JPH0229010Y2 - - Google Patents

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JPH0229010Y2
JPH0229010Y2 JP1983144010U JP14401083U JPH0229010Y2 JP H0229010 Y2 JPH0229010 Y2 JP H0229010Y2 JP 1983144010 U JP1983144010 U JP 1983144010U JP 14401083 U JP14401083 U JP 14401083U JP H0229010 Y2 JPH0229010 Y2 JP H0229010Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の対象及びその利用分野〕 本考案は、車両のブレーキマスタシリンダから
後輪ブレーキシリンダに至る液圧回路の途中に配
設され、車両制動時、車両減速度が所定値以下の
時にはブレーキマスタシリンダと後輪ブレーキシ
リンダを連通させて後輪ブレーキシリンダ液圧を
ブレーキマスタシリンダ液圧と同一にし、車両減
速度が所定値を越えた時にはブレーキマスタシリ
ンダと後輪ブレーキシリンダとをブレーキマスタ
シリンダ液圧と後輪ブレーキシリンダ液圧に応答
して連通・遮断して後輪ブレーキシリンダをブレ
ーキマスタシリンダ液圧よりも低圧に調節する車
両用制動液圧制御装置に関し、特に、車両減速度
が所定値以下の時における慣性応動弁体の弁座か
らの離間距離がブレーキマスタシリンダ液圧の昇
降に応じて大小変化するようにした車両用制動液
圧制御装置に関するものである。
〔従来技術〕
従来のこの種の装置として、特開昭52−84371
号公報に記載され、第6図に示したものがある。
この従来装置10は、ブレーキマスタシリンダ接
続口11a及び後輪ブレーキシリンダ接続口11
bを有したボデイ11と、このボデイ11の内孔
11cに両端部を嵌合してボデイ内に液室12及
び13と空気室14を形成する液圧応動ピストン
15と、液室13内に設置されて液圧応動ピスト
ン15を図面で右方向へ付勢するスプリング16
と、ボデイ11の連通路11dにより液室13と
連通する液室17内に設置された球状の慣性応動
弁体18と、液室17の液圧によりスプリング1
9に抗して右方向へ摺動変位されるピストン20
を主たる構成部材としている。ボデイ11はその
内孔の軸線が車両前後方向を指すとともに水平線
L−Lに対してθなる所定角度を有する状態に車
両に固定される。車両非制動時には液圧応動ピス
トン15及びピストン20はスプリング16及び
19によりそれぞれ図示位置に保持され、両接続
口11a,11bは液室13−連通路11d−液
室17−慣性応動弁体18とボデイ11の弁座1
1eの間の隙間−液室12を介して連通してい
る。従つて車両制動時、後輪ブレーキシリンダ液
室PWはブレーキマスタシリンダ液圧PMと同一
値で上昇を開始する(第7図参照)。ブレーキマ
スタシリンダ液圧PMが第7図のA点に達した
時、液圧応動ピストン15がスプリング16に抗
して摺動変位し、液圧応動ピストン15の突起1
5aが慣性応動弁体18の弁座11eへの着座を
妨げない位置へ変位する。この後のブレーキマス
タシリンダ後圧PMの上昇過程において、仮りに
車両が軽積状態であるとしたならば第7図のB点
で車両減速度が所定値を越え、慣性応動弁体18
が転動して弁座11eに着座し、両接続口11
a,11eの連通が遮断され、また液圧応動ピス
トン15は第7図のA点からB点に至るまでの間
にその左端をボデイ11に当接した位置へ変位し
ている。第7図のB点からC点への液圧上昇は慣
性応動弁体18がピストン20に当接した休止位
置から転動して弁座11eに着座するのに時間を
