JPH0226084Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規な車輌用前照灯に関する。詳しく
は、一つの保持体に対して複数の反射鏡を備える
車輌用前照灯において、該複数の反射鏡によつて
照射される光の光軸を正しく合せることができ、
かつ、これら光軸角度の調整が容易であると共
に、防水性に優れた新規な車輌用前照灯を提供し
ようとするものである。

最近、自動車用の前照灯は、機能上あるいはデ
ザイン上等の設計上の理由から、複数の反射鏡、
例えば走行ビーム用光源に用いる反射鏡とすれ違
いビーム用光源に用いる反射鏡とを一個の灯具ボ
デイの中に組み込んだものが用いられるようにな
つてきた。そしてこのような車輌用前照灯におい
て、所望の配光を得るために従来から車体に取り
付けられるランプボデイに反射鏡を傾動可能に支
持せしめた車輌用前照灯がある。特に車体に対し
て傾動可能に取り付けられた大型のランプボデイ
に複数の反射鏡をそれぞれ又はそのうちの一つを
傾動可能に支持せしめた車輌用前照灯が提案され
ている。

ところが上記のような車輌用前照灯にあつては
反射鏡がランプボデイに対して傾動自在であるた
め、ランプボデイと反射鏡との間の防水性に問題
があつた。

そこで、本考案は、複数の反射鏡を備える車輌
用前照灯において、該複数の反射鏡によつて照射
される光の光軸を正しく合せることができ、これ
ら光軸角度の調整が容易であると共に防水性が良
い新規な車輌用前照灯を提供しようとするもの
で、車体ないしは車体に固定された部材に対して
取り付けられ、前面がレンズで覆われた一つの保
持体に複数の反射鏡が備えられた車輌用前照灯に
おいて、前記保持体に前記複数の反射鏡のうち少
なくとも一つを傾動可能に取り付けると共に、傾
動可能に取り付けられた反射鏡の開口周縁に前方
に突出した突出縁を形成し、該突出縁が保持体の
反射鏡取付孔の周縁より稍外側に形成された溝に
弾性パツキング材と共に圧入されたことを特徴と
する。

以下に本考案車輌用前照灯の詳細を図示した実
施例に従つて説明する。

第１図乃至第５図は本考案車輌用前照灯の実施
例を示すもので、図中１は合成樹脂製の保持体で
ある。該保持体１は互いに隣接する２つに孔２，
３を有し、該２つの孔２，３の周縁部には夫々後
方に突出し、その後側に配置される反射鏡４，５
の反射面の延長面になる反射部が一体に形成さ
れ、その内面はメツキ等により反射面とされてい
る。そして、保持体１の前面開口縁部には外方へ
張り出した据付縁６が一体に形成されており、該
据付縁６の前面には溝７が形成されている。

保持体１は正面から見て、Ａ，Ｂ，Ｃの３点で
車体（図示しない。）あるいは車体に取着された
ハウジング８と連結される。このうち、Ａは回動
支点部、Ｂ及びＣは可動支持部として構成されて
いる。

第３図は回動支点部を示すものである。その回
動支点機構９は保持体１から突設された球状突起
１０とハウジング８に形成された球状凹部１１と
によつて構成される。１２はＬ字型をしたブラケ
ツトで上記球状突起１０はその下面におり、該ブ
ラケツト１２は取付片にて保持体１に固定されて
いる。１３は合成樹脂製のブロツクで上方に開口
した球状凹部１１を有しており、このブロツク１
３はその後面においてハウジング８と適宜な手段
により固着されている。そして、このブロツク１
３の球状凹部１１に前記ブラケツト１２の球状突
起１０が嵌合され、ここに球継手状の回動支点機
構９が構成される。

Ｂ点及びＣ点に配置されるエイミング機構１４
と１５は同じ構造であるため、一方１４について
のみ説明する。

エイミング機構１４は保持体１に回転自在に支
持されたアジヤステイングスクリユー１６とハウ
ジング８に支持された合成樹脂製セルフロツキン
グナツト１７とから成る。セルフロツキングナツ
ト１７はハウジング８に形成された取付孔１８に
挿通されて取着される。アジヤステイングスクリ
ユー１６は頭部１９から稍先端寄りの位置に鍔２
０が一体に形成されており、この鍔２０と頭部１
９との間の部分が保持体１に取着されたブラケツ
ト２１に形成された切欠２２に嵌合され、頭部１
９及び鍔２０にて該ブラケツト２１と係合され
る。そして、アジヤステイングスクリユー１６の
先端がハウジング８に取着されたセルフロツキン
グナツト１７に螺合される。

