JPH0229045Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は播種用の種子繰出しベルトに関する。

ベルト繰出式播種機に装着使用される従来の種
子繰出しベルトは、発泡スチロールなどの屈撓自
由な合成樹脂材料から予じめの無端状態に一体成
形されており、これを円筒形をなす一対のボビン
外周面に捲き掛けて、循環回走させている通例で
ある。ところが、これではその無端の大きさや播
種の間隔ピツチを、種子の大きさや種類などに応
じて自由自在に変更することができず、そのため
これらの各種異なる繰出しベルトを予じめ多数用
意しておき、これを上記ボビンへ一々捲き付け状
に掛け換えている実情であり、その製作上不利で
あることは勿論、作業性に著しく劣る。

又、ボビンの平滑な円周面に対する摩擦接触の
みで、循環回走の駆動力を得ているに過ぎないこ
とや、更にはベルト自身が気温変化やその他によ
り膨張することなどに起因して、スリツプ現象を
生じやすく、延いては駆動ロスや播種ムラを招く
などという問題もある。そして、このようなこと
は予じめの無端状態に製作されている限り、その
一体成形品のみならず、そのベルトの切り離し両
端部を接着したものにあつても、全く同様に言え
ることである。

本考案はこのような問題点の改良を企図してお
り、その具体的構成を図示の実施例に基いて説明
すると、次の通りである。即ち、図は豆類や穀類
などのベルト繰出式播種機に使つて適当な本考案
を表わしており、第１〜５図において、１は種子
繰出し用のカセツトフレームであり、合成樹脂材
料から断面の略倒立Ｕ字型に成形されている。２
はこのフレーム１の下端部に横架された角型支
軸、３はこの支軸２に嵌着された左右一対の駆動
スプロケツトであり、その外周面には言うまでも
なく歯板３ａを備えている。４はこのスピロケツ
ト３へ一体回転可能に嵌着された伝動ギヤ、５は
角型支軸２の両端部へ各々プツシユ６を介して螺
入された左右一対のボルト、７は両駆動スプロケ
ツト３のデイスタンスカラーである。

他方、カセツトフレーム１の上端部には丸型支
軸８が横架されており、この支軸８に左右一対の
遊転可能な従動ローラー９が嵌着されている。し
かも、そのローラー９には第２図から明白な通
り、上記駆動スプロケツト３の歯板３ａと対応す
る円形な鍔板９ａが張り出し形成されている。１
０は丸型支軸８の突出両端部に螺着された左右一
対の角型ナツト、１１は両従動ローラー９のデイ
スタンスカラー、１２はカセツトフレーム１の両
側面へ各々プラケツト１３を介して取付けられた
進退操作可能な左右一対のネジ杆であり、上記角
型ナツト１０を押すことによつて、後述する種子
繰出しベルトを緊張させる。

１４はカセツトフレーム１の平滑な頂面中央部
に配設された凹溝であり、その溝底には種子繰出
しベルトの裏面支持用座板１５が定着されてい
る。１６は同じくフレーム１の頂面下部に突設さ
れた左右一対のホツパー位置決め用突起、１７は
同じく頂面の上部に突設された左右一対のホツパ
ー係止用フツクであり、合成樹脂製の種子ホツパ
ー１８はこれら突起１６とフツク１７へ係止され
ることによつて、カセツトフレーム１の頂面へ着
脱自在に定着されるようになつている。そして、
この定着時にホツパー１８の底面中央部に形成さ
れた帯状開口１９がフレーム１の上記凹溝１４と
連通合致する。２０はこの帯状開口１９の周辺に
添着された弾性材料のシールプレートであり、種
子繰出しベルトの表面へ弾圧状に接支し、種子洩
れ防止等を行なう。尚、２１はホツパー１８に取
付けられた調量プラシである。

又、上記カセツトフレーム１の駆動スプロケツ
ト３と従動ローラー９との相互間に捲き付けられ
る種子繰出しベルト２２は、ゴム又は合成樹脂の
可塑物を素材として次のような形状に一体成形さ
れている。即ち、これを明らかにした第６図にお
いて、２３は一定の幅Ｗ、厚みＨ並びに長さＬを
備えたほぼ四角盤状のベルト単体であり、その径
小幅の後部には左右一対の枢支突起２３ａがベル
ト単体２３自身の一定幅Ｗを越えない長さの短小
な形態として、横向き水平に突設されている。２
３ｂは径小幅の後部を横方向から挾み得る径大幅
の前部から前向きに突設された左右一対の耳片で
あり、これには枢支突起用の受け入れ凹所２３ｃ
が各々穿設されている。２３ｄはこの耳片２３ｂ
の外側面から横向き水平に突設された左右一対の
係合突起であつて、図から明白なように上記一定
幅Ｗを越える長さに長大化されており、上記受け
入れ凹所２３ｃと連通合致する中空の円筒型をな
している。もつとも、上記枢支突起２３ａの受け
入れ凹所２３ｃを耳片２３ｂの内面に開口するも
のとして備える限り、その係合突起２３ｄは中実
円筒型でも良い。

