JPH0229373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は主燃焼流動層炉とこれより排出され
る未燃焼物を燃焼処理する再燃焼流動層炉と関連
機器とよりなる流動層燃焼装置に関する。

＜従来の技術及びその問題点＞ 石炭等を燃料とし、しかもその燃焼効率が重要
視される流動層ボイラ、特に発電用流動層ボイラ
は、その主燃焼流動層炉（以下「MBC」と略記
する）の燃焼効率を補う目的で、MBCで生成し
た飛散灰を後流部に設置してある集塵器で捕集
し、この捕集灰を別設の再燃焼流動層炉（以下
「CBC」と略記する）へ送入燃焼して、ボイラ全
体としての燃焼効率、すなわち総合燃焼効率の向
上を図るのが一般的である。

しかるに、従来、CBCはMBCに対して従属的
存在であることから、その構成及び機能には余り
考慮が払われておらず、例えば燃焼室に相当する
ベツドの構成にしても単一セルで構成させた極く
簡単なもので済ませていた。

しかし、最近の燃料事情について考えると今後
種々の性状の燃料を使用せざるを得ず、かつ電力
需要も省エネルギー化の観点から各機器の運転停
止を頻繁に行う等のため負荷変動も大きくなるこ
とが考えられ、従来形式のCBCでは十分に対応
することができない。今後対処せねばならない問
題を具体的に示すと、 (1) MBCの負荷変化の幅が大きくなることによ
り、また石炭の性状が変化することにより未燃
分を含有する灰の量が大きく変化する。

(2) 使用する石炭の種類またはMBCの運転条件
によつて灰分中に含有する未燃分の量が相違
し、この結果捕集灰の単位量当りの発熱量が変
動する。

以上２点に集約されるが、従来形式のCBCで
上記の点につき対処しようとすると次の様な問題
が生じる。すなわち、 Ａ MBC負荷が低い場合は、灰の生成量も少な
いため、CBCの連続運転は不可能となる。つ
まりCBCの容量は、MBCの最大負荷時の灰量
を処理出来るように設計されてあるため、少量
の灰では燃焼が継続できない。したがつて、こ
の場合は灰を貯えながらのバツチ運転を行わざ
るを得ない。

Ｂ 石炭の種類やMBCの運転条件によつて、灰
中未燃カーボン量が減少した場合も、上記Ａと
同様の対処が必要となる。

さらに、バツチ運転は次のような問題点を包蔵
している。（なおMBCとCBCとそれの関連機器
を含む流動層燃焼装置を以下単に流動層プラント
と称する。） (a) 流動層プラントにおいてはMBC及びCBCで
回収した熱により蒸気を発生させ、流動層ボイ
ラとして利用されるので、ボイラとしての出力
を一定に保持するためにはCBCの運転、停止
に対処してMBCの負荷を増減させねばならず、
運転上の外乱要因となる。

(b) プラントとして低負荷運転が連続する場合に
は、CBC運転時だけCBC全負荷運転のための
動力がきわ立つて消費されることになり、いわ
ゆる所内率を悪化させることになる。

以上に加えて、流動層自体が大きな熱容量を有
しているためCBCをバツチ運転した場合、また
はMBCの負荷制御操作を行つた場合等において、
制御遅れが生じ、負荷変動要求に対して迅速に対
応することができない。

＜問題点を解決するための手段＞ この考案は上述の問題点を解決するために考案
者等が別途提案している流動層燃焼プラント運転
方法に対応して構成した流動層燃焼プラントであ
り、CBCを連続運転可能なよう構成してプラン
ト全体の制御性を向上させ、かつ負荷に対しても
迅速に対応し得るよう構成したものである。

＜手段の概要＞ 要するにこの考案は、主燃焼流動層炉と同炉か
ら排出された未燃分を燃焼させる再燃焼流動層炉
とを備えた流動層燃焼装置において、複数個の流
動層セルよりなる再燃焼流動層炉と、主燃焼流動
層炉から排出された未燃分を貯留する未燃分貯留
槽と、同貯留槽に貯留された未燃分量を算出する
装置と、算出された未燃分量に応じて再燃焼流動
層炉に供給する未燃分量を制御する装置と、上記
供給未燃分量に応じて再燃焼流動層炉の稼動セル
数を決定する装置とを有することを特徴とする流
動層燃焼装置である。

