JPH022103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 本考案は車両用、例えばトラクターシヨベル等
に使用される湿式デイスクブレーキに関する。

〈従来技術〉 従来、第１，２図に示されるように、トラクタ
ーシヨベルに装着された湿式デイスクブレーキ
は、アクスルハウジング１の中空部に配設された
駆動車軸２の先端にスプライン溝３が刻設され、
該スプライン溝３にドーナツ形のブレーキデイス
ク４の内周がスプライン嵌合され、該ブレーキデ
イスク４の側面に油はねかけ用板羽根５が固定さ
れていた。第２図において、６は圧接板、７はそ
の作動用ピストン、８はベアリング、９はリム、
１０はタイヤである。

上記の構成においては、ブレーキデイスク４と
一体回転する羽根５により、ブレーキデイスク４
にスラスト力が作用して、作動用ピストン７を押
しもどしてブレーキ作用を減少させる欠点があつ
た。また第４，５図に示されるようにブレーキデ
イスク４と羽根５が一体に製作されるため、ブレ
ーキデイスク４の平面度の精度が低くなり、ピス
トン７のストローク量が大きくなるといつた不具
合があつた。

本考案は、上記の不具合を解消するために車軸
とブレーキデイスクとの間にドーナツ形のデイス
クハブを介設することにより、ブレーキデイスク
の平面精度を高くし得、同時にブレーキデイスク
へのスラスト力の伝達を防止できる車両用湿式デ
イスクブレーキを提供しようとするものである。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を第５，６図に基づいて
説明すると、本考案のブレーキは、駆動車軸２の
端部に第一スプライン溝１１が刻設され、該第一
スプライン溝１１にドーナツ形のデイスクハブ１
２の内周部がスプライン嵌合され、該デイスクハ
ブ１２に油はねかけ用板羽根１３が固定され、前
記デイスクハブ１２の外周部に第二スプライン溝
１４が刻設され、該第二スプライン溝１４にドー
ナツ形のブレーキデイスク１５の内周部がスプラ
イン嵌合され、該ブレーキデイスク１５の外周部
１６を接離自在に圧接する圧接板１７とその作動
用ピストン１８とが設けられたものである。

そして前記圧接板１７はブレーキデイスク１５
の左右両側に配され、また前記作動用ピストン１
８はケース１９に車軸２の軸方向へ摺動自在に嵌
合支持されている。そして該ケース１９の内周部
に刻設された第三スプライン溝１９ａに前記圧接
板１７の外周部がスプライン嵌合されている。

また第一スプライン溝１１はデイスクハブ１２
が軸方向へ十分移動できる程度の長さとされてい
る。またデイスクハブ１２もブレーキデイスク１
５の厚さよりも十分大なる厚さを有し、その外周
部の全長に亘つて車軸２の軸方向に第二スプライ
ン溝１４が形成されている。

また、油はねかけ用板羽根１３は、デイスクハ
ブ１２を挟んでその左右両側に一対設けられてい
る。そして、該板羽根１３は、車軸２に遊嵌され
ると共にデイスクハブ１２にボルト２０ａで固定
されたドーナツ形の円板部２０と、該円板部に放
射状に固定された複数の羽根部２１とから構成さ
れている。この羽根部２１は左右の羽根１３によ
つて逆向きのはねかけ方向となるよう互に逆方向
に湾曲している。

なお板羽根１３はデイスクハブ１２の片側だけ
に配してもよい。

次に作用を説明する。駆動車軸２が回転する
と、その駆動力は、第一スプライン溝１１を介し
てデイスクハブ１２に伝達され、板羽根１３も同
時に回転する。そしてデイスクハブ１２の回転に
より、第二スプライン溝１４を介してブレーキデ
イスク１５も回転駆動される。このとき羽根１３
の回転によりデイスクハブ１２はスラスト力を受
けるが、第一、第二スプライン溝１１，１４によ
りブレーキデイスク１５はその前後方向の相対的
な移動が許容されているので、ブレーキデイスク
１５へ加わるスラスト力が作動用ピストン１８を
押圧するのを防止できる。そして、図示しない油
圧によりピストン１８を前方に押し出すと、ケー
ス１９にスプライン嵌合している圧接板１７がブ
レーキデイスク１５の外周部１６を挟持圧接する
ので、摩擦によりブレーキデイスク１５の回転が
停止する。ブレーキデイスク１５が停止すると、
第二スプライン溝１４、デイスクハブ１２、第一
スプライン溝１１を介して駆動車軸２が回転を停
止する。

〈効 果〉 以上の説明から明らかな通り、本考案の湿式デ
イスクブレーキは、駆動車軸の端部に第一スプラ
イン溝が刻設され、該第一スプライン溝にドーナ
ツ形のデイスクハブの内周部がスプライン嵌合さ
れ、該デイスクハブに油はねかけ用板羽根が固定
され、前記デイスクハブの外周部に第二スプライ
ン溝が刻設され、該第二スプライン溝にドーナツ
形のブレーキデイスクの内周部がスプライン嵌合
され、該ブレーキデイスクの外周部を接離自在に
圧接する圧接板とその作動用ピストンとが設けら
れたものである。

従つて本考案によると、駆動車軸とブレーキデ
イスクの間にデイスクハブが介設され、該デイス
クハブに板羽根が固定されているため、羽根の回
転により作用するスラスト力も、デイスクハブ及
び第二スプライン溝によりブレーキデイスクに伝
わるのを防止でき、またブレーキデイスクに板羽
根と別個に製作されるので、平滑円板を使用でき
精度を高く保持でき、更にデイスクハブ及び第
一、第二スプライン溝により、制動トルクが大き
な場合でも、車軸径を小さくでき、ブレーキデイ
スクのスプライン径を大きくできるため、ブレー
キデイスクの厚さも薄くできるといつた優れた効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラクターシヨベルの側面図、第２図
は、従来の湿式デイスクブレーキを示す断面図、
第３図は同じくブレーキデイスクと油はねかけ用
板羽根を示す側面断面図、第４図は同じくその正
面図、第５図は本考案の一実施例である湿式デイ
スクブレーキを示す断面図、第６図は同じく油は
ねかけ用板羽根を示す正面図である。 ２……駆動車軸、１１……第一スプライン溝、
１２……デイスクハブ、１３……油はねかけ用板
羽根、１４……第二スプライン溝、１５……ブレ
ーキデイスク、１６……外周部、１７……圧接
板、１８……ピストン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動車軸２の端部に第一スプライン溝１１が刻
   設され、該第一スプライン溝１１にドーナツ形の
   デイスクハブ１２の内周部がスプライン嵌合さ
   れ、該デイスクハブ１２に油はねかけ用板羽根１
   ３が固定され、前記デイスクハブ１２の外周部に
   第二スプライン溝１４が刻設され、該第二スプラ
   イン溝１４にドーナツ形のブレーキデイスク１５
   の内周部がスプライン嵌合され、該ブレーキデイ
   スク１５の外周部１６を接離自在に圧接する圧接
   板１７とその作動用ピストン１８とが設けられた
   ことを特徴とする車両用湿式デイスクブレーキ。