JPH0218389Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、各種の電気機器の組立てにおい
て、電線を束ねて器体や壁面に取付けるために用
いる電線固定具の改良に関するものである。

従来、この種の電線固定具として、第５図およ
び第６図に示したものが多用されている。

すなわち、１は合成樹脂で作られた電線固定具
の基板、２は基板１と一体で基板１面から円弧を
画くように彎曲する弾性Ｃ形帯板、３は弾性Ｃ形
帯板の先端外側に突出している引掛け爪、４は弾
性Ｃ形帯板２の中途外側に突出された操作片、５
は基板１と一体で基板１面から弾性Ｃ形帯板２の
先端に向けて垂直に直立する抑え片、６は基板１
と一体で前記抑え片５から所要の間隔をとつて並
行に直立する係止片、７は係止片６の先端内側に
突出された受爪、８は係止片６の先端外側に横方
向に張出して鍵型に突出された操作片、９は基板
１と一体で基板１の裏面に突出された取付け用翼
体であり、基板１の取付けは前記翼体９の嵌着に
よつて行い、第６図に示すように、解放状態にし
た弾性Ｃ形帯板２の先端と抑え片５および係止片
６の先端とのあいだの開放口から電線束ａを弾性
Ｃ形帯板２の内側に収納させ、操作片４の押し下
げ操作により、第５図に示すように、弾性Ｃ形帯
板２の先端を抑え片５と係止片６とで形成された
垂直に並行する空所内に嵌入させると、帯板２の
先端の引掛け爪３が係止片６側の受爪７に係止さ
れ、弾性Ｃ形帯板２によつて電線束ａが把持され
るようになつている。

しかして、この従来の上記構成の電線固定具に
あつては、操作片４の押し下げ操作によつて、弾
性Ｃ形帯板２の先端は円弧運動となるのに対し、
これを受け入れる垂直に並行する空所側の抑え片
５は基板１に対して垂直であり、かつ動かないよ
うに起立しているため、帯板２の先端は抑え片５
の内側面を強く擦りながら無理に嵌入するので、
前記押し下げ操作に大きな摩擦抵抗を受ける。

また、前記弾性Ｃ形帯板２を抑え片５と係止片
６とのあいだの垂直に並行する空所に嵌入させる
には、係止片６をその操作片８の押し下げ操作で
外方に向けて倒しておかなければならず、操作上
きわめて不便である。

更にまた、前記係止片６の操作片８に不測の外
力が加えられると、その受爪７が弾性Ｃ形帯板２
側の引掛け爪３から外れ、弾性Ｃ形帯板２が垂直
に並行する空所から抜ける事故発生の危険があ
る。

このように、前記従来の固定具は係止片６が倒
されると、その係止力の解放の危険につながり、
これを強くすると弾性Ｃ形帯板２との係合がより
困難となる相反する欠点がある。

また更に、前述した解放事故を未然に防止する
目的で、係止片６の基板付け根部分を厚くする
と、係合を解除する操作に大きな力を必要とする
ため、係止片６の操作片８を大きくしなければな
らないが、そのようにすると、不測の外力を受け
易くなる。

この考案は、前述した従来の電線固定具の欠点
を解消するためになされたものであつて、Ｃ型彎
曲帯板１１を応力を有するＵ字形空所に嵌入係止
する操作が円滑容易であり、しかもＣ型彎曲帯板
１１の係止力解放事故を起すおそれのない電線固
定具を提供することを主たる目的とするものであ
る。

この考案は、合成樹脂製の基板１０に板面から
円弧を画くように立上がるＣ型彎曲帯板１１と板
面からそのＣ型彎曲帯板１１の先端に向けて円弧
を画くように立上がる起立片１７とを夫々一体に
形成し、前記Ｃ型彎曲帯板１１の先端手前部に先
端部分とＵ字形空所部を形成する係止片１２と前
記起立片１７に内接する先端部分の抑え片１５と
を一体に設け、前記係止片１２の先端に外側方向
に突設する操作片１３とその操作片１３より内側
方向に突設する引掛爪１４とを一体に設け、前記
起立片１７に前記係止片１２と前記抑え片１５と
のＵ字形空所部にその起立片１７を嵌入したとき
その係止片１２の前記引掛爪１４と係合する受爪
１８を一体に設け、かつ前記Ｃ型彎曲帯板１１に
操作片１６を前記係止片１２の近傍位置に一体に
設けることによつて前記目的を達成せしめんとす
るにある。

以下、この考案を添付図面の第１図乃至第４図
の一実施例によつて更に詳細に説明する。

図面中、１０は合成樹脂製の長方形の基板であ
り、その表側の板面には板面から円弧を画くよう
に立上るＣ型彎曲帯板１１が一体に形成され、そ
の先端の手前部位に抑え片１５となる先端部分と
Ｕ字形の応力を有する係止片１２が一体に分岐さ
れ、係止片１２の先端外側にはその係止片とほぼ
直角をなす方向に操作片１３が一体に突出形成さ
れ、また係止片１２の先端内側には引掛け爪１４
が一体に設けられている。Ｃ型彎曲帯板１１の外
周面には前記係止片１２の近傍部位に操作片１６
が一体に突出形成されている。

