JPH037523Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はオーバーヘツドバルブ内燃機関に用い
られる油圧式弁間隙調整装置に関する。

エンジン油回路より油の供給を受ける油圧式弁
間隙調整装置においては油中の微小気泡が高圧室
に入り込むことがあり、この時装置の正常な作動
を阻害する問題がある。

従来の油圧式弁間隙調整装置は例えばロツカー
シヤフトに取付けられたロツカーアームに嵌入装
着された下方開放のシリンダボデイと、このボデ
イ内に摺動自在に嵌入させた上方開放の円筒形ア
ウタプランジヤと、アウタプランジヤ内に嵌入さ
せ、シリンダボデイ頂壁とともにリザーバ室を構
成する円筒形インナプランジヤと、インナプラン
ジヤ底壁に形成されたオリフイスと協働し、イン
ナプランジヤ底壁とアウタプランジヤとの間に構
成された高圧室内にあるチエツク弁とからなり、
シリンダボデイの円筒壁に設けられた油供給口が
インナプランジヤの上方に設けられた油供給路を
通つてリザーバ室と連通している。

この様な従来の油圧式弁間隙調整装置にあつて
は気泡を含んだ油がシリンダボデイの油供給口よ
り装置内部へはいり込むと一部はシリンダボデイ
とアウタプランジヤとの嵌合隙間を通つて外部へ
排出され他方はリザーバ室へ導かれ、リザーバ室
へ導かれた油中の気泡は上方へ集まり、下方の気
泡の少い油は高圧室が負圧になるとチエツク弁を
通つて高圧室へ流れ込む。エンジンバルブが開い
て高圧室が高圧になるとインナプランジヤとアウ
タプランジヤとの嵌入隙間を通つてさらに、シリ
ンダボデイとアウタプランジヤとの嵌入隙間を通
つて、供給油とともに装置の外部へ排出される。
この状態で数十分作動を続けるとリザーバ室の頂
部には気泡が蓄積され、やがて、リザーバ室に気
泡が満ちて、チエツク弁より高圧室に入り込む問
題があつた。

従来この問題を解決するために、シリンダボデ
イ頂壁にリザーバ室より外部へ連通するオリフイ
スを設け、これにより、リザーバ室へ入り込んだ
気泡を油とともに外部へ排出し、気泡の蓄積を防
ぐことができた。しかし、この排出流量が多すぎ
ると、エンジン回路油圧が下がるため、このオリ
フイスの大きさを制限する必要がある。エンジン
の構造によつてはオリフイス径がφ1mm以下に制
限される場合がある。

しかしながら、このように小さいオリフイスを
シリンダボデイの頂壁に機械加工によつて形成す
ることは現状では極めて困難である。

本考案はシリンダボデイの頂壁に設けられたオ
リフイスを一部閉塞してオリフイス流量を必要最
少限に制限するようにした油圧式弁間隙調整装置
を提供するにある。

本考案によれば、シリンダボデイの頂壁に設け
られたオリフイスの一部閉塞は、該オリフイスの
内径よりも小さいメータリングバルブをオリフイ
スに挿入し、かつ取付けることによつて達成され
る。メータリングバルブは、該バルブの上端に外
方に延びる上部フランジを、又バルブの下端に、
周囲に切欠流路をもつ下部フランジを備え、上部
および下部フランジ間の距離をシリンダボデイの
頂壁の壁厚よりも大きくする。而してリザーバ室
へ入り込んだ気泡を伴つた油は切欠流路からメー
タリングバルブとオリフイスとの間を通つて頂壁
の上面と上部フランジとの間から外部に排出さ
れ、その量は実質的にメータリングバルブとオリ
フイスとの間の環状間隙の大きさに制限されるこ
とになる。