要することによるものである。第7図のC点から
の更なるブレーキマスタシリンダ液圧PMの上昇
により液圧応動ピストン15上での左向きのスラ
スト力と右向きのスラスト力とのバランス状態が
生じる第7図のD点までの間では後輪ブレーキシ
リンダ液圧PWが上昇せず、この後のブレーキマ
スタシリンダ液圧の上昇により液圧応動ピストン
15が右方向へ摺動変位し、遂にはその突起15
aを慣性応動弁体18に当接して弁座11eから
離脱させることから、周知のプロポーシヨニング
バルブ作動が行なわれ後輪ブレーキシリンダ液圧
が第7図のD−Eのように上昇する。
また、第7図のA点からのブレーキマスタシリ
ンダ液圧PM上昇が車両の定積状態で行なわれた
場合、第7図のF点で車両減速度が所定値を越え
るが、ブレーキマスタシリンダ液圧PMがC点を
越えてF点に達するまでの間にピストン20がス
プリング19に抗して第6図で右方向へ摺動変位
し、慣性応動弁体18が弁座11eとの離間距離
を増すように転動する。而して、慣性応動弁体1
8の弁座11eからの離間距離が軽積時に比べて
大となることから、慣性応動弁体18が弁座11
eに着座すべく転動を開始してから弁座11eに
着座するまでの時間が軽積時よりも長くなるた
め、第7図のF点からG点(丁度慣性応動弁体1
8が弁座11eに着座する)までの液圧上昇量は
B点からC点への液圧上昇量よりも大となる。こ
の後のブレーキマスタシリンダ液圧PMの上昇過
程では前述の軽積時と同様の作動が行なわれて後
輪ブレーキシリンダ液圧PMが第7図のG−H−
Eの如く上昇する。
〔従来技術の問題点及びその技術的分折〕
しかしながら、上述の如き従来装置において
は、慣性応動弁体18の休止位置を液圧PMに応
動するピストン20により変えることで慣性応動
弁体18の弁座11eからの離間距離を変えるよ
うにしており、ピストン20がスプリング19に
抗して摺動した時慣性応動弁体18の慣性により
慣性応動弁体18のピストン20側への転動開始
までに時間遅れがあること、車両減速度のために
慣性応動弁体18がピストン20側へ転動しよう
とする力が小さいこと、並びに慣性応動弁体18
と弁座11e間の隙間をブレーキ液が流れること
によつて生じる差圧が慣性応動弁体18のピスト
ン20側への転動を妨げ且つ慣性応動弁体18を
弁座11e側へ移動させて上記隙間をより小さく
するように働くことから、ブレーキペダルを急速
に踏み込んだ場合にはピストン20の摺動変位に
慣性応動弁体18が十分に追従せず、ピストン2
0側へ転動し始めた慣性応動弁体18がピストン
20に当接する前に逆方向に転動し始めることに
より、所期の作動が行なわれず、従つて装置の制
御特性が不安定である。
また、後輪ブレーキシリンダ液圧をブレーキマ
スタシリンダ液圧よりも低圧に調節する圧力域で
液圧応動ピストンについての液圧PM,PWの作
用面積が一定で、その制御特性が、ブレーキマス
タシリンダ液圧が上昇しても後輪ブレーキシリン
ダ液圧は上昇しない区間C−D,G−Hとブレー
キマスタシリンダ液圧の上昇に伴い後輪ブレーキ
シリンダ液圧がブレーキマスタシリンダ液圧に対
し一定比率で上昇する区間D−E,H−Eとの2
種だけで形成されるため、ブレーキマスタシリン
ダ液圧と後輪ブレーキシリンダ液圧との間の理想
配分線が定積状態と軽積状態とで大きく相違する
場合(ワゴンやバンの如き車両が該当する)、、軽
積状態と定積状態のいずれにおいても理想配分線
に近似した制御特性とすることが困難であり、一
般的には軽積状態での制御特性が優先されること
から、定積時の制御特性が理想配分線を大きく下
回りブレーキ力不足が生じる。
〔技術的課題〕
本考案は上述の如く車両減速度が所定値以下の
状態での慣性応動弁体の弁座からの離間距離をブ
レーキマスタシリンダ液圧の高低に応じて大小変
