JP2551393Y2 - 防雪柵における防雪体 - Google Patents

防雪柵における防雪体

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JP2551393Y2
JP2551393Y2 JP1991042581U JP4258191U JP2551393Y2 JP 2551393 Y2 JP2551393 Y2 JP 2551393Y2 JP 1991042581 U JP1991042581 U JP 1991042581U JP 4258191 U JP4258191 U JP 4258191U JP 2551393 Y2 JP2551393 Y2 JP 2551393Y2
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snow
fence
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snow protection
gap
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稔 清田
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、積雪地の道路に沿つて
立設される防雪柵における防雪体に関するものである。
【0002】
【従来技術及び考案が解決しようとする課題】一般に、
この種防雪柵のなかには、積雪地において道路端に立設
されていて、風雪が強い吹雪のようなとき、その風力を
利用して路面上に積雪しようとする雪を積極的に吹き飛
ばして、道路の通行確保を可及的に計ることができるよ
うにしたものがある。
【0003】そのため従来、道路走行方向に長い複数の
防雪板を、道路側が低くなるよう傾斜した状態で上下方
向に所定間隙を存して配設すると共に、これら防雪板の
うち最下段のものは道路面よりも高くして吹き抜け間隙
を設けて、防雪柵から道路に向いて吹く風のうち、吹き
抜け間隙および各防雪板間の間隙を通る下部間隙流を道
路面に向けて集中的に吹き付けるようにして、道路面に
積雪しようとする雪を積極的に吹き払うようにしてい
る。
【0004】しかるにこのものにおいては、防雪柵に吹
き当る風は、図5(A)で示す通り、最上段の防雪板の
上端部によつて前記下部間隙流と上部剥離剪断流とに分
流されることになる。この結果、防雪柵の上部において
背面(道路側面)が負圧になり、これを補うため、前記
道路に吹き付けた下部間隙流が防雪柵の近くで巻上げら
れ、そして、その内の一部は、前記上部剥離剪断流の一
部と相対する状態で防雪柵の背面に向けて逆流し、一部
は防雪柵から遠くなるほどさらに道路面から巻上げられ
て上部剥離剪断流の一部と合流することになる。このた
め、防雪柵側の道路上では、風が複雑に流れることにな
つて、雪が激しく舞い上がり、これによつて反つて前方
視界が損なわれることになり、一方、防雪柵から遠い道
路上では、下部間隙流の一部が遠くなるほど巻上げられ
ることによつて、雪を吹き飛ばすだけの風力が喪失し、
これによつて反つて吹き溜り状態となつて積雪が促進さ
れるという好ましくない状態を引き起こすことになつて
問題となつている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は、上記の如き実
情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる防雪柵に
おける防雪体を提供することを目的として創案されたも
ので、積雪地の道路沿いに建付けられる防雪柵であつ
て、該防雪柵は、道路走行方向に長い複数の防雪体を上
下方向に所定間隙を存して配設されるものであり、これ
ら防雪体のうち最下段のものは道路面よりも高くして吹
き抜け間隙を設け、かつこれら各防雪体を、道路側が低
くなるよう傾斜した傾斜板状体で形成して主防雪体とし
て、防雪柵から道路に向いて吹く風を、吹き抜け間隙お
よび各防雪体間の間隙を通つて道路面に吹き付ける下部
間隙流と、最上段の主防雪体の上端によつて剥離される
上部剥離剪断流とに分流すると共に、さらに最上段の主
防雪体の上方道路側に偏寄し た位置には、前記主防雪体
によつて生じる上部剥離剪断流の流路を遮つて上下に分
流し、そのうちの下側に分流された上部剥離剪断流を、
前記道路側が低い主防雪体があることで生じる防雪棚背
