JPH0229141Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、天体観測所、野外レストラン、住宅
等の、比較的小型の建造物を被覆しているルーフ
を移動し、外気と室内とを直接接触し得るように
したスライデングルーフに係るものである。

従来の技術 従来、建造物を被覆しているルーフを移動し、
外気と室内とを直接接触し得るようにした、スラ
イデングルーフは存在するが、一般的に建造物へ
のルーフの設置が不十分で、ルーフの移動に極め
て強い力を必要としたり、強風によつてルーフが
吹きあげられ、建造物から脱落してしまう等の欠
点を有していた。

例えば特開昭52−58234号公報記載の発明は、
支持レールの水平板の上面にルーフ本体の下面に
固定した移動車を載置しただけであるから、ルー
フ本体に側面とか下面から強い風が加えられた場
合には、移動車が支持レールから外れて移動不能
となるとともに脱落等の危険の生じる可能性の高
いものである。

また実公昭54−20271号公報記載の考案に於い
ては、支持レールの水平板の下方位置の鉛直板の
内面に車輪を突き当てて、ルーフ本体の風に対す
る安全性を高めている。しかしながらこの考案に
於いても下面からの風の吹き上げに対しては何ら
の対策も施されていない。ルーフ本体が造船ドツ
クの上面を被覆する等の極めて大きな重量を有す
る大型のものである場合には、ルーフ本体に吹き
上げる風が作用しても若干浮上する程度であるか
ら、問題を生じることは少ないが、この考案の構
成を天体観測所、野外レストラン、住宅等の、比
較的小型の建造物を被覆しているスライデングル
ーフの構造に転用すると、下面から吹き上げる風
によつて容易に持ち上げられ、ルーフ本体は支持
レールから脱線したり、地上に落下したりする危
険性を有するものであつた。

また、ルーフをハンガーレールによつて、建造
物の外壁に移動自在に設置する方法が知られてい
るが、ハンガーレールにのみ成されているため、
ルーフの両側下端が、風によつて外方に拡開する
傾向があり、ルーフの荷重が、ハンガーレールに
垂直に掛からず、ねじれを生じるため、移動に極
めて大きな力を必要としたり、更には移動を困難
にしたり、強風によつてルーフのガタ付き、脱落
等を生じる欠点を有していた。

考案が解決しようとする問題点 本考案は上述のごとき問題点を解決しようとす
るものであつて、天体観測所、野外レストラン、
住宅等の比較的小型の建造物を被覆しているルー
フを移動し、外気と室内を直接接触し得るように
したスライデングルーフに於いて、ルーフの移動
を、弱い力で簡易に行えるとともに強風等によつ
ても、ルーフの吹きあげを生じる事がなく、安全
な使用を可能とするスライデングルーフを得よう
とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は上述のごとき問題点を解決するため、
ルーフ本体によつて被覆される建造物の外壁に、
鉛直板の上端に水平板を有する支持レールを固定
し、鉛直板を外壁間に挿入間隔を形成するととも
に支持レールの水平板の上面に、ルーフ本体の下
面に固定した移動車を載置し、ルーフ本体を建造
物の外壁に対して移動自在とするとともに水平板
の下方位置の挿入間隔に、保持キヤスターを挿入
し、この保持キヤスターを鉛直板の内面に回動自
在に突当て、この保持キヤスターを、ルーフ本体
の下面に固定形成して成るものである。

