JPH0229844Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、野菜移植機において、苗を搬送する
苗ホルダーと、これを受け継ぐ植付デイスクの速
度に関するものである。

(ロ) 従来技術 野菜移植機に関する技術としては、特開昭58−
63302号公報や、実開昭50−94136号公報に記載の
ような技術が公知とされているのである。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 乗用形野菜移植機における苗供給を半自動的に
行わせる苗供給装置は、オペレーターが苗ホルダ
ーに苗を置き、自動的に挾持して苗ホルダーが植
付デイスクまで搬送し、受け渡し部において植付
デイスクに受け渡すのである。

このような構成において、接地輪より植付デイ
スク及び苗供給装置に動力が伝達されて作動する
際に、植付デイスクの周速よりも苗ホルダーの速
度の方が速いと苗の受け渡し時に姿勢が崩れて歪
んで植付けられるのである。

また、受け継ぎ時における精度が低下するので
ある。

本考案は、以上の不具合いを解消すべく構成し
たものであり、即ち苗ホルダーの移動速度を植付
デイスクの周速より遅くすることにより、苗の受
け継ぎ時の姿勢が崩れないようにして、苗補給を
行い易くしようとするものである。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案の解決すべき課題は以上の如くであり、
次に解決するための手段を説明する。

上方に向けてＶ形に開いた苗ホルダー２４内に
オペレーターが苗を供給し、該苗ホルダー２４の
Ｖ形部分がホルダーガイド２５に接当し閉じた状
態で、ホルダーガイド２５に沿つて下方の受け渡
し部Ａまで移動し、該受け渡し部Ａにおいて苗ホ
ルダー２４を開き、苗ホルダー２４内に苗を載置
した状態で、苗ホルダー２４から突出した部分の
苗を、苗ホルダー２４の移動方向に沿つて回転す
る植付デイスク７に挾持し受け継ぐ構成におい
て、苗ホルダー２４を固設した苗搬送チエーン１
９の速度を植付デイスク７の外周の周速より遅く
構成したものである。

(ホ) 実施例 本考案の目的は以上の如くであり、添付の図面
に示した実施例の構成に基づいて、本考案の構成
を説明すると。

第１図は野菜移植機の全体側面図、第２図は同
じく苗供給装置部拡大側面図、第３図は同じく平
面図、第４図は苗供給装置正面図である。

フレーム２上に載置されたエンジンよりチエー
ンを介してミツシヨンケース４に動力を伝え後輪
３を駆動する。５は座席、９はクラツチペダルで
ある。

移植装置は、前輪１より後方に向かつて作溝デ
イスク８、苗供給装置１０、植付デイスク７、接
地輪６を畝高さに応じて揺動する植付フレーム１
６に設ける。

作溝デイスク８は苗を植付けるための溝を作
り、植付デイスク７により、該溝に一定間隔毎に
苗を落下するのである。そして接地輪６により鎮
圧する。

接地輪６は覆土装置としての役割の他に圃場面
との摩擦抵抗により回転して植付デイスク７の回
転の駆動源ともなつているのである。

つまり接地輪６の回転により得られた動力は、
回転軸よりチエーン１１を介して植付デイスク７
に伝え、植付デイスク７が回転し植付けを行うの
である。

さらに、植付デイスク７からは、苗供給駆動伝
達装置Ｂにより苗供給装置１０に動力を伝える。
即ち接地輪６に同期して植付デイスク７、苗供給
装置１０のそれぞれが作動するのである。

まず苗供給装置１０の構造は、植付フレーム１
６に立設したコラム２１，２１の上部にアングル
２２、その下にプレート２３を架設し、アングル
２２にスプロケツト３０，３１、プレート２３に
テンシヨンスプロケツト２０を装着し、苗搬送チ
エーン１９をスプロケツト２０，３０，３１及
び、苗供給駆動軸１３に装着されたスプロケツト
１７間に張り、略三角形状の苗供給装置１０を形
成する。

次に、この構成において苗の搬送行程を説明す
ると、苗ホルダー２４は苗搬送チエーン１９上に
一定間隔をおいて装着されており、逆三角形状の
底辺、即ち苗搬送チエーン１９上部に位置してい
る時はＶ形に上方を向いている。その開いている
苗ホルダー２４にオペレーターは苗を置いていく
のである。

すると苗は多少ズレた位置に置かれても搬送さ
れるに従つて谷部に位置し、ホルダーガイド２５
により挾持される。即ち、苗ホルダー２４の進行
方向に向かつて前側がホルダーガイド２５に当た
ると、苗ホルダー２４はピン２６を中心にして回
転し、同時に苗ホルダーのＶが徐々に閉じて苗が
挾持されるのである。

そして、スプロケツト３１にて下方に方向を変
えられたホルダーガイド２５に沿つて苗ホルダー
２４が閉じたまま受け渡し部Ａまで搬送されてく
るのである。

受け渡し部Ａではホルダーガイド２５は外方向
に折曲がつて開かれており、苗ホルダー２４の挾
持が半分解除されるようにしてある。このように
半分開くのは一度に開くと苗は反動で飛び出した
り、受け渡し位置がズレたりするためであり、半
分だけ開いておくと苗を容易に取り出すことがで
き、苗の姿勢を保つたまま植付デイスクに受け渡
すことができるためである。

