JPH0229878Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンバインの籾受フロア装置に係
り、より詳しくは、移動籾受フロアを有する籾受
フロア装置に関する。

従来、ホツパーから籾を自動的に充填して満杯
となつた籾満杯袋をホツパー下部の空間から取出
す場合、作業者又は作業補助者は籾満杯袋を１個
ずつ取出して機体外に運び出していた。その際、
ホツパー下部の空間は極めて狭く且つ比較的奥行
きがあるため、これら作業は困難で面倒なもので
あり、しかも籾満杯袋を１個ずつ取外して機体外
に運び出しているため、大きな区画で収穫量が多
いときには、籾充填作業に対して、籾満杯袋の取
外しと運び出し作業が間に合わず、作業に支障を
生じていた。

本考案は、上述事情に鑑み、機体に対して水平
に出入可能な移動籾受フロアと、折畳式補助籾受
フロアをホツパー下部の空間に設け、補助籾受フ
ロアを作業位置にセツトしたとき、移動籾受フロ
アが該補助籾受フロアの上を機体外側方向に移動
できるようにすることにより、収穫量が多いとき
にも作業者又は作業補助者が容易にしかも効率よ
く籾袋の取出し・搬出作業ができるようにすると
共に、前記空間の奥部から移動籾受フロア上に空
袋挟み込み防止用板バネを延出して配置し、移動
籾受フロアの復帰時に奥側に位置する空袋を該フ
ロアが挟み込むことを防止した籾受フロア装置を
提供することを目的とするものである。

以下、図面に沿つて、本考案による実施例につ
いて説明する。

コンバイン１は、第１図及び第２図に示すよう
に、運転席２の後方に籾充填部３を有しており、
該充填部３にはホツパー５及び該ホツパー５の下
方に空間Ａが配置されている。そして該空間Ａに
は２対のハンガーバー６…により籾袋７…が２列
に吊下げられており、また、これら対のハンガー
バー６の間には籾袋７を１枚づつ繰出す籾袋繰出
し装置８が配設されていると共に、１対のハンガ
ーバー６の間には磁石により籾袋の両面に設けた
金具７ａを吸着して籾袋７を開袋する籾袋開袋装
置９が配設されており、更に、運転席２の後部に
は油圧操作レバー１０が配置されている。

一方、空間Ａの下方には、本考案に係る籾受フ
ロア装置１１が設置されており、該籾受フロア装
置１１は、機体外側に向つて移動可能な移動籾受
フロア１２、籾満杯袋を押出す背当てアーム１３
及び折畳式補助籾受フロア１５からなる。

運転席２の後部且つ肘掛１６の内側には、第３
図に示すように、移動籾受フロア１２を駆動させ
る油圧操作レバー１０が配置されており、油圧操
作レバー１０が中立位置イにあると、移動籾受フ
ロア１２は移動せず、空間Ａ内で収納位置に静止
したままである。油圧操作レバー１０を中立位置
イから位置ロに移動させると移動籾受フロア１２
は機体外側に向つて移動する。次に、油圧操作レ
バー１０を中立位置イから位置ハに移動させる
と、移動籾受フロア１２は逆に機体内側に向つて
後退し、空間Ａに収納される。また、１９は油圧
操作バルブである。

移動籾受フロア１２の下部には、第４図及び第
５図に示すように、中央に移動籾受フロア１２を
移動させるための復動型油圧シリンダ２０、及び
その両側にガイド部材２１，２１が配置されてい
る。周囲を油圧シリンダカバー２２で覆われた油
圧シリンダ２０は、一端が移動籾受フロア１２の
前面にあるガイド板２３に固定され、他端が機体
側に固定されており、油圧操作レバー１０の操作
により伸縮して移動籾受フロア１２を空間Ａから
出入可能にしている。移動籾受フロア１２の後部
下側中央には弾性体２５が貼付されており、移動
籾受フロア１２が空間Ａを出入する際、油圧シリ
ンダカバー２２と該移動籾受フロア１２との間で
籾袋７をかみ込むのを防止している。また、ガイ
ド部材２１は形プレード２６、円筒ガイド２
７、該円筒ガイド２７内に摺動する丸棒２９、ベ
ース３０からなり、ガイド部材２１は、ベース３
０を介して機体側フレーム３１にボルト等で固定
される。一方、移動籾受フロア１２の下部にはガ
イドプレート３２，３２が固定されており、該ガ
イドプレート３２，３２は形プレード２６，２
６上に載置されて、移動籾受フロア１２が移動す
るとき、形プレード２６，２６上を摺動できる
ようになつている。また、丸棒２９の一端はガイ
ド板２３に連結されているので、油圧シリンダ２
０が伸縮すると、丸棒２９はそれに随伴してガイ
ド円筒２７内を摺動できるようになつている。更
に、移動籾受フロア１２上の荷重は、該移動籾受
フロア１２下部の両側近傍に配置されたガイド部
材２１，２１で支持されるようになつており、油
圧シリンダ２０には該移動籾受フロア１２上の荷
重がかからないようになつている。

