JPH0217957Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車の前面窓ガラスを払拭する
ワイパー装置に係るもので、とくに「しまい込
み」機構を有する格納式ワイパー装置の改良に関
するものである。

従来、ワイパーアームを視界の妨げとならない
通常の停止位置から更に窓縁下部まで格納する
「しまい込み」機構を有するワイパー装置が種々
提案されている。

普通、ワイパー装置はモータの回転を減速して
クランクを回し、そのクランクによつてワイパー
アーム軸のレバーを揺動させ、アーム先端のブレ
ードでガラス面を払拭する型式のものが多用され
ており、「しまい込み」機構としては、モータ側
クランクの半径を複雑な機構で変化させてワイパ
ーブレードを格納したり、リンクとクランクの関
節部を偏心とし、ワイパーモータの逆回転によ
り、偏心の位置を変えてワイパーブレードを格納
する手段が提案されているが、前者の手段は機構
が複雑で各部品が破損し易いという欠点があり、
後者の手段はリンクの関節部が大型となる欠点が
ある。

この考案は、前述した問題に鑑みてなされたも
のであつて、構造が簡単で動作が確実な「しまい
込み」機構を有する格納式ワイパー装置を提供す
ることを目的としているものであつて、その考案
の要旨とするところは、モータの正転によりワイ
パーブレードを払拭作動し、逆転により格納する
格納式ワイパー装置において、モータの回転軸に
連結された第１のクランクと、前記第１のクラン
クに回動可能に取り付けられた第２のクランク
と、前記第２のクランクに回動自在に取り付けら
れたカムと、前記カムと一体的に連結され、かつ
前記第１および第２のクランクの運動をワイパー
ブレードに伝えるリンクと、前記第１のクランク
には第２のクランクが第１のクランクに対して直
線状角度位置と屈曲角度位置とを規制するために
形成された制止縁と該各制止縁に対応する所要部
位に設けられた凹部とを有し、前記第２のクラン
クには前記凹部に対して案内枠に沿つて摺動自在
に弾撥付勢されて突出係合するストツパーを有
し、前記カムがモータの正転時に前記第２のクラ
ンクを前記第１のクランクに対して屈曲角度位置
を保持し、逆転時には直線状角度位置を保持する
ように前記凹部に突出係合したストツパーの摺動
を抑止または可能とする格納式ワイパー装置を得
ようとするものである。

以下、この考案を、その実施例を示した図面に
もとづいて詳細に説明する。

第１図ないし第３図において、１はモータの回
転軸であり、この回転軸に、２個の組合わせクラ
ンク２，３のうちの第１のクランク２の一端部に
設けられた孔が嵌合され、ナツト４により固着さ
れている。

前記第２のクランク３は、その一方の端部が第
１のクランク２の端部に重ねられ、第２のクラン
ク３側のネジ付き突軸５が第１のクランク２に挿
入され、ナツト６がかけられ、前記突軸５を回動
中心として、両クランク２，３が相互に回動でき
るように組合わされている。

前記第１のクランク２には、突軸５を中心とし
て回動する第２のクランク３が第１のクランク２
に対して一直線に伸長する角位置と、そこから
ほゞ90度近く屈曲する角位置とを規制する制止縁
７，８が形成され、各制止縁７，８の所要部位に
は、後記する目的のため、凹部７ａ，８ａが設け
られている。

前記第２のクランク３の他端部には、突軸９が
設けられ、これにカム１０を有する軸受体１１が
嵌装され、この軸受体１１には、ワイパーブレー
ドに連係するリンク１２の軸受体１３が嵌合連結
されている。１４は軸受体１１に設けられた連結
用ピン、１５は軸受体１３に設けられた連結用ピ
ン受溝、１６は締めリングである。

前記第２のクランク３には、第１のクランク２
と重なる部分に、制止縁７，８の凹部７ａ，８ａ
に突出係合されるストツパー１７が案内枠１８を
介して摺動自在に保持されている。案内枠１８内
には、ストツパー１７を突出させるための押圧ス
プリング１９が設けられ、ストツパー１７の後端
は、前記第２のクランク３の突軸９に嵌装されて
いるカム１０に当てられる方向に位置づけされて
いる。２０は案内枠取付けネジである。

第４図ないし第６図は、ワイパー装置の作動状
態を示したものであつて、２０はワイパーブレー
ド、２２はアーム、２３は揺動軸、２４はリンク
であり、リンク２４が前記リンク１２に連結され
ている。

通常の払拭操作では、モータの回転軸１は、後
記第１３図に示す格納状態から第４図ないし第７
図の各図においてワイパー装置の動作状態とその
ときの第１のクランクと第２のクランクの関係位
置を示す拡大図の矢印Ｐで示す正転方向に回転駆
動される。この方向に第１のクランク２が回転さ
れると、第４図に示すようにリンクを介してワイ
パーブレードに連係している第２のクランク３は
回転反力作用により、突軸５を中心として回わ
り、第５図に示すように第１のクランク２の制止
縁８に当るところまで屈曲し、同時にストツパー
１７は凹所７ａに入り、その屈曲角度でロツクさ
れ、第１クランク２は第２のクランク３に対して
屈曲した状態のもとで、以後、第６図および第７
図に示すように回転軸１を中心として矢印Ｐの方
向に回転され、リンク１２，２４によつて揺動軸
２３は往復回動され、ワイパーブレード２１によ
る払拭が行われる。

前記第２のクランク３が第１のクランクに対し
て屈曲した状態でワイパーブレードが往復動する
範囲は通常の作動範囲であつて、モータを止める
と、自動定位置停止機構（図示してない）によ
り、前記作動範囲の終端で止められる。

