JPH0229547B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、洗車機による車両の水垢除去方法に
関する。尚、本発明において「水垢」とは、その
本来の意味では、水に溶け込んだカルシウム等の
無機物が車両塗装面に付着、浸透し黒ずんで表出
したものを言うのであるが、本発明では、排気ガ
スの油煙、煤煙、老化ワツクス等が車両表面に強
固に付着して生じた、車両表面の汚れをも含んだ
広い意味で総称したものである。

(2) 従来の技術 従来、車両の水洗い及びワツクス掛けの機能を
有する洗車機は実現されているが、水垢除去機能
を有した洗車機は未だ実現されておらず、手作業
によつて水垢を除去していた。

(3) 発明が解決しようとする課題 従つて従来では、水垢除去のために多大の労力
が必要であり、車両の水垢を自動的に除去し得る
水垢除去装置の実現が望まれている。

そこで本出願人は、車両を跨いでその前後方向
に走行し得る門型フレームに水垢除去剤散布装置
を設け、車両の水垢を殆ど人手を要さずに自動的
に除去し得るようにした洗車機を先に提案してい
る（特開昭60−121157号公報参照）。このような
洗車機において水垢除去効果を高めるために、水
垢除去工程に入る前に予め車両表面をブラシング
洗浄して一応奇麗にしておくことが考えられる
が、その場合、ブラシング洗浄後すぐに水垢除去
工程に移行すると、次のような問題があることを
本発明者は究明した。即ち、ブラシング洗浄直後
の車両表面には洗浄水が比較的多量に残存してい
るので、この車両表面に水垢除去剤を散布する
と、それが洗浄水によつて薄められて水垢に効果
的に作用しなかつたり、或いは車両表面に万遍な
く水垢除去剤を接触させることが困難となつて水
垢除去効果に大きなばらつきを生じる恐れがあ
り、また比較的多量の水垢除去剤を必要とする等
の不都合が生じる。

本発明は上記に鑑み提案されたもので、洗車機
において従来普通に用いられるブラシング洗浄用
回転ブラシ装置を水垢除去用の回転ブラシ装置に
そのまま兼用させることができるようにして、車
両表面の水垢除去作業の労力を軽減し且つその作
業能率を向上させることができ、しかも比較的少
量の水垢除去剤で車両表面の水垢を効率よく略均
一に除去することができるようにした、全体とし
て構造簡単な洗車機による車両の水垢除去方法を
提供することを目的とする。

Ｂ 発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 そして上記目的を達成するために本発明は、車
両を跨いでその前後方向に走行可能な門型フレー
ムに、その門型フレームの走行時に車両表面をブ
ラシング洗浄し得る回転ブラシ装置と、同走行時
に車両表面を乾燥し得る乾燥装置と、同走行時に
車両表面に水垢除去剤を散布し得る水垢除去剤散
布装置とを少なくとも装備した洗車機による車両
の水垢除去方法であつて、前記回転ブラシ装置に
より車両表面をブラシング洗浄してから、その車
両表面を前記乾燥装置により乾燥させる第１の工
程と、その第１の工程終了後において、前記水垢
除去剤散布装置により水垢除去剤を車両表面に散
布してから、その車両表面を前記回転ブラシ装置
によりブラシングする第２の工程とを有すること
を特徴とする。

(2) 作用 水垢除去剤散布装置より水垢除去剤を散布され
た車両表面を回転ブラシ装置によつてブラシング
するようにしたことにより、その散布させた水垢
除去剤を車両表面に万遍なく付着させ且つ擦り付
けることができるから、車両表面に強固に付いた
水垢を効果的に除去することができる。

また特に、上記のように車両表面に水垢除去剤
を散布する前に、予め車両表面をブラシング洗浄
してその表面上の塵埃等を奇麗に除去することが
できると共に、そのブラシング洗浄後の車両表面
より洗浄水を排除することができるから、水垢除
去剤の散布量が少なくても、水垢除去工程のブラ
シングの際に車両表面が硬い塵埃等との摺接によ
つて傷付けられる虞れはない上、その水垢除去剤
を、洗浄水によつて薄められたり或いは上記塵埃
等に邪魔されたりすることなく車両表面に十分に
接触させることができる。

(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説
明すると、先ず第１図において、この洗車機１
は、図示しない車両を跨ぐ門型フレーム２を備
え、その門型フレーム２は前記車両の側方で地上
に敷設される走行レール３に沿つて走行可能、す
なをち前記車両の前後方向に沿つて矢符４で示す
往行方向およびそれとは逆の復行方向に往復走行
可能である。

