JPH0231238B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、スクロール圧縮機に関し、さらに詳
しくいえば、そのバランスウエイトおよびスラス
ト軸受けに関するものである。

［従来技術］ 第４図は従来のスクロール圧縮機の構造を示し
ている。吸入冷媒は吸入管１１より吸入され、渦
巻状のラツプを有する固定スクロール１と該固定
スクロール１のラツプと向かい合せにしてかみ合
う渦巻状のラツプを有する旋回スクロール２との
それぞれのラツプ間に形成される圧縮室へ該固定
スクロール１の外周より流入する。旋回スクロー
ル２は、オルダムキー８、オルダムリング９から
なる自転防止手段によつてその自転が防止れ、駆
動用クランク軸４により旋回スクロール２側の旋
回軸受１７を介して自転することなく旋回せしめ
られ、第３図に示す如く固定スクロール１および
旋回スクロール２のそれぞれのラツプ間に形成さ
れる密閉空間（圧縮室）１８を順次中心方向へ移
送圧縮して冷媒ガスを固定スクロール１の中央に
設けられた吐出口１４より吐出室１４ａへ吐出
し、吐出管１２から機外に吐出する。

第４図における駆動用クランク軸４はロータ５
より上部の位置において固定スクロール１に固定
されたフレーム３に設けられている主軸受１５
ａ，１５ｂにより支持され、ロータ５およびステ
ータ６からなるモータの駆動力により回転する。
駆動用クランク軸４の下端は油溜１３内に浸漬し
ており、、軸端に内蔵した給油ポンプ（図示せず）
により駆動用クランク軸４に貫通した給油孔から
各軸受部に給油される。７はクランク軸４に取り
付けられたバランスウエイトであり、旋回スクロ
ール２の旋回運動による遠心力とバランスさせる
ようになつている。

他方、特開昭55−125386号公報に記載のスクロ
ール圧縮機においては（以下、括弧内に対応する
該公報記載の符号を付記する）、クランク軸６の
上端部を太径部とし、この太径部に偏心穴４２を
設け、この偏心穴４２に装着された旋回軸受メタ
ル３６内に旋回スクロール２の背面に突設した旋
回軸５５を嵌合し、固定スクロール１に締着した
フレーム７のボス部に装着された第１主軸受メタ
ル３７でクランク軸６の前記太径部の外周面を軸
受し、クランク軸６の下端部を第２主軸受メタル
３９で軸受けし、クランク軸６を電動機で回転さ
せることによつて旋回スクロール２を固定スクロ
ール１に対して旋回運動させるようになつてい
る。そして、第１主軸受メタル３７を装着したフ
レームボス部の下端を内向き鍔状に形成し、この
鍔部でクランク軸６の前記太径部下端の段部を受
けるスラスト軸受３８を構成し、他方、該スラス
ト軸受３８よりも下の位置にてクランク軸６に固
定したバランスウエイト１０の質量部７１を上記
フレームボス部に対向する位置で張り出させてい
る。

［発明が解決しようとする問題点］ 第４図に示したスクロール圧縮機においては、
クランク軸４は主軸受１５により片持ち支持され
る構造になつており、且つ、バランスウエイト７
は第１主軸受１５ａの上部に位置している。この
ため、バランスウエイトの取付角度がずれたり、
製作上の原因で不平衡力が生ずると、特に高速回
転時にクランク軸４が傾き、軸受端面で片当りを
起し、軸受の負荷容量が低下したり、クランク軸
４が不安定な挙動を示す等の欠点があつた。

他方、前記特開昭55−125386号公報記載のスク
ロール圧縮機においては、バランスウエイト１０
の形状が複雑で重くなり、またバランスウエイト
１０の取付部に対して質量部７１が軸方向に隔た
つた位置にあるため該取付部にバランスウエイト
の遠心力荷重のモーメントが作用するので、バラ
ンスウエイトの強度や取付手段の点に特別配慮が
必要で価格も高くなるという問題があり、更に前
記のスラスト軸受３８の外周が第１主軸受メタル
３７およびフレームボス部内面で密閉されている
ため油中のゴミや軸受摩耗粉などが該スラスト受
３８外周に溜まり、該ゴミ等で軸受をかじる恐れ
がある。