面の負圧を補うように流すよう垂直状態または道路側が
低くなる角度に傾斜した副防雪体を設けたことを特徴と
するものである。
【0006】そして本考案は、これらの構成によつて、
強風を伴う吹雪のような場合であつても確実な防雪効果
を確保できるようにしたものである。
【0007】
【実施例】次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図面において、1は積雪地において道路沿いに
立設される防雪柵であつて、該防雪柵1は、道路Gに沿
つて立設される支柱2、該支柱2の上端に一体的に設け
られるフレーム材3、フレーム材3に上下方向に向いて
取付けられる支持体4、該支持体4に道路Gの走行方向
に向いて架設される主防雪体5、該副防雪体5の上方に
配設される副防雪体6等の部材から構成されている。こ
こで、副防雪体6について、図4の(A),(B)に示
す第1、第2実施例のものについて検討した。そして本
考案の有効性を確認するため、図5の(A)〜(D)に
示す従来例および比較例1から3についても検討した。
【0008】ここで、第1、第2実施例のものは平板状
の主防雪体5が五枚になつているが、これら主防雪体5
は、所定間隙を存して上下方向に配設されており、そし
てこれら主防雪体5は、何れも道路側が低くなるよう傾
斜(実施例では、水平面に対して防雪柵から道路方向を
向いた仰角が略60度となるように傾斜)しており、し
かも最下段の主防雪体5は道路面よりも高くなるように
設定されていて、最下段主防雪体5と道路面とのあいだ
に吹き抜け間隙Sを形成している。そして防雪柵1から
道路方向に向いて吹く風が、この吹き抜け間隙Sおよび
各主防雪体5間の間隙を通つて道路面に吹き付ける下部
間隙流Faと、最上段の主防雪体5の上端によつて剥離
される上部剥離剪断流Fbとに凡そ分流されるようにな
つている。
【0009】つまり、第実施例のものは、主防雪体5
の上方道路側にやや偏倚した位置において、平板状体か
らなる副防雪体6を垂直状に配設したものであり、ま
た、第2実施例のものは、同じく上方道路側にやや偏倚
した位置において、平板状体からなる副防雪体6を主防
雪体5と同じ仰角となるように配設したものである。
【0010】一方、前記副防雪体6については、比較例
のものは、主防雪体5の上方に二枚が所定間隙を存し
て配設されるものであるが、これら各副防雪体6は、主
防雪体5の道路とは反対側の先端縁から該側に突出する
ことがなく、道路側に大きく突出するように配設され、
しかも副防雪体6のうち、最上段の主防雪体5に隣接す
る下側のものは該最下段主防雪体5に略水平状(仰角は
零度)になつており、上側のものは主防雪体5とは逆
に、道路側が高くなるよう傾斜(実施例では、水平面に
対して道路から防雪柵方向を向いた仰角が略60度とな
るように傾斜)している。
【0012】また従来例および比較例2、3のものを次
ぎのように設定した。まず従来例のものは、五枚全ての
防雪板7を第1実施例の主防雪体5と同じものにしたも
のであり、比較例2のものは、最上段主防雪体5と上下
二段あるうちの下側副防雪体6との先端同志を間隙閉鎖
させるべく配設したものであり、最後に比較例3のもの
は、比較例1における下側副防雪体6を取り除いたもの
である。
【0013】そしてこれら各実施例、従来例、比較例の
ものについて、それぞれの流動状体について判断するた
め、風洞実験を試みた。この風洞実験を試みるにあた
り、前記実施例1、2および従来例、比較例1〜3のも
のについてのそれぞれ模型を、図4、5のパターン図に
示す如き寸法に設定して作成した。そしてこれらについ
て、図に示すように長さ5.3メートル、幅0.4メ
ートル、深さ0.4メートルを有する曳航式水路で風洞
実験を行つた。この場合に、曳航用走行台8の曳航速度
を100ミリメートル/秒として一定にし、トレーサと
してアルミニウム粉末を水路内の水に混ぜ、各模型につ
いての流動パターンを可視的観察し、その結果について
に示した。尚、図(A)、(B)、(C)は、第
1比較例、第1実施例および従来例について、それぞれ
の模型の流動パターンについて写真撮影したものを図面
化しており、従つて、アルミニウム粉末の流れが黒点と
して表されている。この実験においてのレイノルズ数R
は、柵高をHとすると、R(=UH/ν)=1.2×1
4程度である。