門型フレーム２には、回転ブラシ装置Ｂ、乾燥
装置Ｄ、ワツクス塗布装置Ｗ、リンス水噴霧装置
Ｒおよび水垢除去剤散布装置Ｍがそれぞれ装備さ
れる。

回転ブラシ装置Ｂは、上面回転ブラシ５および
一対の側面回転ブラシ６を備える。上面回転ブラ
シ５は、門型フレーム２に回動自在に支承された
横軸８に、揺動腕９を介して揺動自在に支承され
る。揺動腕９には、その上部に原動機１０が設け
られており、その原動機１０から揺動腕９内の伝
動機構を介して上面回転ブラシ５が回転駆動され
る。また、横軸８には、スプロケツト１１が固定
されており、横軸８の下方で門型フレーム２には
中間軸１２が回動自在に支承されており、この中
間軸１２には他のスプロケツト１３が固定され
る。両スプロケツト１１，１３には無端状チエン
１４が懸回されており、このチエン１４の途中に
固着された取付金具１５には、門型フレーム２に
下端を支承されたエアシリンダ１６のピストン棒
１７が連結される。従つてエアシリンダ１６を縮
小駆動すれば、上面回転ブラシ５を二点鎖線で示
すように上方格納位置に保持することができる。
また、エアシリンダ１６を不作動の状態にする
と、上面回転ブラシ５は、横軸８を中心として往
行方向４に沿う門型フレーム２の後方に自由に揺
動することができる。

一対の側面回転ブラシ６の回転軸１８は保持筒
１９に保持されており、その保持筒１９は軸線を
鉛直にして移動枠２０に固着される。移動枠２０
は、門型フレーム２に横架した案内レール２１に
摺動可能に係合されており、案内レール２１の支
軸２２は門型フレーム２に回動自在に支承され
る。したがつて、案内レール２１、移動枠２０、
保持筒１９、回転軸１８および側面回転ブラシ６
は、支軸２２を支点として往行方向４に沿う前後
に揺動可能である。移動枠２０には、原動機２３
が支持されており、この原動機２３の出力軸に固
定されたスプロケツト２４と、回転軸１８の端部
に固定されたスプロケツト２５とには無端状チエ
ン２６が懸回され。原動機２３によつて側面回転
ブラシ６が回転駆動される。

乾燥装置Ｄは、門型フレーム２の両側で内方に
向けて開口する一対の側面送風ノズル２７と、上
部で下方に向けて開口する上面送風ノズル２８と
が送風機２９に接続されて成り、上面送風ノズル
２８は図示しない昇降作動手段により、乾燥すべ
き車両の車高に対応して昇降作動される。

ワツクス塗布装置Ｗは、門型フレーム２の内側
面に沿つて門型に設けられたワツクス供給ヘツダ
４８に複数の噴霧ノズル４９を設けて成る。

ここで、洗車機１に水垢除去機能を持たせるた
めに、門型フレーム２には、その往行方向４に沿
つて回転ブラシ装置Ｂの前方に水垢除去剤散布装
置Ｍが設けられる。また前記往行方向４に沿う回
転ブラシ装置Ｂの後方でかつワツクス塗布装置Ｗ
の前方には、リンス水噴霧装置Ｒがそれぞれ設け
られる。

第２図において、水垢除去剤散布装置Ｍは、門
型フレーム２の内側に支持された門型の供給ヘツ
ダ３２に、車両（図示せず）に向けた複数の散布
ノズル３４を取り付けて構成される。この散布ノ
ズル３４はその散布方向を調節し得るように供給
ヘツダ３２にそれぞれ取り付けられており、しか
もその開口面積は比較的大きく設定される。また
リンス水噴霧装置Ｒは、門型フレーム２の内側に
支持された門型の供給ヘツダ３５に車両に向けた
複数の噴霧ノズル３７を取り付けて構成される。

上記水垢除去剤散布装置Ｍには、給水ポンプ
Ｐ、空気源Ａ、水垢除去剤貯留タンクＴがそれぞ
れ接続される。すなわち、給水ポンプＰには、第
１電磁弁S₁、第１エジエクタE₁がこの順に接続
され、空気源Ａには第２電磁弁S₂、減圧弁DV及
び第２エジエクタE₂がこの順に接続され、第２
エジエクタE₂に直角に第１エジエクタE₁が接続
される。水垢除去剤貯留タンクＴは第１エジエク
タE₁に直角に接続される。さらに第２エジエク
タE₂は水垢除去剤散布装置Ｍにおける供給ヘツ
ダ３２の上部中央に接続される。