今、添附図面を参照して本考案の一実施例を説
明すると、ロツカーアーム７に嵌入装着された下
端開放のシリンダボデイ１には上端開放の円筒形
アウタプランジヤ２が摺動自在に嵌入され、アウ
タプランジヤ内には上端開放の円筒形インナプラ
ンジヤ３が摺動自在に嵌入されている。インナプ
ランジヤはその閉塞底壁にオリフイス３′を備え、
さらにその下にはチエツクバルブ４が取付けられ
ている。インナプランジヤはシリンダボデイ頂壁
とともにリザーバ室５を形成しインナプランジヤ
３の底壁とプランジヤ２との間には高圧室６が形
成され、インナプランジヤ底壁とアウタプランジ
ヤ底壁との間には適当なセツト荷重のもとにリタ
ーンスプリング９が装着されている。シリンダボ
デイ頂壁にはオリフイス１４があけられリザーバ
室と外部とを連通する。オリフイス１４には、該
オリフイスの内径よりも小さい外径をもつメータ
リングバルブ１５が挿入され、該バルブ１５はそ
の上端に外方に延びる上部フランジ１５ａを、又
その下端に周囲に複数個の切欠流路１５ｂをもつ
た下部フランジ１５ｃを備え、これらフランジ１
５ａ，１５ｃはシリンダボデイの頂壁の上面、下
面と夫々協働してバルブ１５をオリフイス１４内
に装着する。上部および下部フランジ間の距離は
シリンダボデイの頂壁の厚さよりも大きくなつて
いる。

油はロツカーアーム７の内部の油通路８からシ
リンダボデイ１の油供給口１１、油通路１２およ
びインナプランジヤ３の開放端に設けられた油供
給路１３を通つてリザーバ室５に供給される。第
１図においては油供給路１３はインナプランジヤ
開放端に凹部を設けることによつて形成されてい
るが、他に平坦なインナプランジヤ開放端に対し
てシリンダボデイ頂壁側にくぼみを設け、前記く
ぼみとインナプランジヤ開放端とで油供給路を構
成しても良い。

今、リザーバ室５および高圧室６が油で満たさ
れているものと仮定すると、カムの回転に従つて
エンジンルブが開くとロツカーアーム７を通して
本装置に荷重が加わり、この時チエツク弁４は閉
じているので高圧室６に高圧が発生する。この
時、アウタプランジヤ２とインナプランジヤ３と
の間のわずかな隙間を通つて油がわずかに漏れ、
そのためアウタプランジヤ２もその分変位する。

バルブが閉じるとアウタプランジヤ２はリター
ンスプリング９によつて押しもどされ高圧室６の
圧力がリザーバ室５の圧力よりも低くなり、チエ
ツク弁４が開いて、リザーバ室５より高圧室６へ
油が流れ込み、リザーバ室へはエンジン油回路よ
りロツカーアームの油通路８およびシリンダボデ
イ油供給口１１および装置内の油通路１２および
油供給路１３を通つて油が補給される。リザーバ
室へ供給される油には空気が微小な粒や溶解され
た状態で含まれている。油中の気泡はリザーバ室
へ入ると浮力により上方へ移動し、油の流れとと
もに切欠流路１５ｂ、オリフイス１４とメータリ
ングバルブ１５との間の環状間隙および上部フラ
ンジ１５ａと頂壁との間の隙間を通つて外部へ排
出され、リザーバ室内での空気の蓄積を防ぐ。

このように、本考案によれば、シリンダボデイ
の頂壁のオリフイスにメータリングバルブを挿入
装着したから、オリフイス流量はオリフイスとメ
ータリングバルブとの間の環状間隙の大きさに制
限され、従つてメータリングバルブの外径を適当
に選ぶことによつて油の排出量を必要最小量に制
限することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による油圧式弁間隙調整装置の
断面図、第２図はオリフイスに挿入装着されるメ
ータリングバルブの斜視図である。 １……シリンダボデイ、２……円筒形アウタプ
ランジヤ、３……円筒形インナプランジヤ、４…
…チエツクバルブ、５……リザーバ室、６……高
圧室、１４……オリフイス、１５……メータリン
グバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロツカーシヤフトに取付けられたロツカーアー
   ムに嵌入装着された下方開放のシリンダボデイと
   このシリンダボデイ内に摺動自在に嵌入させた上
   方開放の円筒形アウタプランジヤと、このアウタ
   プランジヤ内に嵌入させ、シリンダボデイの頂壁
   とともにリザーバ室を構成する円筒形インナプラ
   ンジヤと、インナプランジヤの底壁とアウタプラ
   ンジヤとの間の高圧室内にあつて、インナプラン
   ジヤの底壁に形成されたオリフイスと協働するチ
   エツク弁とからなる油圧式弁間隙調整装置におい
   て、インナプランジヤの開放端とシリンダボデイ
   の頂壁との間にリザーバ室への油供給路を設け、
   かつシリンダボデイの頂壁にリザーバ室を外部と
   連通させるオリフイスをあけ、該オリフイスにメ
   ータリングバルブを挿入装着したことを特徴とす
   る油圧式弁間隙調整装置。