JPH0217785Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は工作物に加工を加えまたは組付けを行
う設備に対して工作物の位置決めを行う工作物位
置決め装置に関する。

（従来の技術） 加工機或いは組立機等の工作物加工装置におい
ては、工作物が所定の位置に位置決め・設備され
ることが必要であり、このため従来では、工作物
の形状が複数の場合、工作物の形状にあつた加工
用パレツトを複数個用意し、形状の異なる工作物
を位置決め・設置する際には、工作物の形状にあ
わせて加工用パレツトを選択して工作物加工装置
の所定の位置に加工パレツトを位置決め・設置す
るか、または工作物加工装置側に設けられた工作
物を位置決め・設置するクランプ装置を複数個用
意し、形状の異なる工作物を位置決め・設置する
際には、工作物の形状にあつたクランプ装置を選
択して前に設置されているクランプ装置との段取
替えすることによつて対処していた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前者の加工用パレツトを用いる
場合には、加工用パレツトを介在して工作物加工
装置の設置位置に位置決めするため、位置決めの
精度が不安定となり、加工精度が低下する問題が
ある。また後者のクランプ装置を用いる場合に
は、クランプ装置が大型で複雑であることから、
自動化が困難であるとともに段取替えの際のクラ
ンプ装置の位置決めが難しく、さらに両者共に機
構が複雑で設備費が高くなる問題がある、という
問題があつた。

本考案はかかる問題点に鑑み、加工精度を向上
させ、工作物位置決めの作業の自動化を可能に
し、かつ工作物の位置決め機構を簡略化してコス
トの低減を図ろうとするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するため、工作物を
載置するための複数個の支持台と工作物をクラン
プするためのクランプ用アームを備えたクランプ
機構とを設けた搬送パレツトと、該搬送パレツト
から工作物を分離して直接に工作物を支持する治
具と、前記クランプ用アームに作用して該アーム
にクランプ力を付与して工作物を前記治具に位置
決めせしめるクランプ装置とを有している。

（作用） 工作物を搬送パレツトの支持台に載置して該工
作物をクランプ機構のクランプ用アームによつて
クランプした後、該工作物を載置した搬送パレツ
トを治具の位置まで搬送し、治具を駆動させて工
作物を支持させることにより、その工作物を搬送
パレツトから分離させた後、さらにクランプ装置
によりクランプ機構のクランプ用アームをクラン
プさせ、工作物を所定位置に位置決め・設置す
る。

（実施例） 以下図面に示す実施例を参照しながら本考案を
説明すると、第１図ないし第３図に示すように、
１は工作物２を載置して搬送するための搬送パレ
ツトであつて、この搬送パレツト１のパレツト本
体１ａ上の四隅には、工作物２が載置される支持
台３，４，５，６が設けられている。この支持台
３，４，５，６のうち、支持台３，４の載置面３
ａ，４ａは、平坦な形状に形成されており、支持
台５，６の載置面５ａ，６ａは加工物２の一部が
挿入されるように凹所が形成されたものとなつて
いる。そして前者の支持台３，４の一対はパレツ
ト本体１ａの長手方向沿いの一側端側に位置し、
後者の支持台５，６の一対は該パレツト本体１ａ
の他側端側に位置している。

また、パレツト本体１ａの一側端には、工作物
２をクランプするためのクランプ機構C₁が設け
られており、このクランプ機構C₁の対向面側に
は同様に二つのクランプ機構C₂，C₃が間隔を有
して設けられている。これらクランプ機構C₁，
C₂，C₃を詳細に説明する。まず、パレツト本体
１ａの支持台５，６側の側端には１つの取付板７
が支持台６側にやや近づけて直角に取付けられ、
他端側には２つの取付板８，９が間隔を有して直
角に取付けられており、夫々の取付板７，８，９
の先端部には、保持部材１０，１１，１２が直角
に取付けられている。この保持部材１０，１１，
１２は一端に、パレツト本体１ａの底面を含む平
面と平行状の当接面１０ａ，１１ａ，１２ａを有
しており、またその他端中央部には、凹所１７が
形成されている。そして、この凹所１７にはピン
１３は該凹所１７を跨ぐように横架されており、
このピン１３を介してクランプ用アーム１４，１
５，１６が回動自在に取付けられている。該クラ
ンプ用アーム１４，１５，１６の回動方向は、そ
の先端部が取付板７，８，９に当接する方向とな
つており、後述するように、工作物２は該クラン
プ用アーム１４，１５，１６によつてクランプさ
れるようになつている。さらに保持部材１０，１
１，１２には、第３図に示すように孔部１８が形
成されており、この孔部１８の一端面は凹所１７
の底面に開口している。該孔部１８内には、プラ
ンジヤ１９と、このプランジヤ１９を開口方向に
向けて弾発付勢するバネ１２０とが配設されてお
り、プランジヤ１９の先端面は、クランプ用アー
ム１４，１５，１６の基端部に対して摺動自在と
なつている。即ち、クランプ用アーム１４，１
５，１６の基端面１４ａ，１５ａ，１６ａが凹所
１７の底面に接面している場合には、プランジヤ
１９の押圧力によつて、クランプ用アーム１４，
１５，１６はその位置を保持することになり、ま
た、外力によつてアーム１４，１５，１６が取付
板７，８，９方向に向けて傾倒させられると、バ
ネ１２０の作用によつてその傾倒状態が保持され
られることになり、工作物２のクランプが達成さ
れることになる。