また、籾受フロア装置１１は、第６図ないし第
８図に示すように、機体フレーム側のガイド板３
３、該ガイド板３３に形成された平担な第１カム
面３５、傾斜カム３５′、平担な第２カム面３
５″、該カム面３５，３５′，３５″に沿つて転動
するローラ３６を有する。該ローラ３６はローラ
ガイドプレート３７の一端に回動自在に取付けら
れ、ローラガイドプレート３７の他端は支持軸３
９を介して背当てアーム１３に一体的に連結固定
されている。この背当てアーム１３はローラガイ
ドプレート３７と常に一定角度θを保持してい
る。また、ローラガイドプレート３７と背当てア
ーム１３とを連結する支持軸３９は、移動籾受フ
ロア１２下部に固定された軸受４１により回動自
在に支持されている。従つて、移動籾受フロア１
２が機体外側に向つて移動するときには、背当て
アーム１３は該移動籾受フロア１２の移動途中か
ら起立して籾満杯袋Ｍの背面を押圧しながら移動
籾受フロア１２を共に移動するので、籾満杯袋Ｍ
からハンガーバー６に必要以上の力が加わること
はなく、ハンガーバー６は変形しない。

また、移動籾受フロア１２が収納位置にあると
きは、背当てアーム１３は非作用位置まで倒れて
いるので空袋の自動搬送の妨げとはならない。更
に、移動籾受フロア１２に回動自在に設けられた
背当てアーム１３は、第７図に示すように、籾満
杯袋Ｍの背面に作用する作用部１３′のみが移動
籾受フロア１２内にあり、該背当てアーム１３の
支持枠部１３″や支点部は該移動籾受フロア１２
の外側にあるように設けられているので、移動籾
受フロア１２の機体外側への移動時、籾満杯袋Ｍ
が背当てアーム１３の起立を妨害することはな
い。また、支持軸３９用の孔等を移動籾受フロア
１２面に設けていないので、籾袋から籾がこぼれ
た場合に移動籾受フロア１２から籾がこぼれ落ち
ることがないような構造にすることができる。

折畳式補助籾受フロア１５は、第６図に示すよ
うに、機体フレームに取付けられた支点軸４３
に、該補助籾受フロア１５の取付部材４５を介し
て枢着されており、常時は起立して空間Ａの壁面
を形成している。また、籾満杯袋Ｍを取出すとき
は、該補助籾受フロア１５は倒されて作業位置に
セツトされ補助籾受フロアとなり、第８図に示す
ように、移動籾受フロア１２が空間Ａから機体外
側に向つて移動する際、該移動籾受フロア１２が
補助籾受フロア１５の上を摺動し、該補助籾受フ
ロア１５の表面はローラ３５が転動するカム面と
しての役割を果している。

また、移動籾受フロア１２の下方には、該移動
籾受フロア１２と略同面積のカバー４６が設置さ
れている。従つて、何らかの誤動作や不具合によ
り移動籾受フロア１２から籾がこぼれても、カバ
ー４６が設置されているので、籾が機体の外側に
落ちることはないばかりでなく、クローラの持ち
回りによる泥がカバー４６により浸入しないよう
に阻止されるので、移動籾受フロア１２の摺動部
等に泥詰り等の事故発生を防止することができ
る。なお、４７は移動籾受フロア１２の復帰時に
空袋７が該フロア１２に挾み込まれることを防止
する板バネである。

