JPH0221448B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明はクラツチハブが２つの部分に分割され
ているようなクラツチデイスクに関するものであ
る。

（従来技術とその問題点） 従来、例えば実公昭45−12970号に開示されて
いるような第１のクラツチハブと第２のクラツチ
ハブとを備えたクラツチデイスクは、両クラツチ
ハブ間に適度なクリアランスを持たせるだけで別
部材を介在せしめるというような構成のものでは
なかつた。このため長期間の使用により両クラツ
チハブ間の摺動部分が摩耗し錆が発生することと
なり、ひいては“捩り角−トルク”曲線において
不必要なヒステリシスが生じるという欠点が生じ
ていた。また前記ヒステリシスを小さくすべく摺
動接触面を小さくした場合には接触部の面圧が高
くなり摩耗が生じやすかつた。

（発明の目的） 本発明の目的は、クラツチハブが２つの部分に
分割されている場合において両者間の相対運動の
円滑性を向上させ、もつて不必要なヒステリシス
の発生を防止せんとする点にある。

（発明の構成） すなわち本発明のクラツチデイスクは、回転軸
に連結されるクラツチハブと、該クラツチハブの
円弧状外周端面と対向する円弧状内周端面をもち
該クラツチハブの半径方向外方に同芯的に位置し
このクラツチハブに対し相対回動自在に配置され
たハブプレートと、前記クラツチハブの円弧状外
周端面と前記ハブプレートの円弧状内周端面の一
方に配設され前記クラツチハブの円弧状外周端面
と前記ハブプレートの円弧状内周端面の他方と摺
接する摺動材料で作られた中間部材と、前記クラ
ツチハブと前記ハブプレートとの間にわたつて架
設されており前記クラツチハブと前記ハブプレー
トの相対回動時に弾縮される第１のダンパー部材
と、前記クラツチハブと前記ハブプレートとの軸
方向相対移動を制限すべく配設された固定プレー
トと、前記ハブプレートに対し相対回動自在に配
設されており外周部にフエーシング部材を具備す
るデイスクプレートと、該デイスクプレートと前
記ハブプレートとの間にわたつて架設されており
前記デイスクプレートとハブプレートとの相対回
動時に弾縮される第２のダンパー部材とから構成
されている。

（作用及び効果） 本発明のクラツチデイスクでは、クラツチハブ
とハブプレートとの間に摺動材料で作られた中間
部材を介在せしめたことから前記クラツチハブ、
ハブプレート間の相対運動はこの中間部材を介在
してなされる。このためクラツチハブ、ハブプレ
ート間の相対運動の円滑性が担保され、“捩り角
−トルク”曲線において不必要な又は予期せぬヒ
ステリシスが生じることがない。また、中間部材
の断面形状を工夫して、前記クラツチハブ及びハ
ブプレートの一方に中間部材を固定し、他方が摺
動案内されるようにした場合には、クラツチハ
ブ、ハブプレート間における軸心方向へのずれが
なくなる。またクラツチハブの外周部に形成した
複数個の凸部と中間部材とによつてダンパー部材
を保持するような構成とした場合には、従来のハ
ブ窓孔のみで該ダンパー部材を保持した場合に生
じる窓孔外周と該ダンパー部材との摺動摩耗及び
錆を中間部材の摩擦持性によつて防止でき、該ダ
ンパー部材の摩耗折損を防止しうるという効果が
ある。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明することにより本発明を一層明らかにする。第
１図〜第４図は本発明の一実施例であるクラツチ
デイスクＣを示すもので、これらの図においてク
ラツチハブ１０にはその中心部にスプライン１０
１が形成され、該スプライン１０１に係合する回
転軸（図示略）と共に前記クラツチハブ１０は一
体的に回転しうる。該クラツチハブ１０には半径
方向に延在するフランジ部１０２が形成され、さ
らに同方向に延在し、同一外周径をもつ４ケ所の
凸部１０３，１０４，１０５，１０６が形成され
ている。凸部１０３，１０４間には凹所１０７が
存在し、他方凸部１０５，１０６間には凹所１０
８が存在する。そして凸部１０３，１０６間及び
凸部１０４，１０５間にはそれぞれ外周径の小さ
い第１の円弧状外周端面が形成され、かつ各凸部
１０３，，１０４，１０５及び１０６の外周端に
は外周径の大きい第２の円弧状外周端面が形成さ
れている。