次に上記構成に係る搬送パレツト１を用いて工
作物２を位置決めする場合について述べると、先
ず各クランプ機構C₁，C₂，C₃のクランプ用アー
ム１４，１５，１６を起立させた後、工作物２を
支持台３，４，５，６上に載置し、第３図に示す
ように、クランプ用アーム１４，１５，１６を倒
して工作物２をクランプする。次いで工作物２を
治具２０上に搬送する。

この治具２０は、第４図に示すように、パレツ
トサポート面２１と、加工基準面２２とを有して
おり、工作物２の載置面２４が夫々載置されるよ
うになつている。また、第１図から明らかなよう
に、パレツト本体１ａの幅ｗは、工作物２の幅ｗ
よりも小さいため、工作物２を治具２０上に降せ
ば、工作物２は治具２０によつて直接に支持され
ることになる。

ここで搬送パレツト１から治具２０への工作物
２の移行の状態を第３図および第４図に基づいて
説明すると、工作物２が載置された搬送パレツト
１を治具２０上に搬送し、保持部材１０，１１，
１２の当接面１０ａ，１１ａ，１２ａをパレツト
サポート面２１に載せると共に工作物２の所定部
分２３を加工基準面２２に載せると、パレツト本
体１ａの支持台３，４，５，６の載置面３ａ，４
ａ，５ａ，６ａに載置されていた工作物２の載置
面２４は、片持ち状態となつて持ち上がり支持台
３，４，５，６から離間することになり、工作物
２は、治具２０の加工基準面２２によつて直接に
支持されることになる。次いで第４図に示すよう
に、治具２０側に設けられたクランプ装置２５を
駆動手段（図示せず）を作動させてクランプ用ア
ーム１４，１５，１６をクランプし、工作物２を
所定の位置に位置決め・設置する。

これにより、工作物２に加工または組付け等の
加工が行なわれる。そして、加工が終了した工作
物２は前記とは逆の作用によつて搬送用パレツト
１上に載置されて、次の工程に搬送される。

（考案の効果） 本考案は以上から明らかなように、搬送パレツ
トを使用し、工作物の位置決めに際しては、パレ
ツトを基準にすることなく、工作物を直接の基準
とするため、位置決め精度があがつて加工精度が
向上することになる。

またクランプは、搬送パレツトに取付けたクラ
ンプ用アームによつて行うので、工作物の形状に
変更があつても対応できることになり、したがつ
て従来の段替作業が不要になるばかりか設備の自
動化が可能になり稼動率が向上することになる。

さらに搬送パレツトは構造が簡素化されて安価
であり、したがつて生産設備のコストダウンが可
能になるばかりか生産設備の簡素化が図れること
になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の平面図、第２図は
同装置の正面図、第３図は同装置の側面図、第４
図は工作物の位置決め状態を示す説明図である。 １……搬送パレツト、２……工作物、３，４，
５，６，……支持台、１４，１５，１６……クラ
ンプ用アーム、２０……治具、２４……クランプ
装置、C₁，C₂，C₃……クランプ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作物を載置するための複数個の支持台と工作
   物をクランプするためのクランプ用アームを備え
   たクランプ機構とを設けた搬送パレツトと、該搬
   送パレツトから工作物を分離して直接に工作物を
   支持する治具と、前記クランプ用アームに作用し
   て該アームにクランプ力を付与して工作物を前記
   治具に位置決めせしめるクランプ装置とを備えて
   なる工作物位置決め装置。