この場合、枢支突起２３ａと係合突起２３ｄと
は何れもベルト単体２３の厚み１１における同一
横断中心線上に配置されている。又、径小幅の後
部は左右一対の耳片２３ｂにおける相互間隙内へ
嵌脱可能な幅寸法として関係位置づけられてい
る。２３ｅはベルト単体２３の略中央部に凹入形
成された種子受け入れ用の凹溝であり、断面Ｌ字
形としてその上側及び前側が開口されることによ
り、ベルト単体２３のそれ自身を概してバケツト
状に形作つている。ベルト単体２３の表裏両面は
平滑なフラツト面として定められていると共に、
その後端面と耳片２３ｂの前端面は何れも円弧状
に形成されている。

このようなベルト単体２３の複数は第１，２図
のように何れも同一形状として、その隣り合う一
方の枢支突起２３ａを他方の対応する受け入れ凹
所２３ｃへ着脱自在に嵌合することにより、全体
として無端のリンククローラー状に形作られ、そ
の係合突起２３ｄが何れも上記駆動スプロケツト
３に対してはその歯板３ａへ噛合状態に係止さ
れ、又従動ローラー９に対してはその鍔板９ａへ
非噛合状態に接触されるようになつている。この
場合、ベルト単体２３の複数を着脱自在に連結す
るに当つては、可塑物から成るベルト単体２３そ
れ自身の弾力を利用して、一方の耳片２３ｂを第
６図の矢印Ｐにより示す相反する外側方へ押し開
いた上、その拡開された間隙内へ他方の後部を嵌
め込み、該後部の枢支突起２３ａを耳片２３ｂの
挿入孔２３ｃへ嵌合することによつて行なう。そ
して、これによりその嵌合操作のワンタツチ化や
ベルト全体の軽量化等を達成している。

上記の挿入孔２３ｃに嵌合された枢支突起２３
ａは、それ自身ベルト単体２３の複数を屈折可能
にすることに奉仕しており、その場合該突起２３
ａによる枢支点は係合突起２３ｄと同一軸線上に
合致しているため、種子繰出しベルト２２の全体
的循環回走が確実・円滑となること勿論である。
又ベルト単体２３の複数は何れも同一形状とし
て、その片面のみに種子受け入れ用凹溝２３ｅが
形成されているため、その凹溝２３ｅをすべて表
向きとしてベルト単体２３を連結した第７図の
使用例のほかに、同図と第８図に示すように例
えばベルト単体２３を１つおきに裏向きとして連
結し、その反転使用により播種のビツチを第７図
のものよりも大きく変更しつつ使用しても良
い。第９，１０図は、第６図に対応するベルト単
体２３の変形例を示しており、その凹溝２３ｅは
ベルト単体２３における中央部に必ずしも設ける
必要はなく（第９図参照）、例えば隣り合うベル
ト単体２３の相互において干鳥配列となる如く、
若干偏寄位置に形成しても良く、或いは又第１０
図のように上側のみ開口する凹溝として形成する
こともできる。その個数も勿論１個に限らない。

全体として無端のリンククローラー状に形作ら
れた種子繰出しベルト２２は、上記ネジ杆１２の
螺退操作によつて駆動スプロケツト３と従動ロー
ラー９との相互間へ捲き付けられるのであり、こ
のようにして該ベルト２２と予じめユニツト化さ
れたカセツトフレーム１は、第１，３図に示す通
りその下端部が角型支軸２を介して、播種機フレ
ーム２５から突設された左右一対のカセツトホル
ダー２６へ係脱自在に係止支持され、同じく上端
部が播種機のシユート２７から突設された支持ブ
ラケツト２８により支承されて、播種機フレーム
２５に対し前上り傾斜姿勢のもとに、カセツト式
の着脱自在として定着されるのである。この取付
状態にあつては、播種機フレーム２５に支架され
た駆動ギヤ２９と、カセツトフレーム１の上記伝
動ギヤ４とが直接に、又は播種機フレーム２５に
架設のアイドルギヤ３０を介して自動的に噛合連
動するようになつているため、種子繰出しベルト
２２は播種機における図外の接地駆動輪によつ
て、その回転走行に伴ないホツパー１８内の種子
を前上方へ繰り出す如く、第１，２図の矢印方向
へ循環回走され、種子をシユート２７へ供給す
る。