本発明の目的は、バランスウエイトの形状の複
雑化を招かずにしかもそのバランス作用を効果的
に働かせ、且つ軸受の負担を軽減し、併せて駆動
用クランク軸のスラスト軸受を改良したスクロー
ル圧縮機を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 本発明は、渦巻状のラツプを有する固定スクロ
ールと、該固定スクロールのラツプと向かい合せ
にしてかみ合い圧縮室を形成する渦巻状のラツプ
を有し、かつ該ラツプを有しない側に突出した旋
回軸を有する旋回スクロールと、該旋回スクロー
ルのラツプを有しない側に配設された旋回スクロ
ール自転防止手段と、前記旋回スクロールおよび
旋回スクロール自転防止手段を収納するように前
記固定スクロールに固定されたフレームと、軸端
部に偏心穴を有し、該偏心穴に前記旋回スクロー
ルの旋回軸を軸受けするための旋回軸受を設けた
駆動用クランク軸と、該駆動用クランク軸に固定
されたロータを有するモータと、前記駆動用クラ
ンク軸を前記旋回スクロールに対して近い方と遠
い方の二箇所でそれぞれ軸受けするように前記フ
レームに設けられた第１および第２主軸受と、前
記駆動用クランク軸に取り付けられたバランスウ
エイトと、を備えたスクロール圧縮機において、
前記第１および第２主軸受は前記モータのロータ
より上部の位置において前記フレームに設けられ
るとともに、前記フレーム内には前記第１および
第２主軸受の間で該第１主軸受の近くに前記バラ
ンスウエイトのみを収容するバランサ室が設けら
れ、前記駆動用クランク軸の前記偏心穴を有する
軸端部は段部を有する太径部に形成されており、
前記バランスウエイトは前記バランサ室内で回転
するように該太径部に直角に取り付けられてお
り、前記太径部の段部の端面はそれに対向する前
記バランサ室の内面によりスラスト軸受けされて
いることを特徴とする。

［作用］ 前記駆動用クランク軸の回転により前記旋回軸
を介して旋回スクロールは固定スクロールに対し
自転なしに旋回運動せしめられてガスを圧縮・吐
出する。該クランク軸が旋回スクロールを旋回運
動させる際に発生する遠心力は前記バランスウエ
イトでバランスされる。クランク軸は、前記太径
部の段部端面に対向する前記バランサ室内面によ
りスラスト軸受けされる。

［実施例］ 以下、本発明のスクロール圧縮機の実施例を、
その全体縦断面である第１図およびその軸受部関
係の縦断面図である第２図により説明する。これ
らの図において、第３図および第４図の部分と同
一または類似の部分は同一の符号で表わす。

固定スクロール１に固定されたフレーム３に
は、モータのロータ５より上部に位置する旋回ス
クロール２に近い方の第１主軸受としての上部主
軸受２０、および旋回スクロール２から遠い方の
第２主軸受として下部主軸受２２が装着されてい
る。駆動用クランク軸４はモータのロータ５より
上部に位置する上部主軸受２０および下部主軸受
２２により軸方向に離れた二箇所で軸受されてい
る。上部主軸受２０とほぼ同一位置にてクランク
軸４の軸端部に所定の偏心になるように設けた偏
心穴内に旋回軸受２１が装着されている。旋回ス
クロール２はラツプのない側に突出した旋回軸１
９を有し、この旋回軸１９は上記旋回軸受２１内
で摺動回転自在に軸受されている。クランク軸４
は、ロータ５およびステータ６からなる電動機で
回転される。

前記偏心穴を設けたクランク軸４の軸端部は段
部４０を有する太径部を成している。また、フレ
ーム３内には、前記上部主軸受２０と下部主軸受
２２との間で上部主軸受２０の近くにバランスウ
エイト７のみを収容するバランサ室３０が形成さ
れており、このバランサ室３０内でクランク軸４
の前記太径部に直角に取り付けられたバランスウ
エイト７が旋回できるようになつている。前記ク
ランク軸の太径部の段部端面は、これに対向する
バランサ室３０の内面３１でスラスト軸受されて
いる。１０は全体を囲む密閉容器である。

