JPH0224884Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は特にシリンダに組み込まれた油圧式弁
間隙調整装置に関する。

この種の油圧式弁間隙調整装置は、上端が閉塞
で内部に油導入室を構成する内シリンダをもつた
シリンダボデイを、シリンダヘツドの穴に摺動自
在に嵌入し、内シリンダにエンジンバルブと協働
するプランジヤを設け、シリンダボデイの閉塞上
端にカムを作用させるようにしたものからなる。
プランジヤは内部にリザーバ室を有するインナプ
ランジヤと、これを収容するアウタプランジヤと
からなり、アウタプランジヤとインナプランジヤ
との間に、逆止弁を介してリザーバ室と連通する
高圧室が設けられる。

このような従来の装置では、エンジン始動前に
油導入室の油が空になり始動時に油圧が供給され
ても油導入室上方が空気溜りになつてリザーバ室
に油が供給されないため高圧室がリザーバ室油を
消費しきるとやがて高圧室へ空気が入り込むとい
う問題があつた。また、油中に含まれる気泡も蓄
積しやがて油導入室上部へ溜り、リザーバ室へ油
が供給されなくなつてしまう。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、シリンダボデイの上部外周に環
状溝と、油導入室の上方と連通する油排出口とを
設け、環状溝にその溝底の外径よりも幾分大きい
内径のリングを取付けて油排出口からの排出油の
流量を制限し、これによつて、油導入室に溜つた
空気の外部への排出を容易にするとともに、潤滑
系統に不具合を生じさせるような油回路の油圧の
低下を防止することができる。

今本考案の一実施例を添附図面を参照して詳細
に説明する。

第１図において、シリンダヘツド１に摺動自在
に嵌入されたシリンダボデイ５にはその閉塞上端
にカム２が作用するようになつている。シリンダ
ボデイ５はその底壁７から立ち上つた内シリンダ
８を備え、該内シリンダ８には内部に油導入室１
６を構成する。内シリンダ８は上端開放のアウタ
プランジヤ１３が摺動自在に嵌入され、アウタプ
ランジヤ１３には上端開放のインナプランジヤ１
１が嵌入させてある。油導入室１６は、シリンダ
ボデイ５の外周の環状油供給溝１５および油供給
穴１４を介してシリンダヘツド１の油回路４と連
通する。インナプランジヤ１１はその内部にリザ
ーバ室１７を有し、このリザーバ室はアウタプラ
ンジヤとインナプランジヤとの間に形成された高
圧室１８とチエツク弁１９を介して連通し、又シ
リンダヘツドの閉塞上端下面の凹部１２を介して
油導入室１６と連通する。リターンスプリング２
０が高圧室１８内でアウタプランジヤとインナプ
ランジヤとに作用する。

第２図および第３図に詳細に示すように、シリ
ンダボデイの上部外周には環状溝９又は９′と、
油導入室１６より外部へ連通する油排出口１０と
が形成され、環状溝にはその底の外径よりも僅か
に大きい内径をもつリング６又は６′が嵌められ
ている。

第２図に示す例では、環状溝９は断面長方形で
あり、リング６もそれに相応する形状をなし、リ
ングの高さは環状溝との間に僅かな隙間を構成す
るような寸法になつている。一方第３図に示す例
では環状溝９′の底は半円形をなし、リング６′は
断面円形であつて溝との間に僅かな隙間を構成す
るような寸法形状になつている。

次に作用を説明する。油導入室１６、リザーバ
室１７、高圧室１８がすべて油で満たされている
とすると、カム２の動きに従つてバルブ３ぱ開か
れる際、バルブスプリングの荷重がアウタプラン
ジヤ１３に伝えられ、高圧室１８に高圧が発生す
る。この時高圧室１８の油の１部はインナプラン
ジヤ１１とアウタプランジヤ１３とのすき間を通
つて油導入室１６へ漏れ出し、その分アウタプラ
ンジヤ１３はインナプランジヤ１１に対してわず
かに変位する。次にバルブが閉じるとリターンス
プリング２０の働きによりアウタプランジヤ１３
に復元力が加わり、変位し高圧室１８がリザーバ
室１７よりも低い圧力になるとやがてチエツク弁
１９が開いてリザーバ室１７より高圧室１８へ油
が流れ込み、リザーバ室１７へは油供給凹部１２
を通つて油導入室から、油導入室へは油供給穴１
４，１５を通つてシリンダヘツドの油回路４から
油が供給される。

エンジンが停止すると油導入室１６の油は全て
外部へ流出してしまう。次にエンジンが低速始動
するとエンジン油回路より、油導入室１６に油が
供給され、油導入室１６内の空気は排出口１０を
通つて外部に排出される。

本考案では、排出口１０の通油面積はリング６
又は６′によつて減少され、油の排出流量はその
分制限されているから、低速始動時の空気の排出
を容易にするとともに油圧の低下を防ぐことがで
きる。また、通常の低速運転時においては、油の
中に含まれる気泡が油導入室上方へ蓄積される場
合があるが、油を排出口１０から僅かに流出させ
ることによつて気泡を油導入室から外部に排出さ
せることができ、従つて空気が高圧室に入ること
にもとずく弁間隙調整機能の低下を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

添附図面の第１図は本考案による内燃機関の油
圧式弁間隙調整装置の断面図、第２図は、第１図
のシリンダボデイ上部の部分拡大断面図、第３図
は他の実施例を示す第２図と同様な断面図であ
る。 ５……シリンダボデイ、６，６′……リング、
９，９′……環状溝、１１……インナプランジヤ、
１３……アウタプランジヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端が閉塞で内部に油導入室を構成する内シリ
   ンダをもつたシリンダボデイを、シリンダヘツド
   の穴に摺動自在に嵌入し、内シリンダにエンジン
   バルブと協働するプランジヤを設け、シリンダボ
   デイの閉塞上端にカムを作用させるようにし、前
   記プランジヤが、内部に前記油導入室と連通する
   リザーバ室を有するインナプランジヤと、これを
   収容するアウタプランジヤとからなり、アウタプ
   ランジヤとインナプランジヤとの間に、これらに
   作用するリターンスプリングと、逆止弁を介して
   リザーバ室と連通する高圧室が設けられている油
   圧式弁間隙調整装置において、シリンダボデイの
   上端外周に、環状溝と、前記油導入室の上部を外
   部と連通させる油排出口とを設け、油排出口から
   の油の排出量を制限するために、前記環状溝に、
   その底の外径よりも幾分大きい内径をもつリング
   を嵌めて成ることを特徴とする油圧式弁間隙調整
   装置。