しかして、アジヤステイングスクリユー１６を
セルフロツキングナツト１７に対して捩じ込みあ
るいは捩じ戻すことによつて、当該アジヤステイ
ングスクリユー１６が係合しているブラケツト２
１とセルフロツキングナツト１７が取着されてい
るハウジング８との間隔を調整することができ
る。そして、保持体１は３点Ａ，Ｂ，Ｃで車体あ
るいは車体に取着されたハウジング８と連結さ
れ、Ｂ点あるいはＣ点に配置されたアジヤステイ
ングスクリユー１６を捩じ込むことにより保持体
１は車体に対し、Ｃ点あるいはＢ点とＡ点とを結
んだ線を軸として傾動することができるものであ
る。

反射鏡４，５は前記保持体１の孔２，３の後方
に形成された反射部２３，２４の周縁にその前面
開口が整合されるように保持体１の後面に配置さ
れている。これら反射鏡４，５にはそれぞれ光源
用の電球２５，２６が取着されている。そして反
射鏡４，５のうち一方の反射鏡４は反射部２３に
接着等の適宜な手段により固着され、他方の反射
鏡５は環状のパツキング２７を介して保持体１に
対し、角度調節可能に取付られている。反射鏡５
の開口周縁には外方に突出するフランジ２８が形
成され、更に該フランジ２８の外周縁には前面が
開口する断面形状がコ字形の据付縁２９が反射鏡
５の外周縁全周に亘つて一体に形成されている。
そして保持体１の反射鏡５が取着される側の反射
部２４の後部周縁より稍前方の外面には後方に突
出する２つの壁３０，３１が反射部２４の全周に
亘つて一帯に形成され、両壁の間に溝３２が形成
されている。該溝３２には前記環状のパツキング
２７が嵌合されている。該パツキング２７は外側
面に環状の溝が形成されて断面形状がＵ字形を成
すように形成されている。該パツキング２７はそ
の溝に反射鏡５の据付縁２９の外周縁部３４が嵌
入されることによつてその外周縁部３４に装着さ
れる。そして、反射鏡５はパツキング２７が装着
された据付縁２９の外周縁部３４を反射部２４の
溝３２に圧入することによつて保持体に気密性を
保つことのできる状態で取り付けられる。

そして、反射鏡５は、第１図で解るように正面
から見て、Ｄ，Ｅ，Ｆの３点にエイミング微調整
機構３５，３６，３７を有しており保持体１に対
して傾動可能に取着されている。Ｄ，Ｅ，Ｆの３
点のエイミング微調整機構３５，３６，３７はい
ずれも同じ構造であるためＤ点のエイミング微調
整機構３５についてのみ説明する。

エイミング微調整機構３５は反射鏡５にブラケ
ツト３８に回転自在に支持された微調整スクリユ
ー４０とから構成される。ナツト３９が固着され
たブラケツト３８は断面形状がコ字形をした金属
製のもので、その一側面が反射鏡５の据付縁２９
の底面に溶接等の適宜な手段で接着されており、
他の側面には孔４１が穿設され、ナツト３９が固
着されている。そして微調整スクリユー４０を支
持するブラケツト４２は板状に形成されており、
その一半部の略中央には孔４３が穿設され、他半
部には端面から中央部に向かつて延びる切欠４４
が形成されている。上記孔４３にはビス４５が挿
入され、該ビス４５の孔４３から突出された部分
は、反射部２４の周縁より稍前方の外面に形成さ
れた外側の壁３１に穿設された孔４６に螺合さ
れ、それによつてブラケツト４２は反射部２４に
取着されている。微調整スクリユー４０の頭部４
７より稍先端寄りには鍔４８が一体に形成されて
おり、この頭部４７と鍔４８との間に環状溝の部
分がブラケツト４２の切欠４４に嵌入され、それ
によつてブラケツト４２がスクリユー４１の頭部
４７及び鍔４８にその間にて係合される。そして
微調整スクリユー４０の先端が反射鏡５にブラケ
ツト３８を介して固着されたナツト３９に螺合さ
れる。

