JPH0229023Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両の後輪を前輪の操舵操作に連動
して操舵し得る前後輪操舵車の後輪操舵装置に関
する。

（従来技術） 一般に、この種後輪操舵装置は、左右一対の後
輪に連結されて左右方向へ変位する作動ロツドを
備えたステアリングリンク機構と、同ステアリン
グリンク機構の作動ロツドを前輪の操舵操作に応
じて変位させて後輪を操舵させる作動機構を具備
し、特開昭57−11173号、実開昭56−154269号等
の公報で提案されているように前輪の操舵状態を
電気的、機械的に検出して前記作動機構に伝達
し、後輪を操舵するように構成されている。ま
た、この種後輪操舵装置においては、前後輪の舵
角比が前輪舵角または車速等車両の運転状態に応
じて変化するように構成される場合があるが、前
後両ステアリングリンク機構をプツシユプルケー
ブル、ワイヤー等紐部材にて連結する場合には、
後輪の舵角は前輪舵角のみにより制御されかつ後
輪に対して同相から逆相のどちらかしか選択する
ことができない。

（考案の目的） 本考案はかかる問題に対処すべくなされたもの
で、その主たる目的は、前後両ステアリングリン
ク機構を紐部材にて連結される後輪操舵装置にお
いて、後輪を前輪の舵角だけでなく車速等車両の
運転状態によつても制御できるようにし、かつ前
輪に対して同相、逆相を任意に選択し得ようにし
て操安性を向上させることにある。

（考案の構成） かかる目的を達成すべく、本考案は後輪操舵装
置を、左右一対の後輪に連結されて左右方向へ変
位する作動ロツドを備えた後輪側ステアリングリ
ンク機構と、同リンク機構と前輪側ステアリング
リンク機構間にて車体に回動可能に支持されて左
右方向へ延び左右両揺動端部が前後方向へ揺動す
る揺動部材と、同揺動部材の回動支点を中心とす
る左右両側に設けられて前側に位置する左右一対
の固定連結部および左右方向へ移動可能に設けら
れて後側に位置する左右一対の可動連結部と、前
記各固定連結部にそれぞれ連結されて前記前輪側
ステアリングリンク機構と連結し前輪の操舵状態
を前記揺動部材へ伝達する一対の前側紐部材と、
前記各可動連結部にそれぞれ連結されて前記後輪
側ステアリングリンク機構に連結し同リンク機構
に前記揺動部材の揺動状態を伝達する一対の後側
紐部材と、前記両可動連結部を車速等車両の運転
状態に応じて移動させるアクチユエータとを具備
してなる構成としたことにその特徴がある。

（考案の作用・効果） これにより、本考案においては、前記揺動部材
の両可動連結部を車速等車両の運転状態に応じて
移動させることにより、一対の後側紐部材を平行
から交差状態にまで変化させることができる。従
つて、本考案によれば、後輪を前輪舵角に応じて
操舵し得るとともに車速等車両の運転状態に応じ
て前後輪の舵角比を制御でき、かつ後輪を前輪に
対して同相、逆相いずれにも操舵し得る。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
するに、第１図および第２図には本考案に係る後
輪操舵装置を備えた車両が概略的に示されてい
る。

この車両のおいては、前輪側のステアリングリ
ンク機構１０を構成するリレーロツド１１はステ
アリングホイール１４の操作により左右方向へ変
位するもので、各前輪WFに舵角を与えるナツク
ルアーム１２，１２に連結した各タイロツド１
３，１３に連結されている。また、後輪側のステ
アリングリンク機構２０を構成するリレーロツド
２１は後述の一対のプツシユプルケーブル４２
ａ，４２ｂにて左右方向へ変位するもので、各後
輪WRに舵角を与えるナツクルアーム２２，２２
に連結したタイロツド２３，２３に連結されてい
る。これらリンク機構１０，２０の両リレーロツ
ド１１，２１は作動装置３０と前側プツシユプル
ケーブル４１ａ，４１ｂ、後側プツシユプルケー
ブル４２ａ，４２ｂとによつて連結されている。

作動装置３０は第１図〜第４図に示すように、
前輪側のステアリングリンク機構１０と後輪側の
ステアリングリンク機構２０との間にて車体に組
付けられている。この作動装置３０は、車体に回
動可能に支持されて左右方向へ延び左右揺動端部
が前後方向へ揺動するケース３１を主体とし、こ
のケース３１に支持した一対のスクリユーボルト
３２ａ，３２ｂとこれらを回転駆動するモータ３
３、ケース３１の前側にてその両揺動端部に設け
た一対の固定連結部材３４ａ，３４ｂ、各スクリ
ユーボルト３２ａ，３２ｂに噛合した一対の可動
連結部３５ａ，３５ｂを備えている。各可動連結
部３５ａ，３５ｂはケース３１の後側にて左右方
向に設けた長口３１ａ，３１ｂから後方へ突出し
ていて、各スクリユーボルト３２ａ，３２ｂの回
転により左右動する。各スクリユーボルト３２
ａ，３２ｂの端部に設けた各ギヤ３６ａ，３６ｂ
はモータ３３に設けた小径ギヤ３３ａに常に噛合
していて、モータ３３の駆動により互に逆方向へ
回転して各可動連結部３５ａ，３５ｂを互に逆方
向へ左右動させる。なお、モータ３３は車速に応
じてその駆動を制御される。