前記クラツチハブ１０の外周側にはリング状の
ハブプレート１１が装着されている。このハブプ
レート１１は、その中央部に、クラツチハブ１０
の第１の円弧状外周端面の外周径よりわずかに大
きい内周径をもつ相対向する２つの弧状の第１の
円弧状内周端面とこれら２つの第１の円弧状内周
端面から90度回転した位置に、クラツチハブ１０
の凸部１０３，１０４及び１０５，１０６の第２
の外周端面の外周径よりわずかに大きい内周径を
もつ相対向する２つの弧状の第２の円弧状内周端
面でほぼ区画される中央孔をもつ。そしてこの中
央孔にクラツチハブ１０が同心的に位置してい
る。

前記クラツチハブ１０の２個の第１の円弧状外
周端面には、それぞれ全体形状が円弧状で内側に
溝１２１をもつ断面がコ字形状の摺動材料で作ら
れた第１中間部材１２，１２がその溝１２１で第
１の円弧状外周端面を覆うように固定されてい
る。また、前記ハブプレート１１の２個の第２の
円弧状内周端面には、それぞれ全体形状が円弧状
で外側に溝１３１をもつ断面がコ字形の摺動部材
で作られた第２中間部材１３，１３がその溝１３
１で第２の円弧状外周端面を覆うように固定され
ている。そしてこれら第１中間部材１２，１２の
内側に設けられた溝１２１と背向する外側面は、
ハブプレート１１の第１の円弧状内周端面と摺接
し、第２中間部材１３，１３の外側に設けられた
溝１３１と背向する内側面はクラツチハブ１０の
凸部１０３，１０４の第２の円弧状外周端面およ
び凸部１０５，１０６の第２の円弧状外周端面と
摺接する。

クラツチハブ１０、ハブプレート１１間には４
ケ所に隙間１４，１５，１６，１７が生じうるよ
う構成され、該隙間１４，１５，１６，１７のい
ずれか２ケ所が零となるまで前記クラツチハブ１
０及びハブプレート１１は軸心０を中心として相
対回動可能である。この相対回動時には、凸部１
０３，１０４，１０５，１０６のそれぞれの第２
の円弧状外周端面が第２中間部材１３の内側面を
滑動し、ハブプレート１１の第１の円弧状内周端
面がフランジ部１０２に固定されている第１中間
部材１２の外周面を滑動する。

前記ハブプレート１１には大きさの異なるおの
おの２個の窓孔１１１，１１２が形成され、前者
１１１にはスプリングシート１８を介してコイル
スプリング１９，２０が装着され、後者の窓孔１
１２にはシートを介さずに別のコイルスプリング
２１が装着されている。

第２図のように、前記第１中間部材１２、第２
中間部材１３の両側には固定プレート２２，２２
が４個の固定ピン２３をカシメることによつて前
記ハブプレート１１に固定されている。これゆえ
これら固定プレート２２，２２はハブプレート１
１と一体的に前記軸心０回りに回動可能である。

前記クラツチハブ１０の４個の凸部１０３，１
０４，１０５，１０６でつくられる２個の凹所１
０７，１０８内には４個のスプリングシート２４
を介して２個のコイルスプリング２５が装着され
ている。該スプリング２５の外径部は前記固定プ
レート２２の凸部２２１（第３図）によつて包み
込まれており、さらに該凸部２２１の第３図にお
ける紙面垂直方向の両端に耳部２２２が形成され
ているために前記スプリング２５の両端面は前記
耳部２２２に当接している。これゆえ上記の如
き、クラツチハブ１０とハブプレート１１が軸心
０を中心とする相対運動（回動）をしたときはハ
ブプレート１１に固定されている固定プレート２
２，２２がスプリング２５を縮める働きをする。