【0014】次ぎに、吹雪発生用の風洞実験を行つた。
このものも前記模型を用いたものであるが、この場合
に、図に示すようにした。つまり、口径1.2メート
ルの軸流フアン9の4台から発生した気流を整流して断
面1.3メートル四方、長さ10メートルの測定部10
に流入した。そして吹雪は、測定部10の入口から4メ
ートルの範囲で設けた可動シート11の表面に散布した
ものを前記流動した気流によつて飛翔させることによつ
て発生させた。この場合に、より実際の吹雪に近付ける
ため、回転刷子12、ノズル13を入口部に設けて間歇
的に雪の舞い上がりを強くした。そして防雪柵1を測定
部入口から7メートルの風速が略6.0メートル/秒と
なるところに設置し、所定時間経過後における防雪柵1
の背面側(道路側)の雪の状態について可視的観察をし
た。その結果を、図に示す。図9の横軸は、1目盛が
防雪柵1の高さとして示されており、比較例1、第1実
施例そして従来例のものについての結果が示されてい
る。
【0015】まず、従来例の結果について検討するが、
これを図3(A)、(B)に基づいて説明する。つま
り、従来例のものは、何れも道路側が低くなるよう傾斜
した防雪板7のみの構成であるが、このものでは、防雪
柵から道路に向いて吹く風を、防雪柵1で吹き抜け間隙
Sおよび各防雪板7間の間隙を通つて道路面に吹き付け
る下部間隙流Faと、最上段の防雪板7の上端によつて
剥離される上部剥離剪断流Fbとに分流することになる
が、このように分流されるが故に、防雪柵1の背面(道
路側)上部が負圧になる。このため、下部間隙流Fa
は、この負圧を補うため、後方に行くにつれて上昇し、
そのうちの一部が防雪柵1の近くで巻上げられて、前記
上部剥離剪断流Fbの一部と相対する状態で防雪柵1の
背面に向けて逆流し、さらに一部は防雪柵1から遠くな
るほどさらに道路面から巻上げられて上部剥離剪断流F
bの一部と合流していることが観測される。このため、
防雪柵1に近い部位では、風が複雑に流れることになつ
て、雪が激しく舞い上がり、これによつて反つて前方視
界が損なわれ、一方、防雪柵1から遠い部位では、下部
間隙流Faの一部が遠くなるほど巻上げられることによ
つて、雪を吹き飛ばすだけの風力が喪失し、これによつ
て反つて吹き溜り状態となつて積雪が促進されるという
好ましくない状態を引き起こしていることが観測され
る。
【0016】これに対し、比較例1のものは、流動パタ
ーン用風洞実験において、防雪柵1背面での下部間隙流
の巻上がり現象が僅かで、しかも防雪柵1背面近傍での
逆流現象も殆ど見当らず、さらには、防雪柵1から遠い
部位での下部間隙流の巻上げも観測されず、殆ど一様に
後方に流れているのが観測される。そして、吹雪発生用
風洞実験においても、雪の降雪位置が、従来例の場合よ
り防雪柵1から離れたところで、かつ積雪量も少ないこ
とが観測される。そしてこれよりもさらに優れた効果を
奏することが、第1実施例の場合について観測された。
【0017】この様に、第1実施例のものが優れている
理由としては、最上主防雪体5の上端部で分流された上
部剥離剪断流Fbが、道路側に偏寄する流路に配設され
た副防雪体6によつて上下に分流され、そして下側に分
流された上部剥離剪断流は、防雪体6が垂直状態である
が故、副防雪体6により下側に向く流れとなるようこの
段階から既に案内され、防雪柵1の上部背面に負圧を和
らげるべく積極的に供給され、この様な副防雪体6にお
いて下側に向く方向に流す機能に乏しい比較例1のもの
よりも優れた効果が発揮できることによるものと推論さ
れる。この結果、防雪柵1を通り過ぎる気流の乱れが減
少して、雪が防雪柵1の背面近傍で激しく舞い上がるの
が回避されると共に、より遠くに吹き飛ばされることに
なる。
【0018】一方、比較例2、3のものは何れも従来例
と殆ど同様の結果が観測された。比較例2のものが劣る
理由としては、最上段主防雪体5に対応する防雪板7と
下側副防雪体6に対応する防雪板7との間隙が無く、こ
のため、上部剥離剪断流Fbが、下側副防雪体6に対応
する防雪板7の上端によつて生じることになつて、本考
案の副防雪体による効果を企及できないことによりもの
と推考でき、また比較例3のものが劣る理由としては、
副防雪体6に対応する防雪板7が上方に離れすぎてい
て、上部剥離剪断流の流路にないため本考案の優れた効
果を発揮しえないことによるものと推考できる。
【0019】さらに詳しく述べると、第実施例のもの
