JPH0221865Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は乗用型又は歩行型の田植機の苗載台に
おける苗縦送り装置の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

近年の乗用型又は歩行型の田植機においては、
走行機体進行前側に下端を位置させるか、反対に
後側に下端を位置させるように傾斜配設した苗載
台の表面に苗マツトを並列して載置し、植付機構
における複数の苗植爪を前記苗載台下端の苗取出
し口と圃場面との間を一斎に上下揺動するように
構成し、苗植爪の上下揺動に合わせて苗載台を横
方向に適宜間隔ずつ移動させることにより、苗載
台上の苗マツトはその下端の左または右から順に
適宜幅及び長さで切り取られ、苗は圃場面に一株
ずつ複数条に沿つて植付けられるようにしてい
る。

そして、苗載台が苗マツトの幅分だけ横移動す
れば各苗マツトを苗載台の下端方向に一斎に適宜
量だけ縦送りさせ、次いで苗載台を前記と反対方
向に横移動させるように構成している。この苗縦
送り手段として、実公昭47−23538号、実公昭47
−28123号、実公昭47−28124号、実公昭47−
28126号に示すように、無端ベルトを採用したも
のがある。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

この種の無端ベルトでは、その広幅表面に突出
する突起が苗マツトの下面に係止し、無端ベルト
の間欠移動と共に苗マツトを強制的に縦送りする
が、苗載台の左右両側には苗マツトの左右両側を
ガイドして左右にずれないようにするリブを突設
しているのが普通であり、したがつて、苗マツト
の縦送りにつれての左右両側端はリブの側面に擦
れ、苗マツトが崩れたり、支えて縦送りできなく
なると云う問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記問題点を解決するため、田植機の
苗植装置に、下端を前方又は後方に傾斜させた苗
載台を左右往復移動自在に設け、該苗載台表面に
は苗マツトの左右横幅と略同じ幅の無端ベルトを
張設し、該無端ベルトを、それに載る苗マツトが
苗載台の左右移動終端で適宜量ずつ苗載台下端方
向に縦送りできるように間欠駆動するように構成
する一方、該無端ベルトの左右両側には苗マツト
の左右両側端を案内する突起体を苗マツトの縦送
り方向に沿つて適宜間隔隔てて多数突設するよう
に構成したものである。

〔作用〕

これにより、無端ベルト上の載置された苗マツ
トの左右両側端が当該無端ベルト左右両側から突
出する突起体によつてガイドされ、保護されるの
で、苗載台における静止的な部分に擦れたり、支
えたりすることがない。

〔考案の効果〕

上記本考案の構成により、苗マツトを縦送りす
る際に当該苗マツトを傷付けたり崩すことなく、
円滑に苗縦送りできると共に、突起体を苗マツト
の縦送り方向に沿つて適宜間隔隔てて突設するこ
とにより、無端ベルトの湾曲部での折曲作用を円
滑にし、無端ベルトの耐久性も向上できるもので
ある。

〔実施例〕

以下本考案を、走行機体の後側に苗植装置が取
り付くいわゆる後植式の乗用型田植機に適用した
場合の実施例の図面について説明すると、図にお
いて１は走行機体を示し、該走行機体１は、車体
フレーム２とその前部下面に取付く前２輪３と後
部下面にチエンケース４，４を介して取付く後２
輪５とからなり、車体フレーム２の上面には操縦
座席６と操向ハンドル７とを備え、車体フレーム
２の前部上面のエンジン８により前記車輪３，５
を駆動して前進走行する。

９は前記走行機体１の後部に平行リンク機構１
０を介して上下動自在に取付く苗植装置を示し、
該苗植装置９は、伝動ケース１１、この伝動ケー
ス１１の左右両側面に適宜間隔で取付く植付ケー
ス１２，１２、伝動ケース１１及び両植付ケース
１２，１２の下面に配設したフロート１３，１
４，１３及び上端が走行機体１に近付くように傾
斜した苗載台１５とからなり、各植付ケース１
２，１２の後端には上下揺動式の苗植機構１６が
設けられ、該各苗植機構１６における苗植爪１７
が苗載台１５の下端部を支持するガイドレール１
８の苗取出し口１９と圃場面との間を上下揺動す
るように構成する。前記走行機体１と平行リンク
機構１０との間には、苗植装置９を圃場面に対し
て大きく昇降するための油圧アクチエータ（図示
せず）が設けられている。

前記伝動ケース１１内には、図示しないが、走
行機体１側から伸縮自在軸を介して動力伝達され
る入力軸を走行機体１の進行方向と平行に備える
と共に、該入力軸から傘歯車対及びクラツチを介
して動力伝達される駆動軸、前記苗載台１５を左
右に往復横送するための往復ねじ溝を有する横送
軸が走行機体１の進行方向と直角方向に軸支さ
れ、横送軸と駆動軸との間には歯車式の変速機構
が設けられている。また、伝動ケース１１内には
両端を前記苗載台１５に固着したブラケツトに接
当する横送り杆が前記横送軸と平行に摺動自在に
貫通され、この横送り杆上に固着した船型キーを
前記横送軸の往復ねじ溝に係合することにより、
該横送軸の回転で苗載台１５を左右に往復横送る
ように構成されている。

苗載台１５の載置板２０の表面側は苗マツト２
１を複数並列して載置できるように、苗マツト２
１の幅寸法ｌ１より若干広幅だけ隔てて縦長手の
リブ２２を突設して区画する。苗載台１５の下半
部には、前記苗マツト２１の幅寸法ｌ１より左右
に各々寸法ｌ２だけ広幅の平面視略矩形状の孔２
３を穿設し、したがつて当該部分に沿う前記リブ
２２のうち下半部２２′の幅を狭幅状に形成する。

