JPH0223617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は道路の側方から飛来する砂塵や雪が、
道路上に滞留することを防止させるために、路側
帯に沿つて立設する吹払棚に関する。

（従来の技術） 風雪等が道路に及ぼす影響の多い地域では、路
側帯に沿つて防風防雪用の吹払棚を設けている。
この種の吹払棚には、雪等の吹払い効果と、吹雪
時において充分な視程を確保させる機能とが要求
されている。即ち、吹払棚の無い道路においては
第１図に示すように吹留りａが生じて交通路が妨
害されたり、または第２図のように飛雪によつて
視程障害を生じるなどの不都合を伴う。そのため
第３図に示すように多数の吹払板ｂを備えた吹払
棚を路肩部に立設して前述の不都合を回避させる
ようにしている。

しかしながら、従来の吹払棚においては、図の
ように吹払板ｂが総て同角度で下向きに固定取付
けされてものであるので、第４図に示すように下
段の１〜２枚は吹払い効果を有効に果たすことが
できるが、それ以外の上部域の吹払板は、吹雪時
には却つて降雪の流れを視程障害域に誘導してし
まう欠点があつた。また吹払板の幅が400〜500mm
と狭いものであるので風の集束が行われず、第３
図に見る路面の吹払い距離Ｌが比較的短く、従つ
て充分な通行幅が得られない欠点もあつた。

（考案の目的） 本考案の目的はこのような従来技術の欠点に対
処することであり、飛雪等の吹払い効果と、吹雪
時における視程確保とを充分になしうる吹払棚を
提供することにある。

（考案の構成） 本考案の吹払棚は、吹上げ機能を有する上部吹
上部と、吹留りを防止するための下部吹払板との
それぞれ機能別に異なる二種類の吹払板を用いて
棚全体を形成したことに特徴がある。

第５図に示すように棚柱１は道路外側方向に所
定の取付幅を形成した枠体であつて、例えば路側
帯に沿い、脚部２によつて多数本が等間隔で平行
且つ直立して起設される。各棚柱間には上部吹上
板３と下部吹払板４とが一定の傾斜角で固定取付
けしてある。

上部吹上板３は外風Ｗの吹付ける方向、即ち道
路外側方向を低く、道路内側方向を高く傾斜させ
て棚体間に水平傾斜角を持たせて取付ける。傾斜
角αは30゜〜60゜とし、棚体１の上部域への２枚乃
至３枚を500mm前後の間隔で平行に配置する。他
方の下部吹払板４は、外風Ｗの吹付け側（道路外
側方向）を高くした急傾斜状態で取付けるもので
あつて、傾斜角βは50゜〜70゜とし、棚体１の中央
部から下部域に向けて前記上部吹払板３より上下
方向に広幅のものを１枚乃至２枚配置する。上部
吹上板３と下部吹払板４との中間部位には上部吹
上板３及び下部吹払板４の何れもが存在しない若
干の幅を上下方向に採つたギヤツプＳを形成して
おき、この間から僅かな外風が通過できるように
しておく。このギヤツプＳは100〜300mm程度が適
当である。

（実施例） 次に本考案による吹払棚の実施例について説明
する。上部吹上板３としては板幅W₁が400〜500
mmのものを45゜の道路外側方向において低くした
水平傾斜角で２枚取付け、下部吹払板４としては
板幅W₂が900〜1200mmの前記上部吹上板より広幅
材を65゜の道路外側方向において高くした水平傾
斜角で１枚取付けた。棚体枠部の固定高さｈは、
地表から600〜1200mmの範囲で適当な位置に定め、
外風を受ける側に補強支柱５を斜めに突出させて
棚体上部と地表部とをかたく結合した。

上記の構成による本考案の吹払棚において、こ
れにかかる外風の作用を調べたところ、第６図に
示すように道路外側方向から吹付ける外風Ｗのう
ち、棚体上部域に吹付ける外風は上部吹上板３の
流動作用によつて上方へ偏向して吹抜け、また中
央部から下部域にかけて吹付ける外風は、下部吹
払板４の流動作用によつて下向きに導かれ、殆ど
路面に沿うようにして吹抜ける。このことは第７
図に示す吹雪時においても同様であつて、上部吹
上板３に導かれた降雪は、風と共に路上の高い位
置を吹飛ばされて遠方に飛散され、また下部吹払
板４によつて導かれた降雪は、外風の集束率が大
となつて吹払い効果が高められるので吹払距離Ｌ
が５〜７ｍに広がつた。また上部吹上板の吹上効
果によつて風雪等の視程障害は全くなくなつた。

「考案の効果」 本考案の吹払棚によれば、吹雪時において道路
交通を妨げる飛雪をほぼ100％補足して道路面上
から排除させることができ有効通路幅と視程とを
充分に確保できるから、冬期における道路の維持
管理には極めて有効である。また吹払棚自体の耐
風強度については捕強支柱を設けて転倒モーメン
トに対処させてあり、さらに棚中央部にギヤツプ
を形成して視程を妨害しない程度の通風を可能に
し、風圧を緩和するようにしてあるので倒壊等を
招く危惧がない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の技術的内容を示すものであつて
第１図及び第２図は強風時、吹雪時における路面
への影響を示す説明図、第３図及び第４図は従来
の吹払棚による場合の吹払い作用の説明図、第５
図は本考案に係る吹払棚の構成を示す側面図、第
６図及び第７図は本考案の吹払棚による吹払い作
用の説明図である。 しかして、これらの図面において、１は棚柱、
２は脚部、３は上部吹上板、４は下部吹払板、５
は補強支柱、Ｗは外風を示すものである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 路側帯に沿い平行に立設し、道路の幅方向にお
   いて広幅とされた棚柱と、30゜〜60゜の道路外側方
   向において低くした水平傾斜角を保ち、上部域に
   吹付ける外風を上向きに流すように前記柱間に取
   付けられた複数の上部上板と、50゜〜70゜の道路外
   側方向において高くした水平傾斜角を保ち下部域
   に吹付ける外風を下向きに流すように前記棚柱間
   に取付けられた前記上部吹上板より上下方向に広
   幅の下部吹払板と、前記棚柱の立設状態を擁護す
   べく棚柱と地表とを接合する傾斜固定された補強
   用支柱とからなる吹払棚。