ただし、苗ホルダー２４の開く力は挾持部２４
ａのゴムの弾性により開く。ホルダーガイド２５
と苗搬送チエーン１９間の間隔は苗径の大きさに
合わせて調節杆２８，２９を左右に移動すること
により変更可能である。受け渡し部Ａを通過後、
苗ホルダーはスプロケツト１７により方向を再び
変えられて最初の位置まで戻り、以上の行程を繰
り返し苗供給を行うのである。

次に、苗ホルダーの構造を第５図の正面図、第
６図の平面図、第７図の側面断面図に示す。

苗ホルダー２４は保持部２４ａが合成樹脂また
はゴム等の弾性体でできており、通常状態では中
央部の押さえ棒２４ｂにて押さえられているため
にＶ形になつている。ホルダー基部２４ｃは苗搬
送チエーン１９の一つの中央に固着された取付台
１９ａにピン２６にて枢支されており、回動可能
としている。そして、該ピン２６に嵌入されたバ
ネ２７によつて常に接線と直角方向に苗ホルダー
２４がＶ形に開くようにしているのである。

次に、本考案の苗供給駆動伝達装置Ｂの構造は
第３図、第８図に示す如く、接地輪６の回転軸よ
りチエーン１１を介して植付デイスク回転軸７ａ
に動力を伝える。回転軸７ａには縁部７ｂが設け
られており、該縁部７ｂ周囲に駆動ピン１２を等
間隔に固着する。ただし苗の植付間隔を変更する
ために駆動ピン１２の個数を変更して調節するこ
ともできる。

一方植付フレーム１６に支持筒１４を設け、苗
供給装置駆動軸１３を挿入し、一端に苗供給装置
駆動スプロケツト１７を装着し、他端にピン１５
を固着したピン支持体１８を挿入固定する。

ピン１５は植付デイスクの縁部７ｂの駆動ピン
１２と交叉し、植付デイスク７の回転力が駆動ピ
ン１２、ピン１５を介して苗供給装置駆動軸１３
に伝達されるのである。

このように構成すると植付デイスク７の外周の
速度、即ち周速は半径の小さい縁部７ｂの周速よ
り速く、縁部７ｂの周速は駆動ピン１２よりピン
１５にて伝えられるためのピン１５の周速と同じ
になる。

そして苗供給装置駆動軸１３に装着されている
苗供給装置駆動スプロケツト１７の周速とほぼ等
しくなるのである。よつて苗搬送チエーン１９の
回転速度は苗供給装置駆動スプロケツト１７の周
速により決まるため植付デイスク７の周速より遅
くなるのである。

よつて、苗ホルダー２４が受け渡し部Ａに位置
する時の速さは、植付デイスク７の回転速度より
遅いために苗の姿勢が崩れずに植付デイスクに受
け渡されていくのである。

(ヘ) 考案の効果 本考案は以上の如く構成したので、次のような
効果を奏するものである。

第１に、閉じた状態の苗ホルダー２４内に苗を
保持した受け渡し部Ａまで移動し、該位置におい
て苗ホルダー２４をＶ形に開いて、まだ該部分に
苗を載置した状態のまま、遅い速度で下方へ移動
する状態で、苗ホルダー２４から突出した苗の部
分を速い周速で回転する植付デイスク７に挾持さ
せるのであるから、植付デイスク７により挾持し
た後で、始めて、苗ホルダー２４の移動速度と植
付デイスク７の周速の差の速度で苗を、苗ホルダ
ー２４から取出して受け継ぐのであり、該受け継
ぎ時においては、苗ホルダー２４に保持され、か
つ植付デイスク７により挾持された重複保持状態
が発生するのである。

故に従来の如く、搬送ベルトから植付デイスク
に落下して受け継ぐ場合に比較して確実な受け継
ぎ作用を行うことが出来るのである。

第２に、苗ホルダー２４の上に載置された苗を
植付デイスク７の側に引き抜く速さは、両者の速
度の差の速度により引き抜くのであるから、苗を
傷めたり、苗の姿勢を崩すという不具合いが無く
なつたのである。よつて受け継ぐ精度の向上と植
付精度が向上を得ることが出来たのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は野菜移植機の全体側面図。第２図は同
じく苗供給装置部拡大側面図。第３図は同じく平
面図。第４図は苗供給装置正面図。第５図は苗ホ
ルダー正面図。第６図は同じく平面図。第７図は
同じく側面断面図。第８図は苗供給駆動伝達装置
平面図。 ７……植付デイスク、１０……苗供給装置、１
６……植付フレーム、１９……苗搬送チエーン、
２４……苗ホルダー、Ｂ……苗供給駆動伝達装
置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上方に向けてＶ形に開いた苗ホルダー２４内に
   オペレーターが苗を供給し、該苗ホルダー２４の
   Ｖ形部分がホルダーガイド２５に接当し閉じた状
   態で、ホルダーガイド２５に沿つて下方の受け渡
   し部Ａまで移動し、該受け渡し部Ａにおいて苗ホ
   ルダー２４を開き、苗ホルダー２４内に苗を載置
   した状態で、苗ホルダー２４から突出した部分の
   苗を、苗ホルダー２４の移動方向に沿つて回転す
   る植付デイスク７に挾持させ受け継ぐ構成におい
   て、苗ホルダー２４を固設した苗搬送チエーン１
   ９の速度を植付デイスク７の外周の周速より遅く
   構成したことを特徴とする野菜移植機の苗供給装
   置。