また支持レールは、Ｈ型鋼により形成したもの
であつても良い。

また支持レールは、Ｌ型の固定アングルを介し
て外壁の外面に固定したものであつても良い。

作 用 本考案は上述のごとく構成したものであるか
ら、ルーフ本体の通常の荷重は、支持レールの水
平板上面に移動車を介して加えられ、建造物の外
壁に従つた移動を可能とする。この、ルーフ本体
の荷重は、全て支持レールに加えられるとともに
ルーフ本体と建造物とが接続するのは、ルーフ本
体下端の移動車と、支持レールのみであるから、
ルーフ本体は自身の荷重によつて外方に拡開しよ
うとする力が作用し、、移動車を支持レールから
外方に脱落させようとするが、水平板の下方位置
の鉛直板の内面に、保持キヤスターを回動自在に
突出て、この保持キヤスターを、ルーフ本体の下
面に固定形成しているから、ルーフ本体の外方に
拡開しようとする力は、保持キヤスターを介して
支持レールの鉛直板で受けることができ、ルーフ
本体の拡開変形防止と移動車の定位置での水平板
への載置を可能とする。またルーフ本体の拡開変
形力は、保持キヤスターを介して支持レールの鉛
直板が受けるものであるから、ルーフ本体の移動
に何等支障を生じることがなく、弱い力での移動
を可能とする。

また保持キヤスターは、支持レールの水平板の
下方の、鉛直板と外壁とで形成される挿入間隔に
位置するから、強風によつてルーフ本体が上方へ
の吹き上げ力を受けても、保持キヤスターが水平
板の下面に係合して、吹き上げ脱落等を生じる事
が無い。またルーフ本体側面からの風を受けた場
合には、受けた側とは反対側の保持キヤスターが
鉛直板に突き当たつて支持レールからの脱落を防
止するし、万一の強風、地震等によつて支持レー
ルからの移動車の脱輪が生じても、保持キヤスタ
ーは挿入間隔内に位置し、鉛直板または外壁に係
合し、地上に落下する危険性を防止出来るもので
ある。

実施例 以下、本考案を比較的小型の天体観測所に用い
た場合の一実施例を、図面に於いて説明すれば、
１は建造物で、基礎２の上面に外壁３，４を接続
固定し、この外壁３，４間に、一階５と二階６の
床面７，８を形成するが、この床面７，８の歩行
等による、振動の影響を受けることの無いよう、
地面に直接設置した設置台１０，１１を、床面
７，８を貫通して２個形成し、この設置台１０，
１１に望遠鏡等の観測器具を設置するとともに外
壁３，４間の建造物１の上面を、ルーフ本体１２
によつて被覆する。建造物１の外壁３，４外面に
は、リブ１３で補強したＬ型の固定アングル１４
を、固定ボルト１５により固定し、この固定アン
グル１４にＨ型鋼を横置きにした支持レール16
を、ルーフ本体１２の移動距離だけボルト１７に
より固定形成する。この支持レール１６は、鉛直
板１８の上端に水平板２０を形成し、鉛直板１８
と外壁３，４間に、間隔固定用のカラー２１をボ
ルト２２で固定することにより補強するとともに
鉛直板１８と外壁３，４との間に挿入間隔１９を
形成している。

またこの支持レール１６の水平板２０の上面
に、ルーフ本体１２の下面に固定した、移動車２
３を載置し、ルーフ本体１２を建造物１の外壁
３，４に対して、移動自在としている。この移動
車２３は、リブ２４で補強したＬ型の接続体２５
を介して、ルーフ本体１２の下端に固定する。ま
た水平板２０の下方位置の挿入間隔１９に保持キ
ヤスター２６を挿入し、この保持キヤスター２６
を鉛直板１８の外壁３，４側の内面に回転自在に
突当て、この保持キヤスター２６を、接続体２５
の垂直壁２７に固定形成している。