化させるものにおいて、上記離間距離を変える構
成を改めることにより、制御特性を従来のものよ
りも安定させ、且つ、後輪ブレーキシリンダ液圧
をブレーキマスタシリンダ液圧よりも低圧に調節
する圧力域において液圧応動ピストンについての
ブレーキマスタシリンダ液圧及び後輪ブレーキシ
リンダ液圧の作用面積比関係を変更する手段を設
けることにより、軽積状態と定積状態での制御特
性を従来のものよりも理想配分線に近似させるこ
とを、その技術的課題とする。
〔技術的手段〕
上記した技術的課題を解決するために講じた技
術的手段は、当該車両用制動液圧制御装置の構成
を、 ブレーキマスタシリンダ接続口と後輪ブレーキ
シリンダ接続口とを有したボデイと、 その一端部とこれよりも小径の他端部とを前記
ボデイの内孔に嵌合され、前記ボデイ内をその一
端面が露出し且つ前記ブレーキマスタシリンダ接
続口に連通した第1液室と、その他端面が露出し
た空気室と、その両端部間の環状弁部が露出し且
つ前記後輪ブレーキシリンダ接続口に連通した環
状の第2液室と、前記ボデイにより支持されて前
記環状弁部と協働する第1環状弁部材の内孔を介
して前記第2液室に連通し且つ前記ブレーキマス
タシリンダ接続口に連通した環状の第3液室とに
区分し、更にその一端面に開口していて前記第1
液室と前記第2液室とを連通させる連通路を内部
に有した液圧応動ピストンと、 前記第3液室内に設置されて前記液圧作動ピス
トンを前記環状弁部が前記第1環状弁部材から離
間するよう前記第1液室側へ付勢するスプリング
と、 前記第1液室内に設置され、車両減速度が所定
値以下の時には前記ボデイに設けられたストツパ
に当接した休止位置を占めて前記液圧応動ピスト
ンの一端に固定された第2環状弁座部材から離間
し、車両減速度が所定値を越えた時には転動して
前記第2環状弁部材に接して前記連通路と前記第
1液室との連通を遮断する球状の慣性応動弁体
と、 前記第3液室内に設置され、前記スプリングに
より前記空気室側に付勢されると共に液圧により
前記第1液室側へ摺動して前記液圧応動ピストン
に当接して前記液圧応動ピストンを押圧可能な段
付きの液圧応動スリーブとから成り、 前記液圧応動ピストンの前記環状弁部と前記第
1環状弁座部材とのシール径なる円面積から前記
液圧応動ピストンの一端部と前記ボデイとのシー
ル径なる円面積を差し引いた面積を、前記液圧応
動ピストンの他端部と前記ボデイとのシール径な
る円面積よりも大きくし、 前記スプリングのセツト荷重を軽積時に前記所
定値の車両減速度が生じる第1所定液圧以下の状
態では前記液圧応動ピストンをその休止位置又は
その近傍に保持し、定積時に前記所定値の車両減
速度が生じる第2所定液圧以下の状態では前記液
圧応動ピストンが摺動してブレーキマスタシリン
ダ液圧に対する後輪ブレーキシリンダ液圧を一定
比率で減圧した値に調節するように設定すると共
に、前記ブレーキマスタシリンダ接続口に付与さ
れる液圧が前記第1所定液圧よりも高い第3所定
液圧を越えるまでの間前記液圧応動スリーブが前
記液圧応動ピストンに当接することを防止し且つ
該液圧が前記第3所定液圧を越えた時には前記液
圧応動スリーブが摺動して前記液圧応動ピストン
に当接し前記液圧応動ピストンについてのブレー
キマスタシリンダ液圧の作用面積を増大させブレ
ーキマスタシリンダ液圧に対する後輪ブレーキシ
リンダ液圧の減圧比率を前記一定比率よりも大き
くするように設定したことである。
〔技術的手段の作用及び考案の効果〕
斯有る構成の装置においては、慣性応動弁体の
休止位置は固定であり、慣性応動弁体の弁座たる
第2環状弁座部材が液圧応動ピストンと一体に変
位することにより慣性応動弁体の弁座からの離間
距離が変化される。液圧応動ピストンの摺動変位
は従来装置における慣性応動弁体のピストン変位