ハブプレート１１の窓孔１１１，１１２にそれ
ぞれ装着されているコイルスプリング１９，２
０，２１の両側には第２図のようにデイスクプレ
ート２６及びサブプレート２７が配設されてい
る。デイスクプレート２６の内周部には軸受部材
２８が固着され、該軸受部材２８の内周とクラツ
チハブ１０の外周とは摺動自在つまり軸心０を中
心とする相対回動自在である。前記軸受部材２８
の固定プレート２２側の端面には薄板リング状の
リングプレート２９が固着されている。

前記デイスクプレート２６にはスプリング２
０，２１に対応する位置に窓孔２６１，２６２が
設けられ、一方の窓孔２６１ではスプリングシー
ト１８の底部端面１８１にデイスクプレート２６
の図示されていない端部が当接しており、他方の
窓孔２６２にもスプリング２１の端面２１１が当
接している。そしてデイスクプレート２６とサブ
プレート２７はストツパピン３１によりカシメ固
着されているので、デイスクプレート２６とハブ
プレート１１との間で軸心０を中心とする相対運
動（回動）が生じた場合、前記コイルスプリング
１９，２０及び同様のスプリング２１の一端が押
されて圧縮される。ここで前記ストツパピン３１
をカシメ固着する場合、ハブプレート１１の外周
部に切込み凹部１１３が設けてあるのでピン３１
がハブプレート１１に干渉することはない。

前記２個の固定プレート２２，２２の内周端部
には摩擦板３２，３３が両側にそれぞれ装着さ
れ、サブプレート２７側の摩擦板３３の外側には
爪部３４１を有するスラストプレート３４が装着
されている。該スラストプレート３４のさらに外
側には、皿バネ３５（波形バネでもよい）が装着
され、該皿バネ３５はスラストプレート３４を介
して摩擦板３２，３３及び固定プレート２２をフ
ランジ部１０２の方に押圧する働きをする。この
場合フランジ部１０２より左側のデイスクプレー
ト２６側に在る摩擦板３２，３３は、デイスクプ
レート２６とサブプレート２７がストツパピン１
で固定されていることから皿バネ３５の押圧力に
起因する反力を受けてフランジ部１０２の方向に
押圧される。

前記デイスクプレート２６は薄板状であり、そ
の外周部には複数個の小孔２６２が穿設されてい
る。そしてこれらの小孔２６２にはそれぞれリベ
ツト３６がカシメ固着されることにより、別の薄
板リング状のクツシヨンプレート３７が固定され
ている。該クツシヨンプレート３７の外径は前記
デイスクプレート２６の外径よりも大であり該ク
ツシヨンプレート３７の外周部には波状部３７１
が形成されクツシヨンの役目を果している。前記
プレート３７の両側には摩擦材で作られたリング
状のクラツチフエーシング３８，３９が複数個の
リベツト４０をカシメ固着することにより固定さ
れている。

かかる構成において、エンジンからの回転力が
フライホイール（図示略）を介してクラツチフエ
ーシング３８，３９に伝えられた場合、該回転力
はクツシヨンプレート３７→デイスクプレート２
６、ストツパピン３１、サブプレート２７→スプ
リングシート１８→コイルスプリング１９，２
０，→ハブプレート１１→固定プレート２２の順
序で伝えられる。そしてさらにスプリングシート
２４、コイルスプリング２５を介してクラツチハ
ブ１０のスプライン１０１に嵌合している回転軸
（図示せず）に伝えられ、さらに図示してない変
速機に伝えられる。エンジンブレーキを作動させ
た場合は上記とは逆の順序でクラツチハブ１０側
からの回転力によりクツシヨンプレート３７、フ
エーシング３８，３９が回される。ここで摩擦板
３２，３３は、エンジン側又は変速機からの回転
力がフエーシング３８，３９又はクラツチハブ１
０に伝えられた場合にフランジ部１０２と固定プ
レート２２、及び固定プレート２２とスラストプ
レート３４、リングプレート２９とを相対回転さ
せることにより所定のヒステリシスを生ぜしめん
がために挿入されているものである。

