JPH0223095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は品質の良い樹脂モールドされる電動機
の構造に関する。

電動機の固定子を樹脂でモールドすると、絶縁
性能がよくなる他、機械的にも、あるいは製造面
でも産業的価値の高い面が多々ある。

このため、近年樹脂でモールドされる電動機が
種々試みられており、夫々効果を得ている。

しかしながら、この種電動機において、簡単な
誘導電動機の場合はともかく、無刷子電動機の如
く固定子の周辺に回転子に対向する位置検出器を
備えなければならないもの等では、樹脂によるモ
ールド成形時に樹脂の流動によつて位置検出器等
の部品が流れる恐れがある。

また、位置検出器等の部品は、たいてい細い配
線を要するため、このような部品と共に配線用の
基板、一般的にはプリント基板を用いて固定する
と共に配線を施している。

例えば、特開昭56−136167号公報に示される通
りである。

勿論この種配線用の基板は、樹脂性の絶縁板が
用いられるため加工や取付け、および配線が容易
であるが、モールド成形時の樹脂の流動圧力を受
けて変形することがあつた。

このような変形を避けるためには、変形しない
ような丈夫な構造のもの、すなわち材質の選択や
肉圧を大きくすることを考慮しなければならなか
つた。

しかしながら、このように変形しないような丈
夫な構造を構成することは、事実上きわめて難し
かつた。

すなわち、一般的に樹脂モールドは、モールド
成形時には樹脂の温度が高いため大抵の材料では
変形容易な条件におかれることになり、簡単には
変形を防止することは出来なかつた。

しかも、このような変形は、基板が固定子の巻
線を押したり、あるいは巻線と配線とが接触して
品質を損うといつた問題を生じた。

さらには、位置検出器等正確に位置を設定しな
ければならないものでは、位置が狂うと電動機の
性能そのものを悪化させることになり、品質上の
大きな問題であつた。

事実この種電動機の位置検出器の個々の出力を
測定すると、夫々出力が異なるものがきわめて多
いことから外部からは見えない樹脂モールドの中
で品質が損われていることがうかがえるものであ
る。

また、基板がプリント基板である場合、配線が
基板から外れることや、部品のハンダ付けされた
部分が外れて隣接の部品と接触したり故障し易く
なる等の問題を生じた。

このようなことから、基板を構成する場合、基
板の巻線側には配線出来ないことになつたり、基
板と巻線とを大きな空間で仕切つておかなければ
ならないといつた問題を有していた。

また、この基板に巻線端部を結線する場合で
も、巻線端部が巻線と接触しないように注意しな
ければならず、作業性も悪かつた。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたも
のであり、位置検出器等の正確な位置決めを要す
る部品を保持すると共に樹脂モールドの障害を受
けない構造の電動機を提供することを目的として
いる。

以下本考案を図面に示された一実施例にもとず
いて説明すると、第１図は、本考案の一実施例に
よる電動機の要部縦断面図、第２図、第３図、お
よび第４図は、夫々他の実施例による要部の縦断
面図である。

第５図は、全体構造を示すための電動機の縦断
面図である。

第１図において、電動機は、巻線が施され固定
子を形成する鉄心１の側面に平行して配線用の基
板２が設けられている。

そして、基板２には、位置検出器３が設けられ
れており、位置検出器３は、鉄心１の内径側に形
成された穴４に納められており、この穴４には、
樹脂等の成形容易な、また絶縁性能の良好な材料
で構成され位置検出器３を包むように保持する絶
縁物５が設けられている。

さらに、絶縁物５は、基板２と鉄心１との間に
介在されており、略Ｌ字状に形成されており位置
検出器３を装着するよう穴６が形成されている。

また、基板２の位置検出器３の取付け部分７に
は、その周囲に絶縁物５が密着され鉄心１に対す
る基板２の支持部分８，９を構成している。

第２図において、電動機は、第１図に示された
実施例における絶縁物５の支持部分９が大きく形
成されており、鉄心１の側面全体と基板２の側面
全体に密着するよう大きな支持台１０を形成して
いる。

第３図において、鉄心１には、巻線１１が施さ
れ固定子を形成しており、この巻線１１を押える
ようにして基板２が設けられており、基板２には
鉄心１の外周側と内周側に夫々支持台１２，１３
が形成され絶縁物５ａを構成してている。