折畳式補助籾受フロア１５を倒して作業位置に
セツトしたときは、第９図及び第１０図に示すよ
うに、移動籾受フロア１２が機体外側方向に該補
助籾受フロア１５上を摺動し、該移動籾受フロア
１２が最突出位置に来ても該移動籾受フロア１２
は補助籾受フロア１５の内側にある（第９図の２
点鎖線位置）。このように、補助籾受フロア１５
は移動籾受フロア１２よりも幅を広くとつてある
ので、作業者又は作業補助者が機体から降りずに
補助籾受フロア１５に乗つたまま籾満杯袋Ｍの処
理や空袋の収納部４９へのセツトができる。

その上、移動籾受フロア１２を移動させるため
の油圧操作レバー１０（第３図参照）を運転席及
び補助籾受フロア１５上の両方で操作できる位置
に設置したので、運転者・作業補助者のいずれも
操作可能である。更に、操作レバー１０は肘掛１
６の内側にあるので、輸送する際のシート掛け時
シートや人の手が容易に触れることがなく安全で
ある。

また、空袋収納部４９から該移動籾受フロア１
２の最突出位置まで先端及び後部が該移動籾受フ
ロア１２上にあるように板バネ４７を配置したの
で、該移動籾受フロア１２収納時に、籾袋７の裾
が移動籾受フロア１２にかみ込まれることがな
く、次の籾袋の繰出しが支障なくできる。

更に、移動籾受フロア１２の側部に発光器５
０、受光器５１からなるセンサを設けたので、籾
満杯袋Ｍが該移動籾受フロア１２上に存在する
と、発光器５０からの投光が遮断されて受光器５
１に届かず、従つて籾満杯袋Ｍの存在を検知する
ことができる。

その上、移動籾受フロア１２上の籾袋の存在を
検知することにより、籾処理のステツプを確実に
判断でき、誤動作によるトラブルを防止できる。

また、移動籾受フロア１２の引き出し時には、
該移動籾受フロア１２上から籾満杯袋Ｍが除去さ
れたか否かを判断することができ、除去されたこ
とを判断して移動籾受フロア１２を自動的に収納
させる等の制御を行うことができる。

また、５２，５３はカバー４６上に設けられた
スイツチであり、移動籾受フロア１２の後退時、
該移動籾受フロア１２に設けられた押しプレート
５５がスイツチ５２を押してONとなり、移動籾
受フロア１２の収納位置を感知することができ
る。逆に、移動籾受フロア１２が機体外側に移動
する時、該移動籾受フロア１２のガイドプレート
３２に設けられた押しプレート５６がスイツチ５
３を押してONとなり、移動籾受フロア１２の突
出位置を感知することができる。

次に、上述構成からなる本実施例の作用につい
て説明する。

まず、折畳式補助籾受フロア１５を倒して作業
位置にセツトする。油圧操作レバー１０が第３図
に示す中立位置イにあるときは、油圧シリンダ２
０に油が供給されないため、移動籾受フロア１２
は移動せず、従つて、第８図に示すように、ロー
ラ３６も平担な第１カム面３５に静止したままで
あり、背当てアーム１３も非作用位置に留まつて
いる。

次に、油圧操作レバー１０を第３図に示す中立
位置イから位置ロに移動させると、油圧シリンダ
２０は伸張側に油が供給されるため、該シリンダ
２０は伸張し、第８図に示すように、移動籾受フ
ロア１２は機体外側に向つて移動する。それに伴
いローラ３６も転動するが、ローラ３６が平担な
第１カム面３５に沿つて転動する間は、背当てア
ーム１３はまだ非作用位置にある。

移動籾受フロア１２が更に外方に移動するにつ
れて、ローラ３６が傾斜カム面３５′を転動し始
めると、背当てアーム１３は軸受４１を支点とし
て回動し始め、除々に起き上る。ローラ３６が傾
斜カム面３５′を登りつめ、次の平担な第２カム
面３５″を転動すると、背当てアーム１３は作用
位置に到達し、ローラガイドプレート３７と一定
角度θを保ちながら籾満杯袋Ｍの背面を押圧す
る。更に、移動籾受フロア１２が機体外側に向つ
て移動すると、ローラ３６は平担な第２カム面３
５″と同一平面の補助籾受フロア１５上を転動し、
その間、背当てアーム１３は籾満杯袋Ｍの背面を
押圧し続ける。そして、移動籾受フロア１２のガ
イドプレート３２に設けられた押しプレート５６
が、移動籾受フロア最突出位置を感知するための
スイツチ５３を押してON状態にすると、移動籾
受フロア１２を停止させる（第８図の２点鎖線の
位置）。この状態で、移動籾受フロア１２上の籾
満杯袋Ｍを外に運び出して移動籾受フロア１２上
を空にする。

