JPH0223126Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は運動靴の靴底に使用される本底に関す
るものである。

（従来技術） 運動靴、とくに野球靴等のスパイク靴において
は、地面からの突上げ力に対抗するために、靴底
の最下層に使用される本底に、硬質皮革等の硬質
材を用いて一定の硬度をもたせている。

この場合、従来の本底は、一枚物の硬質材にて
全体が硬質に形成されているため、靴底全体が硬
くて爪先部分の曲がりが制約され、たとえば野球
靴において、ダツシユ時の踏み込みや送球時の踏
ん張りといつた、爪先に体重をかける瞬発的な動
作に対応しにくい等、運動性に難点があつた。

（考案の目的） そこで本考案は、爪先部分が単独で曲がり易
く、踏み込み、踏ん張りといつた爪先の動きに対
応し易い靴底の本底を提供するものである。

（考案の構成） 本考案は、爪先部分以外の部分を、片面側がゴ
ム等の軟質材、他面側が硬質皮革等の硬質材から
なる二層構造に構成し、爪先部分を、上記爪先部
分以外の部分の片面側軟質材と一体かつ同部分全
体の厚みと同等厚みをもつた軟質材による単層構
造に構成することにより、爪先部分を他の部分よ
り柔軟に形成した靴底の本底である。

この構成により、本底全体として十分な硬度を
有しながら、爪先部分のみが柔軟で同部分の自由
な曲がりが確保されるため、踏み込みや踏ん張り
動作に対応し易いものとなる。

（実施例） 本考案の実施例を図によつて説明する。

１は本底本体で、この本体１は、天然ゴム、合
成ゴムまたは軟質合成樹脂等の軟質材にて、かか
と部１１と土ふまず部１２と爪先部１３が一体に
連設されて成つている。

この本体１のかかと部１１および土ふまず部１
２は、裏面において爪先部１３との間に段差が生
じる形で爪先部１３より薄肉（爪先部１３のほぼ
半分の肉厚寸法）に形成され、このかかと部１１
および土ふまず部１２の裏面に両部に跨つて、硬
質の天然または合成皮革もしくは硬質合成樹脂等
の硬質材からなる裏当て材２が、爪先部裏面と面
一となる状態で接着固定されている。

こうして、全体均等厚みで、爪先部分（本体爪
先部）１３は軟質材のみからなる軟質単層構造と
なり、他の部分、すなわち本体かかと部１１と、
同土ふまず部１２と、これら両部の裏面に跨つて
固着された裏当て材２とからなる部分（以下、こ
の部分を主底部分という）Ａは、表面側が軟質、
裏面側が硬質の硬軟二層構造となつた本底が構成
されている。

この構成とすれば、主底部分Ａが硬質の裏当て
材２によつて、地面からの突上げ力に対抗しうる
硬度をもつた硬質部分となり、爪先部分１３が、
主底部分Ａよりも柔軟で自由に曲がり変形しうる
こととなる。

したがつて、この本底を運動靴の靴底に使用す
れば、本底面積の大部分を占める主底部分Ａによ
つて、本底全体として地面からの突上げ力に対抗
しうる硬度を維持しながら、爪先部分の自由な動
きが確保される。このため、野球靴の場合におけ
るダツシユ時の踏み込みや送球時の踏ん張りとい
つた爪先に体重をかける動作に対応し易いものと
なる。

なお、第１図および第３図において、３は甲
皮、４は中底、５…はスパイク金具である。

ところで、上記実施例では、主底部分Ａの硬質
材（裏当て材２）を裏面側に設けたが、この硬質
材を表面側に設けてもよい。また、この硬質材の
軟質材に対する固着手段は、接着に限らず、縫着
または鋲着手段等をとつてもよい。

（考案の効果） 上記のように本考案によるときは、爪先部分は
全体が軟質材からなる軟質単層構造、爪先部分以
外の部分は片面側が硬質材、他面側が軟質材から
なる二層構造として、爪先部分のみを柔軟に形成
したから、本底全体として必要な硬度を維持しな
がら、爪先の自由な動きを確保でき、これにより
踏み込みや踏ん張り動作に対応し易くなる等、運
動靴の運動性を格段に高めることができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例にかかる本底の斜視
図、第２図は同本底を裏面側からみた斜視図、第
３図は同本底の爪先部分の拡大断面図である。 １……本底本体、１３……同本体の爪先部（本
底爪先部分）、Ａ……爪先部分以外の部分、１１
……同部分を構成する軟質の本体かかと部、１２
……同土ふまず部、２……同硬質材（裏当て材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 爪先部分以外の部分を、片面側がゴム等の軟質
   材、他面側が硬質皮革等の硬質材からなる二層構
   造に構成し、爪先部分を、上記爪先部分以外の部
   分の片面側軟質材と一体かつ同部分全体の厚みと
   同等厚みをもつた軟質材による単層構造に構成す
   ることにより、爪先部分を他の部分より柔軟に形
   成したことを特徴とする靴底の本底。