前側プツシユプルケーブル４１ａ，４１ｂはリ
レーロツド１１とケース３１を連結するもので、
それらの前端が各揺動アーム４３ａ，４３ｂを介
してリレーロツド１１に連結され、かつそれらの
後端がケース３１の各固定連結部３４ａ，３４ｂ
に連結されている。また後側プツシユプルケーブ
ル４２ａ，４２ｂはリレーロツド２１とケース３
１を連結するもので、それらの前端が各可動連結
部３５ａ，３５ｂに連結され、、かつそれらの後
端が各揺動アーム４４ａ，４４ｂを介してリレー
ロツド２１に連結されている。

このように構成した後輪操舵装置においては、
作動装置３０のモータ３３の駆動を車速に応じて
適宜制御することにより各可動連結部３５ａ，３
５ｂを左右動させ、後側プツシユプルケーブル４
２ａ，４２ｂを第１図に示す平行状態から第２図
に状態す交差状態へ漸次または段階的に移行させ
ることができ、またこれとは逆に移行させること
ができる。

第１図に示すように、後側プツシユプルケーブ
ル４２ａ，４２ｂが平行状態にある場合に前輪
WFを例えば右方へ操舵すると、プツシユプルケ
ーブル４１ａが前方へ引張されてケース３１を図
示時計方向へ揺動させる。このため、プツシユプ
ルケーブル４２ａが前方へ引張されてリレーロツ
ド２１を右方へ変位させ、後輪WRを前輪WF舵
角に応じて右方（同相）へ操舵する。また、第２
図示に示すように後側プツシユプルケーブル４２
ａ，４２ｂが交差状態にある場合に前輪WFを右
方へ操舵すると、ケース３１は図示時計方向へ揺
動するが、これによつてプツシユプルケーブル４
２ｂが前方へ引張されてリレーロツド２１を左方
へ変位させ、後輪WRを前輪WFの舵角に応じて
左方（逆相）へ操舵する。さらに、後側プツシユ
プルケーブル４２ａ，４２ｂを上記した一方の状
態から他方の状態へ漸次移行させれば、前後輪の
舵角比を漸次変化させることができる。

（変形例） なお、上記実施例においては、作動装置３０を
ケース３１、一対のスクリユーボルト３２ａ，３
２ｂ、これらを回転させるモータ３３等によつて
構成した例について示したが、本考案においては
ケース３１に換えて適宜の揺動部材を採用するこ
とができるとともに、モータ３３に換えて油圧ア
クチユエータ等適宜のアクチユエータを採用する
ことができる。この場合、各可動連結部を油圧ア
クチユエータのピストンロツド等に設ければ、各
スクリユーボルト３２ａ，３２ｂ、各ギヤ３６
ａ，３６ｂ等を省略することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る後輪操舵装置を備えた車
両の要部を概略的に示す平面図、第２図は同車両
の可動連結部の位置を異にする状態の平面図、第
３図は同後輪操舵装置を構成する作動装置の斜め
前方からみた拡大斜視図、第４図は同装置の斜め
後方からみた拡大斜視図である。 符号の説明、１０，２０……ステアリングリン
ク機構、２１……リレーロツド（作動ロツド）、
３０……作動装置、３１……ケース（揺動部材）、
３２ａ，３２ｂ……スクリユーボルト、３３……
モータ（アクチユエータ）、３４ａ，３４ｂ……
固定連結部、３５ａ，３５ｂ……可動連結部、４
１ａ，４１ｂ，４２ａ，４２ｂ……プツシユプル
ケーブル（紐部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右一対の後輪に連結されて左右方向へ変位す
   る作動ロツドを備えた後輪側ステアリングリンク
   機構と、同リンク機構と前輪側ステアリングリン
   ク機構間にて車体に回動可能に支持されて左右方
   向へ延び左右両揺動端部が前後方向へ揺動する揺
   動部材と、同揺動部材の回動支点を中心とする左
   右両側に設けられて前側に位置する左右一対の固
   定連結部および左右方向へ移動可能に設けられて
   後側に位置する左右一対の可動連結部と、前記各
   固定連結部にそれぞれ連結されて前記前輪側ステ
   アリングリンク機構と連結し前輪の操舵状態を前
   記揺動部材へ伝達する一対の前側紐部材と、前記
   各可動連結部にそれぞれ連結されて前記後輪側ス
   テアリングリンク機構に連結し同リンク機構に前
   記揺動部材の揺動状態を伝達する一対の後側紐部
   材と、前記両可動連結部を車速等車両の運転状態
   に応じて移動させるアクチユエータとを具備して
   なる前後輪操舵車の後輪操舵装置。