JPH0231345Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は動力舵取装置に関する。

車両のステアリング操作力を軽減するために、
油圧力によりステアリング時にパワーアシストす
る動力舵取装置において、バルブ偏差ひいてはシ
リンダ出力に関してドライバーに関接に知覚を与
えるとともに、スプールを中立位置に復帰させる
ための操舵反力を得るのに、トーシヨンバーを用
いたものがある。

これを第１図について説明すると、ハンドル側
の入力軸１はトーシヨンバー２を介してスクリユ
ーシヤフト３と連結する。

スクリユーシヤフト３はピストン４に螺合し、
ピストン４は外周のラツク５を介してセクタギヤ
６とかみ合い、ピストン４で仕切つた油室Ａ，Ｂ
の作動油が供給されると、ピストン４が移動して
車輪の向きを変える。

油室Ａ，Ｂに対する作動油の供給を制御するた
めに、制御バルブ７が設けられ、この制御バルブ
７は入力軸１にピン８により同軸的に結合するス
プール９と、その外周に嵌めたスリーブ１０とか
らなる。

スリーブ１０はスクリユーシヤフト３と一体的
に結合する。

そして制御バルブ７は、入力軸１にハンドル回
転が入りトーシヨンバー２が捩れると、スプール
９とスリーブ１０間に生じる相対的回転変位によ
り切換わり、ハンドル回転方向に応じていずれか
一方の油室ＡまたはＢへ作動油を送り込むのであ
る。

ところが、トーシヨンバー２は、加工が困難で
多くの工数を要するとともに、組付けもむづかし
くて、その結果、コスト高の要因となつている。

また、操舵反力を附与するためのバネ特性の設
定が一義的で、その自由度が少ないために、操舵
フイーリングの向上をはかることが難かしかつ
た。

本考案は上記した問題を解決するためのもの
で、入力軸とスクリユーシヤフトとの間にゴム状
弾性体を介装することにより、簡単な構造と低コ
ストで、しかも自由な特性をもつ操舵反力が得ら
れる動力舵取装置を提供することを目的とする。

そのために本考案は、ハンドルに連結した入力
軸に一体に結合したスプールと、ピストンに連結
したスクリユーシヤフトに一体に結合され前記ス
プールの外周に摺接するスリーブとを有すると共
に、これらスプールとスリーブとの相対回転によ
り切換作動する制御バルブを備え、該制御バルブ
を介して車輪に連系するパワーシリンダに圧油を
選択的に供給するようにした動力舵取装置であつ
て、前記入力軸とスクリユーシヤフトとを、ゴム
状の弾性体を介して回転方向に連接し、前記スプ
ールとスリーブとの相対回転変位に基づく弾性体
のたわみ反力が操舵反力として作用するようにし
た。

以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明
する。

第２図に示すように、ハンドル側の入力軸１１
はスクリユーシヤフト１２に相対回転が自在に嵌
合される。

この入力軸１１とスクリユーシヤフト１２の嵌
合部分は、その詳細を第３図に示すように、両者
の間に円周方向の２個所の空隙１３，１３が形成
され、その内部には一端が入力軸１１に焼付され
たゴム状の弾性体１４〜１４が介装される。つま
り、スクリユーシヤフト１２に形成した嵌合穴１
２Ａの一部に、同心円状の切欠凹部１２Ｂが対設
され、この切欠凹部１２Ｂに入力軸１１の外周に
突設した突起１１Ａが収められ、この突起１１Ａ
の両側にそれぞれ、耐油性のあるニトリルゴム等
で構成された弾性体１４を焼付け、円周方向の間
隙を埋めるように切欠凹部１２Ｂの内側に当接さ
せるのである。なお、その他の構成部分について
は、先に述べた第１図の従来のものと同一構成と
なつているので、ここでは同一符号を付してその
説明を省略する。

次に作用について説明する。

今、第３図ｂに示すように、入力軸１１に矢印
で示す時計方向のハンドル回転が入ると、空隙１
３内のその方向端の弾性体１４が圧縮され、入力
軸１１はスクリユーシヤフト１２に対し弾性体１
４の縮小分だけ相対的に回転する。その結果、入
力軸１１に結合されたスプール９と、スクリユー
シヤフト１２に結合されたスリーブ１０とはバル
ブ偏差を生じて切換わるとともに、弾性体１４の
圧縮反力が操舵反力として入力軸１１を介してド
ライバーにフイードバツクされるのである。

なお、弾性体１４は上述した通り操舵反力を司
るものであつて、入力軸１１の回転は弾性体１４
の有無にかかわらず最終的にはスクリユーシヤフ
ト１２に伝達される。また、制御バルブ７の切り
換え作動は入力軸１１とスクリユーシヤフト１２
との間の相対回転のみに依存している。従つて、
長期使用等の結果として弾性体１４が劣化するよ
うなことがあつても操舵反力の感触が変化するの
みであつて、動力舵取装置としての機能には何の
支障も生じない。

