JPH02167040A

JPH02167040A - アレルゲンを低減させた穀類及びその製造方法

Info

Publication number: JPH02167040A
Application number: JP1059334A
Authority: JP
Inventors: Michiko Watanabe; 道子渡辺; Soichi Arai; 荒井　綜一; Yoshiro Ikezawa; 善郎池澤; Junko Miyagawa; 宮川　淳子
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1988-03-10
Filing date: 1989-03-10
Publication date: 1990-06-27
Anticipated expiration: 2009-02-09
Also published as: JPH069472B2

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、穀類から食物性アレルギー症状の発症原因物
質、いわゆるアレルゲンの除去方法に関する。

（従来の技術）食物性アレルギーと：よ、特定の食物を食したとき、異
常な過敏反応を生じ、その結果、病的な状態になる現象
を指し、一般には卵、牛？Ｌ、　　大豆等の蛋白性金物
が発症の原因物質となることが多い。

しかし、最近の調査によれば、調査対象を幅広い年齢層
においた場合、米や小麦などの穀類によるアレルギー性
皮膚炎の発症が意外に多いことが明かとなった。かかる
食物性アレルギーの症状としては、アレルギー性鼻炎、
湿疹、■麻疹、ストロフルス１反復性腹痛、習慣性下痢
、偏頭痛、起立性タンパク尿９等が知られているが、そ
の治療法に関しては、薬物による対症療法のほかは、ア
レルギーの原因となる食物を見つけ出し、再発の恐れが
なくなるよ・て、その原因食物を患者の食餌からできる
だけ取り除き体質の改善を計る。いわゆる除去食物療法
が採られているに過きない。

このように、原因食物：二何等かの処理を施して。

アレルギー発症の原因となる物質、いわゆるアレルゲン
を分解ないしは除去せんとする試みは従来殆ど知られて
いない。

（発明が解決しようとする問題点）本発明者らは、米アレルギー患者の治療食を開発すべく
、米アレルゲンについて詳細な研究を進める中で、米ア
レルケン成分の主体は２Ｍ食塩溶滴可溶性の蛋白質画分
にあること９本アレルゲンは蛋白分解酵素により特定条
件の加水分解を行うことにより効果的に除去できること
、さらにはかかる酵素処理が米アレルゲンのみならず、
池の広範な穀物のアレルゲンの除去に有効であることを
見出し１本発明を完成した。

（問題点を解決するための手段）塩化ナトリウム可溶性）蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶
率が８０％以上となるまで加水分解し、可溶性成分を除
去することを特徴とするアレルゲンを除去した穀類の製
造方法である。以下本発明を具体的に説明する。

本発明でアレルゲンを除去する対象となる材料は、澱粉
を主成分とする穀類材料であり、その具体例としては、
米、小麦、大麦、ライ麦、燕麦。

裸麦、トリチケール、とうもろこし等を挙げることがで
きる。穀類材料は、一般に精白したものをそのまま、あ
るいは３０メツシュ以下程度に粉砕して用いることがで
きる。

蛋白分解酵素としては、エンド型のアスバルティックブ
ロテイナーゼ、セリンプロテイナーゼおよびシステイン
プロテイナーゼを使用することができ、一般には微生物
ないしは植物起源の市販酵素剤をそのまま使用すること
が可能である。

その具体的な例としてはモルシン（盛進製薬（株）製）
、アクチナーゼ（利研化学（株）製）。

パパイン、プロメライン、フィシン等を挙げることがで
きる。これらのうち、特にアクチナーゼがアレルゲンの
除去効果が大であり、他方、パパイン、ブロメライン等
はアクチナーゼに比べて加水分解率がやや低く、アレル
ゲンの完全な除去は困難な場合がある。なお、ペプシン
、トリプシン。

キモトリプシン、バンクレアチン等といった。動物の消
化管から分泌される蛋白分解酵素は、アレルゲンの除去
効果が僅かであり、実用的ではない。

本発明では、穀類材料１００重量部に対し、水２０〜１
０００重量部、蛋白分解酵素０．　１〜５重量部、更に
必要に応じ、界面活性剤等を加えて均一に混合し、必要
に応じて振とう・撹拌しながら、１０〜６０°Ｃで数時
間ないし数十時間保持し。

穀類材料中の塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶率が
８０％以上、より好ましくは９０％以上となるまで反応
を行う、ここで９本願でいう塩溶性蛋白質の１０％三塩
化酢酸可溶率とは、試料の２Ｍ塩化ナトリウム溶液に可
溶性の窒素に対する１０％三塩化酢酸に可溶性の窒素の
比率を百分率で表わしたものであり、その各々はケルブ
ール法により測定される。

穀類を粉砕することなく酵素処理する場＆：：は。

穀粒内部への酵素の浸透を促進するため、以下の（ａ　
’）または（ｂ　、）の方法を採用するが、あるいはそ
の併用が効果的である。すなわち。

（ａ）反応に先立ち、穀粒を水または酵素溶液に漫潰し
、これに１０〜５０　ｍｍＨｇ程度の減圧、あるいは２
〜１０　ｋｇ／ｃｍ２の加圧処理を施すか、または反応
系全体を同程度の減圧、あるいは加圧下におくことによ
って穀粒内部の気相部への水または酵素水溶液の浸透を
助長する。