追従動作に比べてはるかに敏速で且つ確実であ
り、液圧応動ピストンの摺動変位により慣性応動
弁体と第2環状弁座部材間の隙間が拡大されて、
この隙間をブレーキ液が流れることによつて生じ
て慣性応動弁体を第2環状弁座部材側へ移動させ
ようとする差圧が減少するため慣性応動弁体の弁
座からの離間距離がブレーキペダル踏み込み速度
の影響を受けにくくなり、装置の制御性能が従来
装置に比べて安定するものである。
また、本考案装置においては、後述の実施例説
明から明らかなように、軽積状態での制動時、ブ
レーキマスタシリンダ液圧の上昇に基いて慣性応
動弁体が第2環状弁座部材に接した後、ブレーキ
マスタシリンダ液圧が更に上昇することにより、
液圧応動ピストンがスプリングに抗して第3液室
側へ移動してその環状弁部を第1環状弁座部材に
接し、周知のプロポーシヨニングバルブ作用を生
じて後輪ブレーキシリンダ液圧をブレーキマスタ
シリンダ液圧の上昇に伴いブレーキマスタシリン
ダ液圧に対し一定比率で減圧した値に調節し、ブ
レーキマスタシリンダ液圧が第3所定液圧に達し
たならば液圧応動スリーブが液圧応動ピストンへ
の押圧作用を開始して液圧応動ピストンについて
のブレーキマスタシリンダ液圧の作用面積を増大
させることでブレーキマスタシリンダ液圧に対す
る後輪ブレーキシリンダ液圧の減圧比率が大きく
なり、他方、これら両減圧比率のうちでその後者
の減圧比率のみが定積状態で現れることになるか
ら、定積状態と軽積状態での理想配分線が大きく
異る車両でも制御特性を理想配分線に対し従来よ
りも近似させ得る。
また、本考案装置においては、慣性応動弁体が
第2環状弁座に着座した後の両接続口の連通・遮
断は車両振動の影響を殆んど受けない液圧応動ピ
ストンと第1環状弁座部材とで行なわれるため、
車両振動の影響を受けやすい慣性応動弁体により
上記の連通・遮断を行つていた従来装置に比べて
連通・遮断動作が確実で、この点でも制御特性が
安定化するものである。
当該車両用制動液圧制御装置の定積時における
制御特性と軽積時における制御特性とをブレーキ
マスタシリンダ液圧と後輪ブレーキシリンダ液圧
との間の定積状態における理想配分線と軽積時に
おける理想配分線とに近似させることは、液圧応
動ピストンを付勢するスプリングの力をブレーキ
マスタシリンダ接続口に付与される液圧が所定液
圧を越えることに応じて強めることによつても達
成できるが、これによると同スプリングのバネ定
数を大きくしたり、液圧応動スリーブのストロー
クを大きくしたりする必要があり、それによりス
プリングの耐久性が低下すると共に装置が大型化
するという実用上の不具合を招く。それが、上記
した本願考案によれば、ブレーキマスタシリンダ
接続口に付与される液圧が第1所定液圧よりも高
い第3所定液圧を越えた時に液圧応動スリーブが
摺動して液圧応動ピストンに当接し液圧応動ピス
トンについてのブレーキマスタシリンダ液圧の作
用面積を増大させることにより、当該両用制動液
圧制御装置の定積時における制御特性と軽積時に
おける制御特性とをブレーキマスタシリンダ液圧
と後輪ブレーキシリンダ液圧との間の定積状態に
おける理想配分線と軽積時における理想配分線と
に近似させているため、スプリングのバネ定数を
大きくすること及び液圧応動スリーブのストロー
クを大きく確保することは必要とせず、スプリン
グの耐久性が低下すると共に装置が大型化すると
いう実用上の不具合を招くことがない。
〔実施例〕
以下、本考案の実施例を第1〜5図により説明
する。
第1図において、制動液圧制御装置10のボデ
イ11は本体11Aとプラグ11B及び11Cを
主たる構成部材としており、ブレーキマスタシリ
ンダ接続口11aと後輪ブレーキシリンダ接続口
11bとを有している。ボデイ11の内部の液圧
応動ピストン15はその一端部15bとこれより