＜関連技術とこの考案との技術的関係＞ 考案者等は上述の問題点を解決するため、この
考案とは別に「流動層燃焼プラントの運転方法」
の提案を行つているので、先ずこの方法の概略を
説明し、続いてこの方法との関係においてこの考
案の実施例を具体的に説明する。

第２図は流動層プラントの全体の系統を示す。
先ずこのプラントの蒸気系統から説明すると、
MBC１内の流動層２内に配置した層中伝熱管３
及びボイラ本体を構成する水冷壁を流れる給水は
ドラム４を介して循環流動することにより昇温
し、発生した蒸気は主蒸気管路５に流入する。一
方MBCから排出された未燃分を燃焼させるCBC
６においても層中伝燃管７及び水冷壁を介して熱
吸収を行うことにより蒸気を発生させ、発生した
蒸気はドラム８を経て前記主蒸気管５に合流しタ
ービン９を作動させる。

次に各流動層炉の燃焼及びその制御について説
明すると、MBC１に対しては石炭等の燃料Ｆが
投入され燃焼するが、燃焼排ガスは管路１０を経
て集塵器１１に流入する。この集塵器において捕
集された灰分及び未燃分（以下「未燃分」として
説明する）は脱気室１２に落下する。１４はこの
脱気室に取り付けたレベル計である。１５は管路
１６を介して脱気室出口と接続した未燃分貯槽で
ありこの貯槽に対してもレベル計１７が取り付け
てあり、脱気室１２のレベル及び未燃分貯槽のレ
ベルは記憶と指令信号を発する制御箱１８に対し
て信号として入力され、制御箱はこの信号により
貯留未燃分の総量を算出する。

CBCにおける燃焼は未燃分の焼却の外、発生
した蒸気をタービン９において利用することも目
的としているので、蒸気温度及び供給量も負荷に
対応して安定して制御されねばならない。制御箱
１８はプラントに要求される負荷デマンド信号Ｌ
によりタービン９に供給すべき蒸気量を算出し、
これに基づいて主蒸気弁１９を調節し、かつ流量
計２０による流量信号に基づいて弁１９をフイー
ドバツク制御する。

制御箱は貯留未燃分量に対応してCBC６に対
して供給する未燃分量を算出し、貯留未燃分量が
ゼロとなつたり、反対に未燃分量が貯留容量を越
えることのないよう制御する。このためCBC６
に対する未燃分供給量は変動するのでCBC６に
対しては複数のセルを区画形成し、未燃分供給量
に対応してセルの運転数を調節（セルスランピン
グ）し、未燃分供給量に係りなくCBC６の連続
運転が可能なよう構成する。なお、通常はセルス
ランピングには一定の時間がかかり応答性が低い
ので未燃分貯留量を先行して制御する。つまり制
御性の劣るセルスランピングに先立つてレベル制
御で対応し、セルの運転停止は最後に行う。な
お、以上の制御の間においても制御箱１８は負荷
デマンド信号に対応して適正量の蒸気をタービン
９に供給するよう制御せねばならないが、CBC
６についてはこの制御を実現するため流動層の層
温制御を行う。なお制御箱１８は層内の温度を検
知する温度検知器２１からの信号を常時入力し、
MBC１の運転状態から算出したCBCの負荷分担
に対応した層温度を算出し、この設定層温度と検
知温度の偏差に基づいて所定量の助燃料２２を
CBC６に供給する。

＜実施例＞ この考案は以上の方法に関連して構成したもの
であり以下その実施例につき説明する。

第１図において、CBC６はＡ，Ｂ，Ｃの三つ
のセルに分割してあり、各セルに対して未燃分貯
槽１５内の未燃分を供給する管路３０が分岐接続
している。またこれらのセルに対しては助燃料２
２を各各供給する管路３１も分岐接続している。
次に符号３２ａ，３２ｂ，３２ｃは各セルに対し
て流動化気体Ａを供給する管路であり、この管路
に対しては不活性ガス、（図示の場合は集塵器２
４で除塵したCBC６の排ガスＧ）を供給する管
路３３ａ，３３ｂ，３３ｃが接続しており各管路
に配置したダンパ３４ａ，３４ｂ，３４ｃ，３４
ｄ，３４ｅ，３４ｆを適宜切り換えることにより
流動化気体Ａまたは不活性ガスＧを供給するよう
に構成する。

