JPH0216617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は施設園芸用の水耕栽培、特に育苗ベツ
ドに適する水耕栽培装置に関する。

〈従来の技術〉 従来、この種の育苗ベツドにおいては、培養液
を流下させる水密なベツド面上に発芽した苗の根
部を配置して培養液に直接浸漬する方式、又はロ
ツクウール等の培地をベツド面上に載置してこれ
に給液する培地方式がある。

しかるに、上記二つの方式によると、植物の根
部は常に湛水状態におかれるため、過剰水分、過
剰栄養となつて所謂栄養成長型の苗となり、着
果、花芽分化、花器形成を目的とする生殖型育苗
に適さないものが多い。また、このような苗は脆
弱となりその後の定植栽培時における環境変化に
適応し得ないものが多く活着が悪い。

更に、根部が湛水状態に置かれるので、酸素供
給が不十分となり生育上好ましくない。特に、夏
期の高温時には根の呼吸による酸素消費量が多量
な上に培養液中の溶存酸素の逸出が激しく植物の
生育を阻害するものであつた。

〈考案の目的・構成〉 本考案は上記の欠点を除去し、植物の生育にと
つて必要な水分と栄養と給気とを最適な状態に保
つことのできる水耕栽培装置を提供することにあ
り、その目的は、任意の長さ、幅、深さを有する
ように形成され、かつその底部より所定高までを
以つて集液部とした水密な素材からなるベツド枠
体と、通液可能な孔を有すると共に、上記集液部
の液面と対向する板部を断面凹凸状に形成し、か
つ該板部を上記集液部の上方に略水平に架設固定
してなる支持部材と、植物の根の侵入が不可能な
孔径であつて透水および通気が可能な無数の微細
小孔を有するシート状素材からなると共に、吸水
性を有し、上記支持部材上に敷設されて、上記支
持部材の凹部表面と対面して通気用の空間部を形
成し得るように配設されるベツド部材と、上記ベ
ツド部材に載置されるブロツク状またはプレート
状に形成した培地と、からなる水耕栽培装置、に
よつて達成される。

〈実施例〉 次に、本考案を図面に示された実施例に従つて
更に詳しく説明することとする。

１はプラスチツクシート材により形成されたベ
ツド枠体であり、作地等の用地Ｇを掘削して形成
した任意の長さ、幅、深さの堀溝内壁に沿つて水
密に配設されており、該枠底より適宜の高さｈま
でを集液部２としている。３は該集液部２の液面
上方に略水平に架設固定された支持部材である。
この支持部材３は集液部２の液面に対向する板部
を断面波形のプレートとし、該プレート表面に複
数の円形凹部または凹状溝７，７……を形成する
と共に凹状溝７の少なくとも底部に適宜間隔で通
液孔３１，３１……を穿設したものである。４は
シート状のベツド部材であり、吸水性をもつプラ
スチツク繊維を素材とした不織シートに形成さ
れ、各繊維素により形成される微細空隙孔は相互
に連通しており、植物の根が侵入不可能であつて
かつ透水・通気が可能な孔径すなわち50μ以下と
なるように設けられている。この繊維素としては
ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン
等が用いられる。而して、この支持部材３上にベ
ツド部材４を図示のように張設配置することによ
り、該支持部材３の凹状溝７表面とそれに対面す
る部分とにより空間部８が形成され、ベツド部材
４の下面からの通気性が著しく向上するものであ
る。５は該ベツド部材上に載置される保水性の培
地であり、図示のものはブロツク状のロツクウー
ル培地である。

尚、培地としてはこのほかにプレート状ロツク
ウール、ブロツク状あるいはプレート状に形成し
た吸水性ウレタン培地、くん炭培地、砂培地等と
してもよい。

６は培養液を培地５へ供給するための給液パイ
プであり、培地５の近傍に配設されているととも
に適宜間隔で散水ノズル６１が設けられている。
尤も、水圧に影響されずに全長にわたつて略均一
な滲出散水可能な中空ポーラスパイプを用いても
よい。該給液パイプ６の一端部は公知のポンプお
よび配管（図示せず）に連結しており、集液部２
に貯液されている培養液を散水可能に設けられて
いる。

而して、散水ノズル６１，６１…から各培地に
供給される培養液は培地５に吸水されるが、余剰
の培養液はベツド部材４を通過し、更に支持部材
の通液孔３１を通過して集液部２に落下貯液され
る。このとき、給液停止後もベツド部材４の通液
は徐々に行われるので、ベツド部材４が長尺で多
数の培地５が列置されていて散水ムラがあつて
も、通液完了までの間に各培地５へ充分な吸水が
なされる。次いで、ベツド部材４上の余剰液がな
くなると、培地５に吸収された培養液の一部が自
重により滲出し、やはりベツド部材４および通液
孔３１を通つて貯液される。

従つて、培地５内には培地の保水能力に応じた
培養液が残存することとなり、良好な給液状態が
得られるものである。更に、その後に再び散水給
液が行われるまでの間は、培地５の周囲および培
地下方の通液孔３１空間部８及びベツド部材４を
介して大気接触が可能となるので、良好な酸素補
給を行ない得るものである。

尚、ベツド枠体１として図示の実施例のほか、
木製、プラスチツク製等により無蓋の筐体とする
こと、およびこれを地表上に設置することは本考
案の変更実施例である。また、支持部材３を図示
のように懸架固定するもののほか、通液孔３１を
設けた底板部のみを筐体状ベツド枠１の内壁に固
定するものとしてもよい。更に、支持部材３を金
網状、ネツト状のものとしてもよい。更にこれら
の変更実施例を組合せるものとしてもよい。

〈効果〉 本考案によれば、間歇的に培養液を給液するに
際して各培地に平均した適量の給液が可能となる
と同時に充分な給気をも確保し得るので、前記従
来の欠点を生じることなく、活性力のある苗を均
一生育することができる。

また、ベツド部材４に根が侵入しないので、育
苗された苗を他所へ移植するに際して、培地付き
のまま或いは培地から引き抜く作業においてベツ
ド部材４から容易に分離し、かつ根を損傷するこ
とがない利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の一実施例を示す断
面図である。 １……ベツド枠体、２……集液部、３……支持
部材、４……ベツド部材、６……給液パイプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 任意の長さ、幅、深さを有するように形成さ
   れ、かつその底部より所定高までを以つて集液部
   とした水密な素材からなるベツド枠体と、 通液可能な孔を有すると共に、上記集液部の液
   面と対向する板部を断面凹凸状に形成し、かつ該
   板部を上記集液部の上方に略水平に架設固定して
   なる支持部材と、 植物の根の侵入が下可能な孔径であつて透水お
   よび通気が可能な無数の微細小孔を有するシート
   状素材からなると共に、吸水性を有し、上記支持
   部材上に敷設されて、上記支持部材の凹部表面と
   対面して通気用の空間部を形成し得るように配設
   されるベツド部材と、 上記ベツド部材に載置されるブロツク状または
   プレート状に形成した培地と、 からなる水耕栽培装置。