不織布によるフィルター材は、安価であるため使い
捨て用として好都合であるが、半面耐圧性に劣り、また
目詰まりの清掃が困難であることから再使用が殆ど不能
であるという難点を有している。このため近年において
は、例えば実公昭60−10806号公報に記載されているよ
うな合成樹脂連続フィラメントのスパンボンド不織布に
よって形成したフィルター材が使用されるに至ってい
る。

そして上記スパンボンド不織布あるいは熱接着された
乾式不織布等により形成されたフィルターは耐久性に優
れ、清浄後再使用することができるという利点を有して
いることから、このフィルター素材を筒状に成形し、上
下の端板間に固着してフィルターエレメントとなし、該
フィルターエレメントを外周に多数の通水孔を備えた円
筒状外装体内に装着してフィルターユニットとなし、汚
濁液をフィルターエレメントの上記下部端板の中心孔か
ら上方に挿通している送水パイプを通じて該送水パイプ
に穿設している多数の孔からフィルターエレメント内に
送入し、フィルターエレメントの内面側から外面側に向
かって通過させることにより汚濁液に含まれている不純
物（以下、スラッジという）をフィルターエレメントに
より補足すると共に濾過した洗浄液を該フィルターエレ
メントが投入状態で配設されている洗浄液槽に流出させ
る型式のフィルターユニットにも適用されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが上記したごとく汚濁液をフィルターユニット
の内部に注入して濾過液を外部に排出する型式のフィル
ターユニットにおいては、周期的にフィルターエレメン
トの清浄あるいは交換を行うべく、汚濁液の送入を停止
して洗浄液槽の液面をフィルターユニットの上部が露出
するまで降下させたのち、フィルターエレメントを送水
パイプに沿って洗浄液槽から上方に引き上げると、フィ
ルターエレメントの内面に付着しているスラッジの一部
がフィルターエレメントから脱落して下部端板上に堆積
すると共にこの堆積したスラッジが送水パイプの孔から
送水パイプ内にフィルターエレメント内の汚濁液と共に
逆流し、次の濾過時に多量のスラッジが新たなフィルタ
ーエレメントの内面に付着してフィルターエレメントが
短時間で目詰まりをおこすという問題点がある。

さらに、フィルターエレメントを送水パイプの上端か
ら離脱させて洗浄液槽から取り出す時に、今度は送水パ
イプを挿通させていたフィルターの下部端板の中心孔か
らスラッジが汚濁液と共に洗浄液槽内に流下して洗浄液
槽内の洗浄液を汚損するという問題点がある。

本発明は筒状フィルターエレメントの内側から外側に
向かって液を流出して濾過を行う型式における上記不都
合を解消することを目的としてなされたものである。

〔課題を解決しようとする手段〕

本発明は、筒状のフィルターエレメントの内部空間中
心部に、周面に多数の通水孔を備えて汚濁液の供給管か
ら上方に延びるパイプが貫通し、汚濁液の供給管から圧
送された汚濁液が該パイプを通って該フィルターエレメ
ント内部に送入され、筒状フィルターによって濾過され
る型式のフィルターユニットにおいて、該フィルターエ
レメントの下部端板の中心部に、該フィルターエレメン
ト内に位置する上記送水パイプの下部を覆う短筒状の副
フィルターを立設しているので、洗浄液槽の液面を降下
させたのち、フィルターエレメントを送水パイプに沿っ
て上方に引き上げる時に、下部端板上に沈降、堆積する
スラッジが副フィルターによって送水パイプの通水孔側
に逆流するのを阻止され、フィルターエレメント内の汚
濁液のみが該フィルターにより濾過されて送水パイプ内
に逆流することになる。さらに、フィルターエレメント
を送水パイプの上端から離脱させても下部端板上に沈
降、堆積しているスラッジが上記副フィルター及びフィ
ルターエレメントによってフィルターエレメント外に漏
出するのを阻止され、従って、洗浄液槽内の洗浄液をス
ラッジによって汚損する虞れがなくなるものである。

