JPH0225769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、接続的な帯電防止効果にすぐれた搬
送用ベルトに関するものである。

〔従来の技術〕

搬送用ベルトで各種物品を搬送する場合、搬送
される物品に静電気が帯電し、ベルトに付着した
り、ちりやほこりを吸着する傾向を有し、特にこ
の物品がIC、LSIなどの電子部品の場合には、静
電気の帯電によりその機能が破壊してしまうよう
な事態も発生する。

こうした問題点を解決するために、従来からネ
ツト状の金属繊維をベルトの内層に張り巡らした
り、あるいはベルト材料自身に帯電防止剤を充填
したりすることが行われているが、これらの方法
により十分な帯電防止効果を上げるためには金属
繊維あるいは帯電防止剤の使用量を多くしなけれ
ばならず、その結果としてベルトの柔軟性、耐久
性などが損われるようになる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

かかる現状に鑑み、本考案者らは搬送用ベルト
本来の性能を実質的に損うことなく、接続的な帯
電防止効果を奏するものを求めて種々検討の結
果、ゴム製ベルトに導電性を付与した特定の布地
を貼着することにより、上記課題が有効に解決さ
れることを見出した。

〔問題点を解決するための手段〕および〔作用〕 従つて、本考案は搬送用ベルトに係り、この搬
送用ベルトは、ゴム製ベルトの各面の少なくとも
一つの面に、導電性繊維と長繊維の高巻縮加工糸
とを交編した編地を貼着せしめてなる。

従来から、電子部品取扱者の作業服、手袋など
の用途に導電性布地が使用されてはいるが、この
導電性布地は織物地、トリコツト地が多く、これ
らをベルトにそのまま用いた場合には、織物地で
はその組織の硬さのため導電性繊維の断線を生
じ、またベルト自身をも硬くするために生ずる不
利益、即ち導電性繊維の断線、導電性布地の剥
離、ベルトの取扱い難さなどをもたらし、トリコ
ツト地では原糸使いが多いため導電性繊維が露出
して、それがプーリーとの接触により摩耗し、切
断され易いなどの欠点がみられるが、本考案にお
いては導電性繊維を長繊維の高巻縮加工糸と交編
した編地として使用しているため、この導電性繊
維には上記のような欠点がみられない。

導電性繊維としては、例えばステンレススチー
ル繊維、銅繊維、カーボン繊維、ボロン繊維ある
いはポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの合
成繊維に金属メツキを施したものであつて、その
繊度が約５〜100000デニール、好ましくは約15〜
150デニールのものが用いられる。また、これと
交編される長繊維の高巻縮加工糸としては、例え
ばウーリーナイロンなどが用いられる。

これらの長繊維の高巻縮加工糸は、導電性繊維
よりも伸長率において約50％以上大きい値を有す
るものを使用することが好ましい。即ち、ベルト
に貼着される布地を編地とし、その糸使いを長繊
維加工糸として、かつこの長繊維加工糸と導電性
繊維との伸長率の差を約50％以上と大きくするこ
とにより、導電性繊維が伸長率の大きい高巻縮加
工糸によりカバーリングされた状態を形成するの
で、ベルト自身をそれ程硬くすることもなく、ま
た導電性繊維の切断をもたらさない。

導電性繊維の交編は、それを約３〜80％、好ま
しくは約10〜50％の割合で用い、好ましくは平編
によつて編地を編成させることによつて行われ
る。編成に際して、導電性繊維と長繊維の高巻縮
加工糸とを給糸口にひき揃えて供給すると、第１
図の編成状態図に示されるように、低巻縮性の導
電性繊維１は高巻縮性の長繊維加工糸２のループ
内に包み込まれた状態で編成される（カバーリン
グ効果）。その際、両者に給糸張力差を与え、長
繊維加工糸の方により大きな給糸張力をかける
と、導電性繊維はそれを包み込んだ長繊維加工糸
群の断面の中心部分ではなく、一方に偏つて位置
するように交編される。

従つて、このようにして編成された編地は、一
般にベルトの駆動面、その背面（駆動用プーリー
と接触しない側の搬送面）またはこれら両面に、
一般に一体成形、接着剤などの使用によつて貼着
されるが、その際編成された編地の片面側に偏在
する導電性繊維側がこれらの面に接するように貼
着される。

ここで、本考案に係る搬送用ベルトの構成を具
体例について説明すると、ウーリーナイロン加工
糸（繊度150デニール、伸長率150％）と導電性繊
維（ナイロン繊維にアルミニウムメツキを施した
もの、繊度30デニール、伸長率30％）とをひき揃
え、シングル丸編機を用いて布地に編成し、この
編地をできるだけ弛緩状態において、ポリウレタ
ンゴム製タイミングベルトの押出成形機中に挿入
し、一体成形することにより、導電性布地をベル
ト本体の駆動面側に貼着させた。

〔考案の効果〕

このようにして構成される本考案の搬送用ベル
トは、導電性繊維が伸長率の大きい長繊維加工糸
によりカバーリングされた状態になつているの
で、搬送用ベルトの運転時に摩耗による導電性繊
維の切断や導電性布地の剥離が生じ難く、かつ導
電性繊維の伸度が小さくとも、それがループを形
成して編成されているので、ベルトのプーリー接
触時の曲りに対し耐疲労性がみられる。

この結果、平ベルト、タイミングベルト、歯付
きベルトなどの搬送用ベルトの本体表面に帯電し
た静電気は、表面に貼着された導電性布地の存在
により、布地あるいはベルトの駆動面が接触する
プーリーなどからの放電を容易とし、それにより
接続的な帯電防止効果が有効に発揮される。具体
的には、例えば従来の搬送用ベルトの抵抗値が
10⁶Ω／インチ以上であつたものを10⁴Ω／インチ
以下に低下させることができ、しかも上記の如く
導電性布地部分の構造が運転時にも長期間安定に
保持されるので、帯電防止効果が接続的に発揮さ
れる。その上、搬送用ベルト本来の柔軟性、耐久
性なども損われることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案で用いられる導電性布地の編
成状態図である。 符号の説明、１……導電性繊維、２……長繊維
の高巻縮加工糸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ゴム製ベルトの各面の少なくとも一つの面
   に、導電性繊維がそれよりも約50％以上大きい
   伸長率を有する長繊維の高巻縮加工糸のループ
   内に包み込まれた状態で交編された編地を貼着
   せしめてなる搬送用ベルト。 ２ 導電性繊維が約３〜80％の割合で交編された
   編地を用いた実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の搬送用ベルト。 ３ 給糸口における給糸張力の差により、導電性
   繊維が長繊維の高巻縮糸によつて片面側に偏在
   して包み込まれるように交編された編地を用い
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の搬送用
   ベルト。 ４ ベルトの駆動面および／またはその背面に、
   編地の片面側に偏在する導電性繊維側が接する
   ように交編編地が貼着された実用新案登録請求
   の範囲第３項記載の搬送用ベルト。