第４図において、電動機は、巻線１１と基板２
との間に絶縁物５ｂが介在されている。

そして、絶縁物５ｂは外周側および内周側に
夫々支持台１２ａ，１３ａが設けられている。

第５図において、電動機の固定子は、鉄心１に
巻線１１を備えたドーナツ状に形成されており、
鉄心１の軸方向側面にプリント基板からなる基板
２が備えられている。

そして、基板２には、位置検出器３が備えられ
ており、位置検出器３は、鉄心１の穴４に絶縁物
５によつて保持されている。

この絶縁物５は、基板２を支持する支持部分９
が形成され基板２と鉄心１との間に介在されてい
るが、ドーナツ状の鉄心１に対して基板２及び絶
縁物５は、必ずしもドーナツ状に形成される必要
はなく、必要な部分にのみ備えられることができ
るものである。

さらに、鉄心１は、外周の全体が樹脂のモール
ド部材１４で覆われており、ブラケツト１５を介
して回転子１６を支持している。

このような構成において、電動機は、基板２に
位置検出器３を取付け絶縁物５を介在して鉄心１
に取付ける。

そして、位置検出器３の取付けは、基板２の取
付け部分７にハンダ付け等の処置によつて行な
い、取付け後に絶縁物５の穴６を利用して絶縁物
で保持する。

さらに、絶縁物５は、支持台８，９が鉄心１と
基板２との間に支持台としての機能が発揮出来る
ように密着して取付ける。

このように、絶縁物５を介在して鉄心１に基板
２を取付けてから全体を樹脂で注型モールドす
る。

固定子の樹脂モールドは、既存の技術、例え
ば、特開昭54−60405号公報に記載されているよ
うに樹脂と不活性物質から成るモールド部材によ
つて、鉄心１を型に納めてから必要な部分を樹脂
モールドすれば良い。

このように全体が樹脂でモールドされると、基
板２や位置検出器３が鉄心１に対して移動するこ
とはなく、また空気の流通等遮断されるため電気
絶縁その他性能が劣化することがなくなる。

そこで樹脂モールドに際して、基板２は、モー
ルド時の樹脂の流動圧力によつて、さらには樹脂
の高い温度によつて変形する傾向がある。

しかしながら、位置検出器３については、絶縁
物５が鉄心１と基板２との間に介在され、位置検
出器３を穴６によつて保持しているためモールド
時の樹脂の流動の影響を受けない。

従つて、樹脂でモールドしても位置検出器３が
所定の位置に配設されるため、性能が損われるこ
とはなく品質の良好な電動機を構成することが出
来る。

また、絶縁物５によつて、位置検出器３の位置
が、きわめて正確に配設出来ることからホール素
子等の位置検出器３を用いると良好な感度と安定
度を得ることが出来る。

第２図に示される実施例のごとく構成すると、
基板３の鉄心１側の全面が絶縁物５によつて支持
されるため全体の変形が避けられ基板２にプリン
ト配線や部品の取付けを行う場合に品質を損うこ
とがなくなる。

さらに、第３図に示される実施例の如く構成す
ると、基板２と鉄心１との間に巻線１１が介在さ
れて、基板２と穴４との距離が遠くなつても絶縁
物５ａの支持台１３によつて安定に所定の位置に
位置検出器３を配設することが出来る。

第４図に示された実施例においては、基板２と
巻線１１との間に絶縁物５ｂを介在したため、巻
線１１と基板２とが接触することがなく、基板２
の両面に配線や部品の取付けが行える。

しかも、巻線１１を絶縁物５ｂによつて押圧す
ることが出来、巻線１１を鉄心１側へ寄せて体積
を少なくすることが出来る。

このような絶縁物５，５ａ，５ｂは、鉄心１と
密着した部分以外樹脂が十分充填されるように絶
縁物５，５ａ，５ｂ完全に巻線１１を覆わないよ
うに構成しておくと基板２に加わるモールド時の
樹脂の圧力での変形が確実に避けられる。

以上説明の通り、本考案によれば基盤に絶縁物
を介在すると共に位置検出器を保持させて構成し
たため樹脂によるモールドによつても品質が損わ
れることはなく、特性の良好なしかも機械的にも
安定な電動機を得ることが出来、その効果は産業
上きわめて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例による電動機の要
部縦断面図、第２図、第３図、および第４図は、
夫々他の実施例による要部の縦断面図である。第
５図は、電動機の全体構造を示すための縦断面図
である。 １……鉄心、２……基板、３……位置検出器、
５，５ａ，５ｂ……絶縁物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドーナツ状の鉄心に巻線を施して固定子を形成
   し、この固定子の内径側に回転子に対向する位置
   検出器を備える電動機において、固定子の軸方向
   側面に配線用の基板を設け、この基板に位置検出
   器を回転子側へ延出させて備え、この位置検出器
   を保持すると共に前記固定子と基板との間に介在
   される絶縁物を設けて一体に樹脂モールドしたこ
   とを特徴とする電動機。