は、副防雪体6が、最上段主防雪体5の道路側上方に偏
倚しているが、上部剥離剪断流Fbの流路を遮るように
位置しており、従つて、最上段主防雪体5の上端によつ
て生じた上部剥離剪断流Fbがさらに上下に分流され、
そして下側に分流された剥離剪断流は防雪柵1背面の負
圧を積極的に補い、上側に分流された剥離剪断流はその
勢いが和らげられた状態になつて後方に流れ、これによ
つて防雪柵1を通り過ぎる気流の乱れが減少して、雪が
防雪柵1の背面近傍で激しく舞い上がるのが回避される
と共に、より遠くに吹き飛ばされることになる。そして
これと殆ど同様の効果が第実施例のものにおいても観
測されたことからも、上部剥離剪断流Fbの流路に副防
雪体6を設けることが好ましいものであることが支持さ
れる。
【0020】
【作用効果】以上要するに、本考案は叙述の如く構成さ
れたものであるから、最上段の主防雪体の上端部で分流
された上部剥離剪断流は、道路側上方に偏倚し副防雪体
によつて上下に分流され、そして下側に分流された剥離
剪断流は、副防雪体が垂直状態または道路側が低くなる
角度に傾斜することで防雪柵の背面に生じる負圧を積極
的に補うべく下側を向くように流れる一方、上側に分流
された剥離剪断流はその勢いが和らげられた状態になつ
て後方に流れ、これによつて防雪柵を通り過ぎる気流の
乱れが減少して、雪が防雪柵の背面近傍で激しく舞い上
がるのが回避されると共に、より遠くに吹き飛ばされる
ことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】防雪柵の全体側面図である。
【図2】防雪柵の全体正面図である。
【図3】図3の(A)は比較例1の防雪柵における風路
パターン図、(B)は第1実施例の防雪柵における風路
パターン図である。
【図4】図4の(A)は防雪柵の第1実施例のパターン
図、(B)は、防雪柵の第2実施例のパターンである。
【図5】図5の(A)は従来例のパターン図、(B)は
比較例1のパターン図、(C)は比較例2のパターン
図、(D)は比較例3のパターン図である。
【図6】曳航式水路での流動パターン用の風洞実験装置
を示す概略側面図である。
【図7】図7の(A)は比較例1の流動パターン図、
(B)は第1実施例の流動パターン図、(C)は従来例
の流動パターン図である。
【図8】吹雪発生用の風洞実験装置を示す概略側面図で
ある。
【図9】吹雪発生用の風洞実験における結果を時間経過
により示す表図である。
【符号の説明】
1 防雪柵 3 フレーム 4 支持体 5 主防雪体 6 副防雪体 7 防雪板 8 流動パターン用の風洞実験装置

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積雪地の道路沿いに建付けられる防雪柵
    であつて、該防雪柵は、道路走行方向に長い複数の防雪
    体を上下方向に所定間隙を存して配設されるものであ
    り、これら防雪体のうち最下段のものは道路面よりも高
    くして吹き抜け間隙を設け、かつこれら各防雪体を、道
    路側が低くなるよう傾斜した傾斜板状体で形成して主防
    雪体として、防雪柵から道路に向いて吹く風を、吹き抜
    け間隙および各防雪体間の間隙を通つて道路面に吹き付
    ける下部間隙流と、最上段の主防雪体の上端によつて剥
    離される上部剥離剪断流とに分流すると共に、さらに最
    上段の主防雪体の上方道路側に偏寄した位置には、前記
    主防雪体によつて生じる上部剥離剪断流の流路を遮つて
    上下に分流し、そのうちの下側に分流された上部剥離剪
    断流を、前記道路側が低い主防雪体があることで生じる
    防雪棚背面の負圧を補うように流すよう垂直状態または
    道路側が低くなる角度に傾斜した副防雪体を設けたこと
    を特徴とする防雪柵における防雪体。
JP1991042581U 1991-05-10 1991-05-10 防雪柵における防雪体 Expired - Lifetime JP2551393Y2 (ja)

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JPH0527111U JPH0527111U (ja) 1993-04-09
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