JPH0233049Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は主に精密機器や電子機器或いは医薬
品工業等において製品管理上など高度の無塵環境
が必要とされる場合に使用されるクリーンルーム
やクリーンブース・クリーンベンチ或いはエアー
シヤワー室などと称されている空気清浄室に関す
る。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に上述したクリーンルーム等の各種の空気
清浄室では、フアンの空気圧送により高性能
（HEPA）エアーフイルタを通して濾過した清浄
空気を天井から室内に吹出して、該室内の床面に
向け層流状態で降下させ、そしてその降下した室
内空気を多孔板やグレーチングよりなる床の下側
に吸込んで再びフアンにより圧送して繰返し循環
させて、該室内空気の清浄化を図るようにしてい
る。

ところで、こうした空気清浄室においては、室
内の塵埃が床面のグレーチング等を介して床下に
抜けて行かずに該床面上に沈降推積したり、或い
は作業者の靴底や台車等の車輪等に付着して侵入
した塵埃が床面上に推積したりして、こうした塵
埃が気流の乱れ等により再飛散して（舞い上がつ
て）室内に拡散され、該室内の空気清浄度の低下
を招いている。即ち、床面部が一種の発塵源とな
つて室内の空気清浄度の低下の原因となつている
問題があつた。

〔考案の目的〕

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、天
井より室内に吹出されてグレーチング等の床から
下側に吸込まれて行く気流の通過を乱すなど妨げ
ることなく、その床面部上に室内から沈降或いは
作業者の靴底等に付いて運び込まれた塵埃を舞い
上がらないように付着捕集できて、床部からの発
塵を確実に防止し、室内の高い空気清浄度を効率
良く維持できるようになる空気清浄室を提供する
ことを目的とする。

〔考案の概要〕

この考案の空気清浄室は、上記目的を達成すべ
く、フアンの空気圧送によりエアーフイルタを通
して濾過した清浄空気を天井から室内に吹出し、
その室内空気を多孔板やグレーチングよりなる床
の下側に吸込んで再びフアンにより圧送して循環
することで、室内空気の清浄化が図られる空気清
浄室において、前記室内の床面上に室内空気の床
下への流通を可能とする通風孔を多数形成した粘
着性防塵マツトを敷設して、該マツトで室内から
沈降或いは作業者の靴底等に付いて運び込まれた
塵埃を舞い上がらないように付着捕集して、床部
からの発塵を確実に防止するようにしたものであ
る。

〔考案の実施例〕

以下この考案の一実施例を第１図及び第２図に
より説明する。図中１はクリーンルーム等と称さ
れている空気清浄室全体を示し、その室内２の天
井部には網目状スクリーン或いは多孔板３を設け
た清浄空気吹出口が設けられ、更にその上側の天
井空間４には高性能（HEPA）エアーフイルタ
５が複数個設置されている。また室内２の床部に
は多孔板或いはグレーチング６が設けられている
と共に、その多孔板或いはグレーチング６により
構成される床面上には後述する粘着性防塵マツト
７が敷設されている。その床下空間８は室内２の
一側壁外に設けたリターン風路９と接続されてお
り、そのリターン風路９の上端部にはフアン１０
が吐出口１０ａを前記天井空間４に接続して設け
られている。

ここで前記床面状に敷設した粘着性防塵マツト
７は、三菱樹脂株式会社製造の商品名「ヒシマツ
ト・クリーンＥ」と称して一般に市販されている
ものである。この粘着性防塵マツト７の粘着性は
表面処理によるものではなく、そのマツトの素材
自体が持つ性質で、履物等に対してはべとつかな
いが塵埃は付着保持する粘着特性を有する。しか
も表面に付着した塵埃を洗浄・除去しても粘着性
が衰えることがなく、長期間に亘り繰り返し洗
浄・再生使用が可能である。こうした特性の粘着
性防塵マツト７をパンチング加工し、この略全面
に第２図に示す如く多数の通風孔７ａを等間隔を
存して形成し、これを前記床面上に配設した構成
である。

而して、上述した構成の空気清浄室１であれ
ば、フアン１０の送風作用により天井空間に圧送
された空気が高性能エアーフイルタ５を通つて濾
過され、その清浄空気が天井吹出口の網目状スク
リーン或いは多孔板３を介して整流されて室内２
に吹出されて、該室内２を床面に向け垂直層流状
態で降下するようになる。そしてその床面部に降
下した室内空気は、前記フアン１０の吸引作用に
より、まず粘着性防塵マツト７の多数の通風孔７
ａを通り、且つその下側の多孔板やグレーチング
６を介して床下空間８に吸込まれて、リターン風
路９からフアン１０に吸引されて再び天井空間４
に圧送されて循環せしめられる。こうして室内２
の空気清浄化が図られるようになる。