給水ポンプＰは、またリンス水噴霧装置Ｒに給
水するために、その供給ヘツダ３５の上部中央に
第３電磁弁S₃を介して接続される。

水垢除去剤貯留タンクＴに貯留される水垢除去
剤としては、源液でPH14を示す強アルカリ性のも
のをPH12〜14程度に調整したものが用いられる。
これは本発明者が実験した結果、従来のPH８〜10
程度の洗剤では水垢を除去することができず、上
記PH12〜14程度の水垢除去剤によれば、車両塗装
面から水垢を浮き上がらせて剥離することができ
ることを見出したことに基づくものである。

このような回転ブラシ装置Ｂ、乾燥装置Ｄ、ワ
ツクス塗布装置Ｗ、リンス水噴霧装置Ｒおよび水
垢除去剤散布装置Ｍの作動ならびに門型フレーム
２の走行作動は門型フレーム２に設けた制御盤３
９（第１図参照）にて制御される。

次に、この実施例の作用について第３図〜第６
図を参照しながら説明するが、第３図〜第６図に
おいて上方のａは簡略化した側面を示し、下方の
ｂはその簡略化した平面を示すものである。

先ず、車両Ｖの水垢除去にあたつては、回転ブ
ラシ装置Ｂおよび乾燥装置Ｄにより、従来の洗車
機と同様に車両Ｖのブラシング洗浄および乾燥が
行われる。すなわち、制御盤３９の洗車スタート
キー（図示せず）を押圧すると、門型フレーム２
の第１往行時に回転ブラシ装置Ｂにより車両Ｖの
ブラシング洗浄が行われ、門型フレーム２の第１
復行時に乾燥装置Ｄによる車両Ｖの乾燥が行われ
る。

次に、制御盤３９上の図示しないスタートキー
を押圧操作する。これにより、門型フレーム２は
第３図の矢符で示すように往行するが、この第２
往行時には、洗車機１は何の動作もしない。次い
で門型フレーム２は第４図の矢符で示すように復
行する。この第２復行時には、第１、第２電磁弁
S₁，S₂が開弁する。したがつて、給水ポンプＰか
らの水は、第１エジエクタE₁で水垢除去剤を吸
い上げて第２エジエクタE₂に至り、この第２エ
ジエクタE₂で空気源Ａからの空気によつて泡状
にされる。泡状となつた水垢除去剤は水垢除去剤
散布装置Ｍの供給ヘツダ３２に至り、各散布ノズ
ル３４から泡状で車両Ｖに向けて散布される。こ
の際、散布ノズル３４の開口面積は比較的大きく
設定されているので、水垢除去剤の泡はつぶれる
ことなく車両Ｖの表面に付着する。このように水
垢除去剤に泡状にして散布するのは、車両Ｖの表
面に散布された水垢除去剤が直ちに流下してしま
うことを防止し、水垢の車両Ｖの表面からの浮き
上りに必要な反応時間を確保し、均一な処理面を
得るためである。また、実験によれば、単に、液
状で散布した場合に比べ、すぐれた水垢除去効果
を得ることができた。

次に門型フレーム２を第５図の矢符で示すよう
に往行させる。この第３往行時には、前記水垢除
去剤散布装置Ｍによる水垢除去剤の散布が休止さ
れ、回転ブラシ装置Ｂによるブラシングが行われ
る。このブラシングにより、泡状の水垢除去剤が
車両Ｖの表面に均一に付着されるとともに、手作
業によるこすり取り作業と同じ作用が行われる。

門型フレーム２が第５図の右端に達すると、反
転して復行動作に移り、この第３復行時には、前
述の第４図に示したものと同様に、水垢除去剤散
布装置Ｍによる水垢除去剤の散布が行われる。さ
らに、門型フレーム２は第４往行動作に移り、こ
の第４往行時には、第５図で示したのと同様に、
回転ブラシ装置Ｂによるブラシングが行われる。
このようにして、門型フレーム２の復行時におけ
る水垢除去剤散布と、往行時におけるブラシング
とが、反復して２回繰返される。

門型フレーム２の第４往行動作終了時には、門
型フレーム２を例えば約５分間程度休止させる。
これにより、水垢が水垢除去剤と反応して車両Ｖ
の表面から浮上がる時間が充分に取られる。また
この間に、回転ブラシ装置Ｂによるブラシングが
行われにくい部分を、手作業で手直しをする。