（ｂ）界面活性剤を添加して反応系の界面張力を低下さ
せ、酵素の穀粒内部への浸透を助ける。

かかる界面活性剤としては、モノグリセリド。

蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルその他
の食用界面活性剤の中から、１種または２種以上選択し
て用いることができ、その使用量は通常反応系の臨界ミ
セル濃度程度、ないしはそれ以下で十分である。

このようにして酵素処理を行った穀類材料は。

そのまま、あるいは遠心分離などの適宜の手段によって
母液を除き、必要に応じて更に水洗、透析等の精製手段
を施した後、風乾、凍結乾燥、真空乾燥等、適宜に方法
により乾燥する。なお、酵素処理によりアミノ酸、ペプ
チドなどの呈昧性成分が生ずることがあるが、これらは
上記：こｆｆｆ製手段によって除去することができる。

特に米は、九粒のまま炊いた米飯としての給与が望まれ
るが、このように穀類材料どして穀粒を九粒のまま酵素
処理する場合には、酵素処理１表の乾燥工程で破砕が起
き易いため、この懸念の少ない新穀、更には収穫時の水
分をそのまま保持した。

いわゆる調湿穀粒の使用が特に好ましい、また。

乾燥時の穀粒の破砕を防ぐには、乾燥過程での穀粒の表
層部と内部の水分差を極力抑えつつ行うことが必要であ
り、特：；風乾が望ましい、また、乾燥に代えて、酵素
処理後の穀粒を軽く蒸煮し、いわゆるパーボイル状態と
してから乾燥することもてきる。

本発明では、穀類材料の蛋白質分解酵素による加水分解
の程度を、穀類材ｆ′４中の塩浴性蛋白質の１０％三塩
化酢酸可溶率が８０％以上と規定したが、この根拠は以
下の試験例から明かである。

試験例全１が３２メツシユ篩を通過するよう：：粉砕した米（
標準価格米）１０ｇに水５００ｍ１を加え。

濠のｐＨを各酵素の至適ｐＨに調整した復、酵素剤１０
０ｍｇを添加し、３７°Ｃで所定時間（表１に記載）振
とうしつつ反応させた８反応接の試料は３０００ｘｇで
遠心分離して母港を除去した。

得られた沈澱に水１リットルを加えて撹拌し、更に上記
と同条件で遠心分離を行った０次いで得られた沈澱をセ
ロファンチューブに入れて流水中で１晩透析し、凍結乾
燥した。得られた酵素処理米を試料として、米アレルギ
ー患者の血液を用いてＩｇＥ−ＲＡＳＴ値を測定した。

対照には無処理の米粉を用いた。なお、ＩｇＥ−ＲＡＳ
Ｔ値とはラジオイムノアッセイ法の一法により測定した
抗原に対する血清中の特異抗体の量を表わす指標であり
、アレルギー患者の同一血清を用いた場合には、ＩｇＥ
−ＲＡＳＴ値は抗原性の強さを表わす指標となる。数字
は対数関係にあることから、その１の低下は抗原性が１
／１０，２の低下は抗原性が１／１００に低下したこと
を、それぞれ意味している。

使用した酵素、至適ｐＨ，反応時間、蛋白質の１０％三
塩化酢酸（１０％ＴＣＡと略記）可溶率及びＩｇＥ−Ｒ
ＡＳＴ値をまとめて表１に示す。

処理酵素ｐＨ表１反応時間塩溶蛋白１０：ＴｃＡ　　ＩｇＥ−ＲＡＳＴ値可溶↑ 無処理ペプシントリプシンキモトリプシンバンクレアチンパパインアクチナーゼ１．５９．０９．０９．０９．０９．０９．０９．０９．０９．０５．１４．２３．６３．４２．８４．８０．５０．４０．５＜０．３４＜０．３４注）　ＩｇＥ４ｒ〜ＳＴ値が０．３４以下であること：
よ、抗原性が陰性であることを表わす。

表１に示されるように、米粉を蛋白分解酵素で処理する
ことにより、米アレルギー抗原性の強さを表わすＩｇＥ
−ＲＡＳＴ値は、いずれも低下する傾向が見られるが、
その程度は処理物中の塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸
可溶率：二大きく（衣存することが明かとなった。特に
塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶率が８０％を超え
るものでは、ＩｇＥ−ＲＡＳＴｆｉが無処理品に比べて
４以上、すなわち抗原性がｌ／１００００以下に低下し
、更に同可溶率が９０％を超えるものでは抗原性が陰性
となる等、　Ｗ４著な効果がみられた。塩浴性蛋白質の
１０％三塩化酢酸可溶率は使用する酵素の種類により大
きく異なり、アクチナーゼ及びパパインを用いたもので
は短時間の反応でも大きな値が得られたが、トリプシン
、キモトリプシン等の動物の消化管から分泌される蛋白
分解酵素では反応時間を延長しても十分な分解率を達成
し１ｑず、従って抗原性の低下作用も低いものてあった
。