この場合、ベルト単体２３の表裏両面はフラツ
トに形成されているので、その反転使用の如何を
問わず、ホツパー１８の傾斜状底面並びにそのシ
ールブレート２０との相互密着性やベルト２２の
走行円滑性が良好となり、又上記したようにベル
ト単体２３における凹溝２３ｅの前側をも開口し
て、該ベルト単体２３をバケツト状に形作り、そ
の開口を隣り合うベルト単体２３の円弧状後端面
により遮蔽できるよう連結すれば、ホツパー１８
内の種子に対するすくい込み作用とシユート２７
に対する吐き出し作用が極めて円滑・確実に行な
えることになる。尚、そのほか第１図に示す符号
３１は播種機の作溝器、３２は覆士板、３３は鎮
圧輪である。

以上のように、本考案に係る播種用の種子繰出
しベルト２２では、その構成上複数のベルト単体
２３を、可塑物から表裏両面が平滑な一定の幅
Ｗ、厚みＨ並びに長さＬを備えたほぼ四角盤状に
成形し、その何れか片面のみに種子受け入れ用凹
溝２３ｅを開口させ、 そのベルト単体２３の長さ方向に沿う一端部を
狭幅化して、その左右両側面から隣り合うベルト
単体２３同志の屈折支点軸となる一対の枢支突起
２３ａを、上記一定幅Ｗを越えない長さの短小な
形態として、横向き水平に突設する一方、 同じくベルト単体２３の長さ方向に沿う他端部
には、隣り合うベルト単体２３の上記狭幅な一端
部を横方向から挟み得る関係状態のもとに、左右
一対の耳片２３ｂを突設し、 その耳片２３ｂに、隣り合うベルト単体２３の
上記枢支突起用受け入れ凹所２３ｃを各々穿設す
ると共に、 その凹所２３ｃ内へ挿入された隣り合うベルト
単体２３の上記枢支突起２３ａと、同一軸線上に
合致対応する関係状態となる一対の係合突起２３
ｄを、上記耳片２３ｂの左右両側面から一定幅Ｗ
を越える長さの長大な形態として、やはり横向き
水平に突設し、 隣り合うベルト単体２３の一方における枢支突
起２３ａを、同じく他方における耳片２３ｂの受
け入れ凹所２３ｃ内へ挿入させることにより、そ
の枢支突起２３ａの支点軸線廻りに隣り合うベル
ト単体２３の相互が、屈折作用し得るように連結
すると共に、 上記耳片２３ｂから突設された係合突起２３ｄ
を、ベルト循環回走用の駆動スプロケツト３へ噛
合する状態として、そのままで捲き掛け得るよう
に関係設定してあるため、冒頭に述べたこの種種
子繰出ベルトが包蔵する諸問題を、悉く改良でき
る効果がある。

即ち、本考案では隣り合うベルト単体２３の一
方における枢支突起２３ａが、同じく他方の耳片
２３ｂに開口する受け入れ凹所２３ｃ内へ挿入さ
れることにより、そのベルト単体２３の相互が屈
折し得るように連結されており、しかもベルト単
体２３の表裏両面が平滑なものとして、その片面
にのみ種子受け入れ用の凹溝２３ｅが開口形成さ
れているため、全体的にリンククローラー状をな
す無端化の大きさを予じめ変更できることは勿
論、特に裏返し反転させたベルト単体２３や、凹
溝２３ｅのみ存在しない別なベルト単体２４との
組合せ併用によつて、種子の播種ピツチを広狭変
化させることも可能となる。

更に、仮令反転させて使用したとしても、ベル
ト単体２３は表裏両面の平滑なほぼ四角盤状を呈
しているため、例えば図示するようなホツパー１
８におけるシールプレート２０との密着性や、凹
溝２３ｅの外部に対する種子の付着・堆積防止な
ども達成でき、一切支障なく確実・円滑に種子を
繰出し搬送し得ることとなる。

この点、例えば実開昭52−33477号のように、
仮令そのバケツトコンベアが複数のバケツト単体
から、別個な連結具を用いることなく着脱自在
に、且つ屈折可能に枢支連結されているとして
も、その単体の表裏両面が受皿１によつて、相互
の同一な凹溝形態に陥没している限り、本考案に
おける上記ピツチ変更の効果を奏することは不可
能である。上記公知考案は特別な連結具を用いる
ことなく、その無端な大きさをただ単に変更でき
るものであるに過ぎない。

又、本考案の場合上記枢支突起２３ａは、耳片
２３ｂの受け入れ凹所２３ｃへ挿入されることに
より、隣り合うベルト単体２３の相互が屈折する
支点軸をなしている処、その枢支突起２３ａと同
一軸線上に合致対応する左右一対の係合突起２３
ｄも、上記耳片２３ｂの両側面から横向き水平に
突設されており、その係合突起２３ｄがベルト循
環回走用駆動スプロケツト３へ、そのままで噛合
されるようになつている。