この際、室内２を垂直層流状態で降下する気流
は、床面上に粘着性防塵マツト７が敷設されてい
ても、そのマツト７に多数の通風孔７ａが形成さ
れていることから、その通風孔７ａを介して該層
流状態を殆ど乱されることなく一様に通過して床
下空間８に吸込まれて行くようになる。これと同
時に室内２から床下に抜けて行かずに該床面上に
沈降して来る塵埃や、作業者の靴底や台車等の車
輪等に付着して侵入して来る塵埃は、該床面上の
粘着性防塵マツト７表面に付着捕集せしめられ
て、気流の乱れ等により再飛散して（舞い上がつ
て）室内２に拡散するるようなことが無くなる。
これで室内２の空気清浄度の低下の原因となつて
いた床部からの発塵を防止できて、該室内２を効
率良く清浄化して高い空気清浄度を維持できるよ
うになる。

なお、この考案は上記実施例のみに限定される
ことなく、例えば室内２の床面上に第３図に示し
たような多層構造の粘着性防塵マツト１７を敷設
しても良い。

この粘着性防塵マツト１７は前記実施例のもの
と少し異なり、三菱樹脂株式会社製造の商品名
「ヒシマツト・クリーンＤ」と称して一般に市販
されている多層構造の剥離方式のものである。つ
まりこの粘着性防塵マツト１７は履物等に対して
はべとつかないが塵埃は付着保持する粘着特性を
有する特殊粘着剤を表面に塗布した薄い粘着フイ
ルム１７ａを多数枚積層してなる多層構造のもの
で、その粘着フイルム１７ａを最上層のものから
一枚ずつ剥離して次々と使用して行けるものであ
る。こうした多層構造の粘着性防塵マツト１７を
パンチング加工し、この略全面に第３図に示す如
く上下全層に亘り貫通する多数の通風孔１７ｂを
形成した構成で、その多数の通風孔１７ｂにより
室内２から床下空間８に吸込まれて行く気流の通
過を可能としていると共に、その最上層の粘着フ
イルム１７ａ表面で塵埃を付着保持する。その塵
埃の付着により最上層の粘着フイルム１７ａが汚
れた場合、その最上層のものから一枚ずつ剥離し
て更新して行けるようになつている。

〔考案の効果〕

この考案は上述した如く、フアンの空気圧送に
よりエアーフイルタを通して濾過した清浄空気を
天井から室内に吹出し、その室内空気を多孔板や
グレーチングよりなる床の下側に吸込んで再びフ
アンにより圧送して循環することで、室内空気の
清浄化が図られる空気清浄室において、前記室内
の床面上に室内空気の床下への流通を可能とする
通風孔を多数形成した粘着性防塵マツトを敷設し
たから、天井より室内に吹出されてグレーチング
等の床から下側に吸込まれて行く気流の通過を乱
すなど妨げることなく、その床面部上に室内から
沈降或いは作業者の靴底等に付いて運び込まれた
塵埃を舞い上がらないように付着捕集できて、床
部からの発塵を確実に防止し、室内の高い空気清
浄度を効率良く維持できるようになる空気清浄室
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す全体の概略
的構成図、第２図は同実施例における床面上部に
敷設した粘着性防塵マツトの一部省略した斜視
図、第３図は該粘着性防塵マツトの変形例を示す
一部省略した斜視図である。 １……空気清浄室、２……室内、３……天井吹
出口の網目状スクリーン或いは多孔板、５……高
性能エアーフイルタ、６……床部の多孔板或いは
グレーチング、７，１７……粘着性防塵マツト、
１７ａ……粘着フイルム、７ａ，１７ｂ……通風
孔、８……床下空間、９……リターン風路、１０
……フアン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) フアンの空気圧送によりエアーフイルタを通
   して濾過した清浄空気を天井から室内に吹出
   し、その室内空気を多孔板やグレーチングより
   なる床の下側に吸込んで再びフアンにより圧送
   して循環することで、室内空気の清浄化が図ら
   れる空気清浄室において、前記室内の床面上に
   室内空気の床下への流通を可能とする通風孔を
   多数形成した塵埃を付着する粘着性防塵マツト
   を付設したことを特徴とする空気清浄室。 (2) 粘着性防塵マツトは、素材自体が塵埃を付着
   する粘着性を有し、表面に付着した塵埃を洗浄
   して繰り返し使用可能であることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の空気清浄
   室。 (3) 粘着性防塵マツトは、塵埃を付着するが履物
   等に対してはべとつかない粘着剤を表面に塗布
   した多数の通風孔を有する粘着フイルムを複数
   枚積層した構成で、床面上に設置した状態で最
   上層の粘着フイルムから一枚ずつ剥離して使用
   して行けることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の空気清浄室。