も小径の他端部15cとでボデイ11の内孔11
cに摺動可能に嵌合しており、ボデイ11の内部
を第1液室17、第2液室12、第3液室13及
び空気室14に区画している。第2液室12は後
輪ブレーキシリンダ接続口11bに、また第3液
室13はブレーキマスタシリンダ接続口11aに
それぞれ連通しており、第1液室17はボデイ1
1の連通路11dによりブレーキマスタシリンダ
接続口11aに連通している。液圧応動ピストン
15はその両端部間に環状弁部15dを有してお
り、この環状弁部15dは第2液室12に収容さ
れていて液圧応動ピストン15が第1図で左方向
へ摺動することによりボデイ11に支持された第
1環状弁座部材21に着座して第1環状弁座部材
21の内孔を介する第2液室12と第3液室13
間の連通を遮断する。第3液室13内のスプリン
グ16はその右端を液圧応動ピストン15のフラ
ンジ部15eに、またその左端を、第3液室13
内に設置された段付きの液圧応動スリーブ22の
内周フランジ22aに受けられており、液圧応動
ピストン15を右方向へ、また液圧応動スリーブ
22を左方へそれぞれ付勢する。液圧応動ピスト
ン15の右方向摺動は図示の如くその環状弁部1
5dの右端がボデイ11の段部11eに当接する
ことで制限され、この位置が休止位置である。液
圧応動スリーブ22はその左端に溝22bを有
し、この溝22bをその内周と液圧応動ピストン
15の外周間に連通する孔22cを有する。液圧
応動スリーブ22のフランジ22aは液圧応動ス
リーブ22の右方向摺動により液圧応動ピストン
15の肩部15gに当接し得る。
液圧応動ピストン15は軸方向孔と径方向孔と
より成り且つ第1液室17を第2液室12に連通
させる連通路15fを有する。この連通路15f
の右端は液圧応動ピストン15の右端面に開口し
ており、液圧応動ピストン15の右端面には第2
環状弁座材23が連通路15f開口を取り巻くよ
うに固定されている。第1液室17内には球状の
慣性応動弁体18が収容されている。ボデイ11
はその左右両端が車両前後方向を指し且つ内孔1
1C軸線が水平軸L−Lに対しθなる角度を持つ
状態に車両に固定される。従つて、例えば車両が
停止している時には慣性応動弁体18はボデイ1
1の内面たるストツパ11Fに当接したこの図示
の休止位置を占め、車両減速度がθにより設定さ
れる所定位置を越えた場合に第2環状弁座部材2
3に向けて転動する。
第1図中、24,25,26,27,40,4
1はシール部材、28はプラグ11Bの抜け止め
リング、29はダストカバーである。また、30
はブレーキペダル、31はブレーキブースタ、3
2はタンデム型のブレーキマスタシリンダ、33
は左前輪ブレーキシリンダ、34は右前輪ブレー
キシリンダ、35は左後輪ブレーキシリンダ、3
6は右後輪ブレーキシリンダ、37,38及び3
9はブレーキパイプ、42は空気室である。
第2図は上述の如き制動液圧制御装置10の制
御特性を示す線図である。第2図において、一点
鎖線aは軽積時の理想配分線であり、一点鎖線b
は定積時の理想配分線である。実線上のB点は軽
積時において車両減速度が所定値を越える時の液
圧値を、またF点は定積時において車両減速度が
所定値を越える時の液圧値をそれぞれ示してい
る。またC−E線は液圧応動ピストン15がスプ
リング16と液圧PM,PWによつて受ける左右
スラスト力のバランス式から得られる次の(1)式に
従うものである。
PW=〔1−(AS/AV−AL)〕・PM+(FP/
AV−AL) ……(1) 但し PW:後輪ブレーキシリンダ液圧 PM:ブレーキマスタシリンダ液圧 AS:液圧応動ピストン15の端部15cとボ
デイ11間のシール径なる円面積で、AV
−ALよりも小さくAB−ACよりも大きい AV:液圧応動ピストン15の環状弁部15d