次に、油圧操作レバー１０を中立位置イから位
置ハに移動させると、油圧シリンダ２０の圧縮側
に油が供給されるため、該シリンダ２０は収縮
し、移動籾受フロア１２は空間Ａに向つて後退す
る。それに伴い、ローラ３６も転動するが、ロー
ラ３６が補助籾受フロア１５の上面、平担な第２
カム面３５″、傾斜カム面３５′、平担な第１カム
面３５を転動するにつれ、背当てアーム１３は起
立位置から非作用位置に戻り、移動籾受フロア１
２に設けた押しプレート５５が、移動籾受フロア
１２の収納位置を感知するためのスイツチ５２を
押してON状態にすると、移動籾受フロア１２は
停止され次の操作に備える（第８図の実線の位
置）。

以上説明したように、本考案によれば作業位置
にセツトした補助籾受フロア１５上を移動籾受フ
ロア１２が機体外側方向に水平に移動できるの
で、機体外方に突出した補助籾受フロア１５上に
て満杯袋Ｍを取出すことができ、重い満杯袋の取
出し作業が極めて楽になると共に、作業能率を大
幅に向上することができる。更に、移動籾受フロ
ア１２上に作用する満杯袋等の重量は補助籾受フ
ロア１５にて受けられるので、移動籾受フロア１
２及びその移動案内部分２０，２１を破損するこ
とはない。また、空袋挟み込み防止用板バネ４７
を、空間Ａの奥部から移動籾受フロア１２上に延
出して配置したので、移動籾受フロア１２を機体
外側方向に移動できるものでありながら、該移動
籾受フロア１２の復帰時に空袋７が該フロア１２
に挟み込まれることを防止して、移動籾受フロア
の移動に確実に行うことができると共に、籾袋の
破損等を防止することができる。更に、移動籾受
フロア１２の最突出位置を補助籾受フロア１５よ
りも内側に設定すると、作業者は補助籾受フロア
１５上にて支障なく作業を行うことができると共
に、満杯袋Ｍを補助籾受フロア１５上に一時置い
て、所定場所にて投下・搬出することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による籾受フロア装置を適用し
得るコンバインを示す概略側面図、第２図は本考
案による籾受フロア装置を適用し得るコンバイン
の概略後部正面図、第３図は本考案による籾受フ
ロア装置の操作部を示す平面図、第４図はその移
動籾受フロアの下部を示す一部切欠いた平面図、
第５図は第４図の側断面図、第６図は本考案の籾
受フロア装置の正断面図、第７図は籾満杯袋を載
置した移動籾受フロアの平面図、第８図はその側
面図、第９図は籾受フロア装置全体を示す平面
図、第１０図はその斜視図である。 １……コンバイン、２……運転席、５……ホツ
パー、６……ハンガーバー、７……籾袋、１１…
…籾受フロア装置、１２……移動籾受フロア、１
３……背当てアーム、１５……折畳式補助籾受フ
ロア、２０……復動型油圧シリンダ、４７……空
袋挟み込み防止用板バネ、Ａ……空間、Ｍ……籾
満杯袋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ホツパー下方に空間を有する籾充填部を備え
   てなるコンバインにおいて、 前記空間の下方に位置する機体フレームの端
   部に補助籾受フロアを水平位置及び上方折畳位
   置に回動自在に配置し、 また前記空間下方の機体フレーム上に移動籾
   受フロアを水平方向移動自在に配設し、かつ該
   移動籾受フロアを、前記水平位置に保持した補
   助籾受フロア上を機体外側方向に移動可能に案
   内し、 更に前記空間の奥部から前記移動籾受フロア
   上に空袋挟み込み防止用板バネを延出して配置
   し、かつ該板バネの先端が、前記移動籾受フロ
   アが補助籾受フロア上を機体外側方向に移動し
   た状態でも該移動籾受フロア上に位置するよう
   に構成してなる、 コンバインの籾受フロア装置。 (2) 上記移動籾受フロアの機体外側方向への最突
   出位置は、作業位置にセツトした補助籾受フロ
   アよりも内側にあることを特徴とする前記実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のコンバインの
   籾受フロア装置。