なお上記構造は密閉形電動スクロール圧縮機に
ついて示しているが、横形あるいは開放形スクロ
ール圧縮機についても同様の構造がとれることは
いうまでもない。

上記構造において、電動機でクランク軸４を回
転させると、旋回スクロール２は、前記自転防止
手段８，９により自転を防止されつつ、前記偏心
穴内の旋回軸受２１に軸受された旋回軸１９を介
して固定スクロール１に対して旋回運動せしめら
れ、第３図に示す密閉空間（圧縮室）１８を順次
中心方向へ移送・縮小し、これに伴ない、吸入管
１１から該圧縮室１８に吸入された冷媒ガスは圧
縮されて固定スクロール１の中央部の吐出口１４
から吐出室１４ａに吐出され、吐出管１２から機
外へ吐出される。バランスウエイト７はクランク
軸７が旋回スクロール２を旋回運動させる際に生
ずる遠心力とバランスする。スラスト軸受３１は
クランク軸４にかかるスラスト力を受ける。

［発明の効果］ 本発明によれば、遠心力の発生する旋回スクロ
ールの近くにバランスウエイトを配設することが
できるので、バランスウエイトの効果が向上する
ためその重量を小さくすることができ、且つバラ
ンスウエイトは駆動用クランク軸に直角に取り付
けられているのでその取付部にモーメントが作用
せず、従つてバランスウエイトの形状や構造を単
純なものにすることができ、価格も安くすること
ができる。しかも、第１および第２主軸受でクラ
ンク軸を両持ち支持とすることができ、バランス
ウエイトは第１および第２主軸受の間で第１主軸
受の近くに取り付けられるので、不平衡力によつ
てクランク軸が傾くことが防止され、軸受におけ
る片当りがなくなり、軸受の信頼性が向上する。
またクランク軸の太径部の段部端面を受けるスラ
スト軸受の外周はバランサ室内に臨んでおり密閉
状態にはないので、油中のゴミや軸受摩耗粉が該
ストラスト軸受外周に溜つて該軸受をかじるとい
る不都合は生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスクロール圧縮機の実施例を
示す縦断面図、第２図はその軸受部関係を示す縦
断面図、第３図は固定スクロールと旋回スクロー
ルとの組合せ状態を示す平面図、第４図は従来の
スクロール圧縮機の縦断面図である。 １……固定スクロール、２……旋回スクロー
ル、３……フレーム、４……駆動用クランク軸、
５……電動機ロータ、６……電動機ステータ、７
……バランスウエイト、８……オルダムギー、９
……オルダムリング、１０……密閉容器、１１…
…吸入管、１２……吐出管、１９……旋回軸、２
０……上部主軸受、２１……旋回軸受、２２……
下部主軸受、３０……バランサ室、３１……スラ
スト軸受、４０……段部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 渦巻状のラツプを有する固定スクロールと、
   該固定スクロールのラツプと向かい合せしてかみ
   合い圧縮室を形成する渦巻状のラツプを有し、か
   つ該ラツプを有しない側に突出した旋回軸を有す
   る旋回スクロールと、該旋回スクロールのラツプ
   を有しない側に配設された旋回スクロール自転防
   止手段と、前記旋回スクロールおよび旋回スクロ
   ール自転防止手段を収納するように前記固定スク
   ロールに固定されたフレームと、軸端部に偏心穴
   を有し、該偏心穴に前記旋回スクロールの旋回軸
   を軸受けするための旋回軸受を設けた駆動用クラ
   ンク軸と、該駆動用クランク軸に固定されたロー
   タを有するモータと、前記駆動用クランク軸を前
   記旋回スクロールに対して近い方と遠い方の二箇
   所でそれぞれ軸受けするように前記フレームに設
   けられた第１および第２主軸受と、前記駆動用ク
   ランク軸に取り付けられたバランスウエイトと、
   を備えたスクロール圧縮機において、 前記第１および第２主軸受は前記モータのロー
   タより上部の位置において前記フレームに設けら
   れるとともに、前記フレーム内には前記第１およ
   び第２主軸受の間で該第１主軸受の近くに前記バ
   ランスウエイトのみを収容するバランサ室が設け
   られ、前記駆動用クランク軸の前記偏心穴を有す
   る軸端部は段部を有する太径部に形成されてお
   り、前記バランスウエイトは前記バランサ室内で
   回転するように該太径部に直角に取り付けられて
   おり、前記太径部の段部の端面はそれに対向する
   前記バランサ室の内面によりスラスト軸受けされ
   ていることを特徴とするスクロール圧縮機。