また前記基板１０の表側の板面には前記Ｃ型彎
曲帯板１１の先端に向けて円弧を画くように立上
る起立片１７が一体に形成され、この起立片１７
にはその先端外側に受爪１８が一体に設けられて
いる。

更に前記基板１０の一つの角隅部位には基板取
付け用孔１９が設けられ、また基板１０の裏面に
は両面接着シート２０が貼着され、そのうえに剥
離紙２１が張付けられている。

上記の如く構成された電線固定具は基板１０の
裏側の剥離紙２１を剥がしたあとの接着シート２
０または取付け用孔１９あるいはその双方によつ
て基板１０を電気機器、壁面などに固着して用い
るものである。

この考案では前述のように構成したから、所定
部位に固着した電線固定具に電線束を把持させる
には、第２図に示すようにＣ型彎曲帯板１１の先
端の抑え片１５と基板１０面から立上つている起
立片１７とのあいだから電線束ａを入れ、操作片
１６及び又は１３の操作によりＣ型彎曲帯板１１
を基板１０に向けて押し上げ、第１図及び第３図
に示すように抑え片１５と係止片１２との間のＵ
字形空所部に起立片１７を嵌入させる。この嵌入
時において、抑え片１５の外側は起立片１７の内
側に内接しながら案内され、起立片１７はＵ字形
空所部内に嵌入され、他方係止片１２側の引掛け
爪１４は起立片１７側の受爪１８の外面を滑り進
み、そこを通つたあと受爪１８に係合され、Ｃ型
彎曲帯板１１の先端の円弧状の抑え片１５は前記
円弧状の起立片１７の内側面に圧接され、その状
態でＣ型彎曲帯板１１は起立片１７に固く連結さ
れる。

次に、固定具から電線束を取り外すには操作片
１３を操作片１６と共同して基板１０から離れる
方向に押し上げる。この操作で係止片１２側の引
掛け爪１４は起立片１７側の受爪１８から外され
るので、Ｃ型湾曲帯板１１を第２図の解放状態に
戻すことができ、電線束への把持力を解除するこ
とができる。

この考案においては円弧を画くように立上る起
立片１７に対し、Ｃ型彎曲帯板１１の先端の手前
からヒンジ構造を介して分岐された係止片１２と
Ｃ型彎曲帯板１１の先端の抑え片１５とで構成さ
れている係合機構のために、起立片１７を受入れ
る嵌入操作において抑え片１５の外側が起立片１
７の内側に内接して案内されてしかもそのヒンジ
構造により抑え片１５と係止片１２との双方に応
力が働いてそのＵ字形空所部が開き、それよつて
起立片１７を受入れて起立片１７が係止片１２及
び抑え片１５間のＵ字形空所に嵌合し、同時に抑
え片１５の外側と起立片１７の内側とは圧接され
て、移動防止作用が働くので、円滑な係合作用と
係合後は外れにくい強固な係合力とが得られる。

これに反し、前述した従来品は、垂直に並列し
た抑え片５と係止片６とのあいだに弾性Ｃ形帯板
２の引掛け爪３のある先端部分を挿入する構造で
あり、抑え片５は可動性がなく、弾性Ｃ形帯板２
の先端部分の可動性のみを利用して係合させる機
構であり、これに比べ本案の前述した係合機構は
作用効果において格段とすぐれている。

加えて、従来品において操作片４を基板１に向
けて押し下げる操作によつて引掛け爪３と受爪７
とを係合させ、かつ操作片８は係止片６の先端外
側に横方向に張出して鍵型に突出しているために
操作片８に上方向より不測の外力を受けた場合に
は弾性Ｃ形帯板２が不用意に解放される危険を有
するが、この考案では操作片１３を基板１０より
押し上げる操作によつてＣ型湾曲帯板１１を起立
片１７より解放するようにしたので、操作片１３
に誤つて接触や操作が加えられても、解放はされ
ず、反対に係合力を高めるよう作用するので、取
扱上の安全性においてもすぐれた効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図はこの考案の一実施例を示す
電線固定具を示し、第５図及び第６図は従来の電
線固定具を示し、第１図及び第４図は斜視図、第
２図は解放状態の正面図、第３図は縦断面図、第
４図は基板の縦断面図、第６図は解放状態の斜視
図である。 １０……基板、１１……Ｃ型彎曲帯板、１２…
…係止片、１３……操作片、１４……引掛け爪、
１５……抑え片、１６……操作片、１７……起立
片、１８……受爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製の基板１０に板面から円弧を画くよ
   うに立上がるＣ型彎曲帯板１１と板面からそのＣ
   型彎曲帯板１１の先端に向けて円弧を画くように
   立上がる起立片１７とを夫々一体に形成し、前記
   Ｃ型彎曲帯板１１の先端手前部に先端部分とＵ字
   形空所部を形成する係止片１２と係合時に前記起
   立片１７に内接する先端部分の抑え片１５とを一
   体に設け、前記係止片１２の先端に外側方向に突
   設する操作片１３とその操作片１３より内側方向
   に突設する引掛爪１４とを一体に設け、前記起立
   片１７に前記係止片１２と前記抑え片１５とのＵ
   字形空所部にその起立片１７を嵌入したときその
   係止片１２の前記引掛爪１４と係合する受爪１８
   を一体に設け、かつ前記Ｃ型彎曲帯板１１に操作
   片１６を前記係止片１２の近傍位置に一体に設け
   た電線固定具。