また図面中２８は建造物１の窓、３０はドア
ー、３１は二階６の観測室に隣接する居室３２の
屋根、３３は一階５からの昇降階段である。

上述のごとく構成したものに於いて、ルーフ本
体１２の通常の荷重は、支持レール１６の水平板
２０上面に、移動車２３を介して加えられ、建造
物１の外壁３，４に従つた移動を可能とする。こ
の、ルーフ本体１２の荷重は、全て支持レール１
６に加えられるとともにルーフ本体１２と建造物
１とが接続するのは、ルーフ本体１２と支持レー
ル１６の部分のみで、幅方向の中間部等を支持さ
れることが無いから、ルーフ本体１２は自身の荷
重によつて外方に拡開しようとする力が作用し、
移動車２３を支持レール１６の水平板２０から外
方に脱落させようとするが、水平板２０の下方位
置の鉛直板１８の内面に、垂直壁２７に固定した
保持キヤスター２６を回動自在に突当てているか
ら、ルーフ本体１２の外方に拡開しようとする力
は、保持キヤスター２６を介して支持レール１６
の鉛直板１８で受けることができ、ルーフ本体１
２の拡開変形防止と移動車２３の定位置での水平
板２０への載置を可能とする。また、ルーフ本体
１２の拡開変形力は、保持キヤスター２６を介し
て支持レール１６の鉛直板１８が受けるものであ
るから、ルーフ本体１２の移動に何等支障を生じ
ることがなく、弱い力での移動を可能とする。

また保持キヤスター２６は、支持レール１６の
水平板２０下方の、鉛直板１８と外壁３，４とで
形成される挿入間隔１９に位置するから、強風に
よつてルーフ本体１２が上方への吹き上げ力を受
けても、保持キヤスター２６が水平板２０の下面
に係合して、吹き上げ脱落等を生じる事が無い。

また、ルーフ本体１２側面からの風を受けた場
合には、受けた側とは反対側の保持キヤスター２
６が鉛直板１８に突き当たつて支持レール１６か
らの脱落を防止するし、万一の強風、強い地震等
によつて支持レール１６からの移動車２３の脱輪
が生じても、保持キヤスター２６は挿入間隔１９
内に位置し、鉛直板１８または外壁３，４に係合
し、地上に落下する危険性を防止出来るものであ
る。

考案の効果 本考案は上述のごとく構成したものであるか
ら、天体観測所、野外レストラン、住宅等の比較
的小型の建造物を被覆しているスライデングルー
フに於いて、自身の荷重によつて外方に拡開しよ
うとする力を、保持キヤスターを介して支持レー
ルの鉛直板で受けることにより、ルーフ本体の拡
開変形防止と移動車の定位置での水平板への載置
を可能とし、ルーフ本体の弱い力での移動を可能
とする。

また保持キヤスターは、支持レールの水平板の
下方の、鉛直板と外壁とで形成される挿入間隔に
位置するから、ルーフ本体が上方への吹き上げ力
を受けても、保持キヤスターが水平板の下面に係
合して、吹き上げ脱落等を生じる事が無いし、万
一の強風、地震等によつて支持レールからの移動
車の脱輪が生じても、保持キヤスターは挿入間隔
内に位置し、鉛直板または外壁に係合し、地上に
落下する危険性を防止でき、安全で簡易な使用を
可能とするものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は断面図、第２図は支持レール部分の拡大
断面図、第３図はルーフ本体を取り除いた状態の
建造物の平面図である。 １……建造物、３，４……外壁、１２……ルー
フ本体、１４……固定アングル、１６……支持レ
ール、１８……鉛直板、２０……水平板、２３…
…移動車、２６……保持キヤスター。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ルーフ本体によつて被覆される建造物の外壁
   に、鉛直板の上端に水平板を有する支持レール
   を固定し、鉛直板と外壁間に挿入間隔を形成す
   るとともに支持レールの水平板の上面に、ルー
   フ本体の下面に固定した移動車を載置し、ルー
   フ本体を建造物の外壁に対して移動自在とする
   とともに水平板の下方位置の挿入間隔に、保持
   キヤスターを挿入し、この保持キヤスターを鉛
   直板の内面に回動自在に突当て、この保持キヤ
   スターを、ルーフ本体の下面に固定形成したこ
   とを特徴とするスライデングルーフ。 (2) 支持レールは、Ｈ型鋼により形成したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のスライデングルーフ。 (3) 支持レールは、Ｌ型の固定アングルを介して
   外壁の外面に固定したものであることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のスラ
   イデングルーフ。