上記した短筒状の副フィルターは通水性のよい不織布
単体で形成してもよいが、耐久性および形態の安定を考
慮した場合多数の孔を有する金属管やプラスチック管で
補強された複層構造が望ましく、この金属管あるいはプ
ラスチック管をフィルターエレメントの端板中心部に立
設固着し、その外周に不織布を巻回、または嵌挿すると
よい。そしてこの副フィルターの高さは、上記汚濁液の
送水パイプの該フィルターエレメント内における長さ５
分の１〜８分の１程度であればよい。

上記した例フィルターを備えるフィルターエレメント
を収容する外装体は、多数の通水孔を穿設した円筒部と
前期パイプが挿入可能な孔を中心に備えた底板部、およ
び該円筒部の上部をカバーするキャップとからなり、該
外装体内に該フィルターエレメントを収容した状態にお
いては、該フィルターエレメントの上下端板と該底板部
およびキャップとの間は完全にシールされている。

〔作用〕

汚濁液の供給管の開口部に立設された多孔性パイプに
外装体の底板部の孔を嵌め合わせて外装体を汚濁液の供
給管の開口部上に立設し、該外装体内にフィルターエレ
メントを嵌入したのち該外装体の上部開口をキャップに
よって閉塞し、多孔性パイプの上端ネジ部を利用して汚
濁液の供給管の開口部に取り付けるとフィルターユニッ
トが構成され、該フィルターユニットの内部に該多孔性
パイプを通して汚濁液を圧送すると、フィルターエレメ
ントの筒状フィルターが汚濁液を濾過し、清浄液として
フィルターユニットの外側に排出するという濾過作用を
奏する。そして筒状フィルターの目詰まりの時期には、
汚濁液の供給を停止しキャップを外して外装体内からフ
ィルターエレメントを取り出されるが、その取り出しの
際、副フィルターは該フィルターエレメント内に残留す
る汚濁液を濾過しながら送水パイプ内に流出させると共
に、該フィルターエレメントの内面から下部端板上に脱
落、堆積したスラッジをこの副フィルターとフィルター
エレメントとによってフィルターエレメント外に漏出す
るのを阻止して下部端板上に残留させ、スラッジの流出
による洗浄液槽内の洗浄液の汚損を防止する。

〔実 施 例〕

以下本発明の実施例を示している第１図〜第６図につ
いて説明すると、本発明は円筒状のフィルターエレメト
の内部に汚濁液が送入され、筒状フィルターによって濾
過されて清浄液が外部に排出される型式のフィルターユ
ニットに適用されるものであって、フィルターユニット
は第１図〜第３図に示しているように、フィルターエレ
メント（20）、該フィルターエレメント（20）を内装可
能な外装体（21）および該外装体（21）のキャップ（2
2）からなる。フィルターエレメント（20）は、スパン
ボンド不織布を蛇腹状に折曲して形成された筒状フィル
ター（23）と該筒状フィルター（23）の上下に固着され
た端板（24）（25）とからなり、該端板（24）（25）の
下部端板（25）の中心部には、多数の通水孔（26）（2
6）を有する汚濁液の送水パイプ（27）が挿入できる孔
を備え、この孔を取り囲むように短管状の副フィルター
（28）が立設されている。また外装体（21）は耐蝕性金
属シートによって筒状に形成された多数の細孔（29）
（29）を有する外筒部（30）と該外筒部（30）を支持す
る底板（31）を備え、該底板（31）の中心部には、汚濁
液の送水パイプ（27）が送入可能な透孔（32）を有して
いる。そしてキャップ（22）は該外装体（21）の上部開
口を閉塞する大きさを有し、中央部には上記送水パイプ
（27）の頂部に設けられたボルト（33）が貫通される孔
（34）を備え、上面側には開閉用の握手（35）が設けら
れている。

上記した副フィルター（28）は第４図および第５図に
示しているように、本実施例において３層構造をなして
いる。即ち内層に多数の通水孔（36）（36）を備えたパ
イプ（37）が配されてこのパイプ（37）が該フィルター
エレメント（20）の下部端板（25）の中心部に立設固定
され、中間層に金網（38）が存在し、そして最外層に例
えば約30μ程度の細隙を有する通水性の良い不織布（3
9）が装着されて構成され、金網は不織布（39）とパイ
プ（37）との密着を緩和して該副フィルターの通水性を
よくする働きをしている。