この手直し作業終了後、制御盤３９上の図示し
ないすすぎスタートキーを押圧し、門型フレーム
２を第６図で示すように復行させる。この第４復
行時には、第１および第２電磁弁S₁，S₂を閉じた
まま第３電磁弁S₃を開弁し、リンス水噴霧装置Ｒ
によるリンス水の噴霧を行う。この際、リンス水
噴霧装置Ｒにおける噴霧ノズル３７の孔径を小さ
く、しかも個数を多くすることによつて、車両Ｖ
の表面に満遍なく水を噴霧することができる。ま
た、乾燥装置Ｄが作動され、車両Ｖの表面に残留
した水垢および水垢除去剤がリンス水で洗い流さ
れるとともに、乾燥装置Ｄによつて車両Ｖの表面
が乾燥される。このようにして一連の水垢除去行
程が終了し、門型フレーム２は停止する。

このような水垢除去行程終了後、必要に応じて
ワツクス洗車を行なえばよく、そうすれば艷のあ
る塗装面を得ることができる。

Ｃ 発明の効果 以上のように本発明によれば、車両を跨いでそ
の前後方向に走行可能な門型フレームに、車両表
面をブラシング洗浄し得る回転ブラシ装置と、車
両表面を乾燥し得る乾燥装置と、車両表面に水垢
除去剤を散布し得る水垢除去剤散布装置とを少な
くとも装備した洗車機において、前記水垢除去剤
散布装置により水垢除去剤を車両表面に散布して
から、その車両表面を前記回転ブラシ装置により
ブラシングするようにしたので、水垢除去剤散布
装置より水垢除去剤を散布された車両表面を前記
回転ブラシ装置によつてブラシングして、その散
布された水垢除去剤を車両表面に万遍なく付着さ
せ且つ擦り付けることができ、これにより、車両
表面に強固に付いた水垢を効果的に除去すること
ができ、その水垢除去作業の労力軽減及び能率向
上に大いに寄与し得る。しかも洗車機において従
来普通に設置されるブラシング洗浄用回転ブラシ
装置を、水垢除去のためのブラシ装置にそのまま
兼用することができるから、それだけ構造が簡素
化されたコストダウンに大いに寄与し得る。

また特に、上記のように車両表面に水垢除去剤
を散布する前に、前記回転ブラシ装置により車両
表面をブラシング洗浄し、その車両表面を前記乾
燥装置により乾燥させるようにしているので、水
垢除去工程に入る直前に予め車両表面をブラシン
グ洗浄して該表面上の塵埃等を除去することがで
きると共に、そのブラシング洗浄後の車両表面よ
り洗浄水を排除することができ、従つて水垢除去
剤の散布量が少なくても、水垢除去工程のブラシ
ングの際に車両表面が硬い塵埃等との摺接によつ
て傷付けられる虞れはない上、その水垢除去剤
を、洗浄水によつて薄められたり或いは上記塵埃
等に邪魔されたりすることなく車両表面に十分に
接触させることができ、それらの結果、水垢除去
剤の使用量が比較的少なくてもそれを車両表面に
各部略均一に且つ効果的に作用させることができ
るから、水垢除去効果を一層高めることができる
と共に、水垢除去剤の使用量を節減してコストダ
ウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであり、第
１図は本発明を適用する洗車機の縦断側面図、第
２図は水垢除去剤散布装置およびリンス水噴霧装
置の配管系統を示す斜視図、第３図ａ，ｂ〜第６
図ａ，ｂは水垢除去時の動作を順次示すもので、
ａは簡略化した側面図、ｂはその簡略化した平面
図である。 １……洗車機、２……門型フレーム、Ｂ……回
転ブラシ装置、Ｄ……乾燥装置、Ｍ……水垢除去
剤散布装置、Ｒ……リンス水噴霧装置、Ｖ……車
両。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車両を跨いでその前後方向に走行可能な門型
   フレーム２に、その門型フレーム２の走行時に車
   両表面をブラシング洗浄し得る回転ブラシ装置Ｂ
   と、同走行時に車両表面を乾燥し得る乾燥装置Ｄ
   と、同走行時に車両表面に水垢除去剤を散布し得
   る水垢除去剤散布装置Ｍとを少なくとも装備した
   洗車機による車両の水垢除去方法であつて、 前記回転ブラシ装置Ｂにより車両表面をブラシ
   ング洗浄してから、その車両表面を前記乾燥装置
   Ｄにより乾燥させる第１の工程と、その第１の工
   程終了後において、前記水垢除去剤散布装置Ｍに
   より水垢除去剤を車両表面に散布してから、その
   車両表面を前記回転ブラシ装置Ｂによりブラシン
   グする第２の工程とを有することを特徴とする、
   洗車機による車両の水垢除去方法。