２４は、苗載台１５の横送り左右終端で苗載台
１５上の各苗マツト２１を矢印Ａ方向に縦送りす
るための苗縦送り機構で、該苗縦送り機構２４
は、苗載台１５の裏面側に前記Ａ方向と略直角に
配設する駆動ローラ２５、従動ローラ２６並びに
該両ローラ２５，２６に巻掛けする無端ベルト２
７とから成り、該無端ベルト２７の左右両側端に
は前記苗マツト２１の略横幅だけ隔てた位置に苗
マツトの縦送り方向Ａに沿つて適宜間隔ごとに板
状等の突起体２８を多数一体的に突設し、該無端
ベルト２７を前記孔２３から苗載台の表面側に臨
ませる。したがつて、この無端ベルト２７の左右
両側端の各突起体２８の内側面は前記リブ２２の
上半部の内側面と略一致するものである。また、
このとき、無端ベルト２７における苗マツト搬送
始端部及び終端部に対して前記載置板２０におけ
る孔２３の上下端縁を近付ける一方、無端ベルト
２７の左右両側端における突起体２８，２８が苗
マツト搬送始端部において前記リブ２２の上半部
の内側面と略一致して近付けられるようにする切
欠き部３１，３１をリブ２２とリブ２２′との付
け根部に形成することにより、苗マツト２１の下
面が載置板２０と無端ベルト２７との間で円滑に
受継がれるように構成することが好ましい。

なお、無端ベルト２７の広巾外周面には図示し
ないが苗マツト２１下面に適宜食い込み係止でき
る鋸歯状や円錐状等の突起を多数一体的に突設し
ておいても良い。

また、前記駆動ローラ２５が取付く駆動軸２９
の端部又は中途部等適宜箇所には、苗載台１５の
左右移動終端で駆動軸２９を適宜間欠回動させて
無端ベルト２７を移動するための一方向クラツチ
とカム等の連動手段３０を備える。

この構成により、苗載台１５の載置板２０表面
に苗マツト２１を載置して滑り落とすと、苗マツ
ト２１の下端部が無端ベルト２７の外周面に載
り、また苗マツト２１の左右両側端は無端ベルト
２７における左右両側端の突起体２８，２８の内
側面に案内されて、苗マツト２１は無端ベルト２
７と共に一体的に移動でき、苗マツト２１が苗載
台における左右両側のリブ２２，２２に対して平
行的に偏りがあつたり傾いて載置しても、苗マツ
ト２１の下端側が長い距離にわたつて無端ベルト
２７上に載ると共に左右両側端の突起体２８，２
８によつても苗マツトの隔たり、傾きが修正され
正確に苗縦送り作用を発揮でき。ガイドレール１
８方向へ縦送りできることになる。

また、このとき、前記左右両側端の多数の突起
体２８，２８が苗マツトの縦送り方向に沿つて配
設されているので、静止的なリブ２２，２２側面
に対して接触または擦れる区間が短く成りそれだ
け苗マツトの左右両側端の角部等が崩れをなくす
ることができる。さらに、前記左右両側の突起体
２８，２８を帯状や突条等ベルトの移動方向に沿
つて連続的でなく断続的に形成しているので、前
記ガイド作用を阻害することなく無端ベルトの連
続運転による繰り返し折曲によつても無端ベルト
側端の割れが生じず、耐久性を向上できる。

なお、第６図に示すように、前記左右両側の突
起体２８，２８の平面視形状を、無端ベルト２７
の幅中央寄りの内側面２８′が搬送方向に沿う前
後端部において無端ベルト２７の左右両側端に向
かつて外向きに直線的または湾曲状に傾斜する等
の台形または舟形に形成すれば、苗マツト２１を
無端ベルト２７上に迎え入れる際の、当該苗マツ
ト２１の横ずれを円滑に行える。また、前記苗マ
ツト２１の左右両側端に対する相対的擦れを完全
になくするには、前記無端ベルト２７を苗載台１
５の上下長さの略全体にわたるように張設するこ
とにより、リブ側面と苗マツト側端面とが接触し
ないようにするのに有効な構成となる。

さらに、前記無端ベルト２７の間欠駆動手段を
複数並列的配置の苗マツト箇所ごとに設ける等し
て、苗マツト箇所ごとに独立的にその停止を行え
るように構成すれば、多条植え作業において、苗
植え条数を適宜減少させることができる。

また、本考案は、歩行型田植機にも適用できる
ことは云うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本考案
の要部を示す断面図で第４図の−線視断面
図、第２図は田植機の平面図、第３図は側面図、
第４図は第２図の要部拡大平面図、第５図は第４
図の−線一部切欠側面図、第６図は無端ベル
トの突起体形状の別実施例を示す一部切欠き平面
図である。 １……走行機体、９……苗植装置、１１……伝
動ケース、１２……植付ケース、１６……苗植機
構、１７……苗植爪、１５……苗載台、２０……
載置板、２２……リブ、２３……孔、２４……苗
縦送り機構、２５……駆動ローラ、２６……従動
ローラ、２７……無端ベルト、２８……突起体、
２９……駆動軸、３０……連動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 田植機の苗植装置に、下端を前方又は後方に傾
   斜させた苗載台を左右往復移動自在に設け、該苗
   載台表面には苗マツトの左右横幅と略同じ幅の無
   端ベルトを張設し、該無端ベルトを、それに載る
   苗マツトが苗載台の左右移動終端で適宜量ずつ苗
   載台下端方向に縦送りできるように間欠駆動する
   ように構成する一方、該無端ベルトの左右両側に
   は苗マツトの左右両側端を案内する突起体を苗マ
   ツトの縦送り方向に沿つて適宜間隔隔てて多数突
   設して成る田植機の苗載台における苗縦送り装
   置。