上記したフィルターユニットは、次のようにして組み
立てられて清浄液槽内に配置される。まず清浄液槽内に
延びている汚濁液の供給管（40）の端部開口（41）に立
設固定された上記送水パイプ（27）に、上記外装体（2
1）の底板（31）の透孔（32）を嵌合して該底板（31）
の下面をシールパッキング（42）を介して該供給管（4
0）の開口に載置し、次いで該外装体（21）内に該送水
パイプ（27）を上記副フィルター（28）内に挿通しなが
ら上記フィルターエレメント（20）を挿入し、しかるの
ち上記キャップ（22）を該外装体（21）の上部開口に嵌
合するとともに該送水パイプ（27）の頂部ボルト（43）
を孔（34）に貫通させ、該ボルト（33）にナット（43）
を螺合させ締めつけることによって供給管（40）の端部
開口（41）上にセットされる。第１図はセットした状態
を示し、図における（45）は外装体（21）の底板（31）
とフィルターエレメント（20）の下部端板（25）および
キャップ（22）と該フィルターエレメント（20）の上部
端板（24）との間を密封するためのリングシールであっ
て、このリングシール（45）は本実施例においては該フ
ィルターエレメント（20）の上下端板（24）（25）の表
面に固着して取り付けられている。

本発明におけるフィルターエレメント（20）における
筒状フィルター（23）は、スパンボンド法によって得ら
れる合成樹脂連続フィラメント、例えば極細のポリエス
テル連続フィラメントの不織布を加圧し擬革状となした
シート材料を蛇腹状にプリーツ加工を施して第２図に示
しているごとく筒状に形成され、上下端部にそれぞれ端
板（24）（25）が接着されてフィルターエレメント（2
0）が構成されている。

続いて加工液の浄化工程を略示した第６図について説
明すると、放電加工機（図示せず）において使用された
加工液は加工液槽（52）に集められ、パイプ（53）を通
して汚濁液槽（54）に送られて加工チップの沈澱処理が
行われたのちフィルターポンプ（55）による汲み上げら
れ、一定圧の汚濁液が清浄液槽（51）内に設置されたフ
ィルターユニット（50）（50）内に圧送される。フィル
ターユニット（50）内に圧送された汚濁液は外装体（2
1）の底板（30）から挿入されている送水パイプ（27）
の通水孔（26）から筒状フィルター（23）の内面に向か
って送入され、該筒状フィルター（23）によって濾過さ
れて外筒部（30）の各細孔（29から清浄液槽（51）内に
流出される。そして濾過され流出した清浄液は、該清浄
液槽（51）内に貯溜され、逆止弁（56）を経て再び加工
液供給部に送られるようになっている。また所望により
別途ポンプ（59）によって純水器（60）を通し、液の純
水度を高める場合もある。

このようにして汚濁液をフィルターユニット（50）に
よって浄化するものであるが経時的にフィルターユニッ
ト（50）内の筒状フィルター（23）が目詰まりして濾過
機能が低下する。筒状フィルター（23）の濾過機能が低
下した場合には、まず汚濁液の汲み上げポンプ（55）停
止して清浄液槽（51）の液面をフィルター装置（50）の
少なくともキャップ（22）が完全露出するまで降下さ
せ、しかるのちナット（43）を外してキャップ（22）を
取り外し、フィルターエレメント（20）を抜き取って新
たなフィルターエレメントを装着する。この汚れたフィ
ルターエレメント（20）を送水パイプ（27）に沿って外
装体（21）内から、或いは外装体（21）と共に引き上げ
る際に、フィルターエレメント（20）の端板（底面）
（25）に沈澱あるいはフィルターエレメント（20）内に
付着残留している汚濁液は副フィルター（28）によって
濾過されながら排出され、またその排出時に筒状フィル
ター（23）の内面から離脱したスラッジあるいは浮遊物
は副フィルター（28）によって外部への流出が阻止さ
れ、フィルターエレメント（20）内に残留して清浄液の
汚損が防止される。