と第1環状弁座部材21とのシール径なる
円面積 AL:液圧応動ピストン15の端部15bとボ
デイ11間のシール径なる円面積 FP:環状弁部15dが第1環状弁座部材21
に着座した際のスプリング16の荷重 尚、本実施例ではスプリング16のセツト荷重
は第2図のB点の液圧値でも液圧応動ピストン1
5を休止位置に保持するような値にしているが、
B点にて液圧応動ピストン15がスプリング16
に抗して少し変位するような設定も可能である。
第2図中の線E−Iは液圧応動ピストン15が
液圧応動スリーブ22と液圧PM,PWによつて
受ける左右スラスト力のバランス式から得られる
ものである。
PW{〔1−(AS/AV−AL)〕+〔(AB−AC)/
(AV−AL)〕}・PM ……(2) AB:液圧応動スリーブ22の大径部とボデイ
11間のシール径なる円面積 AC:液圧応動スリーブ22の小径部とボデイ
11間のシール径なる円面積 次に第1図のものの作動を説明する。車両制動
のためブレーキペダル30が踏み込まれた場合、
ブレーキブースタ31によりブレーキマスタシリ
ンダ32が作動され、ブレーキマスタシリンダ3
2の一方の圧力室よりブレーキ液がブレーキパイ
プ37を介して前輪ブレーキシリンダ33,34
に圧送され、またその他方の圧力室からブレーキ
パイプ38、制動液圧制御装置10−ブレーキパ
イプ39を介して後輪ブレーキシリンダ35,3
6に圧送され、制動作用が開始する。
ブレーキパイプ38からブレーキマスタシリン
ダ接続口11aに圧送されるブレーキ液はブレー
キマスタシリンダ液圧PMが第2図のB点を越え
るまでの間、第2液室13−第1環状弁座部材2
1の内孔、第2液室12を経て後輪ブレーキシリ
ンダ接続口11bへ流れるとともに連通路11d
−第1液室17−連通路15f−第2液室12を
経て後輪ブレーキシリンダ接続口11bへと流れ
る。
ここで車両が軽積であると仮定すれば、ブレー
キマスタシリンダ液圧PMが第2図のB点を越え
た時車両減速度が所定値を越えるために慣性応動
弁体18が転動を始めてC点で第2環状弁座部材
23に着座して第1液室17と連通路15fとを
遮断し、この後のブレーキマスタシリンダ液圧の
上昇により液圧ピストン15が慣性応動弁体18
と一体となつて動き第1環状弁座部材21と協働
することにより周知のプロポーシヨニングバルブ
作動が行なわれ、後輪ブレーキマスタシリンダ液
圧PWはブレーキマスタシリンダ液圧PMに対し
て第2図のO−C−Eで示されるように調節され
る。そして第2図のE点ではスプリング16の荷
重と液圧応動ピストン22が液圧PM,PWによ
り受ける左右方向のスラスト力とがバランスして
いる状態から、この後の液圧PMの上昇により液
圧応動スリーブ22が右方向へ摺動してそのフラ
ンジ部22aを液圧応動ピストン15の肩15g
に当接し、この後の液圧PMの上昇過程では液圧
応動スリーブ22が液圧応動ピストン15と一体
に動くようになり、この間周知のプロポーシヨニ
ングバルブ作動が継続されること及び液圧PMが
液圧応動ピストン15を右方向へ押すように作用
する面積がスリーブ22の分だけ増加することか
ら、第2図のE点から液圧PMが上昇するのに伴
い液圧PWは線E−Iのように調節される。
また、車両が定積状態であると仮定したなら
ば、慣性応動弁体18は第2図のF点で第2環状
弁座部材23に着座するべく転動し始める。一
方、液圧応動ピストン15は第2図のF点に達す
るまでの間にその左端15c(第1図で)がプラ
グ11Bに当接した位置へと摺動しており、この
摺動変位によりF点近くでの慣性応動弁体18の
第2環状弁座部材23からの離間距離は軽積時に
比べて大となつている。従つて慣性応動弁体18
が第2環状弁座部材23に着座したG点のF点か
らの差はC点のB点からの差よりも大となる。こ