第４図は第１図の−線矢視断面図で第２中
間部材１３の断面形状を示すものであるが、該第
２中間部材１３は第５図ａ〜ｈの如き形状として
もよい。即ち、第５図ａは第４図の第２中間部材
１３と逆の向きに同様な中間部材１３ａを配設し
た例で第４図の溝１３１と同様な溝１３１ａを有
している。第５図ｂはハブプレート１１に溝１１
ｂを設け、これに係合する凸部１３１ｂを中間部
材１３ｂに設けた例である。本例においては中間
部材１３ｂはクラツチハブ１０と面接触となり、
接触面圧が低くなり摩耗に対して有利であるとい
う特徴がある。

第５図ｃはハブプレート１１に溝１１ｃを設け
て断面円形の中間部材１３ｃをはめ込ませた例
で、中間部材１３ｃの表面がクラツチハブ１０と
線接触するから摩擦力小となる。第５図ｄはクラ
ツチハブ１０、ハブプレート１１間に薄板状の中
間部材１３ｄを設けたもので、該中間部材１３ｄ
の代りに二硫化モリブデンなどの潤滑材層を設け
てもよい。第５図ｅは第５図ａの中間部材１３ａ
を変形して中間部材１３ｅとしたものである。第
５図ｆ，ｇは断面矩形の中間部材１３ｆ，１３ｇ
を設けた例であり、又第５図ｈは前記第５図ｃと
同様な断面円形の中間部材１３ｈを設けたもので
第５図ｃと同様な効果を奏する。第５図ｇ，ｈの
場合、凸部１０ｇ，１１ｇが形成されている為
Ａ，Ｂ方向の外力の両方又はいずれか一方が作用
したとき対抗できるという特徴を有する。

第５図ａ〜ｈは第４図の第２中間部材１３に対
する変形例を示したものであるが、当然のことな
がら第１中間部材１２に対する変形例としてもよ
い。また、各第１中間部材、第２中間部材を構成
する摺動部材としては、摩擦係数の小さい、耐摩
耗性の高い合成樹脂及び金属を使用することがで
きる。

第６図はダンパー作用をするスプリング２５及
びスプリングシート２４の装着場所の変形例を示
すものである。すなわち、両部材２５，２４はク
ラツチハブ１０の外周部のみに装着しなければな
らないというものではなく、クラツチハブ１０の
外周部とハブプレート１１の内周部との間に、つ
まりクラツチハブ１０からハブプレート１１にわ
たつてダンパー部材を装着することとしてもよ
い。この場合、中間部材１３は分割された状態と
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例であるクラツチデイ
スクＣの部分断面した正面図（第２図の−線
矢視断面図でもある）、第２図は第１図の−０
−線矢視断面図、第３図は第１図の−線矢
視拡大断面図、第４図は第１図の−線矢視拡
大断面図、第５図ａ〜ｈは中間部材の変形例を示
すもので第４図と同様な拡大断面図、第６図は第
１図の変形例の部分断面図である。 １０……クラツチハブ、１１……ハブプレー
ト、１２……第１中間部材、１３……第２中間部
材、１９，２０，２１……コイルスプリング、２
２……固定プレート、２６……デイスクプレー
ト、２７……サブプレート、３２，３３……摩擦
板、３４……スラストプレート、３５……皿バ
ネ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸に連結されるクラツチハブと、該クラ
   ツチハブの円弧状外周端面と対向する円弧状内周
   端面をもち該クラツチハブの半径方向外方に同芯
   的に位置しこのクラツチハブに対し相対回動自在
   に配置されたハブプレートと、前記クラツチハブ
   の円弧状外周端面と前記ハブプレートの円弧状内
   周端面の一方に配設され前記クラツチハブの円弧
   状外周端面と前記ハブプレートの円弧状内周端面
   の他方と摺接する摺動材料で作られた中間部材
   と、前記クラツチハブと前記ハブプレートとの間
   にわたつて架設されており前記クラツチハブと前
   記ハブプレートの相対回動時に弾縮される第１の
   ダンパー部材と、前記クラツチハブと前記ハブプ
   レートとの軸方向相対移動を制限すべく配設され
   た固定プレートと、前記ハブプレートに対し相対
   回動自在に配設されており外周部にフエーシング
   部材を具備するデイスクプレートと、該デイスク
   プレートと前記ハブプレートとの間にわたつて架
   設されており前記デイスクプレートとハブプレー
   トとの相対回動時に弾縮される第２のダンパー部
   材とを有して成るクラツチデイスク。