次に３５は未燃分分析器であり未燃分貯槽１５
から未燃分をサンプリングして分析し、単位量当
りの発熱量を計測し、この計測結果を制御箱１８
に入力するよう構成してある。

以上の構成の装置において、未燃分の捕集量及
び単位量当りの発熱量が安定している場合には
CBC６の所定のセル、例えばセルＡのみを運転
しておき、このセルＡに対して未燃分を定つた量
供給し燃焼させる。この場合、ダンパ３４ａは
開、３４ｆは閉としてセルＡに対しては流動化気
体（燃焼用空気）Ａを供給する。但しこの場合、
O₂分圧を高めることなく流動化気体の供給量を
増加させたい場合には、排ガスＧの供給量に見合
つた分だけダンパ３４ｆを開とする。一方ダンパ
３４ｂ，３４ｄは全閉としてセルＢ，Ｃの運転を
停止させると共に、ダンパ３４ｃ，３４ｄを開と
して停止中の媒体層に対して一定量の不活性ガス
を供給し、これらのセルの再起動時に迅速な起動
が行えるように対処する。

次に未燃分の量が変動する場合について説明す
る。先ず未燃分の量が増加する場合について説明
すると、CBC６はあらかじめセルＡのみ運転し
ておき、脱気室１２（第２図参照）内のレベル増
加で対応し切れない場合には未燃分貯槽１５に未
燃分を排出する。貯槽内のレベルはレベル計１７
によりリアルタイムに制御箱１８に入力するが、
制御箱１８は同貯槽１５のレベル増でも対処し切
れない場合にはセルＢの運転を開始するよう各機
器に指令信号を発する。すなわち、ダンパ３４ｃ
閉として排ガスＧの供給を停止すると共にダンパ
３４ｂを開として流動化気体Ａを供給しセルＢの
起動を行う。さらにセルＢの運転でも対応し切れ
ない場合にはセルＧも運転してこれに対応する。

次に未燃分が減少する場合には、先ず脱気室１
２内の未燃分を未燃分貯槽１５内に排出して未燃
分貯槽１５内のレベルを上昇させてセルＢ（セル
Ｃが運転中の場合はセルＣも含めて）の運転を継
続するよう調節し、このレベル調整でも対応し切
れない場合に初めてセルＣ及びＢの順に運転を停
止する。

CBC６に対する未燃分供給量は以上の如く未
燃分発生量に対応して決定されるが、一方ボイラ
プラントとして負荷デマンドＬに対応する必要が
あるので、制御箱１８はCBC６に対する未燃分
供給量と、分析器３５から入力する未燃分の発熱
量とによりCBC６の燃焼による発熱量を演算し、
負荷の不足分だけ助燃料２２を供給するよう制御
する。

＜効果＞ 本考案を実施することにより流動層燃焼プラン
トを円滑に制御できしかも負荷に対して迅速に対
応することができるのでボイラプラントとしても
有効に利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る流動層燃焼プラントの
要部系統図、第２図は流動層燃焼プラント全系統
図である。 １……主燃焼炉、６……再燃焼炉、１５……未
燃分貯留槽、１８……制御箱、２２……助燃料、
３５……分析器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主燃焼流動層炉と同炉から排出された未燃分を
   燃焼させる再燃焼流動層炉とを備えた流動層燃焼
   装置において、複数個の流動層セルよりなる再燃
   焼流動層炉と、主燃焼流動層炉から排出された未
   燃分を貯留する未燃分貯留槽と、同貯留槽に貯留
   された未燃分量を算出する装置と、算出された未
   燃分量に応じて再燃焼流動層炉に供給する未燃分
   量を制御する装置と、上記供給未燃分量に応じて
   再燃焼流動層炉の稼動セル数を決定する装置とを
   有することを特徴とする流動層燃焼装置。