の後のブレーキマスタシリンダ液圧PMの上昇に
おいて、液圧応動ピストン15上でのスラスト力
バランスが生じるH点までは後輪ブレーキシリン
ダ液圧PWは上昇せず、H点からはH−Iの如く
上昇する。
尚、液圧応動ピストン15の左方向移動はその
肩部15gが液圧応動スリーブ22のフランジ部
22aに当接することで停止するようにしても良
い。
踏み込まていたブレーキペダル30が解放され
た場合、ブレーキマスタシリンダ液圧PMが後輪
ブレーキシリンダ液圧PWよりも低くなつた時点
で慣性応動弁18が第2環状弁座部材23から離
脱するため、後輪ブレーキシリンダ35,36内
のブレーキ液は連通孔15fを経てブレーキマス
タシリンダへと戻り、これにより後輪ブレーキシ
リンダ液圧が低下してスプリング16により液圧
応動ピストン15の環状弁部15dが第1環状弁
座部材21から離脱した時には第1環状弁座部材
21の内孔を通つても戻る。
第3図の実施例は、第1図の実施例の空気室4
2内にスプリング43を追加設置してスプリング
43により液圧応動スリーブ22を液圧と対向す
るように付勢させたものである。本実施例におい
て、前記(1)式及び前記(2)式にそれぞれ相当する式
は次の(3)式及び(4)式のようになる。
PW=〔1−(AS/AV−AL)〕・PM+(FP/
AV−AL) ……(3) PW={〔1−(AS/AV−AL)〕+〔(AB−
AC)/(AV−AL)〕}・PM−(FC/AV−AL)
……(4) 但し FC:スプリング43のセツト荷重 AS<(AB−AC) 本実施例の制御特性は第4図のようになり、軽
積状態は線O−C−E−I−Jで、定積状態は線
O−G−H−I−Jである。
第5図の実施例は第3図の実施例の液圧応動ピ
ストン22のフランジ部22aを除去し、スプリ
ング16の左端はリテーナ44を介してプラグ1
1Bに受けさせるとともに、液圧応動スリーブ2
2がその右端で液圧応動ピストン15のフランジ
部15eに当接するよう変形したものである。本
実施例でも第4図の類似の制御特性が得られる。
また、以上の各実施例は、前輪ブレーキ系統と
後輪ブレーキ系統とを分離したブレーキシステム
の後輪ブレーキ系統中に設置されているが、周知
のダイゴナイル式ブレーキシステムの各ブレーキ
系統中に設置する等、各種のブレーキシステムで
使用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の第1の実施例を含むブレーキ
システムを示す図、第2図は第1図の制動液圧制
御装置の制御特性を示す線図、第3図は第2の実
施例を含むブレーキシステムを示す図、第4図は
第3図の制動液圧制御装置の制御特性を示す線
図、第5図は第3の実施例を含むブレーキシステ
ムを示す図、第6図は従来装置を示す断面図、第
7図は従来装置の制御特性を示す線図である。 10……制動液圧制御装置、11……ボデイ、
12……第2液室、13……第3液室、15……
液圧応動ピストン、16……スプリング、17…
…第1液室、18……慣性応動弁体、21……第
1環状弁座部材、22……液圧応動スリーブ、2
3……第2環状弁座部材。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 ブレーキマスタシリンダ接続口と後輪ブレーキ
    シリンダ接続口とを有したボデイと、 その一端部とこれよりも小径の他端部とを前記
    ボデイの内孔に嵌合され、前記ボデイ内をその一
    端面が露出し且つ前記ブレーキマスタシリンダ接
    続口に連通した第1液室と、その他端面が露出し
    た空気室と、その両端部間に環状弁部が露出し且
    つ前記後輪ブレーキシリンダ接続口に連通した環
    状の第2液室と、前記ボデイにより支持されて前
    記環状弁部と協働する第1環状弁部材の内孔を介