〔発明の効果〕

このように本発明におけるフィルターエレメントは、
筒状フィルター（23）の上下に端板（24）（25）が固着
されてなるフィルターエレメント（20）の内部空間中心
部に汚濁液の供給管（40）から上方に延びる多数の通水
孔（26）（26）を備えた送水パイプ（27）が貫通され、
圧送された汚濁液が該送水パイプ（27）を通って該通水
孔（26）から該フィルターエレメント（20）内に送入さ
れ、筒状フィルター（23）によって濾過されて外部に排
出される型式のフィルターユニットにおいて、該フィル
ターエレメント（20）の下部端板（25）の中心部に、該
フィルターエレメント（20）内に位置する上記送水パイ
プ（27）の下部を覆う短筒状の副フィルターを立設して
いるので、フィルターユニット（50）を清浄液槽（51）
内に投入状態に設置して汚濁液の濾過を行ったのち、フ
ィルターエレメント（20）の清浄または交換のために送
水パイプ（27）を通じての汚濁液の供給を停止し、洗浄
液槽（51）の液面をフィルターユニット（50）の上部が
露出するまで降下させ、しかるのち、フィルターエレメ
ント（20）を送水パイプ（27）に沿って上方に引き上げ
た際に、フィルターエレメント（20）内に残留している
汚濁液を副フィルター（28）によって濾過しながら送水
パイプ（27）の通水孔（26）を通じて該送水パイプ（2
7）に排出することができると共に、フィルターエレメ
ント（20）の下部端板（25）上に堆積するスラッジは該
副フィルター（28）によって捕捉されて送水パイプ（2
7）側に逆流するのを阻止され、次の濾過時に多量のス
ラッジが新たなフィルターエレメントの内面に付着して
短時間で濾過能力が低下するのを確実に防止することが
できる。

さらに、フィルターエレメント（20）を送水パイプの
上端から離脱させて洗浄液槽（51）から外部に取り出す
際においても、フィルターエレメント（20）の下部端板
（25）上に沈降、堆積しているスラッジが該下部端板
（25）の中心部に立設している上記副フィルター（28）
の外周面とフィルターエレメント（20）の内周面とによ
ってフィルターエレメント外に流出するのを阻止されて
フィルターエレメント（20）の下部端板（25）上に滞留
させておくことができ、従って、スラッジ洗浄液槽（5
1）内の洗浄液にスラッジが流下することもなく、スラ
ッジにより洗浄液が汚損するのを防止し得るものであ
る。

また、フィルターエレメント（20）内に残留する汚濁
液は、上述したように送水パイプ（27）に沿って上方に
引き上げて洗浄液槽（51）外に取り出す際に、副フィル
ター（28）により濾過されながら送水パイプ（27）側や
洗浄液槽（51）に排出されるので、取り出したのちにお
いては洗浄液槽（51）外に設置している機器類などを汚
損する虞れを殆どなくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本発明の実施例を示し、第１図は組み
立てられたフィルターユニットの部分断面正面図、第２
図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図はフィルターエレ
メント、外装体、およびキャップを分離した状態の一部
断面斜視図、第４図はフィルターエレメント下部の断面
図、第５図は副フィルター部分の一部断面拡大図、第６
図は加工液の浄化工程を略示した説明図、そして第７図
および第８図は従来のフィルターユニットおよびフィル
ターエレメントの断面図である。 （20）……フィルターエレメント、（21）……外装体、
（22）……キャップ、（23）……筒状フィルター、（2
4）（25）……フィルターエレメントの端板、（26）…
…通水孔、（27）……送水パイプ、（28）……副フィル
ター。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B01D 27/00 B01D 29/11 - 29/37 B01D 35/02 B23H 7/36

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筒状フィルターの上下に端板が固着されて
   なるフィルターエレメントの内部空間中心部に、汚濁液
   の供給管から上下に延びる多数の通水孔を備えた送水パ
   イプが貫通され、圧送された汚濁液が該送水パイプを通
   って該通水孔から該フィルターエレメント内に送入さ
   れ、筒状フィルターによって濾過される型式のフィルタ
   ーユニットにおいて、該フィルターエレメントの下部端
   板の中心部に、該フィルターエレメント内に位置する上
   記送水パイプの下部を覆う短筒状の副フィルターを立設
   していることを特徴とするフィルターエレメント。
2. 【請求項２】上記副フィルターが、外層が不織布であ
   り、該不織布の内側にネット状物が配された複層構造で
   ある請求項記載のフィルターエレメント。