次に、ワイパーアームを前述した通常の停止位
置からしまい込むには、第８図乃至第１３図の各
図においてワイパー装置の動作状態とそのときの
第１のクランクと第２のクランクの関係位置を示
す拡大図で示されるように、モータを逆転駆動す
る。この逆転操作により、第１のクランク２は矢
印Ｐと反対の矢印Ｑ方向に回転される。このよう
に第１のクランク２が逆転されると、リンクを介
してワイパーブレードに連係している第２のクラ
ンク３は、回転反力作用により、突軸５を中心と
して回るが、カム１０とリンク１２は一体的に連
結されているためにカム１０の凹部は常に一定方
向を向いているので、第８図に示すように該カム
１０の凹部面３０にストツパー１７の先端が回向
するまでは両クランク２，３は一体的に回転す
る。そこで該ストツパー１７の先端が該カム１０
の凹部面３０に対向する位置に回向すると該スト
ツパー１７はスプリング１９の弾撥力により押し
出されて該カム１０の凹部面３０に接触すると共
に該ストツパー１７の後部は凹所７ａから離脱し
て第９図に示すように両クランク２，３の一体化
は解消されて第１０図に示すように第２のクラン
ク３は第１のクランク２の制止縁７に当るところ
まで伸長し、同時にストツパー１７は凹所８ａに
入り、その伸長角度でロツクされ、その状態で第
１１図から第１３図に示す方向に回向する。

すなわち、第２のクランク３が第１のクランク
２に対して一直線状に伸長した際のクランク有効
長さ、すなわち回転軸１と突軸９とを結ぶ軸間長
さは、屈曲時における回転軸１と突軸９とを結ぶ
軸間長さより長くなるので、第１３図において、
通常の停止位置Ａにおかれるワイパーブレード
は、作動範囲を越えてＢ位置にしまい込まれる。

前記払拭操作ならびにブレードしまい込み操作
において、第２のクランク３の突軸９に嵌装され
ているカム１０は、リンク１２と共に回動し、払
拭操作の正転時には、凹所７ａに係合しているス
トツパー１７を押圧してロツクし、通常回転
（180度）したところから若干の角度（35度程度）
逆回転した状態でストツパー１７から離れ、第２
のクランク３が第１のクランク２に対して完全に
伸長したところで、凹所８ａに係合したストツパ
ー１７を押圧してロツクするようになつている。

上述したワイパー装置の構成によれば、簡単な
機構により、ワイパーブレードを通常の停止位置
から格納位置にしまい込ませることができる。

上記実施例では、ストツパー１７によつて両ク
ランク２，３相互をロツクする機構が示されてい
るが、第１４図に示すように、ストツパーを省
き、カム１０に第１のクランク２を係合させ、カ
ムをストツパーとして用いる手段をとることがで
きる。

以上に述べたように、この考案によれば、ワイ
パーブレードを往復動させるためにモータ回転軸
で駆動されるクランク部材が、支軸で相互に回動
自在に連係された２つのクランクで構成され、そ
の第１のクランクはモータ回転軸に固定され、第
２のクランクはワイパーブレード側に連係され、
第１のクランクおよび第２のクランクは、モータ
の正転時には所要の角度で屈曲され、その屈曲状
態でモータ回転軸によつて回動され、逆転時には
直線状に伸長され、その伸長状態でモータ回転軸
によつて回動される関係に構成されているので、
簡単な機構により、通常の停止位置から格納位置
にワイパーブレードをしまい込むことのできるワ
イパー装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示すワイパー装
置要部の縦断面図、第２図は平面図、第３図は分
解斜視図、第４図ないし第７図は払拭操作時の正
転動作状態を示す説明図、第８図ないし第１３図
は格納操作時のワイパー装置の動作状態とそのと
きの第１のクランクと第２のクランクの関係位置
を示す拡大図、第１４図は他の実施例を示すカム
構造部分の斜視図である。 １……モータ回転軸、２……第１のクランク、
３……第２のクランク、４……ナツト、５……突
軸、６……ナツト、７，８……制止縁、９……突
軸、１０……カム、１１……軸受体、１２……リ
ンク、１３……軸受体、１４……連結用ピン、１
５……受溝、１６……締めリング、７ａ，８ａ…
…凹部、１９……スプリング、２０……ネジ、２
１……ワイパーブレード、２２……アーム、２３
……揺動軸、２４……リンク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 モータの正転によりワイパーブレードを払拭作
   動し、逆転により格納する格納式ワイパー装置に
   おいて、 モータの回転軸に連結された第１のクランク
   と、 前記第１のクランクに回動可能に取り付けられ
   た第２のクランクと、 前記第２のクランクに回動自在に取り付けられ
   たカムと、 前記カムと一体的に連結され、かつ前記第１お
   よび第２のクランクの運動をワイパーブレードに
   伝えるリンクと、 前記第１のクランクには第２のクランクが第１
   のクランクに対して直線状角度位置と屈曲角度位
   置とを規制するために形成された制止縁と該各制
   止縁に対応する所要部位に設けられた凹部とを有
   し、 前記第２のクランクには前記凹部に対して案内
   枠に沿つて摺動自在に弾撥付勢されて突出係合す
   るストツパーを有し、 前記カムがモータの正転時に前記第２のクラン
   クを前記第１のクランクに対して屈曲角度位置を
   保持し、逆転時には直線状角度位置を保持するよ
   うに前記凹部に突出係合したストツパーの摺動を
   抑止または可能とすることを特徴とする格納式ワ
   イパー装置。