    して前記第2液室に連通し且つ前記ブレーキマス
    タシリンダ接続口に連通した環状の第3液室とに
    区分し、更にその一端面に開口していて前記第1
    液室と前記第2液室とを連通させる連通路を内部
    に有した液圧作動ピストンと、 前記第3液室内に設置されて前記液圧作動ピス
    トンを前記環状弁部が前記第1環状弁部材から離
    間するよう前記第1液室側へ付勢するスプリング
    と、 前記第1液室内に設置され、車両減速度が所定
    値以下の時には前記ボデイに設けられたストツパ
    に当接した休止位置を占めて前記液圧応動ピスト
    ンの一端に固定された第2環状弁座部材から離間
    し、車両減速度が所定値を越えた時には転動して
    前記第2環状弁部材に接して前記連通路と前記第
    1液室との連通を遮断する球状の慣性応動弁体
    と、 前記第3液室内に設置され、前記スプリングに
    より前記空気室側に付勢されると共に液圧により
    前記第1液室側へ摺動して前記液圧応動ピストン
    に当接して前記液圧応動ピストンを押圧可能な段
    付きの液圧応動スリーブとから成り、 前記液圧応動ピストンの前記環状弁部と前記第
    1環状弁座部材とのシール径なる円面積から前記
    液圧応動ピストンの一端部と前記ボデイとのシー
    ル径なる円面積を差引いた面積は、前記液圧応動
    ピストンの他端部と前記ボデイとのシール径なる
    円面積よりも大きくされ、 前記スプリングのセツト荷重は軽積時に前記所
    定値の車両減速度が生じる第1所定液圧以下の状
    態では前記液圧応動ピストンをその休止位置又は
    その近傍に保持し、定積時に前記所定値の車両減
    速度が生じる第2所定液圧以下の状態では前記液
    圧応動ピストンが摺動してブレーキマスタシリン
    ダ液圧に対する後輪ブレーキシリンダ液圧を一定
    比率で減圧した値に調節するように設定されると
    共に、前記ブレーキマスタシリンダ接続口に付与
    される液圧が前記第1所定液圧よりも高い第3所
    定液圧を越えるまでの間前記液圧応動スリーブが
    前記液圧応動ピストンに当接することを防止し且
    つ該液圧が前記第3所定液圧を越えた時には前記
    液圧応動スリーブが摺動して前記液圧応動ピスト
    ンに当接し前記液圧応動ピストンについてのブレ
    ーキマスタシリンダ液圧の作用面積を増大させブ
    レーキマスタシリンダ液圧に対する後輪ブレーキ
    シリンダ液圧の減圧比率を前記一定比率よりも大
    きくするように設定されている車両用制動液圧制
    御装置。
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US06/631,308 US4561699A (en) 1983-07-19 1984-07-16 Brake pressure control device for vehicle braking systems
GB08418425A GB2144189B (en) 1983-07-19 1984-07-19 Brake pressure control valve

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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6050068B2 (ja) * 1978-07-10 1985-11-06 沖電気工業株式会社 アナログ信号処理電荷結合装置

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