以下実施例を示し１本発明を更：二具体的：：説明する
。

（実施σ１ｊン実施例１コーヒーミルて３２メツシュ以下：二粉砕した米粉５ｋ
ｇ１：ｌ：０．２Ｍ炭酸緩衝液（ｐＨ９１１０リツトル
を加え、アクチナーゼＡ　Ｓ　＜　、ｔ４　？ｉＪｆ化
字（株）製１食品用）５０ｇを加えて、３７℃て２４時
間派とうした。該酵素処理物の塩溶性蛋白質の１０％三
塩化酢酸可溶率は９２％であった。このものを３０００
ｘｇで１０分間遠心分離して沈５１を採り、１０リツト
ルの水を加えて撹拌し、同条件の遠心分備することによ
って洗浄した。洗浄操作は更に２回繰り返した後、沈澱
をセロファンチューフにつめて流水に対して１＠透析し
９次いて凍結乾燥法により、乾燥試料を得た。

このものを米アレルギー患者に１日３回、主食として給
与した。被験者は、米を絶った食餌をすると１力月でア
トピー性皮膚炎が明らか：こ軽快し。

３力月除去で症状の著名な改善が認められ、この状態で
米食を４日間連続摂取すると皮疹の増悪を認める１４才
の女子患者である０食品の形態としては、患者の好みに
応じ、団子１　　！＋　　グラタン。

お好み焼き等のさまざまな料理を行った。３力月間米を
絶った後、該試料を１０日間給与したが。

期間中、患者：こは皮疹は認められなかった。

実施例２米５ｋｇに水１０リットル、オレイン酸モノグリセリド
５ｇ及びアクチナーセ゛ＡＳ（食品用）５０ｇを加え、
脱気してから、３７°Ｃで２４時間静置した。得られた
酵素処理物の塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶率は
８２％であった。これを和紙の袋にいれ、流水：こ対し
て１晩透析した後。

風乾し、乾燥全粒試料を傅た。

本全粒試料を炊飯し、６名の米アレルギー患者（１４才
女、４才男、５才男、１６才女、１９オ男及び３４才女
）に主食として１０日間給与した。

この間、アトピー皮膚炎の皮疹はまったく見られなかっ
た。

実施例３米Ｏｋ　ｇ　！こ水１０リットル及びフロメライニ５０
［を加え、　　２０　ｍｍＨｇの減圧下に２０分間保持
した後、オレイン酸モノグリセリド５ｇを添加し。

ときどき撹拌しなから３７°Ｃで２４時間静置した。

得られた酵素処理物の塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸
可溶率は８４％であった。

該酵素処理物及び無処理米を、米アレルギーに。

者の血清を用いてＩｇＥ−ＲＡＳＴ値をｉ’ｊｊｌｌ定
した。

各値は０．　６及び５．　１であり、酵素処理を行うこ
とにより抗原性は／１００００以下に減少した。

実施例４実施例１における米粉を薄刃小麦粉：こ変えた以外は実
施例１と同様に操作して、酵素処理小麦粉を作った、こ
のものの塩溶性蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶率は８６
％であった。該酵素肌理物及び無処理小麦粉を、小麦ア
レルギー患者の血清を用いてＩｇＥ−ＲＡＳＴ値を）制
定した。各値は０．５及び４．８であり、酵素処理を行
うことにより抗原性は１／１００００以下に減少した。

（発明の効果）本発明により穀類材料に蛋白分解酵素を作用５せて塩溶
性蛋白質の１０％三塩化酢酸可溶率を８０％以上となる
ように加水分解を行った酵素処理物は、抗原性が無処理
品のそれに比べ１７１００００程度以下にまで減少し、特：こ同可溶率
の値が９０％以上にまで加水分解した処理物は鋭敏な穀
物アレルギー患者に給与してもアレルギー症状を発症さ
せることはない、更：：１本発明で蛋白質分解酵素の種
類と反応時間を適当に選択すること：こより、抗原性を
完全：こ除去した除去食↑勿療法用の材料から、軽度の
抗原性を臥した減感作用の材料まで、穀物アレルギーの
治療に必要な広範な穀物材料を調製することができ、穀
類を原因物質とする食物アレルギー患者：：大いなる福
音をもたらすものである。

Claims

【特許請求の範囲】

（１）澱粉を主成分とする穀類材料に蛋白質分解酵素を
作用させ、該穀類材料中の塩溶性蛋白質の１０％三塩化
酢酸可溶率が８０％以上となるまで加水分解し、可溶性
成分を除去することを特徴とするアレルゲンを除去した
穀類の製造方法。
（２）穀類材料が米である請求項１の製造方法。
（３）穀類材料に蛋白質分解酵素を作用させるにおいて
、脱気または加圧下、及び／又は界面活性剤添加下で作
用させることを特徴とする請求項１又は２記載の製造方
法。
（４）穀類材料が未粉砕の穀類である請求項３記載の製
造方法。