そのため、駆動スプロケツト３との関係におい
て、その噛合用の別個な支軸などが全く不要であ
り、しかもその係合突起２３ｄと枢支突起２３ａ
は隣り合うベルト単体２３の連結状態において、
相互の同一軸線上に対応位置することとなるの
で、種子繰出しベルト２２の全体的な循環回走作
用も、著しく円滑に安定化し得るのである。この
ような構成も、上記公知考案に一切記載されてい
ない。

更に、本考案では隣り合うベルト単体２３の相
互が、その一方の枢支突起２３ａと他方における
耳片２３ｂの受け入れ凹所２３ｃとの嵌合によ
り、その支点軸線廻りの屈折自在として一旦連結
された後には、使用上隣り合うベルト単体２３が
如何なる屈折角度に変化しても、又播種機への装
着使用時において、その走行上の振動やシヨツク
を受けることがあつても、その隣り合うベルト単
体２３の互いに離脱するおそれがない。

しかも、その一方の枢支突起２３ａと他方の受
け入れ凹所２３ｃとの嵌合部分は、隣り合うベル
ト単体２３がやはり如何なる屈折角度に使用され
ても、四角盤状ベルト単体２３自身の表裏方向に
向かつて開口する如く、その一切露呈することも
ないため、小さな粒の種子と雖も、これを咬み込
むおそれが全然ない。従い、種子の繰出し用とし
て著しく安定・効果的である。

又、本考案はあくまでも種子の繰出し用である
ため、その受け入れ凹溝２３ｅが種子の種類や大
きさなどに応じて、その大きさ寸法や深さなどに
つき予じめ各種変化される処、そのベルト２２を
形作るベルト単体２３はゴム又は合成樹脂の可塑
物を素材として、一体に成形されているため、量
産効果も最大限に期待することができ、その意味
からも実用向きなものであると言える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の使用状態を示す側面図、第２
図は種子繰出し用カセツトフレームの全体平面
図、第３図は第２図のＡ−Ａ線断面図、第４，５
図は同じくＢ−Ｂ線並びにＣ−Ｃ線に沿う各断面
図、第６図はベルト単体の斜面図、第７図，
は何れもベルト単体の連結状態を示す拡大側断面
図、第８図は第７図の平面図、第９，１０図は
第６図に対応する変形例の各斜面図である。 ２２……種子繰出しベルト、２３……ベルト単
体、２３ａ……枢支突起、２３ｂ……耳片、２３
ｃ……挿入孔、２３ｄ……係合突起、２３ｅ……
種子受け入れ用凹溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数のベルト単体２３を、可塑物から表裏両面
   が平滑な一定の幅Ｗ、厚みＨ並びに長さＬを備え
   たほぼ四角盤状に成形し、その何れか片面のみに
   種子受け入れ用凹溝２３ｅを開口させ、 そのベルト単体２３の長さ方向に沿う一端部を
   狭幅化して、その左右両側面から隣り合うベルト
   単体２３同志の屈折支軸となる一対の枢支突起２
   ３ａを、上記一定幅Ｗを越えない長さの短小な形
   態として、横向き水平に突設する一方、 同じくベルト単体２３の長さ方向に沿う他端部
   には、隣り合うベルト単体２３の上記狭幅な一端
   部を横方向から挟み得る関係状態のもとに、左右
   一対の耳片２３ｂを突設し、 その耳片２３ｂに、隣り合うベルト単体２３の
   上記枢支突起用受け入れ凹所２３ｃを各々穿設す
   ると共に、 その凹所２３ｃ内へ挿入された隣り合うベルト
   単体２３の上記枢支突起２３ａと、同一軸線上に
   合致対応する関係状態となる一対の係合突起２３
   ｄを、上記耳片２３ｂの左右両側面から一定幅Ｗ
   を越える長さの長大な形態として、やはり横向き
   水平に突設し、 隣り合うベルト単体２３の一方における枢支突
   起２３ａを、同じく他方における耳片２３ｂの受
   け入れ凹所２３ｃ内へ挿入させることにより、そ
   枢支突起２３ａの支点軸線廻りに隣り合うベルト
   単体２３の相互が、屈折作用し得るように連結す
   ると共に、 上記耳片２３ｂから突設された係合突起２３ｄ
   を、ベルト循環回走用の駆動スプロケツト３へ噛
   合する状態として、そのままで捲き掛け得るよう
   に関係設定したことを特徴とする播種用の種子繰
   出しベルト。