しかして、微調整スクリユー４０がナツト３９
に対して捩じ込まれる方向に回転すると、ナツト
３９は微調整スクリユー４０の軸に沿つて後方へ
移動する。従つて、反射鏡５のナツト３９が固着
された部分が保持体１に対して後方へ移動するこ
とになる。また逆に、微調整スクリユー４０がナ
ツト３９から捩じ戻される方向に回転すると、ナ
ツト３９は前進し、従つて、反射鏡５の当該部分
も前方へ移動することになる。そして反射鏡５と
保持体１との取付部においてはパツキング２７が
反射鏡５の据付縁２９の外周縁部３４を覆いか
つ、反射部２４の溝３２の両側壁３０，３１内面
に密着状に接合されているため、反射鏡５が保持
体１に対し前方移動しても反射鏡５の据付縁２９
の外周縁部３４が反射部２４の溝３２から脱落し
ない限り、反射鏡５は保持体１に灯具内の気密性
を保つた状態で取付けられることになる。すなわ
ち、反射部２４の溝３２に圧入されたパツキング
２７はその溝３３に嵌入された反射鏡５の外周縁
部３４をその裏表から押圧するものであり、エイ
ミング微調整機構により反射鏡５が前後に移動さ
れたとしてもパツキング２７は反射鏡５の外周縁
部３４をその裏表から押圧することができ、また
反射部２４の溝３２に対しても常に密着状に接合
するようにすることができるものである。従つ
て、反射鏡の傾動状態の如何に拘わらず灯具内の
気密性を保つことができる。

Ｅ点及びＦ点のエイミング微調整機構もＤ点の
それと同様の構造を有しており、Ｅ点及びＦ点に
おいても反射鏡５を保持体１に対して前後の移動
することができ、例えばＦ点のエイミング微調整
機構３７における微調整スクリユー４０を捩じ込
むと反射鏡５はＤ点とＥ点とを結ぶ線を軸として
下方に回動され、当該ランプの照射方向は調整前
よりも下方を照射することとなる。

４９は保持体１の前面を覆うレンズで、その周
縁部が保持体１の据付縁６の溝７に嵌合され固定
されている。

上記のような構造の車輌用前照灯における照射
光軸の調整は次のようにして行われる。先ず、保
持体１に対し傾動可能に取着された反射鏡５の
Ｄ，Ｅ，Ｆの３点に存するエイミング微調整機構
３５，３６，３７により照射光軸の調整を行い、
反射鏡４と反射鏡５との夫々の照射光軸角度の所
望の関係を得るようにする。そして次に、本考案
車輌用前照灯を車体（図示していない。）あるい
は車体に取着されたハウジング８にＡ，Ｂ，Ｃの
３点で連結し、保持体１に固着された反射鏡４の
照射光軸の調整をＢ，Ｃの２点のエイミング機構
１４，１５を調整することにより行う。このと
き、既に反射鏡４と反射鏡５との照射光軸は整合
されているため、再度、反射鏡５のエイミング微
調整機構を調整することなく所望の配光を得るこ
とができるものである。

以下に記載したように、本考案車輌用前照灯に
おいては一方の反射鏡４を保持体１に固着し、他
方の反射鏡５を保持体１に対して傾動可能に取着
したため、容易に夫々の照射光軸の調整をするこ
とができ、しかも傾動可能に取着された反射鏡５
と保持体１との接合部には弾性パツキング２７が
弾圧状に介在せしめられているためその密着性は
良く、従つて反射鏡４，５とそれらの前面を覆う
レンズ４９との間にできる空間は密閉状にされ、
防水性の良い車輌用前照灯を得ることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案車輌用前照灯の一実
施例を示すもので、第１図は正面図、第２図は第
１図の２−２線に沿う断面図、第３図は第１図の
３−３線に沿う断面図、第４図はＢ点におけるエ
イミング機構を示す図で、Ａは第１図の４−４線
に沿う拡大断面図、Ｂは保持体に固定されている
ブラケツトの正面図、第５図はＤ点におけるエイ
ミング微調整機構を示す図で、Ａは第１図の５−
５線に沿う拡大断面図、Ｂは保持体に固定されて
いるブラケツトの正面図、である。 符号の説明、１……保持体、４，５……反射
鏡、８……ハウジング、２９……反射鏡据付縁、
３２……反射鏡据付縁溝、４９……レンズ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体ないしは車体に固定された部材に対して取
   り付けられ、前面がレンズで覆われた一つの保持
   体に複数の反射鏡が備えられた車輌用前照灯にお
   いて、前記保持体に前記複数の反射鏡のうち少な
   くとも１つを傾動可能に取り付けると共に、傾動
   可能に取り付けられた反射鏡の開口周縁に前方に
   突出した突出縁を形成し、該突出縁が保持体の反
   射鏡取付孔の周縁より稍外側に形成された溝に弾
   性パツキング材と共に圧入されたことを特徴とす
   る車輌用前照灯。