第４図は本考案の他の実施例を示す。

これは、突起１１Ａに焼付け固定する弾性体１
５の先端部分を先細に形成し、操舵反力を始めは
小さく、後に大きくなるように、非線型にしたも
のである。

入力軸１１の相対回転が少ない範囲では、弾性
体１５の先細部分が圧縮変形するため、バネ定数
は小さく、これに対して相対回転の大きい領域で
は弾性反撥力を大きくして、確実な操舵反力を附
与することができる。

第５図は本考案の他の実施例を示す。

これは、入力軸１１とスクリユーシヤフト１２
との間に、同軸的の管状の弾性体１６を介装し、
その両端面をそれぞれのフランジ１７と１８に焼
付け固着し、その捩り変形にもとづく弾性反力を
発生させるようにしたものである。

第６図は本考案のさらに他の実施例を示す。

これは、入力軸１１とスクリユーシヤフト１２
に形成した同一面のフランジ１７，１８に、環状
の弾性体１９をプレート３０とボルト２９により
取付けて、その捩り反力を利用するようにしたも
のである。

第７図は本考案の別の実施例を示す。

これは、嵌合穴１２Ａに挿し込んだ入力軸１１
とスクリユーシヤフト１２の対向する端面間にデ
イスク状の弾性体２０を介装し、その両面を両端
面に焼付け固着し、その捩り反力を利用するよう
にしたものである。

第８図は本考案の他の実施例を示す。

スクリユーシヤフト１２の内部に形成した嵌合
挿込溝２１に板状の弾性体２２の一端を嵌合固着
し、その他端を入力軸１１にボルト２９で取付
け、これらをすくなくとも１組対称的に配設し、
弾性体２２の引張り反力を利用するようにしたも
のである。

第９図は本考案のさらに他の実施例を示す。

これは、入力軸１１とスクリユーシヤフト１２
との間に形成した空隙１３において、入力軸１１
とスクリユーシヤフト１２に設けた挿込溝２３，
２４に板状の弾性体２５を、突起１１Ａの両側に
位置して１組張設し、その引張り反力を利用する
ようにしたものである。

第１０図は本考案の他の実施例を示す。

これは、入力軸１１とスクリユーシヤフト１２
に形成したフランジ２６，２７間に、ナツトを埋
込んだ筒状の弾性体２８をボルトにより取付け、
その捩り反力を利用するようにしたものである。

以上説明したように本考案によれば、入力軸と
スクリユーシヤフトとの間に、ゴム状の弾性体を
介装し、その撓み反力を利用して操舵反力を附与
するようにしたので、操舵反力の特性をゴム形状
に応じて自由に設定でき、操舵フイーリングの改
善がはかれる一方、従来のトーシヨンバーに比べ
て構造が著しく簡略化できコスト低減もはかれ
る。

また、本考案の弾性体は入力軸に対する操舵反
力の付与のみに関与するものであつて、動力舵取
装置の機能として必要な制御バルブの切り換えは
入力軸とスクリユーシヤフトとの間に相対回転が
あれば足りる。従つて、仮に弾性体が劣化したと
しても操舵反力の感触に影響が及ぶのみであつて
動力舵取装置としての機能には何の支障もなく、
即ち優れた信頼性が確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置を示す側断面図、第２図は本
考案の実施例を示す側断面図、第３図は第２図の
−線矢視断面図で、同図ａは中立時、同図ｂ
は操舵時を示す図面、第４〜１０図はそれぞれ異
なる本考案の実施例の要部を示す断面図である。 ２……トーシヨンバー、７……制御バルブ、９
……スプール、１０……スリーブ、１１……入力
軸、１２……スクリユーシヤフト、１４，１５，
１６，１９，２０，２２，２５，２８……弾性
体、１７，１８，２６，２７……フランジ、２
１，２３，２４……挿込溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドルに連結した入力軸に一体に結合したス
   プールと、ピストンに連結したスクリユーシヤフ
   トに一体に結合され前記スプールの外周に摺接す
   るスリーブとを有すると共に、これらスプールと
   スリーブとの相対回転により切換作動する制御バ
   ルブを備え、該制御バルブを介して車輪に連系す
   るパワーシリンダに圧油を選択的に供給するよう
   にした動力舵取装置であつて、前記入力軸とスク
   リユーシヤフトとを、ゴム状の弾性体を介して回
   転方向に連接し、前記スプールとスリーブとの相
   対回転変位に基づく弾性体のたわみ反力を操舵反
   力とすることを特徴とする動力舵取装置。